二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトルテニス=バトテニ= ( No.7 )
日時: 2009/12/11 18:11
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 28 覚悟



「こっちだ、長太郎」(宍戸)
「はい」(長太郎)


宍戸と長太郎は始まってからすぐに合流した。
2人とも武器はハズレではなく、人を殺せるモノだった。

長太郎は、これで人を傷つけるコトなんて考えていなかった。
宍戸は、人を守るためならこれを使う覚悟が出来ていた。


俺は、コイツを守りたい。
レギュラー落ちしたとき、俺はコイツに救われた。
コイツが居たから、俺はレギュラーを取り戻すことが出来た。
だから・・・今度は俺が、コイツを救いたい。

コイツの綺麗な心を、傷つけないために。
コイツの綺麗な手を、汚さないために。

俺が、命に代えても守る。

日吉の死から立ち直れていないコイツに、戦うコトなんて出来ないだろう。


「大丈夫か?」(宍戸)
「え? 平気ですよ」(長太郎)


大丈夫じゃねェだろ。
いつもと同じように振る舞っているのかもしれねェ。
だけど・・・何かが違うんだよ。


「体力的なこと訊いてんじゃねェよ。 もう1度訊く。 大丈夫か?」(宍戸)


分かっていますよ。
宍戸さんの訊きたいことくらい。
それに、俺のことをどれだけ心配してくれているかも。
だからこそ、俺は宍戸さんに本音は言えない。
宍戸さんに、俺の素直な気持ちなんて言えません。


「大丈夫です。 心配しないでください」(長太郎)


お願いだから、心配しないで。
そんなに心配されると、悲しくなってしまいますから。

長太郎は、少しだけ笑って見せた。
いつもの笑顔とは比べものにならないほど、やつれては居たけれど。


「そうか?」(宍戸)


宍戸はまだ納得していないようだったが、少しだけ笑った長太郎を見て、自分もはにかんだ。


「ったく、跡部のヤローや、他の連中は何処に居るんだろうな?」(宍戸)
「そうですね・・・でも、跡部部長も、他の皆さんも大丈夫ですよ。 きっと」(長太郎)


長太郎がそう言い終えた時、宍戸の目に人影が映った。




誰か来る・・・



守るんだ、コイツを。


「長太郎、そっちから逃げろ」(宍戸)
「え?」(長太郎)


守ってくれるんですね。 俺のこと。
戦いから、遠ざけてくれるんですね。
あなたのことだから、今度は俺が守るとか思って居るんですか?


正直、俺は怖いです。

人が傷つくのを見るのが。
人が血を流すのを見るのが。

人の最期を見るのが。


だけど、あなたがこの世から居なくなってしまうことの方が、よっぽど怖いです。


宍戸さん。
俺の覚悟、知っていますか?


「ありがとうごさいます、宍戸さん」(長太郎)

「早く行けッ」(宍戸)




諦めないその心。
いつでも俺に勇気をくれた。

そんなところを、いつも、いつも———————




「すっごく、尊敬していました」(長太郎)



「長太郎? 何言って・・・」(宍戸)




ガンッ




頭が、鈍い音を立てた。