二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.3 )
日時: 2010/02/22 16:16
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: XHLJtWbQ)

一章 砂漠の町で〜looking for yhe town〜

「……むちゃん」

 遠くで誰かの声がした。だが目の前はまっくらで何も見えない。まだ夢を見ているのか。どこか暖かく、心地よい感じがする。あったかい毛布にくるまれているかのようだ。

「あむちゃん! あむちゃんったら!」

 今度ははっきりと声が聞こえた。高い少女の声。
そして肩を大きく揺すられる。そこで初めて自分が眉を閉じていることに気づく。

(あ……あたし寝てるんだ)

 あむと呼ばれた少女は、内心ほっとしていた。さっきまでのあれは、夢だったのだ。従って世界を救うとか、ゲームのような話は現実ではない。あ〜学校行かなきゃ。と、何気なく考えをめぐらせた。

(しっかし。変な夢だったな)

 あむは目を開かずそのまま寝返りを打った。何となくもう少し眠っていたかった。するとザラっとした嫌な感覚が手首あたりにした。

(な、何か砂みたいな感覚が。まさか砂の上に寝ているとか?)

 ふざけ半分に考え、あむはうっすらと目を開けた。
きれいな青空が、澄み渡るように広がっていた。驚いて目をぱっちり開くと、夏のように強い日ざしが襲ってくる。眩しすぎて、あむは目を細める。

「ど、どこ!?」

 あむは身体を起こし、キョロキョロしながら叫んだ。

 「あ! あむちゃん!」

 声の方に振り向くと、あむの顔を覗き込む少女の姿があった。
 大きさは人間の拳ほど。濃いピンクの髪をサイドテールにし、頭には大きなハート形の飾りがついたサンバイザーを被っている。そして赤形のチア・リーダーを連想させるような服を着ている。

「ラ、ラン・・・・・・」

 ランは見てわかる通り人間ではない。
『しゅごキャラ』と言う不思議な生き物だ。某モンスターではないので注意。
 『しゅごキャラ』は、一言で言えばなりたい自分が形になったものである。
 人間ならば性格を変えたいと思ったことがあると思う。例えば運動が得意になりたい、明るくなりたい、もっとかわいくなりたい・・・・・・等々思いつかないくらいある。『しゅごキャラ』はその願いが目に見えるような形で現れたものなのだ。

「ここどこ?」

 あむは身体を起こす。ザーと身体中から砂が落ちる音が聞こえた。どうやら本当に砂の上に寝ていたらしい。
 辺りを見渡すと、見渡す限り褐色の砂ばかり。ぐるりと頭を回転させても、どこまでも砂は広がっていた。

「砂漠じゃない?」
「いや、それはわかるけど」

 問題なのはどうして自分が砂漠にいるかだ。あむは、頭の中でいままで起きたことを思い出していた。
 変な夢を見て、それから、それから・・・・・・

 ”「たすけて。あのせかいを。じゅんびはしてあげるから」”

 不意に夢の言葉が脳裏に蘇る。あむははっとした。

「そうだ。あいつよ! 夢の声のやつ」

 砂漠に放り出したのは、夢の声の主に違いない。あむはそいつを探そうと考え、砂漠の中に一歩踏み出した。

「ちょ、ちょっと」

 ランが慌ててあむの前に回り込む。するとあむは思い切り怒鳴った。

「ラン!」

 一瞬ひるんだように見えたランだったが、負けじと言葉を継ぎ返す。

「お、落ち着いてあむちゃん! この砂漠の中をどうやって探すの!?」

「えっと」

 あむは顔を伏せた。そしてうんうんと、唸り始める。

「ほら。やっぱり」

 ランが呆れの成分が混じったため息を吐き出す。ランの言葉にあむは、返す言葉が見つからない。そのまま黙り込んでしまった。

「あ」

 黙り込んで下を見ていたあむは、砂の中に何かが埋もれているのを見つけた。埋もれている物体の黒い部分が、少しだけ砂から顔を出している。

 「これって……」

 あむは地面にしゃがみこんだ。そしてまさかと思いつつ黒い物体の上にある砂を手で払っていく。日光に長く当たっている砂はとても熱く、焼けたフライパンに手を突っ込んでいる気分だ。しかし熱さに耐えながら、あむは砂をはたいて行った。

「あむちゃん! これって学校の鞄だよね?」

 砂まみれになっているのは、あむが通学用に使っている鞄であった。中学生が通学に使うような、スクールバッグである。
 ある程度の砂が取れた所で、あむは鞄を持ちあげて見る。昨日何も入れていないはずなのに、ずっしりとした重い感触がする。

「なんで重いんだろ」

 鞄を地面にいったん下ろし、開けてみる。と、そこには様々なものが収められていた。水が入ったペットボトルが数本とそれと同じ大きさの銀の缶。外には”携帯食料”とプリントされたラベルが貼られている。それらが鞄の中に入るだけ入れられていた。隙間なくびっちりときれいに揃えられていた。

「え? こんなのあたし入れてない。もしかしてこれが夢で言っていた準備ってやつかな?」

 タダの夢はいよいよ現実味を帯びてきた。どうやら立ち止まっていることは許されないようだ。

「たすけて、あの世界を……」

 あむは夢の言葉をなんとなく呟いてみた。その言葉の主の真意はまだわからない。でも、何か理由があって助けを求めてきたのだ。どっちにしろそいつを捕まえないとモトの世界に戻ることも出来ないことは目に見えている。

「ラン、いこっか」
「どこに?」
「あそこ」

 あむが砂漠の向こう側をまっすぐ指差した。そこには小さく、黒い四角の集まりがうっすらと見えている。
「すっご〜い! 町だ!」

 町に砂交じりの風が吹き抜けていく。そんな中で、ランは声を上げてキャキャっとはしゃぐ。本当に能天気なしゅごキャラだ。
 あむとランは砂漠から見えた町へと来ていた。そこは全く知らない町だった。道路はレンガで舗装され、立ち並ぶ家々もレンガ造り。まるでアフリカの国に来てしまったかのようだ。道行く人々の服装は、長いシャツに長いズボン。多分強い日差しを防ぐ為なのだろう。
 今歩いているのは円形状の広場だ。中央には噴水があり、多くの人々が行きかっている。

「う〜……砂漠の中歩いたから、靴の中が砂だらけだし」

 あむは立ち止まると建物の壁に片手をつき、片方の学生靴を脱いだ。ひっくり返すとジャーと砂が、蛇口をひねった水道のように出てきた。同じ要領で反対側も砂を靴から追い出す。

「うわぁ! あむちゃんは砂だらけだね」

 しゅごキャラは地面に足をついていない。いつもあむの肩の辺りを飛んで——いや浮いているのだ。だから砂などは無縁のようだ。

「あんたは浮いてるからでしょ」
「えへへ」

 ランに不満をぶつけながら、あむは靴を履きなおす。町の中に砂漠の砂はさすがにない。それで不快感から開放されると思うと、あむはほっとした。

「でも暑いな〜シャワーとかないのかな」

 あむは汗をぬぐいながら言った。
 砂漠の中で強い日差しを受けてきたあむの全身は、すっかり汗でびっしょりになってしまっている。額に桜色の髪がべっとりと張り付いてる。

「しっかし服もなんで制服になるかな」

 さっき気づいた。自分の制服はパジャマではなく、制服であると言うことに。
 白いワイシャツの上に、黒いジャケット。スカートは赤と黒のタータン柄で、膝上まである。そこに学生靴…・・・といつもと変わらない格好。でもこの町の人々にとっては珍しい格好らしい。ごくたまにだが、すれ違いざまに視線を感じることがある。その視線にたじろぎながら、あむは歩いているのだ。

「シャワーはないけど食べ物屋ならあるよ?」

 ふいに前方にスタンドが見えてきた。木彫りのカウンターの前に人々が座れるように、小さな円形の椅子が数十個近く置かれている。今は昼時ではないのか、ポツポツ見える程度だ。

「あ〜そういえば朝ごはんまだじゃん」

 その時タイミングよくあむのお腹が音を立てた。ランが声を立てて笑い出す。

「あむちゃんのお腹って素直だね!」
「う……」

 いつもなら怒鳴り返すところだが、空腹でやるきが起きない。朝……と言っても今何時かわからないが——目が覚めてからあむは何も食べていない。いい加減食べないと餓死してしまうだろう。

「食べないと死ぬし……あそこで何か食べよっか」

 あむは脱兎のごとく店へと駆け出していた。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.4 )
日時: 2010/01/17 21:20
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

キナコ☆さん
いつもありがとうございます!
そちらに中々いけずに申し訳ありません><
お客さん、いっぱいていいですね♪今度オリキャラ募集してもよろしいでしょうか^^
今度コメントしに行きま〜す♪

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.5 )
日時: 2010/01/17 21:22
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

「いらっしゃい」

 店に着くなり、エプロンをした男が笑顔で出迎えてくれた。ここの地方は日差しが強いからか、肌の色があむよりも黒っぽい。

「そこに座ってくれよ」

 男に指示された場所は中央よりの場所だった。あむはそこに腰かけ、体を伸ばしながら一気に息を吐く。

「あ〜疲れた……」
「お疲れ様だな。何にするかい?」
「えっと……これ何ですか?」

 あむは、ロープで垂れているものを指して尋ねる。
 見た目は川魚に似ている。しかしそこからは手と足が生え、全身は墨のように黒い。そして身体全体の皮膚は水分が失われてしまっている。

「お嬢ちゃん『スナイモリ』を知らんのかい。このリオールの名物だよ」
「イ、イモリ」

 イモリのような爬虫類が大嫌いなあむは、その姿を想像をしただけで吐き気が起こってきた。そしてそのそれを払うかのようにブンブン、と首を数回大きく振った。聞かなきゃよかった、と心の中で後悔する。

「じゃあ普通のものをください。後飲み物は水で」
「あいよ」

 そう言うと男はカウンターの下で作業を始めた。かなり手早く食べ物を皿に乗せ、あむの目の前に置いた。変なものが出てくるかと思ったが、普通に食べられそうなものが出てきてあむはほっとした。

「いっただきま……」

 両手を合わせいただきます、と言いかけた時だった。ドスンと物が当たる音がして、続いてガシャンと何かが割れる音。親父があー! と非難の声を上げながら、カウンターから乗り出す。客たちもどよめいている。振り返ると、ラジオがきれいに割れていた。
 その近くに青銅色の鎧が立っていて、申し訳なそうにしているから、こいつが壊したに違いない。どうやら席から立ち上げる時に上のひさしにぶつかり、落としてしまったようだ。

「お客さん! 困るな〜だいたいそんな格好で歩いているから……」

 文句を続けようとする店の男を、少年の手がさえぎった。金髪を三つ編みにし、赤いコートをまとっている少年。小柄でその顔つきは結構生意気そうだ。金の瞳は全然反省の色を浮かべていない。

「まあ待ってって。すぐに直すから」
「直すって?」

 店の男が腕を組んで言う。
 その横で鎧はどこからかチョークを取り出し、壊れたラジオの周りに複雑な図形を描き始めた。やがて完成すると、一声。

「じゃいっきま〜す!」

 その瞬間空気が震えた。稲妻に似た白い光がバチバチっと発生し、皆の視界を白に染めていく。やがて光が収まった時には、ラジオが元に戻っていた。コードを挿したままなので、なにやら声が聞こえてくる。

「驚いた! あんた奇跡の術が使えるのかい!?」
「う、うそ…・・・」

 あむは目の前の光景を呆然と見つめていた。何でラジオが直ったのだろう? 変な図形を描くだけで直るなんて聞いたことがない。やっぱりここは異世界なのか……と改めて痛感させられる。

「奇跡の術? これ錬金術ですよ?」
「エルリック兄弟って言えば、結構名が通っているんだけどね」

 その瞬間客の一人が声を発した。

「エルリック兄弟? 確か兄が国家錬金術師の」

 そして別の客がその言葉を継ぐ。

「『鋼の錬金術師』! エドワード・エルリック!」

 その言葉を合図にしたかのように、客たちは一斉に鎧を円状に取り囲む。あむは何のことか分からず、店の男に尋ねる。

「国家錬金術師って何ですか・・・・・・」
「国家錬金術師は、国の試験を通った錬金術師のことさ。その試験ってのが難しくてね。全国でも200人位しかいないって聞くよ」

 でも錬金術がわからないあむは、質問をさらに続ける。

「錬金術って」
「錬金術は物質を理解し、分解し、再構築する科学技術さ」

 少年があむの方に歩み寄りながら言ってくれた。しかし辞書のような解説にあむはさらにこんがらがるだけであった。少年は苦笑いを浮かべる。

「わかりずらかったか? まあ物質を変化させる術っていえばわかるか? 例えば水を錬金術を使うと氷にできるんだぜ」
「わ、わかんないってば! これ、魔法じゃないの!?」

 すると少年はにっこりと笑い、広場の方に駆け出してしまった。それを客に囲まれていた鎧が慌てて追いかけていく。

「兄さん! まってよ!」

 その姿を目で追いながら、あむは自分の足に何かが当たったのを感じた。目をやると、銀の時計が落ちていた。

「あれ」

 あむはしゃがみ込み、足に当たった時計を拾い上げた。それからまじまじと見つめてみる。
 中々しゃれた懐中時計だ。銀色で日の光を浴びて、静かに輝く様子はどこか月を思わせる。
表の蓋の部分には細かい細工が施されている。ライオンを思わせる生き物が中央に大きく浮き彫りされ、その後ろには、五亡星。そして下半分はハートの形がいくつもつながり、鎖のようになっている模様が半円にそりながら描かれている。

「それ銀時計じゃないか……!」

 あむの左横の客が裏返った声で言った。そんな声で言われるのであむは少しびっくりした調子で返す。

「ぎ、銀時計?」
「ああ」

 今度はあむの右横の客が話し込んでくる。

「国家錬金術師の証『銀時計』……まあ国家錬金術師だということを示してくれる身分証のようなものだ」
「へぇ〜」

 改めて覗き込むが、あむにとってはただの時計だ。しかし、ん?と思う。

「えぇぇえええええ!?」

 突如あむの黄色い声が辺りに響く。カウンターの後ろのビンが軋む。

「こ、これあのエドワードって人の大切なものなんじゃ」
「確かに」

 周りの客たちが一斉にどよめき始め、あむの手の中にある銀時計へと視線を向ける。あむは自分が見つめられているようで何だか恥ずかしくなった。頬が紅潮する。

「これどうすればいいんでしょう?」
「お嬢ちゃんが届けてあげればいいんだよ」

 客たちが笑顔で言う。

「へ? なんであたしが届けるんですか?」

 あむが問いかけると客たちは蜘蛛の子を散らすように一斉に、四方八方へ逃げ始めた。仕事が、これから用事が等と適当な言い訳をしながら。

「昼代タダにしてあげるからさ? な、いいだろ?」

 しまいには店の親父まで。片目をウインクさせ、茶目っ気たっぷりに言った。しかしその顔には面倒なことには関りたくないとデカデカと書かれている。
 あむはしかめっ面をすると、黙々と遅い朝食にありつき始めた。騒動のうちにすっかり冷めてしまっていたが、それはあむのお腹を確実に満たして行った。

「いたた」

 強い日差しの中、あむは顔を擦った。
 午後になり日差しはますます強くなった。おかげで日光に攻撃された肌は赤くなり、ひりひりとして痛む。今は日陰を歩いているので幾分かましだが、照りつける日差しは容赦ない。

「大丈夫? あむちゃん?」

 そう言うランは、早くも真っ黒だ。泥人形がそのまま動いたらこんな感じになるだろう。肌の色はすっかり日焼けしてしまい、この町の人々と変わらないくらい。だが当の本人はそのことに気づいていないらしく、平然としたままである。肌が焼ける痛みも感じないらしい。

「ここは日陰だからね」

 あむとランが歩いているのは住宅街だ。石造りの家々が並木のように左右に広がる。ただどこからも人の気配がしない。風が通り抜ける音だけがする。

「それにしてもエドワードさんとアルフォンスさん……こっちに本当に来たのかな?」

 店の親父に言われたとおりに来たのだが、二人の姿は見当たらない。

「もしかしてこの先かな?」



 それは突然目の前に現れた。白く大きな神殿。支える四つの柱は、天に届きそうなほど高い。まるで空を支えているかのよう。そして神殿を守るかのように、大きな杖を持った男の石造が柱にくっつくように配置されている。何だか成金趣味だと思うのは、あむが田舎ものだからだろうか。
 神殿の前は広場になっていて、そこは多くの群集で埋め尽くされていた。住宅街に人がいなかったのは、ここに来ていたからだろう。

「この地に生ける神の子らよ。祈り信じよ、されば救われん」

 遠くから老人のしわがれた声がする。それを人々は静かに聞いている。

「太陽神レトは汝らの足元を照らす。見よ。主はその御座から降って来られ、汝らをその諸々の罪から救う。私は太陽神の代理人にして、汝らが父」
「あ〜もうっ」

 あむは人々を強引に押しのけながら、エルリック兄弟を探していた。弟のほうは鎧だからすぐに見つかるだろうと高をくくっていたが、中々見つからない。
 そして教主様の有難いお言葉は、かえってあむをイライラさせている。何となくだが好きになれないのだ。
 どうしてみんなここまで信じるんだろう、とあむは口に出さずに思う。

「あむちゃん、もしかして建物の中なんじゃない?」
「あ、そうかも」

 あむは人の輪を抜けると、神殿の中へと入る道を探す。
 すぐに『入り口はこちら』と書かれているプレートが見つかった。そして中へと足を踏み入れる。
 ——中で何が起きているのかもわからずに。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.6 )
日時: 2010/01/17 21:25
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

神殿の中はかなり涼しかった。さっき階段を下ったから、どうやら地下に来たらしい。あむは足元がスースーして思わず身震いをした。
 普段人は通らないのか、明かりは天井につけられた裸電球だけだ。それでもきちんと整備はされているらしく、明かりが切れていている電球はない。

「しっかし……本当にこっちでいいのかな」

 あむは立ち止まり、遠くを見ながら言った。
 今歩いている場所は、どこかへ続く通路だ。地下だから窓などない。あるのは観光用のプレートだけ。プレートは直進しろ、と言っているからそれに従って歩いているのだ。

「大丈夫だよ! あ、ほらほら! 扉が見えてきたよ」

 ランがあむの袖を引っ張りながら叫んだ。
 廊下の先に何かが見える。とたんさっきまでだらだらと歩いていたあむの足が、徐々に加速し、やがて走り始めた。
 何かとの距離が縮むたび、それは鉄製の扉だということがわかってきた。かなり大きく、何か大切な部屋への入り口のような気がする。

「よっと」

 あむは扉の前に立つと、取っ手を掴んだ。そして前に押す。キィイイイと金属がこすれあう音がした。

 中は教会のような場所だった。横に長い木製のベンチが左右対象に何個も置かれ、その奥には神殿の入り口にあった石造のミニチュア版が置かれている。それを守るように左右にろうそくが点され、不思議な空間を作り出している。

「あ!」

 中に目をやったあむは声を上げた。探していたエルリック兄弟が、一番前の席に座っていたからだ。
 しかし今は誰かと話しこんでいるようだ。あむよりも少し年上に見える女の子だ。この町の住人なのか肌は色黒。前髪はピンク色で、腰まである後ろ髪は茶色という風変わりな髪の色をしている。
 
「あら! あなたもレト教に興味がおありですか?」

 あむに気が付いたらしく、少女があむを見ながら声をかけた。エルリック兄弟も一斉にあむを見やる。

「へ? い、いやそういうわけじゃなくて」

 あむはしどろもどろに答える。
 しかしそんな曖昧な答え方をしたのが悪かったらしい。少女は演説口調であむにぐいぐい詰め寄る。

「いけませんね それは神を信じ、敬い、感謝と希望に生きる。なんとすばらしい事でしょう! 信ずれば...あの小さい方の身長だって伸びますし、あなただって……」

「おい! 誰が豆粒ドチビかぁ〜〜〜〜〜〜〜!」

 弟のアルフォンスは。いや鎧はあの時この少年を兄さんと呼んでいたから、こっちが兄のエドワードだろう——は両手を振り上げた。
 慌ててアルフォンスが押さえにかかる。

「兄さん、悪気はないんだから」

 キーキーと猿のような声を上げながら、エドワードは鎧の腕の中で暴れる。やがて気が済んだのか、かなり乱暴に椅子に座る。


「けっ!“死するものには復活を”本気で信じているのか!?」

「えぇ」

 少女は自信満々気に頷いた。かなりレト教を信じきって、悪く言えば洗脳されているようだ。

 エドワードはため息をついてみせる。そしてコートに手を突っ込み、手帳を取り出した。
 皮製の表紙だが、かなり長いこと使われているらしく、表紙はボロボロだし、手帳の間からはたくさんの付箋が顔を出している。

「水35リットル、炭素20kg、アンモニア4リットル、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g
、硝石100g、その他もろもろ...」

 手帳を顔の前に広げながら、エドワードは難しい単語を並べていく。

「なにそれ」

 あむは絶句する。明らかに化学の分野。でも小学生レベルでないことは確かだ。

「大人1人分として計算した人体構成成分だ。今の科学ではここまで分かっているのに、実際に人体練成を成功した例は報告されていない。科学でもできないことを祈ったらできるのかよ!」

(人体練成?)
 
 その言葉が妙に引っかかった。錬金術は物質を変化させる技術だというから、今の化学物質を使って人間を作ることなのだろうか。
 しかし聞くまもなく、話は進んでいく。

「“祈り信じよ。さすれば汝が願い成就せり”です。コーネロ様の教えに間違いはありません」
「ちなみに構成分材料な。市場に行けば子供の小遣いでも、ぜーんぶ買えちまうぞ。人間てのはお安くできてんのな」
「人はものではありません! そんな言葉創造主への冒讀です。天罰が下りますよ!」

 怒声をあげてから少女は、あむに向き直る。表情はまだちょっと怒り気味だ。

「あなたもそう思いません?」
「そうかもしれませんね……」

 急に話を振られたあむは、適当に相槌を打つ。すると少女は満足げに笑った。

「ほら。この方だってそうおっしゃっているではないですか」

 エドワードは肩をすくめて、石造を見上げる。

「錬金術師ってのは科学者だからな。創造主とか神さまとか信じちゃいないのさ。この世の創造原理を説き明かし、真理を追い求める。神を必要としていないオレたち科学者が、ある意味神に一番近い所にいるってのは、皮肉なもんだ」
「ご自分が神と同列とでも!? 傲慢ですね!」

 少女が再び反発する。しかしエドワードは続ける。

「傲慢ねぇ。そういやどっかの神話にあったっけな。『“太陽に近付きすぎた英雄は蝋で固めた翼をもがれ
地に落とされる”』……ってな」

(イカロス……)

 確かギリシア神話と言う、大昔の神話の物語だ。
そのギリシアにかつてイカロスという人間がいて、空を飛びたがっていた。だから蝋(ろう)で鳥の羽を固め、翼を作った。そして大空へと舞い上がる。
 彼の父は、「太陽に近づくのは、危険だからやめなさい」と忠告していたが、イカロスは調子に乗り太陽まで飛んだ。すると太陽の熱で蝋は溶け出し、イカロスは海に落ちて亡くなった。……まあこんな話だったか。

一方。
 先ほどあむをイライラさせていたコーネロ教主は、いつものスピーチを終えた。そしてゆっくりと神殿の中へと足を進める。人々が拍手でそれを送っていった。
 そんな時、一人のレト教信者がやってきた。黒い制服を着ている彼の表情は、かなり青ざめている。コーネロに近づくと、何か耳打ちした。コーネロの細い目が、わずかに見開かれる。

「何? 国家錬金術師が来ているだと?」
「はい。エルリック兄弟と、日奈森 亜夢(ひなもり あむ)と申すものたちです」

 コーネロは顎に手を当てて、考え込み始めた。顔中に冷や汗が浮かび、尋常ではない状態であることが伺える。

「まずいな」

 コーネロが口を開く。

「鋼の錬金術師エドワード・エルリック。最年少で国家資格を取ったとは聞いていたが……なぜこの町に?」
「鋼の錬金術師がなぜここに? まさか我々の計画が……」
「軍の狗め。よほど鼻が良いとみえる」



「教主様はお忙しいので、なかなか時間が取れないのですが。あなた方は運がいい」

 あむたちは、男に案内され、コーネロに会うこととなった。この部屋に、もうすぐコーネロが来るらしい。
エドワードが「改心したから」と言って、少女——ロゼにコーネロに会わせてくれ、と頼んだのであった。無論、改心したなんて嘘であろう。
アルフォンスが兄さん演技下手すぎ、とぼやくのをあむはばっちり聞いていた。

「悪いねぇ。なるべく長話しないようにするからさ」
「そうですね」

 その時、男の口元に笑みが浮かんだ。穏やかな笑いではなく、上手くいった。と喜ぶようなニヤリとした不気味な笑み。そして続く言葉は。

「早く終わらせましょう」

 扉が閉められ、ガチャと施錠される音が聞こえたと思った。あむは振り向こうとする。
 と、背中に何かが押し当てられた。冷たいものだ。恐る恐る視線を向けると、白い服を着た男が、あむの背中に銃口を押し当てていた。
 横を見ると、アルフォンスとエドワードも、全く同じことをされていた。

「やっ!」

 男の強い力があむの身体を宙に浮かせた。そして軽いものを持ち上げるかのように、あむはお姫様だっこされてしまった。
 逃げようと足をばたつかせるが、男には全然効果がないようだ。

「ちょっ、離してよ! お姫様抱っこは初恋の人にやってもらうんだから!」

「副教主さま? 何をなさるんですか?」

 ロゼが口をあんぐりと開けて言った。
 すると黒い服の男は、真面目な顔で言い放った。


「ロゼ。あのあむと言う少女以外は、教主様を陥れようとする異教徒だ。悪なのだよ」
「は?」

 自分はエドワードに銀時計を届けに来ただけで、レト教を信じる気など全くない。
 銀時計をすぐに渡したいが、この状況では……。

「まずは……お前からだ」

 黒い服の男が持つ銃口が火を噴いた。そしてそれは間違いなく、アルフォンスの鎧の頭を撃ちぬいた。頭部は空中に舞い、やがて近くに落ちる。鎧の下部分が、ガクリ、と前に倒れる。

「ふはははは……やった! やったぞ!」

 副教祖が、勝利に満ちた表情で笑った。あむは許せない気持ちになり、飛び掛ろうとした——時。

「信者にひどい事させるんだなぁ……」


 鎧が起き上がった。何もないはずの鎧が動き、辺りの人間は銃を捨てて逃げ始める。どさくさであむも自分の力で、男の身体を脱出した。
 鎧は自分を撃った男にゆっくりと近づくと、思い切り殴りつけた。男は、地に叩きつけられ、そのまま動かなくなってしまった。

「ど、どうなっているの?」

 ロゼが必死に声を振り絞って出す。それはあむにとっても同じ疑問であった。

「どうもこうも」
「こう言う事で」
 
 エドワードはアルフォンスに近づき、鎧を叩いて見せた。中身は空洞らしく、コツコツと言う音が中で響いていた。一体全体どうなっているのだろう。

「これはね。『禁忌』って言うんだよ。僕も、兄さんもね」

 アルフォンスは、自分の頭を拾い、元の場所にはめながら言った。

「エドワードさんも?」

 あむはちらりとエドワードに視線を向ける。
 彼は背が低いこと意外、普通の少年に見えるが。何か考え事をしているらしく、彼の表情は硬い。

「ロゼ、あむ。あんたたちは真実を見る勇気があるか?」

 ロゼがごくり、と唾を飲む。
あむは、あたし信者じゃないんですけど。と内心で呟いた。

廊下に3人分の足音が反響する。地下から上がってきたとはいえ、相変わらず肌寒い。
 あむはエドワードたちと共に、ロゼから聞いたコーネロ教主様の部屋へと向かっているところだ。
 途中レト教信者に何度か襲われたが、その度エドワードとアルフォンスが戦ってくれた。二人はかなり強いらしい。

「二人って強いんだね〜」

 ランが感心した。だがしゅごキャラはエドワードたちには見えないはずだ。
 しゅごキャラは、しゅごキャラを持つ人間——キャラもちでなければ見えないからだ。

「ところで……」

 エドワードは急に立ち止まり、あむに向き直った。金の瞳が、じっとあむを見つめる。見つめられたあむは少しドキドキしてしまう。心臓の鼓動がワンテンポ位速くなった。

(や、やだ! あたしエドワードさんに見られてる?)

「そいつ」

 白い手袋が指し示す。——ランを。

「さっきから気になってんだけど、そのチ……いやその赤いの、何だ?」
「エドワードさん、ランが見えるんですか!?」

 見えると思っていなかっただけに、あむの声はかなり裏返った。
 エドワードは、アルフォンスにランが見えるか? と尋ねる。うんと言い、鎧の頭が軋んだ。

「ほらな。……で、そのランって言うのはなんだ?」
「えっと。しゅごキャラって言うんです」
「「しゅごキャラ?」」

 二人とも聞いたことがない単語のようだ。揃いもそろって、お笑いコンビみたいに首をかしげた。それがおかしくてあむはクスリと笑ってしまう。

「しゅごキャラは『なりたい自分』なんだよ!」

 笑っているあむの代わりに、ランが解説をする。

「なりたい自分なんだ?」
「うん。それがこーして、目で見えるようになったのがあたしたち、しゅごキャラ!」

 ランは手に赤いボンボンを持つ。どこから出したのかは謎だ。ボンボンにはところどころ、赤いハートのマークが描かれている。と、応援するようにそれを上下に揺らした。 

「よくわかんねえけど……なりたい自分なのか」

 納得しているような、していないような声でエドワードが呟く。
 あむですら初めはよくわからなかったのだから、仕方がないだろう。



「さあて」

 エドワードがコホン、と咳払いをする。
 わきあいあいとしていた雰囲気が、一気に緊張していく。

「教主様とご対面と行きますか!」

 目の前には、こっちに来いとでも言うように開け放たれた扉が、口を開けていた。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.7 )
日時: 2010/02/14 19:12
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)

誘いに乗るように足を踏み入れると、中は他に比べてかなり薄暗かった。
左には四角い石が等間隔で並べられ、何か文字が掘り込まれている。見ると人の名前と月日が刻まれていた。それも真新しいものばかりだ。
そして正面には階段が設けられ、その上は小さなベランダが出来ている。
そこに目的の男——コーネロがいる。
 コーネロはわりかし小柄で太り気味な老人である。
頭に髪はなく、頭上には光が生み出されている。そして信者と同じ黒い制服をまとっている。

「神聖なる我が教会へようこそ、鋼の錬金術師殿」

 恭しく(うやうやしく)お辞儀をしているが、その顔は悪意に満ちたものだ。
さっきの信者たちのように襲ってくる気なのだろうか。

「教義を受けにきたのかね?」
「単刀直入に言う。ぜひとも、教えてもらいたいもんだな。せこい錬金術で、信者を騙す方法とか」

 するとコーネロの目が少し見開かれた。

「嘘でしょう!? コーネロ様!?」

 後から入ってきたロゼがお腹から声を出して、コーネロに問いかける。
コーネロは優しく——かりそめの笑顔でロゼに笑いかける。

「当たり前だ。さあ、ロゼ。それに日奈森殿……こっちに来るんだ。君たちはこちら側の人間のはずだ。こんな異教徒と一緒にいてはならない」

 コーネロは二人を手招きする。
ロゼは誘われるようにふらふらとコーネロの方へと歩き出す。

「ロゼ! 行っちゃダメだ!」
「……ごめんなさい」

 ロゼは一瞬立ち止まり、3人のほうを見やる。
その顔は変な笑いで引きつっていた。仕方がないのよ、と自分に言い聞かせるように言う。

「私にはこれにすがるしかないのよ! 去年恋人を事故で亡くし、不幸のドン底にいたの。その私を救ったのは……他でもない教主様なのよ。そして、約束して下さった」

 ロゼは俯きながら、階段へと足を進める。そして嫌なことを吹き飛ばすかのように、一気に階段を上り、コーネロによりそった。
コーネロは勝ち誇った笑みを浮かべ、石造りの壁に指をかけた。壁が紙のようにめくれる。その下にはレバーが隠されていた。

「日奈森殿……早くこちらに来なされ」

 コーネロが手でおいでおいでをする。だが。あむは首を横に振る。

「あんた……なんであたしのこと知ってんのか知らないけど、あたしはあんたのとこに、行く気ないから」
「仕方がない。あなたには捕まってもらいますよ」

 ガクっとレバーが下がる音がした。
 途端、動物園で嗅ぐ様な獣の臭いがした。あむは耐えられずに鼻をつまむ。墓石がある方向で、赤い二つの斑点が光ったと思った。それは低いうなり声を上げながら、ゆっくりと近づいてくる。
 姿を現したのはライオン……のようなものだ。上はライオンなのだが、胴体から下は濃い緑色。鱗もある。ライオンにないはずの鱗が光を反射して鈍く輝く。一言で言えばワニだ。
ライオンの上半身とワニの下半身を持つ生物——それこそ神話に出てきそうなやつだ。

「合成獣(キメラ)を見るのは初めてかね? 動物と動物を練成した新たな存在。賢者の石はこのようなものも作れるのだよ」

 コーネロは指輪を見せびらかしながら、自慢げに話した。
 金のリングの上に楕円状に加工された血の色をした石がついている。どす黒い色で、見ていると気持ち悪くなる。

「賢者の石」

 エドワードが獲物をしとめた狩人のように笑う。

「探したぜ……原則などを無視して錬成が可能になる幻の石」

 パンっと両手を合わせるエドワード。そして手を離すと、そのまま地面に手をついた。
花火のような白い火花が飛び散りながら、地面から何かが生えてくる。——槍だ。趣味が悪い装飾が施された槍。

「練成陣なしに!? 国家錬金術師の名は伊達ではないということか!? だが!」

 キメラは速かった。前足の爪でエドワードが作り出した槍を引っかいた。槍はきれいに切断されてしまった。
だがキメラの猛攻はまだ続く。槍を切断した後、今度はエドワードの左足を引っかいたではないか!

「エド!?」

 黒いズボンが破け、そこから血が出るかと思いきや。血が流れるどころか、エドワードは余裕そうに言い放った。

「なんちってね。あいにく特別製でね」

 あむはひとまずほっとした。
 エドワードは再び襲い掛かろうとするキメラを、左足で蹴り上げた。コーネロがあたふたする。

「何をしている! 噛み殺せ!」

 キメラは受身を取ると、再びエドワードに突進する。大きな口を開け、今度はエドワードの右腕に噛み付いた。

「あっ……」

 エドワードの腕から血が流れるさまを想像して、あむは顔を手で覆った。
しかしランがあれっ!? と言うのに気づき、あむは恐る恐るエドワードに目を向ける。
 血は流れていない。腕ももげ落ちていない。いったい何が……?

「どうした猫野郎。しっかり味わえよ」

 ギリギリとかむ力を強めるキメラ。だが、二つの歯が噛み合うことはない。まるで噛み砕けないようなものを噛んでいるかのようだ、と思いあむは気づいた。エドワードの右腕に重々しい輝きがあることに。
人の腕ではない。鉱物のようなものだ。
 エドワードがキメラを蹴り飛ばす。キメラが再び宙に舞う。

「……その腕そうか。そういうことか。こんなガキが何故、鋼などと言ういかつい称号を持つのか不思議に思っていたが」

 コーネロは舌打ちをした。エドワードが赤いコートに手をかけながら、低い声で言う。

「よく見ろ。あむ、ロゼ。これが神様の…神さまとやらの領域を侵した咎人の姿だ!」

 赤いコートが投げ捨てられる。その下には、鍛えられた男らしい身体つき。そして血の通っていない鋼鉄の右腕があった。色からして鋼製か。
よく見ると左足も、だ。


「降りて来いよド三流! 格の違いってのを見せてやるぜ」
「なに……どうなってんの」

 あむが呆然と言う。するとあむに答えるようにコーネロが声を発した。

「二人とも。錬金術最大の禁忌、人体練成を行なったのだ。死んだ人間を、錬金術で錬成——つまり甦らせようとしたのだよ」
「禁忌?」
「錬金術で行ってはならぬタブー。つまり、禁じられたことだ」
「ロゼ……こうなる覚悟があるのか!?」

 ロゼは現実から逃げ出すかのように、視線をそらす。それでも私は……とおびえる様に言っていた。

「神の領域に踏み込んだ愚か者め! 今度こそ神の元へ送り届けてやろう!」

 指輪の赤い石が輝き、コーネロの腕が銃へと変形する。連続的に、弾丸が飛び出してくる。

「いや、オレって神さまに嫌われてるだろうからさ。
行っても追い返されると思うぜ……おい、あむ! 俺の後ろに下がってろ!」

 あむは言われたとおり、エドワードの背後に回る。エドワードは再び両の手を合わせ、地面に当てる。練成の光が弾け、大きな壁がせり上がってきた。
 銃弾は壁にはじき返され、辺りに散らばる。火薬の臭いがあむの鼻を突いた。

「ちっ!」

 するとコーネロはエドワードたちにくるりと背を向けた。
よく見ると、小さな木製の扉があるではないか! コーネロは外に出ると、扉を閉めた。

「ラン、キャラチェンジ!」

 あむは素早くランに指示を出す。ランは了解! と敬礼をした。

「ほっぷ・すてっぷ」

 その声であむの×マークの髪飾りが、大きな赤いハートの飾りへと変化した。

「じゃーんぷ!」

 あむは地面を思い切り蹴り、跳びあがった。風圧でスカートが舞い上がった。
その身体は一気にロゼがいる場所まで跳ぶ。着地すると、ロゼが顔を青ざめさせながら言った。

「な、なんですか! どうしてそんなに……」

 下ではエドワードとアルフォンスが、口をあんぐりと開けている。

「よっと」

 ロゼの横を通り過ぎると、あむは扉に手をかけた。

 今のは『キャラチェンジ』と言う。一言で言えば、
しゅごキャラの力を借りてパワーアップすることだ。今はランの力を借りて、人を超えたジャンプ力を手に入れたわけだ。ただキャラチェンジの力は、しゅごキャラによって上がる能力は全く異なるそ、程度も違う。人より上手くなる人もいれば、プロ並になってしまう人もいる。全ては「願いの強さ」の違いだ。

「あれ?」

 扉に手をかけるが全く開かない。押しても、引いても固いのだ。

「錬金術で何かしたのかな……」

 あむが横で考え込んでいると、バチバチと言う音がした。

「よし。開けるぞ」

 いつのまにか鉄の扉が作られていた。それをエドワードは、蹴破ると言う乱暴な手法で開けた。
その途端銃やら、槍やらを持った信者が雪崩のように入ってきた。
 エドワードはにっこりと微笑むと、両手を合わせる。鋼で出来ている腕の先がとがり、剣のようになった。そして突っ込んでいく。
 あちこちで、悲鳴が上がり、続けて殴りつける音が聞こえてくる。

「さあ。僕たちも行こうか」

 ひょいっとアルフォンスはロゼを抱きかかえ、あむについて来て。と言った。
 信者の屍(死んでません)を避けながら、あむはアルフォンスについていった。



 アルフォンスにつれてこられた場所は、教会の鐘がある屋上であった。リオールの町が一望できる、とても美しい場所である。

 例によって信者共をダウンさせ、あむは鐘に近づく。鐘は少し高い、塔の上にあった。かなり小さめだが、銅製で中々立派な細工がされている。

「よっと」

 ランとのキャラチェンジで、金がある塔へ飛び乗る。そして鐘をつっているロープをアルフォンスが練成した、ナイフでゆっくりと切っていく。

「ねえあむちゃん。銀時計はどうするの?」
「この騒動が終わったら、ちゃーんとエドワードさんに返すよ」

 あむは作業をしながら言った。ロープはかなり古いものらしく、力が弱いあむでも楽々と切ることができる。あっという間にロープはすべて切れた。支えを失った鐘が地面に転がる。
 持ち上げてみると、かなりずっすりと来た。持てない訳ではないが、長くは持てない。
さっと持ち上げると、キャラチェンジをしながらアルフォンスの元に飛び降りた。

「あむ、有難う」

 アルフォンスに鐘を渡すと、あむは伸びをした。

「いいえ。アルフォンスさんの役に立てたなら」

 あむは恐縮する。するとアルフォンスは優しく話しかけてきた。

「アルフォンスさん? そんな堅苦しくならないでよ。僕も兄さんも、普通に「アル」、「エド」って呼んでくれていいと思う」
「じゃあ。よろしくね、アル」

 アルフォンスは片手を挙げる。と、ロゼがしもどもどろに話しかけてきた。

「さっきの話、ほんとうなの?」
「ボク達はただ……もう一度母さんの笑顔が見たかっただけなんだよ。練成の過程で僕は全身を、兄さんは左足を持っていかれた」
「何それ」

 あむは言葉を失う。錬金術は身体を犠牲にするようなものではないはずだ。

「リバウンドさ。錬金術は失敗すると、その術を行った人間に危害を加えるんだ。それが『リバウンド』。……錬金術が失敗して、僕と兄さんの身体を奪っていたんだ。『何が』『どこ』に持って言ったのかはわからないけどね」

「でもそこまで犠牲を払ったのなら、お母さんは」

 アルは首を横に振る。

「でも練成は失敗した……人の形をしていなかった」
「そんな……」
「だからロゼ、あむ。君たちはこっちに来ちゃいけない」

 風が強く吹き、あむの髪を引っ張っていった。

それからアルは、逃げるときからずっと持っていた『あるもの』をようやく地面に置いた。
 『あるもの』は黒い、コードのようなものだ。直径5cm程の黒い線でかなり細い。長さこそ、かなり細いものの、長さはかなりあり、屋上の出入り口から線はさらに下に続いている。アルに言わせると、これは一階下の部屋から持ってきたものらしい。
 普段、何に使っているのか全くナゾだ。

「あむ、ラン。下がっててくれるかな?」
「あ、ごめん」

 興味深くコードを覗き込んでいたあむとランは、アルに注意され、数歩後ろに下がる。
 二人が完全に下がったことを確認したアルは、腰にある小さなポーチに手をかけた。白く、何かの皮で出来ているのか中々頑丈そうである。
 ポーチのふたを開くと、真っ白なチョークが隙間がないくらいぎゅうぎゅうに押し込まれていた。長さは不揃いで、短いものもあれば、長いものもある。

「よし」

 アルはその中から使い込んでいるらしい、短めのチョークを取り出した。それで鐘とコードの周りに、スタンドで見た同じ図形を手早く描いていく。コツコツ、と言う黒板に文字を書くのと同じ音が響く。

「これって錬金術に使うの?」
「うん。『練成陣』と言って、力の循環と時間の循環を表す……なんて言ってもわかりずらいか。そうだね。錬金術に必要なものだよ。この陣にエネルギーを流して、初めて術が発動するんだ」

 アルは練成陣を描きながら言った。
 あむはわかったような、わからないような中途半端な感覚だ。大体のことは理解してきたつもりだが、『錬金術』は本当に難しい。

 やがて練成陣が完成し、いつもの光が飛び散る。するとそこには、鐘とコードが一体化したものが出来上がっていた。
 アルは、鐘の中が外を向くような形で持ち上げた。その体制のまま数歩歩く。コードが地面にすれる音がした。町がよく見渡せる場所に来ると、鐘の中を町に向けるような姿勢で止まった。
 なにやっているんだろう、とあむが思うと。
 ザーとテレビが映らないときに聞こえるような音が、鐘の中から流れ込んできた。下にいた町の人々が、次々と足を止めるのが見える。天から何か降ってきたような表情で、呆然と上を見つめている。

「……、しろ!」

 今度は、途切れ途切れに誰かの声がした。聞きとりにくいが、コーネロの声であることがわかる。心なしかかなり焦っている様だ。

「おっさん、いい加減にしろよ。お前の嘘は全部お見通しだ」

 続けてはっきりとエドの声が聞こえた。随分と余裕そうな言い方だ。コーネロとかなり違う様子。

「エ、エド? この鐘、もしかしてラジオになってる!?」

 アルが正解、とでも言うように軽く頷く。

「よく聞いていてね。コーネロさんが自白してくれるから」

 そこでようやくエルリック兄弟の考えが見えた。
 コーネロの悪事を、信者たちに暴露するつもりなのだ。しかし、コーネロとてバカな奴ではない。本当に成功するのか不安だ。

「賢者の石で何しようってんだ? それがあれば陳家の教団なんていらないだろ」
「くくく……国家錬金術師にはお見通しと言うわけだかね」

 黙って聞いていると、コーネロが追い詰められた悪者のように笑っているではないか。本当に、この二人の策に気づいてはいないらしい。

「そうだ! 教団は私のためなら、喜んで命を捨てる信者を生み出してくれる、死を恐れぬ最強の軍団だ! 見ているがいい」

 横にいたロゼの顔から、血の色が一気に引いていく。それは町の人々も同じだ。
 放心して鞄を落とす者、泣き崩れる者、怒りに顔を染める者……実にさまざまだ。が。

「あと数年のうちに私は、この国をテリトリーにかかるぞ。賢者の石と、錬金術と奇跡の術の見分けもつかないようなバカ信者どもを使ってな!」

 皆の心は同じ——コーネロへの怒り、悲しみ、憎しみ。それを増長させるかのように、彼は高らかに笑う。
 町の人々は、皆神殿の方へと走り始めた。きっとコーネロを問いただす気なのだろう。

「ふははははっ!」

 その時だった。エドがゲラゲラと笑い出す。嘲笑、と言う言葉がお似合いだ。

「なにがおかしい!」
「だからあんたは三流だっつーんだよ。これ、なーんだ?」

 いたずらっ子のような口調で、エドが言った。一瞬間が流れる。恐らくタネを明かしたのだろう……
 案の定コーネロが狂ったように叫ぶ声がした。

「奇跡の技なんてない——みんな賢者の石の力。はい。自白ご苦労様」
「な! 足元にマイクだと!? 貴様、そのスイッチはいつ入れた!?」
「最初から」
「このガ……うわぁああああ!」

 錬金術の音がしたかと思うと、コーネロが絶叫する。多分、エドが何かやらかしたに違いない。とあむは半分思っていた。

「リバウンドだろうが! 腕の一本や、二本でぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃねえ! それより、石は……な、砕けた?」
「な、なにが起こってんの?」

 ラジオの向こうで何が行われているのか……あむには全く検討がつかない。

「どう言う事だ? 完全な物質であるはずの賢者の石が何故壊れる……」

 エドの声はありえない、と言った感じだ。
 どうやら『賢者の石』が砕けてしまったらしい。

「しっ知らん! 私は何も聞いていない。たたたたた助けてくれ! 私が悪かった!」

 完全に無力とかしたコーネロはもはや、ネズミ以下の存在だろう。猫に助けを求めるが、いつ狩られてもおかしくないはずだ。

「偽物かよ……ここまで来てやっと元に戻れると思ったのに。…・・・偽物」

 かなり期待を持っていたのに、裏切られたのだろう。エドはすっかり元気をなくしてしまったようだ。なんだかかわいそうになってくる。

「ざけんな!」

 しかし猫が元気を取り戻すのは、早かった。……そして牙をむくのも。
 パンと両手を合わせる音がし刹那、教会が小さく横に揺れ始める。

「に、兄さん?」

 アルはさすがにもういいと思ったのか、鐘を地面に置いた。しかし電源は入っているから、音は絶えず流れてくる。

「神の鉄槌くらっとけ!」

 ハンマーを振り下ろしたような音がし、教会のゆれはようやく収まった。

それから、あむたちは神殿前の広場に来ていた。
 昼とは打って変わって、人はあむたち四人を除き誰も居ない。そのせいか異様に静か過ぎて、あむは寂しくなってきた。神殿は陽光に照らされ、オレンジ色になっている。神殿の像の影が、町の方向へ長く伸びていた。
 それを加速させるように、空は赤と黄色のグラデーションに彩られ、真っ赤な火の玉が砂漠の向こうへと沈んでいこうとしている。
 
「もう夕方かぁ……」

 あむは肩をすくめてみる。今日はとても疲れたからだ。
 レト教信者に襲われそうになる、捕まりそうになる、挙句の果てには殺されそうになる——死なないことだけを考えて走っていたから、安全になると身体の力が一気に抜けてしまう。
 
 だるさから、あむは広場から神殿内へと入る階段に力なく座り込んだ。
 石で出来ているのか、ひんやりとした感覚がした。けれどその冷たさは、身体にじわじわと広がっていく。だるい気分も吹き飛びそうだ。
 
 その時、後ろの扉が開く音がした。金属製なので、黒板を爪で引っかいたような非常に嫌な音がする。あむは思わず耳を塞いだ。

「よ! 戻ったぜ!」

 扉を開いたのは、エドだった。
 笑顔で片手を挙げ、アルに手を振っている。そして数段階段を下りると、あむの横に腰を下ろした。

「あむ、大丈夫だったか?」
「あ、うん……」

 エドに顔をまじまじと見られ、あむはボーっとした。頬から若干湯気が立っている。

「あむちゃん〜? 顔赤いよ?」
「な! 夕日のせいに決まってんじゃん!」

 ランに茶化され、あむはぷいっと横に向いた。そこでは本当に夕日が輝いている。
 だが実際はちょっとエドにドキドキしていたのだ。

(あたしって……本当に気が多いなぁ)

 そう悩んでいると、慰めるかのように風がそよそよとあむの間を通り抜けていった。
 あむは振り返り、風が去っていく方角を見やる。そこにはレト神殿が。
 このまま風に乗って、元の世界に戻りたかった。この風がどこに続いているかはわからないけれど。
 乗れないが、代わりにあむは両手を組み、風に祈る。『あたしは無事だから……どうかみんなに伝えてください』と。

「あむ、何お祈りしているの?」

 アルに声をかけられ、あむは顔を上げた。

「なんだろ……この町が無事でいられますように、かな」

 適当な嘘をついた。異世界に思いを届けてくれと祈った、なんて言っても、この二人が信じてくれそうにないからだ。『
 錬金術師は科学者』——『異世界』みたいなファンタジー要素はあっさり切り捨てるに違いない。
 TVの科学者は、オカルトを否定する人も多い。エドとアルもきっとあんな感じなんだろうな、とあむは考えていた。

「そっか……ところで兄さん、賢者の石は?」
「だめだ。偽者だった」

 エドは肩をがっくりと落として、首を横に振った。あの放送どおり、『偽者』だったらしい。

「やっとお前の身体を元に戻してやれると思ったのにな」
「でも諦めないで行こう。次の町では見つかるかもしれないよ」

 うな垂れるエドを、アルは明るく励ます。かなり仲のいい兄弟で、羨ましいなぁとあむはうっとりと見つめていた。

「あんたたち! なんてことしてくれたのよ!」

 怒声にびっくりして3人が振り向くと、ロゼが瞳に涙を溜めながら立っていた。さっきまで黙っていたのだが、一体どうしたのだろう。

「これから、私は何にすがって生きて行けばいいのよ!? 教えてよっ! ねぇっ……」

 ロゼの瞳から油のような涙がボタボタと垂れる。その涙は、色を混ぜすぎた絵の具の様だった。色は真珠のようだけど、込められた思いが混ざりすぎている。

「よっと」

 エドは何も答えずに立ち上がった。その表情はどこか落ち着いているようにも、悩んでいるようにも見える。
 階段を完全に下りると、アルと共にロゼの横を通り過ぎていく。

「立って歩け、前に進め。あんたには、立派な足がついているじゃないか」

 言葉を残して。

「……」

 ロゼの両足が崩れた。ガクン、と地に両膝をつけ焦点の定まらない瞳で、ただ空を見つめていた。涙はもう止まっていた。

「立って歩け、前に進め」

 あむはエドの言葉を反復した。
 それが自分への言葉だと、も思ったからだ。本来はロゼへ向けられたものかもしれない。けれど、今の自分に最も必要なもの——行動することを思い出させてくれた。

「元の世界に帰るには、行動するしかないよね。このリオールで待っていても、元の世界には帰れないし。それこそ立って歩け。前に進め、だよ」
「あむちゃん、何となくだけど『賢者の石』があれば元の世界に戻れそうじゃない?」

 あむはそうか! とでも言うように指を鳴らした。 
「確かに! エドも『原則などを無視して錬成が可能になる幻の石』って言ってたじゃん。なんかよくわからないけど、すごそうじゃない!?」

 今のところ元に戻れそうな手がかりは『賢者の石』だけだ。あむはとにかく戻りたい一心で、早く行動に移そうとする。

「よし。じゃあ、次の町に行こうか」

 と言ってあむは、思い出した。とても大切なことを忘れていた。あむの顔は見る見るうちに青ざめていき、左に走ったら、今度は右に走る……と言う謎の行動を繰り返し始める。

「エドに銀時計返すの忘れてたあ! ど、どどどどど、どうしよう!?」

 慌ててエドが去った方向を見やるが、もう影も形も見えない。見えるのは、町と、ますますオレンジが濃くなった町。夕日が半分だけ顔を出している風景だけ。

「あ、あむちゃん落ち着いて! きっとまたすぐに
会えるから!」
「会えるっていつよ〜〜!」

 あむは腹の底から声を張り上げた。
 ますますオレンジ色が濃くなった空に、その声は吸収されていった。



 同時刻。神殿前とは真逆の方向に、人々が殺到していた。我先に、と押し合い少しでも前に進もうとしている。
 そこは教主の部屋に最も近い関係者用の出入り口だ。かなり狭い扉の前に、5人ほどの信者が立ち、必死に民衆を押さえ込んだり、なだめたりしている。
 しかしそれは銃などの武器があるからで、武器がなければあっという間に入られてしまうだろう。

「ちっ! エルリック兄弟め・・・・・・」

 扉の向こうで、コーネロは悔しそうに舌打ちをした。
 たった一人の子供ごときに、秘密を暴かれてしまったのだ。悔しくてたまらない。

「久しぶりに来て見たら。この騒ぎは何かしら?」

 さっきまで人がいなかった通路の階段の上に、二人の人間が立っていた。
 
 一人はまだ若そうな女。真っ赤な血の様な瞳が不気味に輝き、ゆるくウェーブした漆黒の髪を背中まで伸ばしている。
 胸を少しだけだすという危ないルックスの真っ黒なドレスを身にまとい、両方の手にはやはり黒い皮製の手袋をしている。
 
 もう一人は5歳から6歳ほどに見える非常に幼い少女。だが、その肌の色は死人のように青ざめている。瞳も生きることを拒むようなものの目つき。髪の色は白く、耳にかかる程度。そして日本で死人が切るような、何もない無地の着物を羽織っている。
 胸には茶色で、赤い瞳を持つうさぎのぬいぐるみがしっかりと抱かれている。

「くっ……お前たちが「賢者の石があれば天下を取れる」と言ったのではないか!」
「条件があったはずよ。もうじきここに来る少女を捕らえるって」
「そ、それは」

 コーネロは急にだんまりしてしまう。
 その様子を見て、女は鼻でふふんと笑った。

「あなたはもう用済みなのよ。ちょっと混乱を起こすだけでよかったのに、簡単に終わっちゃうなんてがっかりだわ」
「……」

 少女は、仏頂面でコーネロを見つめる。
 その瞳は感情がない、ロボットのような冷たい瞳だった。

「どいつもこいつも、わしをバカにしよって……!」

 コーネロが片手を挙げ、拳を作る。
 そのまま女と少女に殴りかかろうとする。

「まったく……人間は愚かね。フィ、ちょっとこらしめてあげなさい」
「……」

 少女は何も言わず、頷かず。コーネロの前に立ち塞がった。
 コーネロはそのまま『フィ』と呼ばれた少女を殴ろうとする。

「しっぱいしたばつ」

 フィは短く、あっさりと言い放った。全く感情が感じられない、冷たい言葉だった。
 そして胸に抱いていたうさぎのぬいぐるみを、コーネロに向かって突き出す。
 途端、うさぎの双眸がカッと赤く、短く光った。それとほぼ同時に、コーネロの動きは止まった。時間が止まったかのようだった。そして前にうつ伏せの状態で倒れる。

 女はコーネロに歩み寄る。コツコツ、と部屋内に靴音が反響した。
 コーネロの顔を持ち上げると、彼は白目を向いたままだった。女は満足そうに笑うと、コーネロを元の体制に戻した。

「コーネロは死んだわ。フィ、よくやったわね。お父様がまた褒めてくれるわよ」
「……」

 フィは何も言わず、ただコーネロをじーっと見つめていた。

「今回はちょっと失敗だったけど……そういえば、『ルク』の村はどうなっているのかしら。向こうもそろそろ見に行かないと行けないわね」
「ラスト、あむがいってくれる」

 そこで初めてフィは再び口を開く。
 『ラスト』と呼ばれた女は、ああと納得したような声を出した。

「そうね。『ルク』はリオールから近い。あんたがお気に入りのあむって子の実力、試させてもらうわよ」

 ラストは静かに言った。
 彼女の胸には、ヘビが自分の尾を噛んでいる模様で、中にごぼう星がある痣が不気味に存在していた。

〜一章完〜

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.8 )
日時: 2010/02/09 13:24
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: XHLJtWbQ)

リオール編おまけ
(小説で4コマをやろうと言う無謀な企画。キャラ崩壊万歳)

銀時計

①あむ「うわぁ! 銀時計エドに届けてない!」

②ラン「あ! いいこと思いついた。売っちゃえばいいんだよ。旅資金も稼げるし、いいことづくしじゃない?」

あむ「あ、そうかも!」

③売ったら……

④二人とも監獄行き。旅が出来なくなりました。

終わって

あむ「ちょ。最悪! こんなの書くなぁ!」

次章予告(例によってひぐらし風)

初めはこんな恐ろしいものだと思わなかった。元の世界に戻れるから……そう願って求めたものは。
——実は悪魔の所有物だった。それを知ったとき少女は……果たして何を思うのか?

第二章 明けない日

この世界は私の住む世界とは違っていた

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.9 )
日時: 2010/01/17 21:32
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

二章〜明けない日〜

あなたがしていることは正しいの?
・・・・・・それが例え望まれないことだとしても?

あなたがしていることは美しいの?
・・・・・・それが多くの人を苦しめることだとしても?

あなたが考えていることは
・・・・・・常識にとらわれたことでしかないのに

今回から冒頭に詩を追加です。
ひぐらしっぽいのは、それが好きだからです^^

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.10 )
日時: 2010/02/10 19:33
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)
参照: 修正しました。町→村

二章 明けない日〜WAITING FOR THE SUN〜

「はぁぁあ〜・・・・・・気持ちいい〜」

 あむはうっとりとしながら、言った。
 顔は完全に緩み、とろけたはちみつのようだ。

「あったか〜い! しあわせ〜」

 思わず両手を組み、神様に感謝してしまう。
 だってこの温かいシャワーを浴びせてくれたのだから!

 リオールで、エルリック兄弟を見失ったあむとランは、あれからリオール中を懸命に探した。が、それどころではなくなってしまった。
 
 理由はリオールで『暴動』が起こったからだ。
 コーネロにだまされた、と気づいた信者たちが、武器——特に拳銃で町の人間・旅行者を撃ち殺したり、建物に火をつける・・・・・・等の行動に出始めたのだ。
 当然町はパニック状態に陥ってしまった。揺らぐ炎の中、人々が悲鳴・寄生を発しながら逃げ惑う姿。紅い海の中に倒れる人々の姿——地獄絵図そのものだった。

 そんな光景を見たことがないあむは、耐え切れずにリオールを飛び出したのだ。
 それから砂漠をさまよっていたところ、運よく教会を見つけることが出来た。そこでこうしてシャワーを借りている。

「えへへ〜気持ちいいなぁ!」

 シャワーから溢れてくるお湯はとても温かい。全身を毛布でくるまれているようだ。
 今日一日、いろいろあったけれど、嫌なことも全部流してしまえそうだ。
 あむはスポンジを手に持つと、石鹸をつけて泡立たせた。それからスポンジで身体をなめるように洗っていく。首から下は、あっという間に泡だらけだ。

 そこに再びシャワーのお湯。
 小川のように静かに流れるお湯が、あむの身体から泡を持ち去っていく。垢(あか)とともに、穢れもはらわれたはず、とあむは決め付ける。
 完全に泡を落とすと、あむはタオルで身体を拭き始めた。



 あむが泊まっている教会は、旅人・巡礼者のための宿もかねている。入り口から入って正面が教会本体。左手が宿になっている。
 そのせいか教会自体リオールの半分ほどの広さしかない。長いすも左右で二つずつ、計4つしかない。
 それでも一番奥にはリオールで見たような神の像が置かれ、天上はステンドグラスになっている。月明かりが、花の模様を教会に映し出していた。
失礼だが、リオールと違って神々しさを感じられる。



「お湯加減はいかがでしたか?」

 まだ乾ききらない髪をタオルで拭いていると、教会のシスターに声をかけられた。シスターは、『修道女』と言う。神を信じ、信仰的——要は世間から離れて、教会で暮らす女性のことだ。男性だと『修道士』になる。
 黒い布のようなもので頭をすっぽりと覆い隠し、額からは白い布が現れている。髪の毛はその中に全て閉まわれているのか、伺うことが出来ない。
 首には、銀の十字架がついたネックレスをし、長袖の青いワンピースをまとっている。

「とても気持ちよかったです! ありがとうございました」

 あむはシスターの前で立ち止まり、ぺこりとお辞儀をした。
それはよかったわ、と文字通り天使のような微笑で彼女は返してくれた。

「ところであむさん『賢者の石』のことですが・・・・・・」

 お風呂に入る前に、賢者の石のことを尋ねた。
 あれから調べてくれたらしい。あむは内心シスターに感謝しつつ、問う。

「はい! どうなっているんですか?」

 しかし、シスターの表情には困惑の色が見えた。言ってもいいかと迷っているのか、視線を中に泳がせている。
 が、決心がついたらしくあむをまっすぐと見据えた。

「この教会から一時間程歩くと、”ルク”という村があるのですが・・・・・・その村には、なんでも不思議な力を持つ石があるそうですよ。その石の力で、病気や怪我が治ったり、水をワインに変えたりしたりできる。まさに『奇跡の石』なのです」
「奇跡・・・・・・」

 あむは脳裏にコーネロを思い浮かべていた。
 偽の『賢者の石』ならば、そのようなことができるのではないか。ルクの村にも、コーネロのような人間がいるのかもしれない。
 だがここで立ち止まるわけには行かない。必死に「立って歩け、前へ進め」と言い聞かし、疑う自分の心を騙す。

「ラン。明日ルクの村に行こう」
「そうだね」

 ランとあむは、希望に満ちた瞳でしっかり頷きあう。
 夜空では二人を指し示すかのように、星が輝いていた。

砂漠の朝はとても肌寒い。日本で言うと、北海道辺りに来た気分。違うのはそこが、一面の砂の海であると言うこと。
 太陽はまだ昇ったばかりで、空は下半分だけが淡いオレンジ色に染まっていた。上側はうっすらと白い色で、まだ夜が明けたばかりだと言うことを表している。
 砂も朝日に照らされ、キラキラと光っているように見えてきた。まるで黄金色の海のよう。

「……そろそろ村についふぁ?」

 眠いのか欠伸をしつつ、ランがあむに尋ねる。欠伸をしたせいで最後の「た」の部分が、変に伸びた。

「もうすぐだよ。ってかラン、あんたどうして眠いの?」

 翌日、あむは日が昇らないうちに起きた。
 シスターに砂漠は日が昇ると熱くなるから、早めに行けと教わったからだ。
 朝食を教会で食べ終えると、ランを叩き起こして教会を出、こうしてルクに向かって歩いているわけだ。

「だって〜あむちゃんが、早く起きすぎるんだもん」
「起きすぎるって……! 昨日シスターさんに、早く行った方がいいって言われたじゃん」

 あむは昨晩のことを思い出す。
 シスターさんと話した後、ランは確かに早起きする! とはりきっていた。あの元気はどこに行ってしまったのやら。

 一言言ってやろうと思い、あむがランに近づいた。——時。ぴし、と何かにひびが入るような音がする。音源は、腰につけられた赤い下地に黒い数本の斜め線が入ったポーチの中からだ。

「あれ? なんだろ」

 あむは言いながら、ポーチの蓋を開けた。ポーチの蓋の部分には黒いハート型のワッペンがつけられ、女の子らしさを表している。

 ポーチの中にはぎゅうぎゅうに卵が3つ押し込まれていた。
 これはしゅごキャラが入った卵——『しゅごたま』と言う。
 しゅごキャラたちは生まれる時、こうして『しゅごたま』に入ったまま生まれてくる。これが割れると、しゅごキャラが誕生するのだ。何だかひよこっぽい。
 もちろん柄は、人によってしゅごキャラが違うように柄も全く違う。
 
 しゅごキャラが、孵ってからは、夜眠る場所として使うのだ。

 3つとも柄はよく似ている。
 チェック柄で、一つは赤いチェック柄。真ん中には黒い線が卵の横に向かって一周分引かれ、等間隔でハートマークが描かれていた。これはランの『しゅごたま』で、普段彼女はここで寝ている。
 もう一つは緑色のチェックの卵。赤と同じく、中央には黒い線が通っている。ただ線の中の模様は、緑色をしたトランプのクローバーの模様だ。

 そして最後は青いチェックをした卵。黒い線の中の模様は、青いトランプのスペードマークだ——が縦に割れ、中で一人のしゅごキャラが身体を伸ばしていた。

 大きさはランほど。
 頭には、スペード型の飾りがついた青いキャスケットを被っている。
 青い髪を耳までのショートカットにし、服装も青系のシャツに、やはり青いハーフパンツと言う男の子のような格好をしていた。

「あむちゃん、どうしたの?」

 しゅごキャラの青い瞳が、あむをじ〜っと覗き込む。そしてゆっくりと宙に浮きながらポーチから出て、

「うわぁ! きれいだ! スケッチしよっと」

 砂漠の美しさに歓声を上げた。
 続いて肩にかけたうすい水色の袋から、緑色のスケッチブックと赤い鉛筆を取り出した。そしてスケッチブックに何かを描いていく。

「ミ、ミキ……いきなり絵に走った……」

 あむはげんなりとして言った。

 絵を一心不乱に描いているしゅごキャラの名は、『ミキ』。
 明るいランと違い、クールで落ち着いた性格をしている。

「よし出来た!」

 ミキは満足そうに笑うと、スケッチブックを天に掲げた。
 スケッチブックには、それこそ写真のように、砂漠の風景が忠実に描かれていた。

「ってあれ? 何でボク砂漠にいるんだ……?」

 ようやく気づいたのか、ミキは呆然とした。一人称は「ボク」であるが、立派な女の子である。
 あっけに取られる二人であったが、すぐにミキに事情を説明しに声をかける。

「ミキ!」



 無駄だと思えることも含め、今までのいきさつを手短に説明した。
 昨日の朝起きたら砂漠にいたこと、リオールでの一件。そしてルクの村に向かっていることなど。
 黙って聞いていたミキは話が終わると、顔をしかめ腕組みをした。

「要するに……ボクたちトリップしたってことだね?」
「ミキ、とりっぷって? 唇に塗るやつ?」
「それはリップ」

 ランの意味不明なボケに、ミキはびしっと片手でツッコミを入れた。

「異世界トリップ——簡単に言えば、ボクたち3人は別の世界に来てしまったってだよ。本とかでよくあるよ」
「そうだね。だからルクの村に行って、賢者の石を探すんじゃん!」

 あむは力強く言った。
 その言葉にランとミキは、同時に「うん」と大きく頷く。
 その3人を勇気付けるかのように、遠くに村の影が見え始めた。

「え? ここって『ルク』だよね?」

 ルクの村に辿り着いたあむは、疑問符交じりの声を上げた。
 村から人の声が聞こえないからである。リオールの時もそうだったが、町、もしくは村に近づくと人の声が聞こえてくるものだ。他愛もない雑談だったり、物を売る商人の声だったり。色々だが、その声を聞くと人がいるのだと安心できる。
 が、それが全くないのだ。
低い風音が村のBGMのように聞こえてきて、かえって怖さを増長させる。

「え? あたしたち、道を間違えたの!?」
「そうじゃないと思う。ほら」

 ミキが何かを指差した。
 それは村の入り口にある門だ。木で出来ていて、アーチの形をしている。その上でキィキィと何か金属が擦れるような音がした。

「あ」

 揺れている物体は、村の名が刻まれた標識のようなもの。長方形をした鉄のプレートの上には確かに『LUCU』と刻まれている。読めないが、発音はルク。L+A,I,U,E,Oでそれぞれ「ラ・リ・ル・レ・ロ」と読むことが、あると習ったばかりだ。ここで間違いないらしい。
 だがそのプレートはもはや取れかかっている。昔は四隅でとめていたらしく、4つの角の部分にはそれぞれ穴が開けられている。しかし止められているのは、右上のみ。残った留め金だけでプレートはぶら下がり、虚しい音を奏でていた。

「ここは確かに『ルク』なんだ……でも、なんか変じゃん?」
「中に入ってみよっか」

 ランの言葉で、三人は村へと足を踏み入れた。

 入り口から見たとおり、ルクの様子はおかしい。
 左右に密集したレンガ造りの家々は、壊れているものが多い。家の扉が壊され、中がまる見え状態だ。
興味半分、恐ろしさ半分で3人は覗き込んでみる。
 机や棚は倒れ、紙や割れた食器の欠片(かけら)が、床の中のあちこちにとび散っている。
 しかも大抵の家には——赤黒い染みが壁にある。水系の物らしく、垂れた跡が残っている。そして……陽光が家の中を照らした。

「ひっ……」

 あむは小さな悲鳴を上げ、息を呑んだ。
 紙や食器の上に、人間の骨が散乱していた。頭蓋骨(ずがいこつ)や大腿骨(だいたいこつ)が、子供がおもちゃを散らかしたかのように、四方八方に散らばっている。ところどころ、布の切れ端がついている骨もあった。
 赤黒い染み、散らばる人間の骨——どう考えてもルクは普通の村ではない。確実にここで何かあった。

「あむちゃん。行こう……」
「そうだよ。賢者の石を探そう」

 あむを気遣っているのだろう。ランとミキが、優しげな口調で言った。
 あむは何も言わず、骨に背を向け歩き出した。

「また骨だ……」

 あむは沈んだ声を出した。

 人間の適応力と言うものは恐ろしい。
 ルクの町は進むたびに、また新しい骨が出てくる。
家の中だけではなく、道路にも骨は散乱していた。今は踏まないよう、注意して歩いている。
 初めこそ骨にびくついていたあむだったが、もうすっかり慣れてしまい、骨を見ても平気で歩けるようになってしまった。

「あむちゃん……」
「この町、廃墟になってそんなにたってないと思う。早くて数ヶ月前か、長くても一年ってとこだね」

 ミキが周りを見渡しながら話した。
 この町で事件が起きたのは、割と最近の出来事らしい。

 そのまま進み続けると、村の広場のような場所に出た。そこだけ家がなく、円形の広場になっているのだ。
 そこには丸い石でせき止められた池があった。池、と言うにはおかしいかもしれない。その水の色が真っ赤だからだ。血を連想させる、どす黒い赤。見ているだけで気味が悪い。
 しかもよく見ると、泉を囲むようにして謎の図形が描かれている。これは……これは……!

「練成陣?」
 
 あむが言った。
 リオールでアルが描いていたものによく似ている。無論、似ているだけで描いてある図形や、文字は全く異なるものだが。

「あむちゃ〜ん!」

 ランの呼ぶ声に、あむは振り向く。
 ランとミキは、いつのまにか別の場所に移動していた。池のすぐ後ろ——牢獄の中に。

 牢獄と言っても、かなり簡素なものだ。
 動物を入れる檻(おり)のように、四角く切り取られた岩の入れ物。その前方に鉄の棒が5、6本刺さっている程度のものだ。
 その鉄の内二本は、途中なだらかな曲線を描いていた。誰かが無理やりねじ曲げたらしい。たいしたバカ力の持ち主だ。

「どうしたの? ってかちょ〜入りずらいんですけど……」

 ランとミキは小さいから、鉄格子を簡単にすり抜けられるが、あむはそう簡単にはいかない。
 ねじ曲げられた鉄が作り出す、わずかな空間に身体を横にして入る。大人一人がぎりぎり通れるスペースだった。
 
 何とか入ると、あむは牢獄の中を見た。
 せいぜい二人を収容するのが限界なスペースに、人が背を壁に預けたままとまっていた。もちろん骨。ただ町の人々違い、その骨はきれいだ。バラバラにはなっていない。縦縞の囚人服も砂で茶色に汚れてはいるが、きれいに形を保っている。理科室にある標本が、そのまま抜け出してきたようだ。

「かわいそう……ここで死ぬなんて」

 あむは思わず両手を合わせ、ぺこりと頭を下げた。勝手に入ってごめんなさい……と声をかけた。
 しかし骨は話さない。この人の魂は、ここにはないのだから。

「あ〜むちゃん! これ見て」

 その時、ランが服を引っ張った。
 顔を上げると、骨の側に赤い文字が書かれていた。恐らく血でかかれたもの。指を使って書いたらしく、かなり太い。あむは目で文字を追っていきながら、読み上げていく。

「I want to live?」

 それで文字は終わっていた。
 正確には、無いのだ。そこの壁だけ、何かで剥ぎ取られているのだ。白から茶色にそこだけ壁の色が変わっている。

「……言葉の意味を教えてください」

 あむは骨に問いかける。
 しかし答えは無い。「死人にくちなし」なのだから。
 「ふふふ……それはどうかしら?」

 突如として、背後から声がした。若い、低めな女性の声。驚いて振り向くと、牢屋越しに一人の女が立っているのが見える。

 黒いフードを目深に被り、顔を見えなくしている。裾が地面につくほど、長いコートを着ていてやはり全身を覆い隠している。
 彼女を見ていると、あむは変な感じを覚えた。心臓の鼓動がはっきりと聞こえる。体中の毛穴が開き、そこから一気に汗が濁流のようにこみ上げてきた。汗が流れる感じがし、全身が冷えていく。

「だ、誰あんた……」

 恐ろしさを感じながら、あむは低い声で女に問いかけた。ランとミキの表情も険しくなる。

「私? 知りたかったら、その牢獄から出ていらっしゃい。お姉さんと話をしましょう?」

 随分甘ったるい口調だ。まるでバーのホステスのようだ。
 からかわれたあむは、むっとしながらも身体を横にした。歪んだ鉄の棒の間を通り、女の前へと立った。 ランとミキも後から続くが、あむと違い楽々通り抜けた。

「あら、えらい」

 からかう様に、黒衣の女は拍手をした。
 何か企んでいるのか、フードの下から見える唇が不気味な程にやついている。

「じゃあご褒美に教えてあげる。この村では数ヶ月前に大量殺人事件があったのよ」

 言いながら、女は片手で何かをあむに投げた。
 それは新聞だった。この世界の言語は英語らしい。当然だがあむには、読むことが出来ない。

「?」

 頭に疑問符を浮かべ、首をかしげるあむ。
 それを見て黒衣の女は、代りに解説を始めた。

「読めないのね……まあ。仕方がないわね。今月未明、ルクの村にて大量殺人事件が発生。村人全員が惨殺された。容疑者は村に住むジュリエット・ガーギャ氏(25)。自殺したとみられる」

 そこまで教えてもらえあむは、新聞の顔写真に目をやった。
 黒い髪の女性だった。鼻が高い美人な顔立ちだ。しかし、目つきは鋭く、いかにも事件を起こしそうな顔をしている。
 待って……今。目の前にいる女は? フードから見える髪は黒。まさか!? あむがそう思ったとき。

「!」

 急にあむは口元にハンカチを当てられてしまった。
 抵抗を試みるが、もう片方の手で身体を押さえつけられ逃げられない。

「うふふ。ジュリエット・ガーギャって、誰のことだと思う?」

 いつのまにか黒衣の女がフードを取り払っている。そこにあった顔は……新聞に載っていたジュリエット・ガーギャその人だった。
 ジュリエットの血のような赤い瞳が、囚われたあむを映しこむ。

 ジュリエットはあむの口元を覆う手を、さらに上に動かした。ハンカチがとうとう鼻まで覆いつくす。
 息が出来ない。苦しい。あむは必死に身体をばたつかせた。だが。
 ハンカチから何か臭いがした。それを嗅いだら、景色が薄くなり始めた。ランとミキの声が、やけに遠く感じる。息が出来ない、苦しさもない。

(やばい……あたし、どうなるの……。まだ死ねないのに!)
「あなたには、石になってもらうわよ」

 そう思っていたら、視界が暗くなった。
 テレビの電源を切ったかのように、映像がぷっつりと切れてしまった。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.11 )
日時: 2010/01/17 21:35
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

「……ちゃん!」

 ランとミキの声も、ぷつりと途絶えてしまった。目の前は何もない黒に染められてしまった。



 


 


 ——いったいどのくらい眠っただろうか。不意に感覚が蘇ってきた。手先が冷たい。足も冷え込んでいる。そしてどこか懐かしい匂いを感じる……あむはがばっと起き上がった。そしてはっとした。何故か椅子に座っていた。右横は教室の壁。そして真下には机。机の上には算数の教科書が広げられ、その横には宿題のプリントが置かれている。プリントは問題が解きかけのままで、その上にシャーペンが転がっていた。

「ここ……教室だ……」

 あむは辺りを見渡した。
 教室の中はあむ以外誰もいなく、廃墟のように静まり返っていた。それに電気が消されているので、かなり薄暗い。担任の二階堂先生が、消したのかもしれない。ただ差し込む夕日のおかげで、窓側だけはとても明るい。その光に誘われるように、あむはふらふらと窓辺へ歩いた。そして窓の前で立ち止まる。
 
 外は、もうすっかりオレンジ色の空になっていた。完全に寝過したのだ。そんなあむを馬鹿にするように、黒いカラスが鳴きながら飛び去って行った。
 窓の下では、クラブ活動が終わったらしい上級生たちが、楽しげに笑い合いながら門の方へとぞろぞろ歩いている。

「やっば! あたしも帰らなきゃ!」

 あむは慌てて帰りの支度にとりかかる。まずシャーペンを筆箱に仕舞い、鞄に入れる。続いて算数の教科書を鞄に入れ、最後にプリントをファイルに仕舞って終わりだ。
 席を立ち、椅子を机の中にきちんと仕舞い込む。それから鞄を持つと、大急ぎで出入り口に向かう。その時、教室の前を横切っていた生徒二人が足を止めた。そして順々にあむに声をかける。

「あ、あむちー!」
「日奈森さん! ちょうど今、起こしに行こうと思っていたんだよ」

 一人はあむより少し背が低い女の子だ。ちょぴり幼さを感じさせる顔立ちと、明るい茶色の髪を持っている。髪は、耳の上あたりから立派な赤いリボンでツインテールにしている。本来首から下はネクタイのはずだが、彼女は髪につけているのと同じリボンをしている。
 もう一人は女の子のように可愛らしい顔立ちをした子。ブロンドの前髪を右側に流し、後髪は首元で揃えられている。優しげな赤みが強い茶色の瞳が印象的だ。
上のシャツはあむと同じだが、下は青いチェックのズボンだ。
 この聖夜小学校では、女子の制服は赤いチェックのスカートだが、男子の制服は青いチェックのズボンなのだ。

「やや! それに……唯世(ただせ)くん!」

 女の子の方が『結城 やや(ゆいき やや)』。男の子は「ほとぼり(注・変換できなくてすいません) 唯世」と言う。二人ともあむの友達だ。

「もう! ガーディアン会議サボるなんてひど〜い!」

 ややが頬を膨らましながら言う。まるでわがままを言う子供のようだ。それを見た唯世は苦笑いをした。
 ちなみに「ガーディアン」と言うのは、聖夜小学校においての「生徒会」である。代々しゅごキャラを持つ人間——キャラもちの子供が受け継いでいく。
 行事を企画したり、書類にはんこうを押したり……とても小学生なのに、やることは多くて大変なのだ。その会議を、あむは寝過したわけで。


「日奈森さん、結構疲れていたみたいだから……ほら。最近、運動会の準備で大忙しだったからね。仕方がないと思うよ」
「そっかなぁ? 確かに昨日は色々大変だったけど……やっぱしずるい〜!」
「ご、ごめん……明日はちゃんと行くから!」

 あむは両手を合わせると、頭を前に下げた。
 その時、変な考えが頭に浮かんだ。
 ——本当に明日は来るのかな? あたし、何かを忘れている気がする……

「明日は来ない。あむは、夢を見ているんだかな。」

 あむの疑問に答えるように、ちょっと柄の悪い男の声が聞こえてきた。振り向くと声よりも幼そうに見える少年がいた。あむよりも小柄で、パッと見ると女子と名乗っても通じそうな程かわいらしい。小柄なことを気にしているのか、頭には黄色のアホ毛がピン、と電波を受信するかのように立っている。さらに靴も厚底のブーツ。……きっとせめてもの抵抗なのだろう。唯世よりも濃い金髪を、後ろで一つに三つ編みにしているのが何とも女の子らしい。ただ格好が黒いシャツに、黒いズボン。そして赤いコートと何だかド派手な格好をしている。何故か手には白い手袋をしているのが謎だ。

「えっと……あんた、誰? でも知っている気がする……」

 自分の名前を知っているようだが、当然あむに覚えはない。ただ、彼につい最近会ったばかりのような気がするのが不思議だ。何故だか心のそこから、懐かしさがこみ上げてくる。名前も知らないのに——
 
「ちょっと君〜! あむちーに変なこと言わないでよ!」

 ややは少年に近づくと、あむを指差しながら言った。唯世も顔に嫌そうな雰囲気を宿しつつ、少年に近づいていった。二人に囲まれても、少年はひるむ様子を全く見せない。それどこか、呆れるようにため息をついたのだ。

「変? 俺はあむに真実を伝えたいだけだ」

 少年はあむの方に向き直った。金色の目が、あむの顔をじっと捉える。あむは魔法にかかったように、その少年の目を見つめる。

「あむ、思い出せ。お前のやるべきことを。お前の進むべき道を」
「あむちーの進む道はこっちだよ! 考えなくてい〜じゃん! そうでしょ?」

 少年は静かに、そして強く言い放った。それを邪魔するかのように、ややが強くあむに迫る。

「あたしのやるべきこと……」

 あむは少年の言葉を反復した。そして何かを考えるように、うな垂れた。
そうだ。あたしには、やるべきことがあったはずだ。とても、とても大切なこと。なんだっけ……とあむが悩んだ時だった。ポケットが急に輝き始めた。違う。ポケットの中にある何かが輝き、光がそこからもれているのだ。気になったあむは、ポケットに手を入れ、それを取り出した。出てきたのは、銀色の時計。ライオンのような紋章と、六芒星が彫刻された時計だ。何かを訴えるように一層輝きを増す。しかし今は金色に光っているので、金メダルを持っているような感じだ。あむは眩しさから、目を細めながら銀色の時計を強く握る。すると頭の中に不思議な映像が浮かんできた。自分が見知らぬ土地に立っている。その傍で少女が一人、泣き崩れている。その横を目の前にいる少年と大きな鎧が通り過ぎる。そして言う。

「立って歩け。前に進め。あんたには、立派な足が付いているじゃないか」

 少年が呟くのと同時に、あむもまたその言葉を唱えた。あむの声と少年の声が、互いに重なり合い美しい響きを持つ。それと同時に、頭の『記憶』と言う血液がようやく回り始めた。一気に今までの旅の記憶が、鳥が一斉に羽ばたくようにこみ上げてくる。そう、それは自分が唯一信じている魔法の言葉。

「あたしは進まなくちゃ行けない。ここは、ここは」

 あむは一度言葉を飲み込んだ。続けたくないからだ。認めたくない。でも……いつかは必ず帰れる場所だと信じて。あえて言おう。

「ここは夢の世界だから!」
「日奈森さん……」
「あむちー……」

 その言葉で唯世は残念そうで、そして今にも泣きそうな顔をし、ややに至ってはしゃくりあげて泣き始めてしまった。二人の意外な反応にあむは戸惑う。

「二人とも!? どうしちゃったの……」

 夢にしてはリアルすぎる演出だ。
 そういえばここは夢のはずなのに机の匂いも、手足の感覚も感じることができる。

(もしかして……あたし戻ってきたの?)

 あむの心に疑念がさした。
 すると目の前にいたエドが、あむに向かって片手を差し出してきた。まるで本当の紳士のようだ。あむは、はっとした表情でエドを見つめる。エドは何も言わず頷いた。それから、

「帰ろう、あむ。お前のいるべき世界はここじゃない。ここにはランもミキも、アルもいない」

 とあむをしっかり見据えながら言った。あむはその手をとろうと手を伸ばした——しかし唯世とややが悲しむ顔を一瞬でもと見てしまうと、途端に手を引っ込めてしまった。
 その光景を見ていた唯世が不意に口を開いた。

「日奈森さんのいる世界はここだよ。ここにランとミキはいないかもしれないけど……代りに僕たちがいる。さあ、ここに残って」
「!」

 そしてなんと唯世までもあむに手を出してきた。ややも泣きやみ、潤んだ目で唯世と同じことをする。
 あむはうつむいてしまった。悩んでいるのか、と誰もが思った。が、悔しそうに歯ぎしりをしているではないか。

「ふざけないでよ……本当の唯世くんとややだったら、絶対そんなこと言わない」

 顔を上げるとあむは、唯世とややをビシっと指差し、強く言い放った。

「二人とも偽物だ! 二人はしゅごキャラの大切さをわかってない! ランもミキも……まだ眠っているスゥもダイヤも。みんなあたしの大切な仲間よ。もちろん、唯世くんと、ややも。だから」

 そこから先が詰まった。あむの目から一筋の涙が頬をすべり、地面で弾けた。まるで花弁が舞い上がるように弾け、輝くボールがわずかに生まれる。廊下がわずかに濡れる。

「だから……だから」

 涙が狂ったようにあふれてくる。もう止められない。まるであむの目が雨を降らせる雲になってしまたよう。しかし。

「だから待ってて! いつか絶対みんなに会いに来るから! 唯世くん、りま、なぎひこ、やや、空海(くうかい)! それにイクト、歌唄(うたう)!」

 雨雲はいつか必ず晴れる。そしてその後に来るのは青い空——異世界に飛んでからまだ会っていない仲間。ガーディアンの顔を。知り合いの顔を。頭に浮かべながら、あむは声の限り叫んだ。何度も何度も。頭の中は、全て友達の顔と思い出で占拠されている。ただ仲間を呼ぶことしか考えられなくなっていた。
 
『そうよあむちゃん。いつかまた会えるわ……』

 脳裏に女の子の声が聞こえた。小鳥がさえずるような美しい声だった。

「ダイヤ……!?」


ダイヤの名前を呼んだ時だった。
 突然エドの身体が光りを発し始めた。そしてどんどん小さくなっていく。それと同時に、周りの景色が、唯世とややが、青く光る粒子となって溶けるように消えていく。一瞬ですべては消え、粒子がふわっと広がったかと思うと、目の前で弾けて消えてしまった。
 溶けた後は黒い闇が姿を露(あらわ)になる。


 あむはとっさに唯世とややに手を伸ばそうとした。だが、必死に理性で感情を抑え込んで何とか引っ込めることができた。消えていく二人を見ながら、呆然と立っていた。やがて二人が消え、辺りが暗くなると、力が抜けたように膝を地面に着いた。

『あむちゃん』

 エドの縮小が、あむの拳ほどの大きさで止まった。そしてパッと花が開くように、光が散った。

 そこにはエド……ではなく、しゅごキャラが光りながら浮いていた。
 オレンジがかかった髪を、頭の上からのツインテールにしている女の子だ。ツインテールは長く、毛の一番先っぽは彼女の白い靴の先まで来ている。
左耳にはステージ用のピンマイク。頭には白いカチューシャをしていて、その右はじには大小二つのダイヤ型の飾りがある。服は明るい黄色のワンピース。
 彼女の名はダイヤ。ランとミキと同じく、あむの『なりたい自分』の一人だ。
 

「ダ、ダイヤ! 何でエドがダイヤになっちゃうわけ!?」
『エドは私が作った幻想。……あむちゃん、早く夢から覚めて』

 ダイヤの言葉で、これが改めて夢だと知ったあむは、ダイヤに気になった疑問をぶつけてみる。

「幻想って? ここはただの夢じゃないの?」
『ここはジュリエットが作り出した、邪悪な世界。例えて言うなら、ここは檻。さっきの夢は甘い餌なの。甘い餌であむちゃんをおびき寄せて、捕まえる気だったの。でも間に合ってよかった。捕まったらもう終わり……元の世界にも、エドがいる世界にも帰れなくなるわ。』

 ダイヤは辺りを見渡しながら語った。
 周りは黒しかない。もしダイヤが光っていなければ、真っ暗闇だ。唯一の光で太陽のようだ。もし夜に太陽が照っていたら、こんな風景になるのではないだろうか。
 
「あたし幻を見せられていたってこと?」

 ダイヤは静かに首を縦に振った。

『そう。幻を見せられていたの。ちなみに今、あむちゃんの世界ではこんな感じになっているわ』

 ダイヤがある場所を指差した途端。また突然暗闇が、元の夕暮れ時の教室へと変わった。あむの目の前——窓側の一番後ろの席に、唯世とややがいた。
 二人とも表情が重苦しい。そして沈黙をまとっていた。


「ねえ、あむちーが行方不明になったって本当?」

 最初に切り出したのはややだった。でもいつもとは違う、真面目さがこもった口調だった。

「うん……日奈森さんのご両親が言っていたんだけど、朝起きたら突然いなくなったらしいんだ。制服もないし、学校の鞄もないから、学校に言ったと思っていたらしいんだけど……」
「あむちー来てなかったよね」
「そう。だから、日奈森さんは家出したってことになっているみたいだよ。警察の人も一生懸命に探しているって言ってたよ」

「あたし……やっぱり行方不明になっているんだ」

 あむはそう言うと、俯いてしまった。現実だとは分かっていても、事実を突きつけられると心が痛んでくる。
 同時に教室が、また暗闇の世界に戻ってしまった。

『そう。みんな、あむちゃんのことをとても心配しているわ』
「みんな……待ってって! 絶対に戻ってくるから!」

 誰もいない空間に向かって、あむは誓いを述べた。もちろん返事はない。その時、ダイヤの輝きが強くなった。眩しすぎて、目を開けたままにできない。

「ダイヤ!」
『これから先、色々とあると思うわ。きっと死にかけることだって、くじけることだってある。でも、何があっても諦めないで。希望を見失わないで——』

 ダイヤの輝きが一層強くなり、あむはその光に身を持ち上げられたが気がした。だが、それは急に落下する感覚へと変わっていく。
 あむはようやく目をあけた。ようやく光が弱まったのだ。ダイヤが遠ざかっていく。どんなに手を伸ばしても、空を切るだけ。掴めそうなのに、掴むことができない。掴めない代わりに、あむは何度もダイヤの名を呼んだ。叫びすぎて声がかれるくらいに。



「ダイヤ!」

 あむは、腹筋を使いむくっと起き上がった。右手を前に出しながら、だ。

「あ、あれ……」

 いつのまにか風景が変わっていた。外は暗く、星たちが自分たちの力を使って懸命に輝いている。
 目の前には鉄の格子。鉄の檻の向こうには、長い銃を持った男が立っている。そして通り過ぎていく人々。リオールで見たような格好をしている。それと、夜の色を移し、ますます気味が悪い血色の池。

「ここ、ルクの村……だ。あたし、帰ってきたんだ」

 しかしルクにしては様子がおかしい。昼間見た時と様子が全然違うのだ。
 鉄の格子はねじれていなく、まっすぐに。滅んだはずなのに人が。家々には明かりがともり、楽しげな笑い声が聞こえてくる。変わっていないのは、あの血の池だけだ。夜になったせいか、色が濃くなったように見える。

「よう、お嬢さん。ようやくお目覚めかい?」

 後ろから声がした。振り向くと、昼間骨があった位置に、人間がいた。あぐらをかき、退屈そうに両手を頭の後ろで組んでいる。
 縦じまの囚人服を着た、ひげが濃いおじさんだ。50代くらいだろうか。

「あ、あなたは?」
「俺? そうだな……シンとでも呼んでくれ」
「あたしは日奈森 亜夢って言います」
「ああ、知ってる。こいつらから話を聞いた」

 シンは自分の左横を指差した。
 そこにはランとミキがいて、あむを見るなり喜んで彼女のもとに飛んできた。

「あ〜むちゃ〜ん!」
「よかった! 目が覚めんただね!」

 二人を順に見てから、あむは笑って言った。

「ただいま」
「おかえり!」

 ランとミキが同じく言った。
 その言葉であむは何となく安心した。あたしのいる場所は、ここなんだな。と改めて感じた。

〜つづく〜

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.12 )
日時: 2010/01/17 21:39
名前: キナコ☆ (ID: 643MqHaL)

いえいえ^^ルミカさんも頑張ってください!
ルミカさんがオリを募集されたら絶対に出します!

約束です☆続きも頑張ってくださいね^^

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.13 )
日時: 2010/01/18 18:32
名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: JUrMEp6v)

こんにちわ〜!
消えてしまったんですね^^;
というか、なんだか私の今までに消えたポケダン小説が復活しているんですよ;(昨日の時点では
かなり大量にあって、いままで何回消えたかがわかりました。(復活していないものも在り
でも、もう別スレ(名前はNO)で立てているし、いまさら復活しても遅いと・・・。
管理人連絡掲示板に、復活したスレの削除依頼がかなり届いているみたいだし、なんだかうーん、な結果ですね><

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.14 )
日時: 2010/01/18 23:30
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

ラッピー様
はい、また消えました^^; 
でもバックアップは取ってるので大丈夫ですb

私も暗黒歴史とも言うべき過去の下手な小説が出てきましたが、書き直しているので意味がないんですよね;; しかもそれらの内、数個消えました。復活したり、消えたりと忙しいですね。

ラッピー様はあっちにスレを立てていますもんね……でも、どうするかはラッピー様次第ですよ!

今回の復活はう〜んってうなる結果ですよね。
いいんだか、悪いんだか……
今度は、消えないことを祈るばかりです。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.15 )
日時: 2010/02/02 10:31
名前: rumika ◆GU/3ByX.m. (ID: 9FUTKoq7)

今日は更新できなくてすいません!
明日、必ずやります><

遅いがキャラ紹介(徐々に追加)
エドワード・エルリック
長い金髪を三つ網にしている少年。
背は厚(底+アンテナ含め)全長で160cm(165でしたっけ?)(ちなみにあむは156cm)。
思いついたらすぐに行動するタイプ。行動派であるが、頭脳明晰で化学の知識などに優れている。
どうでもいいことだが、背が低いことがコンプレックス。「チビ」を筆頭とする単語に過剰に反応し、相手を殴り倒してしまうことも。
さらに恋愛面も非常にうとい。幼馴染をとるか、旅仲間・・・・・・はたまた旅でであった少女をとるかを悩んでいない。悩め。
アップルパイ、シチューが好物らしい。牛乳が大嫌い。


アルフォンス・エルリック
全身鎧に覆われている少年。エドの弟に当たる。
兄とは対照的に温和で心優しい性格。
だが、女性にもてない!のが本人の悩み?。きっと外見のせいなだけで。元の身体だったらアルの方がもてる・・・・のか? こちらの世界なら鎧でも好いてくれる女性はかなり存在する。彼女が欲しいと何回か言っている。兄よりも敏感で、もてることは間違いないはずだが。また意外にも猫好き。旅先であろうと猫を拾ってきてしまう。ネコ・ハンター。あむのキャラなりで、アミュレットハートが会いそうな気がするのは作者だけ?(個人的妄想なので、文句があるひとはどうぞ)

キャラ紹介(知らない人向け)
しゅごキャラより

日奈森 亜夢 Amu Hinamori(表記はあむ)

濃い桜色の髪を、肩まで伸ばしている少女。目の色はエドと同じく金色。
少しいじっぱりでクールに見える。ただ実際は恥ずかしがり屋で自分を表に出せないだけである。また、周りへの影響力(?)を持っていて、そのありがたいお言葉に救わる方も多い。「日奈森教」教主(うそ)にして、元ガーディアンジョーカー(元勝手につけないでよbyあむ)牛乳はよく飲む。ただしそれは胸がないことを気にしているせい。飲み方も腰に手を当てて、と親父っぽい。

しゅごキャラ
(こうなりたいという持ち主の強い思いから生まれた小さな幽霊?みたいなもの。)

ラン Ran
ピンク色を基調としたチアリーダー風の格好をしたしゅごキャラ。明るく素直な性格。運動と応援が得意で、じっとしているのが苦手な典型な元気っこ。
(応援しているだけで自分は何もしない)
運動能力はエドとアルをカルーク超える神の領域。


ミキ Miki
青色を基調とした、男のような格好をしているしゅごキャラ。クールで知的な性格。結構あむに似ていて、男の子に対する気が多い。絵が得意であり、おしゃれセンスも抜群。この小説では星のことにも詳しいと言うことを勝手に追加しています。すいません。自分のことをボクと呼んでいます。萌え。

スゥ Su
白い頭巾を頭に被り、エプロンをしているしゅごキャラ。おっとりしていて、天然ボケ。そのことは「〜ですぅ」と言う口癖からも分かる。かなりののんびりやで、危ない目にあっても気づいていなかったりする面もある。料理が得意。家庭的で旅には欠かせない存在。エド・アルの料理を作る(もちろんキャラチェンジだが)のも彼女の仕事。

ダイヤ daiya
卵に戻ったままのあむのしゅごキャラ。
とても強い力を持っているが、やや天然?

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.16 )
日時: 2010/01/22 22:46
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)
参照: オリキャラ整理集です

前に出していただいたオリキャラです。
過去スレッドを整理し、出てきたものを集めます。乗ってない方は申し訳ありませんが、また応募していただけると幸いです。

(錬金術師)カイン様

【ミナ・ロナウド/女】

【黒髪のセミロングで、瞳も黒。一人称は僕(本人の思考内では私)】

【ボーイッシュな服を好んで着る。他人の分にはどうでもいいが、ピンクやレースなど女の子らしすぎる服装は嫌い(赤はおk)
年齢は13で、新米の国家錬金術師だが錬金術の技術は結構高い方。
腰にいつもチェーンベルトをしており、そのベルトに国家資格の銀時計をつけている(普段は上着などで隠れる)】

【13歳になってすぐに資格を取ったって設定でお願いしますw】

【豪雨の錬金術師】色々練成したりも、周りの環境とかにもよるが、ミナはよく水を練成するため、この名前w

【趣味は宝石集めで、特技はピアノ演奏。(だけど弦楽器に至ってはどこを取っても破壊力抜群な演奏になるw)
いつもメモ帳を持っており、1枚残らず練成陣が描かれていて、戦闘時など、すぐ錬金術を使いたい時に1枚千切って練成したいものの上に置く(置かなくても、付けていればおk/急いでないときは「メモが勿体無い」と言って直接練成陣を書く)
あとは手帳を持っていて、重要なことをメモするのに使っている。
好きな食べ物はピザ。嫌いな食べ物はないが、嫌いな物は蜘蛛。
ゴキ○リでも平気で退治するミナだが、小さい頃遊んでいたとき、顔に思い切り蜘蛛の巣がついた(デカイ蜘蛛もろとも)ことからトラウマに。
そこまで怯えはしないが、蜘蛛の多いところへ行こうとすると「い、いや…やめとくよ」「遠慮しとくよ」と拒否する。】

(錬金術師)聖那様

【名前と性別】
ルーナ・クラーク(♀)15歳

【容姿】
セミロングで茶色っぽい黒の髪
カチューシャをしている
身長は161センチ

【性格(具体的に)】
女の子らしい可愛いものが好き
1人称はアタシ
まわりの様子に敏感
たまに天然なときがある

【国家資格アリ?】
ナシ
以前に国家錬金術師にならないかと誘われたが断った。

【備考(趣味・特技・嫌いなものetc)】
ルーナは1人ッ子で飼い犬のぺティとは姉妹のように育った。10歳のとき、ぺティが死んでしまい人体錬成を行い、視力をもっていかれた。
人体錬成を行った後から動物たちと会話ができるようになった。
趣味は散歩&音楽を聴くこと&料理。
特技は動物と会話すること。
好きなものは可愛いもの、チーズケーキ。
嫌いなものは特になし。

錬金術師)莉子様

【レラン・センティ/女】

【栗色をした髪のショートカット。緑の目をしている。白いロングコート、茶色の七分ズボン】

【いつも明るい。笑っていることが多い。人みしりをせず、すぐ人になじんでしまう。】

【アリ】

【四大の錬金術師(四大元素の地水風火を操るから。)】

【趣味は読書(錬金術の本)。手の甲に錬成陣の刺青があり、それで錬成をする。「国家錬金術師になる!」と家を飛び出し、みごと国家錬金術師になり、家に帰ってきた。14歳】


【名前と性別】アスカ・クロード アオイ様
【容姿】黒髪のショート。赤い目。美人でモデル体型。エドと同じ年で、エドより少し身長が高い。

【性格(具体的に)】クール。いつも冷静沈着で、悪口など言われても怒らず、冷静に無視か嫌みを返す。あまり愛想がなく口数も少ないけど、無口なわけではない。
自分にも他人にも厳しいけど、優しさもちゃんと持っている。
口調に男言葉が入る時がある。

【国家資格アリ?】
ない。優秀な錬金術師なので何度も誘いはうけてるけど断ってる。
万事屋の仕事として軍の事件解決の依頼を受けたりするので、軍に知り合いがいる。

【備考(趣味・特技・嫌いなものetc)】
 錬金術は基本の錬金術と遠隔錬金術ができる。自分のいる場所から見える範囲までならどこでも錬金術を発動できる。普段は錬成陣が描かれた指輪を使ってる。でも、なくしたり盗られたりした時のために体中に錬成陣を描いたアイテムを隠し持っている。
武術と剣術も得意。

イズミが先生。なのでエドとアルは兄弟子。2人より後に弟子になった。アルは素直に尊敬していて仲が良い。エドは錬金術は尊敬するけどその他(性格とか)は尊敬してない。短気で子供だよなと思ってる。

 普段は自由気ままに旅をしながら万事屋をやっていて、人探しから事件解決まで幅広くやっている。子供が相手でも依頼を受けるのでわりと評判はいい。万事屋をしながら錬金術について調べている。
 見た目に寄らず綺麗なもの、かわいいもの好き。動物やシンプルでかっこいい服が好き。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.17 )
日時: 2010/01/22 23:23
名前: rumika ◆GU/3ByX.m. (ID: 9FUTKoq7)

オリキャラ募集、再開です^^
出るのは遅めです。

【名前と性別】

【容姿】

【性格(具体的に)】

【錬金術師? ホムンクルス? 軍人?】

【国家資格アリ? あリの場合は二つ名を下さい!】

【ホムンクルスの場合、罪の名前は?】

【使える能力(錬金術・武器)について】

【備考(趣味・特技・嫌いなものetc)】

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.18 )
日時: 2010/01/23 13:07
名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: DVpsznMY)

こんにちわ!
なんだか、サイト、全体的に変わりましたね;
はっきり言って、ちょっと小説が読みづらいような・・・(おい

おお、キャラ紹介ですね!
相変わらず表現がお上手で・・・^^

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.19 )
日時: 2010/01/25 22:20
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

「ねえ……ここって本当にルクの村?」

 あむは鉄格子の外を丹念に見ながら言った。
 外では通りすがりの人々が、好奇の目であむたちを見つめながら歩いている。
 昼間まで誰もいなかったはずの村なのに、夜になり突然人が現れると言うのはおかしい話だ。しかもその人々の恰好は明らかに旅の服装ではない。

「ああ、ルクの村だ。ルクじゃなかったら、どこだって言うんだ?」

 シンが答えた。退屈なのか、大きな欠伸をしているし、頭の後ろで手を組んでだるそうな表情で壁に寄りかかっている。

「そうだよね。……ラン、ミキ。あたしが気絶してから、何があったの?」

 あむが尋ねると、二人は難しい顔をした。
 そしてう〜んと唸り始める。しばらく唸ったのち、始めにランが口を開く。横でミキはまだうーうーとロダンの「考える人」の状態に陥っている。

「あのね……あむちゃんは気を失ってから、あたしたちは、ジュリエットにこの牢屋に閉じ込められちゃったの。錬金術で鉄の棒を直して、鍵もかけたのもジュリエットなんだよ」

 ランが言いきった後、ミキは唸るのをやめた。そのままランの言葉を継ぐ。

「で、問題はここから先。太陽が沈んだ途端、ルクの町は蘇ったんだ」
「へ? 蘇ったってどういう意味?」
「あのね。お日様が沈んだら、ルクの町が急にピカ〜って光ったの。光が終わって何だろうって外を見たら、今の町みたいになってたの!」

 興奮気味に話すラン。その話が終わった時、あむは顎に手をあて、考えるポーズを取った。
 
 昼間は滅んでいたルク、夜は普通の町のルク。
 滅んだ町は決して蘇らない。人が手を加えない限り。それが蘇ったということは、誰かが何かをしたのだ……誰かも何かもわからない。が、一つだけ思いつくことがあった。
 シスターさんが言っていた「病気や怪我を治せたり、水をワインに変えられる『奇跡の石』」——つまり、賢者の石。

「この町に賢者の石があるんじゃないかな」

 その時、シンの眉が動いたのにあむは気づいていなかった。

〜つづく〜
すいません! 今日は塾です;;
続きは火曜日になりそうです。

 
 


 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.20 )
日時: 2010/01/23 15:26
名前: ルミカ ◆GU/3ByX.m. (ID: 9FUTKoq7)

ラッピー様
気づいたら、大幅に変わっていましたね……
確かに見づらくなったかも(ゑ?)
キャラ紹介は相当暴走しました。普通じゃ面白くないので工夫してみましたが、逆に崩壊。あははって感じです^^;

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.21 )
日時: 2010/01/23 20:08
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: oq0pGGOm)

お久〜♪

最近見れなかった・・・
改めて見ると、やっぱスゲー文才!
ルミカの小説読みやすくていいよね☆
惚れてまうやろー!!!(ぉぃ

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.22 )
日時: 2010/01/23 20:28
名前: キナコ☆ (ID: krXosEAU)

【名前と性別】
セイ・エノル ♀ 17歳

【容姿】
黒髪のショートに茶色っぽい黒の瞳。
白いコートを着ている。
身長がかなり大きい。両足が機械鎧。

【性格(具体的に)】
明るい少女でいつも笑っているような少女。
でもかなりの面倒くさがり屋。いたずら好きでかなりのS。
自分は人に絶対に心配をかけない。面倒見がよく小さい子からかなり人気。だけど短気な子が苦手。
自分と同じ事をした人間に対してはかなり優しい。
人によく相談される。だけど自分の心配は誰にも話さず自分1人で抱え込む。

【国家資格アリ? あリの場合は二つ名を下さい!】
アリ。心の錬金術師。

【ホムンクルスの場合、罪の名前は?】

【使える能力(錬金術・武器)について】
人の心を読んだり操作したりできる錬金術。よく人の心を読んだりして嫌がらせしたりする。

【備考(趣味・特技・嫌いなものetc)】
過去に妹を人体錬成した。「アレ」を見た。両足を持っていかれそれを悔やむ。だけどあまりそれを表には出さない。「性格」にも書いたが人に心配をかけずよく1人で抱え込み影でいつも泣いている。
趣味は人の心を読んで遊ぶこと。これは自分でも悪だと思っている。特技は錬金術。かなり錬金術が得意。虫が大の嫌いで見つけると大声で叫ぶ。それと大総統の正体を知っていて味方のふりをしている。そういうのが大の嫌い。簡単に言うと裏切る仲間は許さない。

約束☆のオリキャラです!
よければ使ってくださいね☆

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.23 )
日時: 2010/01/26 17:56
名前: rumika ◆GU/3ByX.m. (ID: 9FUTKoq7)
参照: 今日も塾です! すいません><

「お嬢ちゃん。賢者の石を探しているのか?」

 シンの低い声がし、あむは驚いて振り返った。
 だるそうな表情が一変し、鋭い眼光を宿す冷たい表情になっていた。

「はい。探しています」

 それでも鋭い眼光を跳ね返すように、あむは力を込めて答える。
 シンは冷静な顔を崩さず、壁に寄り掛かるのを止め、起き上がった。床にあぐらをかいた姿勢で、あむたちを見つめる。何だか一昔前のお父さんのようだ。

「石を求める理由……何故だ? 金や宝石が目当てか?」
「ち、違います! あたしは…あたしは…だって、その…」

 あむはしどろもどろになった。
 「別の世界から来ました」なんて言って、誰が信じてくれるのだろう。脳裏に自然とシンが嘲笑う様子が、浮かんでくる。

「絶対に信じてもらえません。馬鹿らしくて、おかしすぎますから」
「ほー……」

〜つづく〜
ぎゃあああ! また合唱祭で書けなかった;;
しかもこれから塾があるので、明日修正します!
コメント返しもまた明日です!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.24 )
日時: 2010/01/26 18:06
名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: .3t6TJMo)

うはああああ、こっちも忙しくてなかなか来れません^^;
明日は数学のテストだし、どーしよー! って感じです;
PC、まだ10分くらいしかやってないんですけど勉強してきます^^;
短文すみませんでした;

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.25 )
日時: 2010/01/29 23:38
名前: rumika ◆GU/3ByX.m. (ID: 9FUTKoq7)
参照: 明日に絶対コメントを返します!

 シンは身体をゆっくりと起こすと、床にあぐらをかいて座った。瞳も冷たいものから、好奇に満ち溢れたものへと変わる。

「訳ありだな? 俺が今まで見てきたやつらは、大抵金のために賢者の石を求めていた。賢者の石を使い、金を練成し…大金持ちになるそんな野望に満ちていた。だが、お嬢ちゃんは違うようだな。どうしても……賢者の石がないと、困る。そんな感じだな?」
「はい……」

 あむは力なく答えた。するとシンは、あむをまっすぐに見つめた。

「話してくれ。あの世への土産だ。誰にも話すつもりはないし、笑うつもりもない」
「本当ですか?」

 あむが不安に満ちた顔でシンを見た。
 するとランが急に、どこから出したのだろう。ハートマークが描かれたホイッスルを吹いた。辺りの静寂を切り裂いていく。吹き終わるといらついた表情で、

「くよくよタイムは終了!」

 と腹の底から声を出して叫んだ。

「あむちゃん! いつまでくよくよしてるの? はっきり言っちゃいなよ」

 あむが呆然とする横で、ミキもまた叱るような口調で言う。

「あむちゃん、勝手に一人だと思い込まないでよ。おかしくて、馬鹿馬鹿しいことを言うのはボクたちも同じ」
「そうそう! み〜んながあむちゃんを馬鹿にしても、あたしたち「しゅごキャラ」はあむちゃんの味方だよ! うそを言っていないってわかるよ」

——忘れていた。あたしはこの世界に放り出されてから、ずっと一人で悩みを抱えていた。周りの人は全て他人。異世界トリップと言う、オカルトのような現実。オカルトを否定するエド。頼れる人なんていなかった。でもここに頼れる人はいた。もう一人の”あたし”。
 あたしの全部を知っている子。いつだってあたしのことを守ってくれる子。それはとっても曖昧で。信じていなければすぐに消えてしまう、はかない存在。ここであたしが信じなければ、きっと消えてしまう。

「…シンさん。あたしたちは別の世界から来ました」
「べ、別の世界?」

 シンが、よくわからないと言わんばかりに大きく目を見開いて尋ねる。当然のことだろう。「異世界」は身近な話題ではないからだ。
 しかし、あむは静かな口調で続ける。

「あたしは、錬金術がない世界から来ました」

〜つづく〜
また×2中途半端;;
合唱際の練習の後、これから塾です;;
コメントは明日絶対返します! さぼっていてすいません;;

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.26 )
日時: 2010/01/29 20:49
名前: アル ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

初めまして! とてもおもしろかったです!
これからも頑張ってください!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.27 )
日時: 2010/01/30 15:23
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)
参照: あむちゃんキャラ崩壊してない?

「…そうか。それで?」
「あたしたちは、元の世界に帰るために賢者の石を探しています。なんでもホウソクを無視して錬成が出来るって聞いたので、使えるかな……って」

 黙って聞いていたシンは、うんうんと頷いた。そして険しい顔つきで、

「賢者の石は”等価交換”の原則を無視できる。ひょっとして、異世界への道を作り出せるかもしれないな」

 と言った。しかし”等価交換”がわからないあむは、頭に疑問符を浮かべてしまう。と、灯火? 糖化? 頭の中で多くの漢字が、泡のように浮かんでは消えていく。だがそれも『交換』の言葉につなげられない。
 無駄に考えているあむを見かねたのか、ミキが尋ねる。

「等価交換って?」
「お嬢ちゃんたち、石を求めているのに『等価交換』の原則を知らないのか? 錬金術の基本だぞ?」

 シンが怪訝な顔をして三人を見やる。
 また錬金術? とあむは小声でつぶやくと、苦笑いをしながら答える。

「よくわかりません。物質を変化させる術ですよね?」
「ああ。一つのものを加工し、別のものにする。それが錬金術。…まあそれがわかっているんだったら、大丈夫だろうな。錬金術は、お嬢ちゃんたちにとってどう見える?」
「はいは〜い! 魔法! だってラジオを簡単に直せたり、壁に扉を作ったりできるよ!」

 ランが元気よく手を上げて返答をした。授業中によく手を上げる子供のようだ。

「それが一般的だな。錬金術は壊れたものを何でも直せる、何でも作れる。錬金術を知らない人間は、大抵そう思っているな。だが錬金術にも法則……つまりルールが、いくつかあるんだ」
「その内の一つが”等価交換”ですか?」
「そうだ」

 シンは指をパチンと鳴らした。

「『何かを得るためには、同等の対価を支払わなければならない』それが等価交換さ。例えば……勉強ができるようになりたかったら、できるようになるまで努力しろってことだ。努力という代償を払って、「成績がいい自分」を手に入れるってことだな」

 そこまで言うと、シンはふーっと長い溜息をついた。そして表情が、寂しげになる。

「お嬢ちゃん……元の世界に帰りたい気持ちはわかるが、賢者の石は求めない方がいい」
「え!? なんで?」

 いきなりの発言に驚いたあむは、口調がうっかり素の状態になってしまった。だがそんなことを気にしている暇がないくらいに焦る。
 せっかく手に入れた「石」の情報を手放したくない。

「俺はかつて「マルコー」と言う医師のもとで、賢者の石の研究をしていたことがある。研究をしていたある日、マルコー医師、そして俺たちは賢者の石を、『ある材料』を使えば錬金術で作り出せることを発見した。いやしてしまったんだ」

 話すシンの顔は青トマトのようにまっさおだ。何か嫌なことを思い出しているらしい。冷静を装っているが、唇からは血の気がうせている。心なしか身体も震えているように見える。
 
「錬金術で作り出せるんですか!?」
「ああ。だがあくまで『不完全』なものだ。本物に近い偽物……と言えばいいのか。ある程度は等価交換を無視して錬成が出来るが、使いすぎると壊れてしまう」

 話を聞いていたランがあ〜! と大きな声で叫ぶ。

「それ、コロネ教主が使ってたよ!」
「コロネじゃなくって。コ—ネロでしょ」

 漫画なら汗マークを垂らしているだろう。あむは呆れた口調で言った。ランは特に気にしていないらしく、ごめ〜ん。コ—ネロ教主だったね。と明るい口調で訂正した。

「見て来たのならわかるはずだ。あんなものを求めてはいけない」
「で、でも! あたしは石にしか頼れないんです。教えてください! 元の世界に帰りたいんです!」

 あむは必死に懇願した。するとシンは、重々しい口を開いた。

「……お嬢ちゃんが帰りたい気持ちはよくわかる。だが、石の材料は——」

 ——世の中には知らない方がいいこともある。知ってから、後悔しても遅い。

〜つづく〜
ルク編遅! あと3日で完結できたら、したいと思っています;;
オリキャラ出すって言って遅くなってすいません! 絶対いい場面で出す〜なんて思っていたら、こんな日に! 次回出します!



 


 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.28 )
日時: 2010/01/30 15:21
名前: キナコ☆ (ID: LqogUCyT)

更新お疲れ様です^^
やっぱり面白いですね!
あむちゃん可愛いし♪

頑張ってください☆

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.29 )
日時: 2010/01/30 16:14
名前: 瑠美可 ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

コメント返し
マユ
ゑ? ダメ小説の間違いだと思うよv
梨花「それよりひぐらしを書きなさい。いつまで挫折しているの?」
マユのひぐらしのほうがよっぽど素晴らしいよ! うちこそ惚れさせてください(何故)

キナコ☆
オリキャラありがとう!
そっちでもフレデリカを出してくれて、天クスです!向こうにはコメントが出来ないから、今度改めて言いに行くね♪ あとがきで頑張って出してみる……

ラッピー様
最近向こうに行けなくてすいません;; 
短文でもコメントを下さるだけでとても嬉しいです!
テストはどうでしたか?
私は合唱祭で死にます;; 2月8日にあるんですが——。3年生は自由参加なのに、2年生は強制参加……推薦狙いの子は来年も出る気みたいですが、受験する子は今回が最後なのでクラス全体が盛り上がっています。帰ったら白い目で見られる、ってかなりぴりぴりした空気が漂っております。毎日6時近く……練習。朝連。…お互い頑張りましょう;;

アル様
初めまして。こんなダメ小説にコメントしていただきありがとうございます^^ アル様のお陰で励みになります! よかったら、またお越しくださいです☆(誰v)

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.30 )
日時: 2010/01/30 16:47
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: bdnyFill)

いつになく進んでおりますな!(誰w

梨花「あんたが更新しないだけよ」
エド「まったくだぜ」(何かいる←
うっさいチビッ!
エド「チビとは何だー!!チビとはぁぁッ!!」
梨花「まったく・・・」

いやいや、ウチも惨劇ネタがね
考えても文章にしにくいんだよ、これがさ〜
だから、ゲームを参考にしてる☆

Re: しゅごキャラ×鋼の ( No.31 )
日時: 2010/01/31 11:21
名前: アル (ID: 2AE1iE9Q)

けんじゃのいしが明かされますね! 興奮するくらい面白いです!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.32 )
日時: 2010/02/01 20:25
名前: 海冥 (ID: sluLeqWs)

面白く続きが楽しみです。

ところで、アルのキャラ設定のところに女性にもてないとありますが、原作では優しい性格故、鎧の姿でも女の子には兄よりモテるという設定だったと思いますし、小説やゲームなどでも恋心を寄せるキャラがいたと思います。
それともこの小説では違う設定なんでしょうか。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.33 )
日時: 2010/02/02 14:14
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

コメント返し

マユ
こっちは異様にネタが思いつく(何故か)
ひぐらしは最後のシーンが思い浮かばない;; ゲームは親に売られたし、参考にできるものが……!

梨花「ひぐらし進めなさい!」
エド「ってか俺を出せ! 俺を出せ! あむばっかり目立ちすぎだ!」

アル様
いつもありがとうございます!
賢者の石のことは知っている方が大部分だと思うので、イライラさせていたら申し訳ありません;;

海冥様
初めまして^^ コメントありがとうございます。えとご指摘の点。アルの設定ですが、あの紹介の仕方はギャグです。私が悪ノリしているだけです。ふざけて書いていたのですが、今となって読み返すと最悪ですね;; 修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.34 )
日時: 2010/02/10 16:49
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)

「生きた人間だ」
「……う、嘘っ」

 それを聞いたあむの顔は、みるみるうちに青ざめていった。求めていた希望が絶望に変わる瞬間……信じていたものが崩れる瞬間でもあった。

「お嬢ちゃんは誰かを殺してまで、元の世界に帰りたいのかい?」
「そんなこと…そんなこと、できるわけない!」

 かっとなったあむは、つい怒鳴ってしまう。
 人を殺してはいけないことは、学校でさんざん教わってきた。かつて先生がこう言っていた。

『殺された人にも、人生があった。もし生きていたら、君たちと同じように、普通に生きていたはずなんだ。人を殺すということは、他人の人生を壊すことなんだよ』

 だから人殺しはいけない……

「だったら他の方法を探すんだな」

 その言葉にランたちが続く。

「そうそう! まだ帰れないって決まったわけじゃないよ」
「ボクたちはボク達で、別の方法を探そうよ。誰かを犠牲にしない、ね」

 シンの言葉はあっさりしているが、優しい口調に感じられた。励ますように言ってくれるランとミキの言葉もそうだ。じわじわと氷が溶けるような、温かい言葉たちだった。
 心が溶かされていくのを感じながら、あむはポケットに手を突っ込んだ。エドの銀時計を引っ張り出す。銀時計は暗闇の中でも、月光を跳ね返し鈍く光り輝いていた。

「立って歩け。前に進め。あんたには、立派な足が付いているじゃないか」

 銀時計を見つめながら、自分に言い聞かせるように呟いた。そして覚悟を決めるように、あむはぎゅっと銀時計を強く握りしめた。

「あたし、探すよ。元の世界に戻れる方法を」
 
 脳裏に唯世たちを思い浮かべながら、強く言った。すると横からシンの声が飛んできた。

「だったら、その前にルクの村を救ってくれないか?」
「は?」
「え?」

 あむとランの声が被った。ミキがとてもわざとらしく尋ねる。

「ボクたち正義のヒーローってこと?」
「ある意味でな。村のことは知っているだろう? 数ヶ月前に大量殺人事件があり、村人は全員ジュリエットによって皆殺しにされた。もちろん、俺も殺された一人に入る」
「それは知っていますけど……死んでいるんだったら、何で話せるんですか?」

 あむは冗談めかして言った。
 するとシンはにやにやと不敵な笑みを浮かべ、3人を順に見やった。

「蘇ったからだ。ジュリエットの、賢者の石の力によって蘇られさせたのさ」
「え! 石ってそんなことまでできちゃうんですか?」
「正確には……それと違う石によるもの。だけどな。おじょうちゃんを巻き込んでやろうとしている」
〜つづく〜
 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.35 )
日時: 2010/02/22 23:36
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)
参照: 2月5日までお休みします;;

「ジュリエット!」

 自分を牢屋へ放り込んだ相手の名を聞き、あむはいきり立った。すぐにランが落ち着いてよ〜となだめに入る。

「あいつのことだ。お嬢ちゃんを、賢者の石の材料にするつもりだろう。なあ。気絶していた間、夢を見ていただろう? 内容は知らないが、とても幸せな夢だったはずだ」
「え!? どうしてそれを……」

 誰にも話していないのに。言ってないのに。夢を見ていたことをぴたりと言い当てられ、あむはびっくり仰天した。
 驚いたあむの表情を楽しそうに見ながら、シンは言葉をつづける。

「ジュリエットはな、資格こそ剥奪されているが『国家錬金術師』だったのさ。二つ名は忘れたが……あいつの得意技は相手に『幻影』を見せることだ。幸せな幻を見せ、相手を自分の世界に永遠に捕える。ま、最もそれは賢者の石の力によるものだがな。人に見せる幻なんてコントロールできるはずがない。……要はお嬢ちゃんに幻を見せ、抵抗されないうちに賢者の石にするつもりってことだ」
「じゃあ……あたしは、このままだと賢者の石にされちゃうってこと!?」

 シンは軽くうなずく。
 するとあむはすくっと立ち上がった。牢屋の出入り口に近づくと、鉄格子をひっぱったり、拳で何度も叩いたりした。しかし鉄の棒は、何事もないかのように立ち続けている。ぴくりともしない。

「あむちゃん?」

 不安そうに尋ねるランの声を背に、あむは続ける。

「ぼーっとしたって、何も始まらないじゃん。賢者の石にされるくらいだったら、行動してた方がいいでしょ」

 その言葉を聞いていたシンが再び口を開く。

「だったら村を救ってくれ。俺たちは散々だ。死んでいるのに、勝手に蘇らされて賢者の石づくりに加担させられている……まあ俺のせいでもあるんだがな」

 静かな口調だが、悲痛な思いも抱えられていた。そのことを察したのか、あむは棒を攻撃するのを止めた。シンに向き直る。

「どういうことですか?」

 シンは長い溜息を吐いた。そして目を伏せがちに、話し始めた。

「俺は『サイン・ストーン』と呼ばれる石を持っているんだが、どうもそいつが賢者の石の力を増幅させてしまっているらしい。この町の中だけ、人々が蘇っている。……もちろん村の外に出れば、みんな死ぬが、な」
「サイン・ストーン? なんだかすごそうな石だね。それがあれば、賢者の石の代わりになるかな」

 ランは、思ったことを素直に述べただけだろう。だが、それはシンに何かを気付かせたらしい。顎に手をあて、考えるシチュレーションを取り始めた。

「お嬢ちゃんになら、託してもいいかもな。いいか……」

 その時だった。獣が鳴くような声が聞こえた。かなり近い。

「な、なに?」

 不安そうな表情をすると、あむは辺りを見渡した。その直後、恐怖で目が限界まで見開かれる。鉄格子の外に恐ろしいものが見えたからだ。
 ゆっくりと近づいてくる一匹の獣が見える。近づくそれは、高さ4mは余裕でありそうなヤギだった。瞳は血の色をしていて、月明かりを受け不気味にぎらついていた。そしてその背にはコウモリの様な翼。——キメラ、と言う表現がよく似あう。

「ククク……ミツケタワヨ『サイン・ストーン』。アンタタチミンナ、ケンジャノイシニシテアゲル」

 近づくキメラから、低い女性の様な声が聞こえた。随分余裕そうな言い方に、あむはかちんと来る。牢屋の鉄格子をつかむと、思いっきり怒声を上げた。

「はあ!? なんで賢者の石にならないといけないのよ!」
「アタシノタメヨ。アタシハ、イツマデモ、ウツクシクイタイ。アタシノタメニ、ソノイノチヲ、ササゲナサイ!」

 ヤギの翼が、羽ばたこうとするかのように開いた。そして上下に動いた。とたんすざまじい空気の流れが生まれ、檻の中にいた全員を襲った。

「きゃあ!」

 あむの身体はふわりと持ち上がり、そのまま背後の壁に激突した。背に痛みが走るが、何とかこらえる。 小さいランとミキは、天井にへばりついている。だがその天井にも、縦横無尽にヒビが入り始めている。このままでは確実に生き埋めにされてしまう。

「あのヤギ何なの……」
「多分ジュリエットだ。賢者の石を使って、自分の姿を化けものに錬成したんだな」

 ようやく風はやんだ。が、とうとうヒビが入った天井から、小石が落ち始めた。ゆっくりだった石の落ち方が、だんだん早くなっていく。

「ど、どうしよう……」

 ランとミキは風がやんだすきに逃げだし、あむのポーチの中に無理やり潜り込んでいった。
 言っている間に今度は大石が落ち始めた。完全に崩落が始ってしまった。シンの姿が消えていく。

「お嬢ちゃん! サイン・ストーンは、あの血の池の中だ! 村を頼む!」

 シンの声を聞いたと思った。しかしその刹那、あむの視界で白い光が弾けた。稲妻にも似た、真っ白い光だった。思わず目を閉じる。続けて、誰かに腕を掴まれるのを、はっきりと感じた。そして強い力で手繰り寄せられる。当たる小石が痛い。
 誰が……誰が。あたしをどこに連れていくの?
 


 石が当たる痛みを感じなくなり、あむはようやく目を開いた。
 そこは牢屋の裏手らしい。牢屋を作っていたはずの壁は、大小さまざまな瓦礫へと変貌を遂げ、積み重なっている。シンは、恐らく下敷きになってしまったのだろう。この様子では助かっていないだろう。

「シンさん」

 あむは鼻の奥がつーんとした。しかし今は泣いている場合ではない。村を救わなくては……シンとの約束を果たさなければ……使命感から四肢で動こうとした時。

「大丈夫?」

 声に気づいたあむは一度身体を起こした。
 まだ若い、十代半ばの少女。艶やかな黒髪のショート・ヘアーと、ジュリエットより明るめな赤い瞳が目立つ。目鼻立ちも整っていて、あむでもわかる程の美人だ。さらにモデルと呼んでも、差し支えがないような身体をしている。背はすらっとしていて、長身。しかも痩せている。きっとモテモテなんだろうな、とあむは嫉妬とも尊敬とも呼べる、複雑な感情を抱いた。

「私はアスカ・クロード。助かってよかったわね」
 
 よかったと口では言っているが、顔に安堵の表情は見られない。むしろ真面目な顔のままだ。

「あ、ありがとうございます。私は日奈森 亜夢って言います」
「知っているわ。外国式なんでしょう? 名乗るなら今度から「亜夢 日奈森」と名乗るべきね」

〜つづく〜
ちゅうと半端ですが、ようやくアスカさんを出しました。展開も強引だし、わかりづらくてすいません;;もう少しで必ず終わらせます!
上に書きましたが、3,4日は旅行でお休みします。私の学校、2月の頭は受験休みで、今5連休のまっさい中です。



 
 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.36 )
日時: 2010/02/02 16:03
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

番外編① バレンタイン企画
エド&ウインリィの場合

 「まったく……」

 二月の寒空の下、ウインリィはため息をついた。リゼンブール(*エド・アルの故郷)の冬は厳しい。夏は涼しいが、冬は切るように寒い。吐く息は白くなり、手先から感覚が失われている。

「せっかく帰ってきたのに、オートメイルを壊すなんて。何考えてんのよ……」

 文句を言いながら、ウインリィは自分の手元に視線を落とす。そこには、チェック柄でラッピングされた小さい箱が握られていた。英語で『エドへ』と書かれた、小さなシールが貼られている。

「バレンタインだから作ったけど……どうしよっかな〜」

 星空を見上げながら、ウインリィは数か月前の会話を思い出していた。
 数か月前エドがオートメイルをぶっ壊し、リゼンブールに戻ってきたときがあった。その時、何の流れか忘れたが、あむのしゅごキャラ達に「バレンタイン」の話を聞いたのだ。


「バレンタイン? そんな日があるんだ」

 ウインリィは目を丸くして言った。

「そうですぅ。女の子が、大好きな男の子にチョコレートを渡す日なんですよぉ」
「要は、誰か大切な人にプレゼントを送る日ってことだよ。友達とか家族とか……男の子じゃない人にあげている人だっているし」

 スゥとミキが、にこにこしながら答えた。
 すると横から、ランが

「ウインリィは、エドにチョコレートをあげるんでしょ?」

 と気を使う素振りも見せず、聞いてきた。
 ウインリィは、ちょっと顔を赤らめながら顔の前で手を何回も振る。

「え? やだやだ。エドに限定しないでよ。大切な人って言ったら、ばっちゃんやアル……あむに、ラン・ミキ・スゥだって入るわよ」

 指を折り、人の数を数えながら、ウインリィは楽しそうに話す。実際、頭の中では、2月14日にみんなにシチューでも作ろうかな……と考えを巡らせていた。

「あたしが言いたいのは、本命チョコ!」

 ランが不満そうに声を荒げた。本命の言葉を知らないウインリィは、難しい顔を作る。

「ほ、本命?」
「そう! 友達にあげるのは「友チョコ」だけど、好きな人にあげるのは「本命チョコ」なんだよ」
「へ〜……」

 納得しながら、ウインリィの脳裏にはエドが浮かんでいた。慌てて頭を振り、その映像を消す。

「まあ中身は変わらないけどね。あむちゃんなんて、友チョコも本命チョコも外見変わらなかったし」
「あ、そういえばあむちゃんは、今年の本命チョコ誰にあげるんだろうね。やっぱりアルかな? エドとは喧嘩ばっかりだもん」
「そうですねぇ」
「あたしの本命……」

 やっぱりエドが脳裏に浮かぶ。しかも最高に笑った顔で。
 もう! どうしてこんなにもエドが思い浮かぶのよ……背は低いし、オートメイルは壊すし、どうしてあいつが……
 脳内で葛藤中のウイリンリィ。それをしゅごキャラたちは不思議そうに見つめていた。

「ウインリィ?」

 心配そうに覗き込むミキの顔が、飛び込んできた。ウインリィははっとした表情を浮かべると、すぐに笑い飛ばそうとする。

「大丈夫よ! あはは」
「素直になりなよ! 素直じゃない子は、素直な良い子にキャラチェ〜ンジ!」
「エド〜! あたし……」

 そこから先は思い出すだけで恥ずかしい。
 キャラチェンジの力は恐ろしすぎる……あむの苦悩がよくわかる日でもあった。



「おい。ウインリィ」

 誰かに肩をたたかれ、ウインリィは驚いて振り向いた。その後ろにはエドがいた。手に何やら小さい袋を大事そうに持っている。

「あ? なに、エド?」
「そ…その…こ、これ。受け取れ!」

 エドは大事そうに持っていた袋を、乱暴に突き出した。
 一度ウインリィをちらりと見ただけで、後は視線をそらしてしまう。

「あ、ありがと」

 軽くお礼を言うと、自分のプレゼントは下に置く。ウインリィは、恐々(こわごわ)と差し出された袋をしっかり受け取った。

「開けていい?」
「お、おう」

 エドの顔はすっかり赤らんでいる。酔ってるのか?
 その横でウインリィは、袋をあけた。中にはしゃれている、銀色のペンダントが収められていた。星型の部分には「ウインリィ」と小さく刻まれている。

「わあ! かわいい!」
「今日って、大切な人にプレゼントを贈る日なんだろ。……ミキに選んでもらった」

 エドのセンスは良く言えば個性的、悪く言えば人とはかけ離れている。ミキにでも頼まないと、おかしいプレゼントを買ってくるであろうことは、長い付き合いで、知りすぎるほど知っている。

「あ、あたしも! これ……」

 ウインリィは、ようやく小さい箱をエドに差し出した。エドは、それをひったくるように持って行った。視線は相変わらず。
 やっと渡せてよかった……と、安堵するウインリィの横で、箱をしみじみと見ていたエドは一言。

「食えるのか、これ?」
「文句あるんだったら食べなくていいわよ。アルにあげるから」

 当のアルは、今頃あむにチョコレートを渡されているはずだ。

「エドにあげるの? じゃあ。あたしはアルにあげるから、二人きりでしっかりやってよ」

 あむも協力済み。どんだけ手が込んでいるんだ。
 
 エドはラッピングを器用に剥がすと、ハート形のチョコレートにがぶりと食いついた。するとエドの表情が、金色の瞳に光が宿った。

「……美味いよ」

……一方その頃。

「兄さん、ボクこの身体になって初めてチョコレートをもらったよ!」

 ロックベル家の中では、目を輝かしてはしゃぎまくるアルの姿があった。

〜終わり〜
変形エドウィン小説でした。遅くなってすいません!
雪兎さま好みにできていたでしょうか><

しゅごキャラを混ぜてみましたが、違和感ありすぎ。純粋小説も書けたら書きたいと思っていますが、CP小説は苦手です;; 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.37 )
日時: 2010/02/02 16:33
名前: 千愛 ◆HnWJAB1yj2 (ID: R/M39rbJ)

     †鑑定結果†

・!?は変換して使いましょう。
(例)!?

・!や?は変換して使わなくてもいいんですよ^^

・数字は漢数字か普通の数字かどちらかにしたほうがいいです♪

・三点リーダーは偶数セッとで使いましょう。

・話の内容は面白いです!

・背景やその場所の想像がしやすいです!


 アドバイス

・原作を知らない人にもわかりやすくするには、用語辞典などを作ってみてはいかがでしょうか?


 一言

・わかりやすいいい小説ですね♪
続き頑張ってください(*´▽`)ノ

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.38 )
日時: 2010/02/02 18:25
名前: アル ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

続きがとても気になります!
旅行、気をつけて行ってきてください!!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.39 )
日時: 2010/02/02 18:26
名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: 6zao/Ohq)

こんにちは!
またまた短文になりそうなんですけど、急ぎでコメントします^^;
えっと、なんとか先週の金曜に漢検が終了しました><
4級なので、なんとか出来たんですけど自信はないです^^;
そして、2月6日から2月31日(テスト終了日)まで期末テスト準備期間なんです;
「チャレンジ60」といって、期末テストが終わるまでに全部で60時間勉強しなくてはならないんですよ;;
来週からは、一週間に2回くらいしかPCできないかもです^^;

小説、ますます表現力がのびていますね!
羨ましい限りです! 参考にしたくても、私にはレベルが高すぎて出来ません゜O゜

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.40 )
日時: 2010/02/02 19:47
名前: 海冥 (ID: sluLeqWs)

果たしてこれからどうなるんでしょう。
そしてえど達と行動を共にする時は来るのでしょうか。

ところで、ルミカさんは某サイトで書いていらしゃる方と同一人物ですか。

もしそうなら、そこでやられているCPのアンケートはこの小説に反映されるのでしょうか。

これからも期待して待っています。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.41 )
日時: 2010/02/06 16:55
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)

「どうしてあたしの名前を知っているんですか」

 あむは少しむっとしながら問う。だがアスカはというと、冷静な表情をまったく崩さない。子供が怒っているだけね、と言わんばかり余裕の表情だった。

「シスターさんに頼まれたのよ。……まあ元々ここに来た理由は別にあるけどね。さっきあなたを襲った化け物……ジュリエット・ガーギャの逮捕」
「ジュリエットを逮捕!? でもあの人は自殺したって新聞に書いてあったよ」
 
 ランが驚いて尋ねる。するとアスカはやれやれといわんばかりにため息をついて見せた。

「あれは偽装工作。どうも事件を担当した医師が、一枚かんでいたらしくってね。軍は見事に騙されたの」
「じゃあ、あのヤギは!」

 シンの言葉を思い出す。
 賢者の石によって変身したジュリエットだと——じ

「私はジュリエットを捕えるわ。あむはどうするの?」
「あ、あたしも戦う! シンさんに村を頼むって言われたから」

 
 アスカに尋ねられ、あむは怖い気持ちを必死に抑えながら強く言い放った。それを聞いたアスカは、小さくうなずく。そしてかなりの小声で

「いいかしら? 私が先に行くから、合図するまで隠れていなさい」

 と一気に言った。アスカは様子を覗う(うかがう)ように半立ちになると、そのまま立ち上がる。
 大きな生物が近づき、辺りは何度も揺れていた。

〜つづく〜

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.42 )
日時: 2010/02/06 18:19
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=FOAVCJYOJhU&feature=related

「ククク。カクレテイテモ、ムダダ。オンナ5ニン、ロウヤのウラテニイル」

 低いエコーがかかったようなジュリエットの声。
 それが聞こえ、ようやくランとミキが、ポーチから顔を出した。二人で抱き合い、ひえ〜と心底怯えた声を出している。ガタガタと震えているのが、はっきりと見えた。

「向こうから出てきてくれたわね」

 言いながら、アスカは完全に立ち上がった。
 そして身軽に瓦礫の上を進み、ジュリエットの前に立ちふさがる。ジュリエットは前足を血の池につっこみ、ようやく静止する。地響きが収まり、赤い雫が夜の空に舞った。

「サイン・ストーンヲサガスマエニ、マトメテクッテヤル」

 ぐるると荒い鼻息を出しながら、ジュリエットは首を左右に動かした。恐らくあむを探しているのだろう。

「だったら食われる前に倒す」

 そうアスカが言うやいなや、また白い光が。錬金術特有の光が辺りに走った。途端砂が動き始める。まるで意思を持つかのように。砂はジュリエットの足元でゆっくりと渦を作り、確実に彼女の四本足を沈めて行った。

「ク、ナニヲシタ」

 沈んでいくジュリエットは苦しそうに、羽を何度もばたつかせた。その度に風が起き、砂煙を生み出していく。

「あむ。そろそろいいわよ」

 アスカの呼び声に気づいたあむは、首元に手を入れ中から何かを引っ張り出した。
 それはチェーンが通された透明な錠だった。前面には四つ葉が浮かびあがるように彫られ、真中に鍵穴が開いている。——ハンプティ・ロックだ。

「シンさん。あたし、ジュリエットと戦います。錬金術はできないけど、やれることをやります。だから……」

 あむは祈るようにロックを強く握りしめた。そしてきっとジュリエットを睨む。
 ランはミキから手を離すと、明るい表情であむに近づく。

「あ〜むちゃん!」
「だから見ていて下さい。あたしのココロ、解錠!(アン・ロック)」

 あむは錠の前で、両手の親指と人差し指を合わせ長方形を作った。そしてそれを上下に動かす。

 次の瞬間、あむの身体は光に包まれた。背景が瓦礫から、蛍光色ケバケバしい怪しい空間へと変わる。ノリのいいBGMも流れてきた。もちろん演出。
 続いてランの上下に半分割れたしゅごたまが現れた。ランは宙でくるりと一回転し、ポーズを決める。すると割れた卵が、くっつき一つとなった。ランはその中に入ってしまう。
 後は卵が落ちていく中を、光のシルエットで裸ギリギリのあむが落ちて行く。で、何故か卵を掌(てのひら)の上に浮かしつつ、数回時計回りに回転。卵をハンプティ・ロック前に持ってくると、卵がなんと吸い込まれてしまった。そしてロックが薄いピンク色に輝く。
 最後に背景には大きなハートマーク。足元から手先まで、光の帯が衣装になっていく。そして眩い光が収まった時、

「キャラなり! アミュレット・ハート!」

〜つづく〜
初のキャラなり描写です^^ 妙に長い……
知らない方は、キャラなり? なんだそれ? と思うかもしれません。次ではっきり。
えっと変身です。プリキュアをイメージしていただけると、わかりやすいと思います。
感じは一期(どき! の前)をモチーフにしています。どきのキャラなりも好きですが、一期の方が個人的に好きです。
分かりづらい方は上の動画を見てください!
(アミュレット・ハート キャラなり動画(どき! の前の初め頃)

 
 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.43 )
日時: 2010/02/06 18:10
名前: ルミカ ◆cpySyxyN/g (ID: 9FUTKoq7)
参照: キャラなり描写長い。

かなり短文です。すいません;;

千愛様
鑑定ありがとうございました! 数字の件は気になっていましたが、やはりそうですよね:: これからも頑張っていきたいと思います。

アル様
旅行行ってきました。静岡はさむかったです;;
続きが遅れてすいません;;。

ラッピー様
ラッピー様のほうがお上手ですよ! この前で言ったら、憫笑という言葉私じゃ思いつきません。憫笑と言う言葉を逆に勉強です^^
期末テストですか・・・頑張ってください!
私は3月3日からです。全12教科。
音楽や美術もあるのでもう大変;;
私も英検4級が今日無事終了。放課後に残されて受験〜何とかなりそうです。が、来年は自信ありません;;3級は面接があるらしくって(受けた友達曰く)きんちょーです。私もしばらく来れそうにありません。気長にやっていきます。

海冥様
またまた来て下さってありがとうございます!
エドは……全然出してなくてすいません。
終わったらバルドの話に移るので、その話でエドとアルを出します。

えっとあむちゃんは、簡単にエド・アルの仲間にはなれません^^; 彼女は一般人ですから>< 
そこのところをこだわっていたら妙に長くなってしまいました;; 
展開が遅くて、イライラさせてしまったら、申し訳ありません。


はい。同一人物です。
このサイトはスレッドが良くなくってしまうので、保存の意味も込めてあちらで書いています(ただのコピーですけどね;;)。もうじき今のルクもコピーします。
アンケートの反映はするつもりでいます。
けれど落ちは最後まで秘密です♪

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.44 )
日時: 2010/02/06 18:30
名前: アル (ID: 9FUTKoq7)

おかえりなさい! トリップが被ってごめんです。
あむちゃんのキャラなりきた! うちはあみゅれっと・くろーばーが一番好き!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.45 )
日時: 2010/02/06 18:42
名前: 神無 (ID: 198grWII)

めちゃオモろやないですか〜!
はじめまして!!神無と申します!
私もハガレン大好きです!!しゅごキャラは漫画で見てます!!
私も、これの銀魂バージョン作ってるんで、見に来てください!
お気に入りに入れますね♪

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.46 )
日時: 2010/02/07 19:06
名前: アル (ID: 9FUTKoq7)

あげ! 続きも頑張ってください!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.47 )
日時: 2010/02/07 19:56
名前: 海冥 (ID: sluLeqWs)

質問に答えていただきありがとうございます。

鋼の世界は結構人が死んだりしますから、いかに×たまとかでそれなりに戦闘経験があるとしてもあむには辛いでしょうね。

これからも楽しみにしています。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.48 )
日時: 2010/02/08 17:01
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: OhjxYZN.)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=15454

>>33
う、売られた?!
それはドンマイ・・・

あとは小説かな?
最近は「相棒」て刑事ドラマ小説にハマリ中〜♪

エド「そんなの読む時間あるなら、勉強しろよな」
梨花「ちょっと、邪魔よチビ!私の出番に何してくれてんのよ!」
エド「誰がどチビじゃー!!!誰がー!!!」
羽入・あむ「「喧嘩は止めなよ(止めるのです!)」」

Re: しゅごキャラ×鋼の ( No.49 )
日時: 2010/02/08 19:03
名前: シズ (ID: 98AXyywb)

はろー! この小説面白すぎる! 頑張って。。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.50 )
日時: 2010/02/10 17:41
名前: ルミカ ◆cpySyxyN/g (ID: mOILM.Mp)

 あむの姿は変わっていた。
 全体的にチア・リーダーのような服装だ。肩が見えるピンク色のユニフォームを着用し、その下にやはりピンク色のミニスカート。ミニと言うより、超が3つくらいはつくほど短い。二つとも上下に、やや濃いめのピンクのひらひらがくっついている。そして首と腰に長めのリボンをちょう結び。結び目には、かわいらしいハートの留め金が付いている。また頭には、ランが被っているものに酷似したサンバイザーがあり、髪形もサイド・ポニーに変化していた。

「うー……またランとキャラなり?」

 アミュレット・ハートを見たミキが渋い顔をし、不満そうに言った。
 キャラなりは、一言でいえば「しゅごキャラの力を使って変身すること」だ。変身もので言う「アイテム」が「しゅごきゃら」だと思うと、いいかもしれない。古今東西の変身ヒロインのように、変身すると人並みではない力を得ることが出来る。もちろんキャラチェンジと同じで、キャラなりするしゅごキャラが違えば、姿も能力も全く異なるものになる。
 アミュレット・ハートがアスカの前に躍り出た。アスカはかすかに眉をひそめた。

「あむ? 熱でもあるんじゃないの? 趣味の悪い仮装をして。今日は特別な日じゃないわよ」

 アスカの目は間違いなく場の空気を読め。と言っている。あむはカチンときたが、別世界だから「キャラなり」がわからないんだよ〜とランの弁明を聞き、その考えをすぐに消し去った。

「ち、ちがうってば! これは『キャラなり』って言って。あたしは変身して、強くなったんだから」

 年上だから敬語で話さなければならないのだろうが、アスカには普通の口調で話してしまう。さっきからさんざん馬鹿にされているからだ。どうしても敬語で話す気になれない。

「ふーん」

 アスカは軽く返事をすると、アミュレット・ハートの姿を下から上までじっくりと見た。じろじろ見られるのは恥ずかしいが、あむはしっかり胸を張っていた。
 アミュレット・ハートをじっくりと見たアスカは、

「まあ私の足だけは引っ張らないで頂戴」

 いかにも強い人間らしいセリフを、いけしゃあしゃあと言い捨てた。そして早足でジュリエットの方へと歩き去ってしまう。

「引っ張らないわよっ」

 あむは憤怒しながらも、アスカの後を追って行った。

「グワアアア……ハナセ」

 ジュリエットの四肢は、すっかり砂の中に沈んでいた。何回も逃げ出そうともがいているようだが、砂に飲み込まれた手足が出そうな気配は全くない。アスカの錬金術で、手錠(てじょう)や足枷(あしかせ)をされたのと同じ状態に陥っているのだろう。

「あなたには軍に来てもらうわ」

 怖い化け物を前にしても、アスカは常に冷静だ。
 一方のあむは、アスカの後ろからこわごわと顔を出し、睨みつけている程度だ。ちっちゃく愛くるしい動物が、しゃ〜とライオンにでも威嚇(いかく)しているような光景である。

「ツカマッテタマルカ! ワタシホンライノチカラ、イマコソミセツケテクレルワ————————!」

 ジュリエットの羽が飛び立つかのように、大きく広がった。続いて雄たけびを上げる。耳をふさぐほどの声ではないが、オオカミの遠吠えに近い、遠くまで届きそうな済んだ鳴き声であった。
 鳴き声が終わり、しばらくして。辺りが突然明るくなった。松明(たいまつ)を持った人々が、あむたちを取り囲むようにぐるりと並んでいたからである。その数ざっと30人ほどか。皆リオールの民に似た服装をしている。

「危ないですよ!」

 あむは声を張り上げて、注意した。
 しかし人々は何も言わず、ぼんやりと立ちつくしているだけだ。まるで言葉が通じていないよう。
 だが人々の様子もおかしい。目は茹であがった魚のようで、生気というものを全く感じられない。おまけに酔っぱらったように、ふらふらと身体を揺らしている。一人ならまだわかるが、それを全員が揃いも揃ってやっているのだ。

「村人が揃って歓迎パーティをしてくれるようね」

 アスカは冷ややかな視線を村人に向け、少し構えつつ、下がりながら言った。
 村人たちが、ふりこのように腕を動かしながらじりじりと近寄ってくる。

『あああああ、あむちゃん』

 ランの震えた声が脳裏に響いた。
 あむも下がりながら、ごくりと唾をのむ。

「シンさんの言ってたこと……本当だったんだ」
「ククク。ソウダ。ケンジャノイシデ、コノワタシガヨミガエラセタ。タマシイノナイニクタイナド「ドウグ」ダ。イクラデモ、アヤツルコトガデキルワ」

 あむが言った後、ジュリエットがほくそ笑んでいた。
 ついに村人の一人が、松明を持ちながら襲いかかってきた。その先には——アミュレット・ハート。


〜つづく〜
中二になり、受験が近づいてきてしまいました。
そのせいで中々更新が出来なくなってしまいます。あまり来れずに本当に申し訳ありません;; 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.51 )
日時: 2010/02/10 17:16
名前: アル (ID: mOILM.Mp)

いつも上手ですね! 
描写もしっかりついているし、展開も最高! 他のハガレン小説と違った味が出ている!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.52 )
日時: 2010/02/10 19:23
名前: ルミカ ◆cpySyxyN/g (ID: mOILM.Mp)

神無様
お、お気に入りですと!? ありがとうございます!(土下座)面白いだなんて…照れます///
また来てくださると、嬉しいです^^

アル様
いつもいつも有難うございます;;
他のハガレン小説に比べてコメントが少ないので、人気がないのかな〜と悩むことも多いですが、アル様のおかげで頑張れます^^ でも一人で描いていても楽しいですよ。クリック数が増えている限り、書き続けようと思っています。上手で、味が出てるなんて御冗談を^^; 私のは描写が多いうえに、ストーリー展開も長すぎで読みづらくないですか? 

海冥様
またまた有難うございます^^ 
海冥様のコメントのおかげで頑張れそうです。
う〜。仲間になるのが遅い理由ですが、本当は友達の助言です^^;
大抵ですがハガレンの夢主って、エド・アル並み(もしくはそれ以上)に錬金術が上手いじゃないですか。初めはその方向で進めようと思いました。あむちゃんはトリップしたとたんに、錬金術が上手くなり、エド・アルをサポート……でホムンクルスに狙われる。それを友達に読んでもらったら「ありきたりでつまらない」と辛らつなコメントが帰ってきました。
理由は「錬金術師が、普通にエドと旅をする小説は当たり前すぎてつまらない。錬金術市は当然のごとく活躍するから、面白みがない」
それでできる限り工夫してみようかな…と友達と相談したりして、今の形になりました。
あむは、努力で錬金術を身につけさせるつもりでいます。変更で悪いのですが、ハガレン世界の文字も読めない設定にしました。簡単に言っちゃ面白くないですよね^^
錬金術は、ミキ辺りができるという設定でもいいかと思うんですが、難しい。
あむのセリフに「キャラチェンジには頼らない」があったし、ハガレン世界の「等価交換」の世界観は崩したくないんです;; 長々とすいません。語りが入りすぎましたね;; 

マユ
梨花「小遣いで鬼隠しの小説を買ったのですよ〜(古本屋で)」
羽入「一冊750円って高すぎです! あうあう〜」

もうアニメに頼るか……!

あむ「あたしのコミック200円で売ってたんですけど!?」
エド「俺は350円だぜ!」

静さま
照れます/// 面白いと言ってくださり、ありがとうございます! また遊びに来て下さると嬉しいです^^

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.53 )
日時: 2010/02/10 20:50
名前: 神無 (ID: uwZWw1uD)

がんばれ!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.55 )
日時: 2010/02/11 22:40
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: KXYdd0Oc)

うーむ、小説はやはり価格高いからねぇ・・・

あと、youtubeにある、ひぐらしゲームの動画を見る!
これだけでも、随分違うよー!
ニコ動なら、ゲームシリーズ揃ってるよ☆

ウチがよく見る、ひぐらしゲーム動画の名前書くぞぃ!
『ひぐらしのなく頃に祭 皆殺し編終盤 PS2 (1/4)』
『ひぐらしのなく頃に祭 澪尽し編 石段での圭一,梨花の告白』
『ひぐらしのなく頃に祭 澪尽し篇部分橋段(完)』
『ひぐらしのなく頃に 原作 目明し編ED』

あむ「¥200は酷くない?」
エド「俺達のコミックは作者も買ってるぞ!」

梨花「みー、¥200は安いのですよ。にぱー☆」
羽入「あぅ!僕達は¥560ほどなのです!」
梨花「全部価格が違うものね。まったく・・・」

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.56 )
日時: 2010/02/12 11:20
名前: アオイ (ID: mWBabtxN)

どうもひさしぶりです!アオイです。
小説がたくさんアップされてたので一気に読みました。
オリキャラを出してくれてありがとうございます!かっこよく書いてもらえて嬉しいです。

小説も文章の書き方が上手くてすごいなと思いました。読んでてすごく楽しかったです!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.57 )
日時: 2010/02/12 11:44
名前: 海冥 (ID: sluLeqWs)

あむはピンチになっていてどうなるんでしょう。

あむは錬金術を覚えるそうですが、真理を似ないと練成陣なしでは使えないので、ルミカさんの自サイトのCPアンケートで一位のキャラに練成陣が書き込まれている装具みたいな物をプゼレントしてみたらどうでしょう。

それとも、プロローグであむにあの世界を助けてほしいといって送った人物が真理か何かで練成陣なしでできるようになっているんでしょうか。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.58 )
日時: 2010/02/12 16:31
名前: アル (ID: mOILM.Mp)

ルミカさんの小説は、個人的にこのサイトの中のハガレン小説で一番好きです!描写もあるし、展開もドキドキできるし!コメントは少なくても、いいと思います。コメントが多いスレって、ただ雑談しているだけが多いから、人気があるとは限らないと思いますよ!これからも頑張ってください!あげ!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.59 )
日時: 2010/02/16 16:06
名前: ルミカ ◆cpySyxyN/g (ID: XHLJtWbQ)
参照: あと2回で終わらせます! 長くなって申し訳ありません;;

「ハート・ロッド」

 あむは焦ることなく、言葉を発した。
 すると彼女の広げられた掌(てのひら)の中に、濃いピンク色の光の球が現れた。球は横に伸び、ロッドの形を形作っていく。
 光が散った時、手の中には短いロッドが握られていた。ピンク色の棒で、両端には淡いピンク色の宝石を、ハート形にカットした様なものがくっついている。魔法少女が使いそうな、ファンシーアイテムだ。

「スパイラル・ハート!」

 ハートロッドをしっかり握ると、くるりと回転。そのまま相手に投げつけようと、手を振りおろそうとするが、その動作は中断してしまった。ロッドを持ったまま、あむは手を下してしまう。
 襲ってくる相手が、見覚えのある人物だったからだ。

「シンさん!?」

 先ほど崩落に飲まれたはずのシンだった。
 しかしあむを敵と認識しているのか、松明を力いっぱい振りおろしてきた。お得意のジャンプで、左に右に余裕でかわす。

「止めてください! あたしです!」

 松明を軽く避けながら、あむは誤解を解こうと必死に叫ぶ。
 シンの手が緩むことはない。それどころか、他にも村人が加わってきて、避けるのが困難になってきた。と、あむの前にアスカが割り込んできた。

「あむ。その人はあなたの知っている人ではない。それは「シンさんの見た目をした、ジュリエットの手下」よ」

 淡々と言いながら、アスカはあむを襲おうとするシンに接近した。そして鳩尾(みぞおち)に思いっきり蹴りを入れる。

「アスカ! やめてよ!」

 あむは怒声を上げた。
 確かにさっきまでのシンでないことはわかる。
 目は真っ赤になり、異様な光を宿しているし、獣のように低い唸り声を上げている姿は。シンではない。いや人間ですらない。人ではなくヒト。獣としてのヒト——本能だけで生きる野生の姿。
 そんなことはわかり切っている。でも見た目が知っている彼である限り、攻撃するのをためらってしまう。目を覚ましてくれるのでは……と思ってしまうからだ。

「あなたも知っているはずよ。この村の人々は、数か月前に死んだの。彼らはもう生きていないの。残された肉体を勝手に操られ、多くの人々を殺してきた。もう軍の調べは付いているのよ」

 襲ってくる村人はアスカに次々に蹴りを入れられ、倒れて行く。辺りでは、村人の身体が山のように折り重なっている。

「…………」

 あむは握ったままのハートロッドを見た。
 村を救ってくれ、その言葉が頭をよぎる。
 不意にあむが顔を上げた。何かを決意した様な顔をすると、ロッドを持つ手を上げ、そのまま振りおろす。途中、握っていたハートロッドを離す。

「スパイラル・ハート!」

 投げつけられたハートロッドは回転しながら、捕らえられているジュリエットへと向かう。しかし。ジュリエットは羽を広げると、そのまま空中へ舞い上がってしまう。ロッドは空を切り、ある程度の場所でUを描くように回転。そのままあむのもとへ帰ってきたところを、しっかりキャッチする。

「なんで動けんのよ!」

 あむが大声で怒鳴る。
 するとジュリエットは不敵な笑みを浮かべながら、空中から見下ろしてきた。

「ソクバクガ、トケタカラダ」
「村人に気を取られていて、術が弱くなったんだわ……」

 悔しそうに唇をかむアスカ。
 そこへ畳みかけるように(たたみかける)、ジュリエットが再び吠える。

「ミンナ、ケンジャノイシにナッテシマエ!」

 その瞬間、倒れていた村人がゆらりと起き上がった。皆、犬歯をむき出しにし、どうもうな顔つきをする。まだ操りは終わっていないのだ。
 あむはロッドを投げつけ、アスカは体術で次々に村人を蹴散らしていく。しかし壊れた水道管から次々と水が漏れるがごとく、また松明を振りおろしにかかってくる。倒れても、しばらくするとまた動く。本当にゾンビのようだ。
 アスカは平気だが、戦闘慣れしていないあむは早くも息切れを起こしている。

「大丈夫?」

 村人を攻撃しつつ、アスカはあむに声をかける。

「……う、ん。ねえ、さっさとみんなをやっつける方法はないの?」

 息切れをしながらも、あむはジャンプして村人の攻撃をかわしつつ答える。
 ロッドで殴りつける、と言うことはどうしてもできずにいた。

「あのヤギのどこかに、村人を操る力の”源”があるはず。それを壊すか、奪えばいいと思うわ。でも、あいつは空中に……」

 アスカは、嫌そうに視線を宙に向けた。
 ジュリエットは余裕な顔で、楽しそうな顔であむとアスカVS村人の戦を優雅に鑑賞している。
 それを見たあむは、

「あたしが何とかする」

 と言い残し、跳んだ。アミュレット・ハートは、村人たちの遥か上空まで跳びあがった。
 アミュレット・ハートは、人並み外れた運動神経と、跳躍力が自慢だ。ジュリエットのところまで行くなど、造作もない。


「こら! 待ちなさい! 錬金術すら出来ないのに、そいつと戦うのは無理よ!」

 背後に初めて聞いた、焦りと心配がこもったアスカの声を受けながら。あむは、ジュリエットとの距離を確実に縮めていた。

〜つづく〜
ながああああい!
随分前に後3日とか言っておいて、終わらなくてすいません;; テストが近いので、更新は遅めになります。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.60 )
日時: 2010/02/13 15:31
名前: ルミカ ◆cpySyxyN/g (ID: mOILM.Mp)

神無様
応援ありがとうございます^^
中々来れませんが、精一杯頑張りたいと思います♪

マユ
てんくす! 今度頑張って書いてみる…

梨花「いつよ」

ニコニコ動画はいいよね!
祭のプレイ動が全部見て、みおつくし編を初めて知った^^

梨花「作者は貸本屋で、ボクタチの本を読んでいるのですよ〜(実話)」
黒梨花「後、立ち読みよね(コンビニ)」
あむ「あたしのは読んでないのに……」
エド「俺の出番増やせ! あむばっかり目立ちやがって!」

アオイさま
お久しぶりです^^
応募していただいたの6月くらいでしたよね……?
出せなくてほんっとうに申し訳ありませんでした::イメージどおりでしたら、幸いです^^
おほめ頂いて、照れます// 
読者様には、わくわくドキドキしていただきたいので、楽しんでいただけて嬉しいです! よければまたお越しください^^

海冥様
いつも有難うございます!
手パンは……やっぱりアイテムですね。
展開は秘密です(楽しみにしていて下さい^^)
異世界トリップのせいで、何でもできるようになってしまったら、いわゆる「ご都合主義」になっちゃいますよね;; アイテムで——と言うつもりでいますが、あむちゃんが錬金術で活躍できるのは相当先になると思います。

アル様
えええええ!? 私のが一番ですか!?
御冗談を^^; 他の皆さま方の方が数百倍も、ギャグや書き方も上手いですよ。私のは期限切れゴミです;; でもこれからも頑張っていきたいと思います! いつも有難うございます!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.61 )
日時: 2010/02/13 15:53
名前: アル (ID: mOILM.Mp)

ゴミじゃないです!
他のはエドのこととか書いていないのに、きちんと病刺されていてわかりやすい! 知らない人のことも考えられているいい小説だと思います! すばらしすぎます!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.62 )
日時: 2010/02/13 16:01
名前: 海冥 (ID: .WzLgvZO)

錬金術でないと倒せない敵ですか。
この事により錬金術を覚える事になるんでしょうか。
そうなると師匠はアスカでしょうか。

あむはやっぱりアイテムを錬成陣代わりにして使うんですか。
そうなるとやっぱり、CPアンケートで一位のキャラではなく師匠になる人物からなんでしょうか。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.63 )
日時: 2010/03/02 17:31
名前: 花桜 (ID: 0YtH4wPS)

はじめまして!!花桜と申します!!
小説お上手ですね!!本当に尊敬してしまいます!!
描写もしっかりと入っていてしゅごキャラを少ししか知らない私にもよくわかりました!!

頑張ってくださいね!!
あとオリキャラ応募させていただきます!!

【名前と性別】
シェドラ・ウェリシャ ♂

【容姿】
黒髪のショートでところどころ茶髪がまざっている。朱色の丸い瞳。首に髑髏のネックレスをつけていて黒いシャツを着ている。下は青いズボンで茶色のブーツをはいている。

【性格(具体的に)】
明るく太陽のような少年。優しく真面目で集中力が高い。皆からかなり好かれている。人の言う事はすぐに信じて「嘘」などとは疑わない良き性格。の為流されることも山々だけど信じる=仲間を信じる。
【錬金術師? ホムンクルス? 軍人?】
錬金術師
【国家資格アリ? あリの場合は二つ名を下さい!】
ナシ。国家錬金術師が嫌いの為。
【ホムンクルスの場合、罪の名前は?】

【使える能力(錬金術・武器)について】
錬金術は光と闇。光。治療が出来たりする。それに賢者の石を作る事が出来る。他、壊すこともできる。闇。真理の扉を操れる。他、人の能力を盗めたり人を簡単に殺せる。危険錬金術。だけど人を殺したりするのが嫌なので治療ぐらいしかふだんは使わない。だけど信じれる人には賢者の石を作ってあげたりする。闇はたまにしか使わない。
【備考(趣味・特技・嫌いなものetc)】
皆から「シェド」と呼ばれている。趣味は読書。錬金術に関係する本をいつも読んでいる。特技は運動。運動神経がかなりよくて軽くジャンプしてもかなり高く跳べる。嫌いな物はホムンクルス・国家錬金術師。その訳は家族を国家錬金術師に殺されたから。その為に嫌っている。また自分の錬金術と家事が嫌い。自分の錬金術は嫌いなわけは人を殺したりする錬金術だから。家事は嫌いというか苦手。料理場に立つと必ず問題を起こすほどの下手くそ。好きな物は運動と動物。ウサギ大好き少年。(10歳)

ダメダメオリキャラですが。。。
よければ使ってくださいね!!それでは☆

Re: しゅごキャラ×鋼の ( No.64 )
日時: 2010/02/14 10:52
名前: アル (ID: r3A.OAyS)

あげ

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.65 )
日時: 2010/02/15 16:37
名前: アル (ID: mOILM.Mp)

受験、大変でしょうが続きを待っています!
ルミカさんの小説はすごすぎで、大ファンです。いつも楽しみにしてます!!!!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.66 )
日時: 2010/02/16 18:05
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)

 空は夜明けが近いのか、うっすらと明るさを増してきた。下のほうはまだ濃い夜空の色だが、上のほうは早くも白ばみ始めている。
 気温も少しだが暖かくなってきた。と、言ってもアミュレット・ハートは露出部分が多いので、肌寒いことに変わりはない。切るような寒さを感じつつも、あむはジュリエットの方へ飛んだ。

「ククク。ミズカラ、ケンジャノイシニナルコトヲノゾンダノカ。オロカモノメ」

 あむがジュリエットの目線まで来た。
 ジュリエットは勝利に満ちた笑みを浮かべ、あむを見据える。

「あたしは、石になるために来たんじゃない。町を救うために来たのよ」
 
 はっきりと言い切るあむの言葉に対し、ジュリエットは冷笑を浮かべた。
 その間、あむはジュリエットの体の回りを旋回する。体の上、羽、体の下。どこかにある、村人を操っている力の”根源”を探していた。どこにもなく、ヤギの蹄(ひづめ)部分に来たとき、あむは息を呑んだ。

「これが……賢者の石?」

 ジュリエットの蹄は、血のような色をしていた。生きているかのように、等間隔で紅く点滅している。こーネロが持っていた指輪の石に似ているが、感じる物が圧倒的に違う。なんだか、見ているだけで背筋が凍りつくような恐怖感が襲ってくる。これが”力の根源——多くの人の命の塊”たと第六感で感じ取れた。
 だがあむはそれに負けず、ハート・ロッドをしっかり持った。石を壊そうと振り上げた——その刹那。
 石が落ちてきた。いや、正確にはあむ自身が落下しているのだ。
 ジュリエットが今がチャンスといわんばかりに、蹄を下ろしてきた。逃げようとするが、金縛りにあったように体が硬直して、動くことができくなってしまった。
 あむは落下しているので、下の光景が目に飛び込んでくる。
 眼下にはルクの村が、不思議なほどはっきりと見えていた。そして血の池はあむを呼ぶかのように、かすかに水面が揺れている。

「コンドコソ、イシニナレ!」

 このままでは確実に地面に直撃する。恐らくそこであむが死ぬか気絶した後に、間違いなく石の材料にするつもりなのだ。それがわかっているのに、抵抗できないのがやりきれない。
 あむはぐっと唇をかんだ。

『あむちゃん! このままじゃ落ちちゃうよ!』
「でも逃げられないじゃん……どうすればいいの?」

 ランと会話をする間にも、地面との距離は近づく。
 とうとう血の池が、小さく見えてきてしまった。そしてその真下には米粒のような——人の骨。重なり、山のようになっている。そして傍にはやつれた表情のアスカが。
 変身して人以上の視力を得たアミュレット・ハートだからこそ、見えるものだった。

「どうして……みんな骨に?」
「メイドノミヤゲニ、オシエテヤルワ。ムラビトドモハ、ヨルシカイキラレナイ。タイヨウガニガテナノダ」
「夜しか?」

 あむが悩んでいると、ランの声がした。

『あむちゃん。きっとルクの人は「朝」を知らないんだよ。寝て起きても……次に来るのは夜。ずっと同じ日だと思っていたのかな』

 ランはただ思いついたことをいったにすぎないだろう。しかしあむは、はっとした。
「ルクは、日が明けないんだ……ずっと夜」

〜つづく〜
今回も、短めでお許しください。
次回でようやくルク編、クライマックスです。
テストが短いので、ゆっくり更新ですが見るたびにクリック数が増えていてうれしい限りです^^
 

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.67 )
日時: 2010/02/16 16:46
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: XHLJtWbQ)

アル様
あげ感謝です^^ 
たくさんやって頂いてしまい、申し訳ありません。
三年生になったら、間違いなくもっと来る時間が減ると思いますが……がんばります♪

海冥様
えっと、そういう意味ではありません;;
私の描写の仕方が、悪く、伝わりづらかったですね。「普通のあなたには、倒せない」と言う意味で書いたのですが、うまく伝わっていなかったようですね;; 修正しておきます。
師匠もこれからの展開をお楽しみにしてください^^
ネタバレしちゃ、面白くないので^^;

花桜様
おお、初めまして^^
上手いですか? 照れます//そういっていただき光栄です^^ しかも素晴らしいオリキャラまで! 私じゃ、こんなタイプ思いつきません。いい発想ですね☆出るのは遅めですが、気長に待っていてもらえると有難いです。ところで・・・・・花桜様もハガレン小説を書いていますよね? 後で行ってきます♪
ではではまたのお越しをお待ちしていますv(誰)

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.68 )
日時: 2010/02/16 16:23
名前: 海冥 (ID: .WzLgvZO)

あむのピンチはまだまだ続きますね。

オリキャラも投稿します。

【名前と性別】
レフィス・アークティア 男  13歳
【容姿】
青みのかかった銀髪のロングヘアーを肩先まで伸ばしている。
基本的に黒色の服を好んできている。
左目に眼帯をつけている。
【性格(具体的に)】
クールで落ち着いた性格。お人好しだが、嘘は通用しない。
頭は良く、回転も速い。鋭い洞察力も持ち合わせている。
【錬金術師? ホムンクルス? 軍人?】
錬金術師
【国家資格アリ? あリの場合は二つ名を下さい!】
なし
国家資格を取ろうと思えば取れるだけの実力はあるが面倒との理由で取っていない。
【使える能力(錬金術・武器)について】
得意の錬金術は氷。大気中の水分を氷にする。他にも人体にある水分を凍らせることができる。
【備考(趣味・特技・嫌いなものetc)】
趣味は料理。特技は体術としており、身体能力も高いことも幸いして並の大人にも負けない。
過去に師匠の恋人を生きかいらせようとした人体練成の失敗に巻き込まれて、真理を見たために片目を失っている。
その時に師匠を亡くしてしまっている。
その事で師匠が狂ったように人体練成の研究をするようになったのを止めることをできなかったことを悔やんでいる。
その後届け屋として、依頼を受けながら各地を旅している。
時々一般人だけでなく軍からも以来を受けることがあるため軍に知り合いもいる。
しかし自分の気の乗らない依頼は受けない。
嫌いなことは子供扱いされること。

駄目なキャラですが、よかったら気に留めるだけでもしといてください。

これからも楽しみにしています。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.69 )
日時: 2010/02/16 18:07
名前: アル (ID: mOILM.Mp)

明けない日ってそういう意味だったんですか!
タイトルの付け方が上手いですね^^ さすがです!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.70 )
日時: 2010/02/16 21:07
名前: 加奈 (ID: kQLROmjL)

はじめまして!ハガレンとしゅごキャラ大好きです!
この小説も最高です!支援あげです☆

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.71 )
日時: 2010/02/17 16:26
名前: シズ (ID: mOILM.Mp)

ど〜もお久。
この小説って神だよねwwww描写多いし、丁寧だし。これからも頑張ってくれよ!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.72 )
日時: 2010/02/17 21:38
名前: 神無 (ID: uwZWw1uD)

がんば!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.73 )
日時: 2010/02/18 14:19
名前: シズ (ID: XHLJtWbQ)

あげ〜

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.74 )
日時: 2010/02/23 00:06
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)
参照: エンヴィーってこんなキャラ?

「ソウダ。コノマチは、エイエンにヨル。ヨルガアケレバ、マタヨルガクルノダ」

 ジュリエットが、あむの独り言に笑った。そして。

「オマエモ、ソノナカにクワエテヤロウ」

 あむを踏みつけていた足を、一回持ち上げ、そのまま下ろした。

「あっ!」

 下へ押されたあむの身体は、さらに落下スピードを速めた。その拍子にあむの向きが変わった。下を向いていたのが、ジュリエットを見つめる形となる。
 ジュリエットが、上で勝ち誇った笑みを浮かべているのが、はっきりと目に焼きつく。

「コンドコソ、オマエモイシトナルノダ!」

 落下する中、あむは初めて空を見た。
 空はすっかり日が昇り、薄い青空が広がっていた。煌々と輝く太陽が、空いっぱいに光を伸ばしている。太陽が昇った地平線近くだけは、うっすらとしたオレンジに染まっている。——朝日だ。人々を照らす希望の象徴の。

(朝日……)

 あむは遠ざかっていく朝日に手を伸ばし、掴もうとした。攫めそうなのに、攫めない。手は虚空を掴んだ。まるで今のあむそのもの。村を救えそうなのに、救えない。……なにもできない。

 なんで。人が死に掛かっているのに、太陽はこんなにも輝けるのだろう。
 どうして、これを見る人間のココロは、元気になれるのだろう。
 美しい朝日に照らされながら、落ちながら、あむの脳裏では、泡のように多くの疑問が浮かんでは、消えていく。今日の朝日はやけに憎たらしい。人の気も知らないで、のんきに光れるのだから。その時、ふっと思った。

(そうだ。町の人は、死んでからきっと朝を知らない。でも日は昇る。夜が明けたら来るのは、朝だよ。夜は……いつか必ず終わるんだ!)

 あむが決意を固めたとたん、あむの首の下にあるハンプティ・ロックが、薄いピンク色の光を放ち始めた。太陽にも負けない、強い輝きだった。

「ナニ!?」

 ジュリエットが固唾を呑む。
 見る見るうちに、身体が自由になっていくのをあむは感じていた。血が全身を巡るように、自由が身体を駆け巡っていく。
 地面に落下する寸前、身体を一回転させ、アミュレット・ハートは、華麗に着地してみせる。それから、ジュリエットを睨み付けながら、手にしっかりとハート・ロッドを握る。
 再び両足で大地を蹴り、ジャンプした。

「ク、クルナア!」

 ジュリエットが奇声を上げながら、羽を上下に動かし強風を起こす。
 しかし、あむは風が届かないさらに上空へと飛んだ。

「あたしは! あたしは、ルクの村に朝を取り戻すんだ!」

 太陽を背景に、あむはハート・ロッドを振りかざす。

「マテ! ムラビトガシンデモイイノカ!?」

 その言葉に手が一瞬とまる。
 しかしアスカの言ったことを、あむは思い返す。

『あなたも知っているはずよ。この村の人々は、数か月前に死んだの。彼らはもう生きていないの。残された肉体を勝手に操られ、多くの人々を殺してきた。もう軍の調べは付いているのよ』

 ——どんなにあがいても。どんなに願っても。悔しいけれどルクの村の人々は、いや死んだ人間は蘇って来ない。いや、いけない。だからこそ、変えなければならない。きっと彼らは苦しんでいる。魂が鎖で繋がれた、囚人なのだ。だから……だから……

「スパイラル・ハート!」

 あむはできる限りの力を込め、ジュリエットの蹄を狙いハート・ロッドを投げつけた。その時、不思議な感覚がした。他にも、誰かがロッドに力を込める感覚。

 ハート・ロッドはジュリエットが起こす風を、横に裂きながら下に進む。普段こんな力は出ない。ルクの村の人々と共に、ハート・ロッドを投げたようだった。

「ク、コノロッドメ!」

 ジュリエットは怒声を上げながら、風を強める。
 しかし、ハートロッドは……ぐんぐんと下がり、蹄に近づき。ついに……足元でUの字を描くように回る。その時、ハート・ロッドは蹄に命中した。横に、石をえぐりながら進む。赤い破片が、宙に飛び散った。

「グワアアアアアアッ!」

 あたりの空気を振るわせる咆哮が聞こえた。
 その直後、ジュリエットの身体が傾いた。羽を失った鳥のように落下していく。その姿が点ほどになったころ、地面で、砂煙が上がった。

「あむ! やったわね!」

 ある程度の高さまで下降したあむは、アスカの喜ぶ声を聞いた。
 そして地面に着地すると、力なく膝をつく。

「あたし……死ぬかと思った」

 瞳から、大粒の涙があふれる。あむは、すすり泣いていた。
 背中はびっしりと冷や汗をかいたせいで、濡れていた。よほど、怖い思いをしたのだと今更ながら感じた。
 戦いを終えたあむの胸は、幼い赤ん坊のように、純粋なものだった。ただ怖かったとしか思えない。泣くことしかできない。

「あむ、どうしたの?」

 アスカに声をかけられたが、あむは顔を伏せていた。まだ涙は止まらない。でも、これでよい気がする。このまま、全部流してほしい。怖かった気持ちも……後悔の気持ちも。

「…………」

 アスカはただただ黙って、優しくあむの肩に手を乗せる。
 
 

「シンさん」

 泣き止んだあむは、キャラなりを解き、牢屋跡へと来ていた。アスカは、ジュリエットを、ルクの村外れでしばりつけている。近くにはいない。
 積み重なる瓦礫を見ながら、あむはそこにしゃがみ込み、両手を合わせた。それから、語りかける。

「あたし……町に朝を取り戻しました。でも、でも……」

 あむは言いよどんだ。しかし、覚悟をした表情を浮かべ、話を続ける。

「あたしが来なかったら、村の人々は生きていられたんですよね。操られていたとしても……あの人たちは、確かに動いていました。それを、あたしは止めてしまった。本当に、これでよかったのか、教えてください」

 瓦礫があむの独白を聞いていた。
 答えがほしかったわけではない。ただ聞いてほしかったのだ。風がゆうゆうと、あむの髪をの間を通り抜けていく。

「あたしホントは、人体練成をして、シンさんや村のみんなを蘇らせたいです。でも、あたしは錬金術ができない。しかも怖いんです。エドとアルのようになるのが嫌で……弱虫です」

 あむの口から嗚咽が漏れる。
 自分は人を動けなくしたし、弱虫で。こんなこと、さっきまで考えてもみなかった。しかし、ただの肉体とはいえ、人を動けなくしたのは自分なのだ。自分が、石にさえなれば生きていた。動いていた。
 「殺した」とも見方を変えればとれてしまう。心に鉄球をぶつけられたような気持ちだった。
 あたしは。人を殺してしまったの? 誰か教えて……しゃくりあげながら、あむが誰かに答えを求める。
 誰もが沈黙するなか、ミキが口を開いた。

「ボクとランは、よかったと思うよ。だって苦しんでいる人を救えたでしょ」

 それに続いてランも話す。

「そうそう! これでこの村で死ぬ人はいなくなったよ。きっと、あむちゃんは、誰も殺してないよ。み〜んなを救ったんだ!」

 ランとミキはいつでも優しい。
 あむはずっと鼻をすすると、目をごしごしして笑ってみせる。

「……そうだね。くよくよしても、しょうがないよね」

 あむはポケットに手を突っ込むと、銀時計を取り出した。

「また進まなきゃ。ルクに朝が来たみたいに、あたしたちにだって、また朝は来るから」

 それからあむは、立ち上がり、数歩進んだところで足を止める。血の池が、枯れていた。そこには、元々池であることを示す石の囲みしか残っていない。池そのものの存在が消え去ってしまったようだ。

「あ」

 囲いの中央で、何かが光ったのに気付き、あむは囲いの中に飛び込んだ。
 そこには石があった。楕円形だが、賢者の石と色は違う。深緑色の石だ。表面はツルツルしていて、よく磨かれた宝石のようだ。触ってみると、心地よい冷たさを感じられる。

「これが、サイン・ストーン?」

 シンが言っていた「サイン・ストーン」。
 賢者の石の力を増幅させると言う石。ただ、賢者の石と違い、何も感じられない。ただの石のように思える。


 












* 

「…………」

 アスカとあむが、去ったルクの村に一人の少女がいた。「フィ」だ。フィは、崩れた牢屋跡を、じっと見つめている。
 その時、瓦礫がわずかに動いた。やがて瓦礫の一部が横に動き、中からひょっこりとシンが顔を出した。

「なんだ、フィ。今日はあのおばはんと、一緒じゃないのか?」

 フィは小さく頷いた。 
 それを聞いたシンは、よっこらせと瓦礫の中に埋まった全身を引き出し、軽い足取りでフィの元に降りてきた。

「全く相変わらず人使いが荒いね。こんなむさくるしいおっさんに化けさせて、ジョーカーちゃんに、色々教えてあげろだなんて」

 シンはわざと肩を落として見せ、やれやれとわざとらしく首を横に振って見せた。フィは、微か(わずか)に眉をひそめ、馬鹿にするような視線で見つめた。

「ま、いっか。こっちが手を下す前にジョーカーちゃんが、やっつけてくれたし」
「いまのことばきいたら、あむかなしむ」

 フィは相変わらず抑揚のない声で、ささやくように言った。するとシンは不気味に、口元を歪ませる。

「本物の「シン」は、とっくに死んでいる。あれはこのエンヴィー様の優秀な演技だったのさ。だから当然だろうな」
「…………」
「ジョーカーちゃんを、襲った方が本物。勘がいい奴なら普通、気づくだろ? 蘇ったのはあくまで「肉体」だけ。魂なんてない。あるなんて、誰が言った? 完全に蘇ったとは、誰も言ってないしね。そうじゃなきゃ、あいつの石の力で操れない。そこで気づく。なんでシンだけは、理性を保っているのだろう。おかしい……ってな」
「あむ、れんきんじゅつを、しらない」
「そうさ。なのに何でジョーカーちゃんを、いちいち追い続けるわけ? お父様の考えは、さっぱりわからないね。あいつを連れてくるときに、必要なものも一緒に持ってきてやっただろ? それに鞄に携帯食料入れたり、水入れたり、えっとあの変な「でんしじしょ」とかいう奴入れたり……随分(ずいぶん)尽くしてやって。ただの人間の癖に」

 シン——いや「エンヴィー」と名乗る人間は、首をかしげる。フィは、何も答えない。


 
〜二章完〜
うえ〜むちゃくちゃシリアスになりました;;
ハガレンの世界観を、全力で出したつもりでいますが、いかがだったでしょうか。あむには、早くもつらい目に会わせてしまいました;; しかしハガレン世界はまだまだジョの口。

次々回は知っている方は、わかると思いますがまたシリアスな話が来ます。ですので、バルドは、ギャグ風味に行きたいと思っています^^;



Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.75 )
日時: 2010/02/23 18:12
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)
参照: 塾なので、コメント返しは明日です;; 後、未完成です

あとがきはおよそ500メートル先

次章予告
少女の旅は、短くそしてつらいものだった。
理を知らず。世界を知らず。身体は朽ちて行くばかり。それでも、必死にあがき続ける少女の前に、一筋の光が降り注ぐ。
第3章 再開〜happines〜

その光は、少女を導く希望の光か
それとも、イカロスの翼を焼いた太陽か

②小説4コマ
Ⅰ−
エド「あむ、俺はお前のことが好きだ」(手を差し出して)
あむ「ええええええ!?」

Ⅱ−
ダイヤ「ごめんなさい、あれ夢なの」
あむ「こら、ダイヤああああああ!」

Ⅲ−
ダイヤ「さようなら、あむちゃん。お元気で」
あむ(落ちてる)「ダイヤ!」

Ⅳ−
(ルクの牢屋中)

あむ(うなされて、動いている)
ラン「大変! あむちゃんがうなされてる!」
ミキ「ど、どんな夢を見ているんだろう……」
シン「ふあああ・・・」(あくび)

③ルルとルミカの会話〜あとがき・〜

紹介 ルル
ルミカの家に住むなぞの人間。血はつながってない。頭のネジがぶっとんでいるルミカよりは、だいぶまとも。あとがきにのみ、出没する。
一言「お前、テスト勉強は?」

ルミカ
御存じ,著作権を二つも侵害する恐ろしい人間。
「作者」と書かないのは、どちらの作品にも、足元が及ばなさすぎるからである。「駄作者」が適当だと自覚済み。だらしがない上に、キャラ崩壊もたくさんさせた。

一言「テスト二週間前かい! しかも来年受験出し! 小説が〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

ルミカ自宅

ルル「ルミカてめぇ! 俺の出番なすぎだろ byエド。後、ユースウェルの人たちから、苦情の手紙が来てんぞ?」

ルミカ「しょ〜がないでしょ。今回は、あむにハガレン世界の感覚を植えつけるために、ユースウェルはぶっとばしたぜ☆」

ルル「ぶっとばすな! お前が書くのが面倒だっただけだろ!」

ルミカ「うん。コミックないから、です。曖昧なまま書くのは気持ちが悪いので、飛ばしてしまいました。すいません;; ハガレンの原作を知らない方向けに、あらすじだけおおまかに書いておきます。

エドとアルは、「ユースウェル」と言う町を訪れていた。そこは、炭鉱の町なのだが、何故か活気がない。疑問に思う二人。しかも「国家錬金術師」だと知られた途端、町の人々はエドに冷たい反応を取り始める。それは、町を納める「ヨキ中尉」のせい。様々なことで町の人を苦しめる、悪ものだったのだ! そのせいで町の人々は軍を嫌っていた。エドは色々とし、こいつから、ユースウェルの人を救いました!って話。ちなみにヨキ中尉は、後で出てくるので、知らない方はお楽しみに!

実は、最近近所にBOOK ○FFが出来たから、立ち読み三昧で何とか書けるようになったけど……」

ルル「わかりずれえ解説だな。知らない人は、きっと困るぞ。知らない方、この馬鹿の解説より、古本屋で「鋼の錬金術師」のコミックス一巻を買うか、アニメで見てください。ところでルミカ、きちんとコミックス買え。店の人がかわいそう」

ルミカ「うち小遣いが少ないから、買えないのですよ。つか、一巻なのに350円って高くね? しゅごキャラは、200円なのに〜。まああ」(以下ルミカが永遠と語るため、ルルにより全てかっと)

ルル「はい、じゃああとがき。やってください」

ルミカ「はいな〜! キ○の旅のあとがきみたいに、面白おかしく書くぞ〜なのです!」

ルル「ところで、今回何故こんなにおまけが長い? 腐った卵みたいな次回予告も増えてるし、五月蠅い(うるさい)あとがきも増えているし」

ルミカ「腐った卵とはなんだ! ……自分で考えた。私のこの文章に足りないものはなんだろう、と」

ルル「それで?」

ルミカ「他の小説様を巡っていて気づいた! おまけが足りない! ギャグが足りなさすぎるんだ! 他の皆様は大爆笑のギャグメインのおまけがあるのに、私にはそれが足りなかった! 真理に持って行かれた!」

ルル「持ってってない! ……はい、この話終了。次、次回以降の話」

ルミカ「次はバルドの話ですね。久々にエド・アルが登場しますよ! それとスゥも初登場。どんな話かは、お楽しみに。テスト+受験近いので、更新がむちゃくちゃ遅くなりますが、これからもよろしくです!」

ルル「今思った。こんなどうでもいい話、読んでいる人はいるのか?」

ルミカ「…………」

ルミカの家、よりでした



おまけおわり?




Re: しゅごキャラ×鋼の ( No.76 )
日時: 2010/02/19 17:51
名前: アル (ID: w/wSfXM1)

素晴らしい話でした! ハガレンの世界がわかるチョー傑作! おまけもいい!かっこいい

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.77 )
日時: 2010/02/19 22:03
名前: 神無 (ID: uwZWw1uD)

(笑)×無限くらいおもしろいです!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.78 )
日時: 2010/02/20 15:35
名前: ルミカ ◆cpySyxyN/g (ID: mOILM.Mp)
参照: 次は・・・・・・多分水曜日辺り?

海冥様
はい、やっぱり読者の皆様にはワクワクして頂きたいので、ピンチなどの展開を頑張って考えています^^
それから、オリキャラありがとうございます^^ いえ、私が作るキャラと違って、リアリティがあると思います、はい。登場はかなり遅めですので、気長にお待ちください。

アル様
下手ですよ^^; 「夜が明けない村」から連想して考えたのですが、なんかかっこ悪いですよね〜。もっといい題名があったのでは、と思いますよ。

シズ様
神? この腐って倒れかかっている木の様な小説には、もっとも似合わない言葉です。まだまだ精進しなくては;;

神無様
おまけを楽しんでいただけたようで、良かったです。こんなこと書いていいのかな〜と心配しながら書いていましたが、なんとかまとまりました;; ギャグセンスがほしいです〜

加奈様
おお、初めまして^^
最高のふた文字を頂けて、天井に頭をぶつけました。とっても嬉しいです♪ この二つは、やはり面白いですよね。私も大好きで、お気に入りな作品です。
これからも、応援よろしくお願いいたします!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.79 )
日時: 2010/02/20 16:43
名前: 海冥 (ID: .WzLgvZO)

エンヴィーをはじめとするホムンクルスはあむのことを知っていましたか。

あむは今回辛い事を体験しましたが、これから先もっと辛い事が待っているので、今までそれなりに平和の世界にいたあむは耐えられるのでしょうか。

やっぱりエドやアルが支えるんでしょうか。
それとも自サイトアンケートCP1位のキャラが支えるんでしょうか。

Re: しゅごキャラ×鋼の ( No.80 )
日時: 2010/02/20 19:06
名前: アル (ID: tctpjh/F)

今回もハラハラドキドキ!とても緊張して、ハラハラしました! るみかさんは、上手ですね!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.81 )
日時: 2010/02/22 15:29
名前: アル (ID: XHLJtWbQ)

アゲ↑↑

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.82 )
日時: 2010/02/22 16:10
名前: ルミカ ◆cpySyxyN/g (ID: XHLJtWbQ)
参照: コメント返しはまたあさってになりそうです;;

しゅごキャラ&ハガレン
原作用語集!

(しゅごキャラ)用語

①しゅごキャラ
「なりたい自分」が、目に見えるようになった存在。大きさは人のこぶしくらい。人によって「なりたい自分」は異なるので、容姿は人によって異なる

②キャラチェンジ
しゅごキャラの力を借りて、パワーアップすること。中には、しゅごキャラの影響を受け、口調や性格が変わる人間もいる。しゅごキャラの特技(運動・絵・料理)等の能力が上がるが、やるしゅごキャラによって、あがる力は変化する
(例・ランとキャラチェンジ→運動能力があがる。ミキとキャラチェンジ→音楽系統の能力が上がり、プロ並みの絵をかけるようになる)

③キャラなり
しゅごキャラと合体し、変身する事。120%の力を出せるらしい。合体すると、全身がしゅごキャラのコンセプトに合わせたものに変化する。(ほとんどの場合、キャラなりするしゅごキャラに似た衣装となる)そして強い必殺技を使えるようになる。

ルル「知らない方向け?」
ルミカ「この小説の目標は原作を知らない方でも、楽しく読めるような小説にすることだから、千愛様のアドバイスを受けて作ってみました。徐々に追加予定です」

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.83 )
日時: 2010/02/23 13:09
名前: アル (ID: XHLJtWbQ)

ルミカさんの大ファンになりました!
ハガレンの世界観がよく出ていますね! 天才ですか!? ほかの小説よりも、いいでうsね

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.84 )
日時: 2010/03/10 11:28
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: mOILM.Mp)

3章 再会〜happines〜

人を傷つける勇気はありますか?
私には それがありません

人を超えて進む勇気がありますか?
私には それがありません

だから教えてください
人を傷つけない進み方を




「さて。後は軍が来るのを待つだけね」

 アスカが両手を、パンパンと払った。
 ルクの村の外では、ジュリエットが手錠をされて拘束されていた。あれから人間の姿に戻ったらしく、黒衣をまとった姿のまま、無造作に転がされている。アスカいわく、まだ気を失っているらしい。

「ジュリエットが捕まって。これで、村の人は救われるんだよね」

 ジュリエット見つめながら、あむは心底安心したように言う。ただ、表情はかなり陰っていて、しおれた花のようであった。まだジュリエットを止めてしまったことを悩んでいるのだ。頭の中はいとがこんがらがったように、ぐちゃぐちゃで何も考えられない。
 アスカが怪訝(けげん)な顔をし、あむに尋ねる。

「なあに、あむ。憂れえ(うれえ)をおびた顔なんてしちゃって」

 するとあむの顔色は、ますます悪くなっていった。そして何気なく、ポツリと呟いた。

「あたし……ジュリエットを倒してよかったのかな。村の人たちを、殺してしまったんじゃないかって思うの」
「そんなことでくよくよしていたら、賢者の石は手に入らないわよ。旅ってそういうものなの。私は依頼を受けながら、旅をしているからよくわかるわ」

 そこで初めて、あむの表情が明るくなった。
 不思議そうな顔をし、今度はあむがアスカに尋ね返す。

「アスカは、人を傷つけたことがあるの?」
「当然」

 アスカは躊躇(ちゅうちょ)もせずに、首を縦に揺らした。否定もしないことに、あむはいささか驚く。

「けっこう、あっさりだね」
「仕事柄ね。慣れちゃってるの。私の仕事は「万屋」って言うの。人に、頼まれたことをやる仕事よ。だから、仕事の内容次第では、人を傷つけることもあるわ」
「人を傷つける……」

 あむはアスカの言葉を反復した。
 これから先、自分は誰かを、傷つけて行かないといけないのかもしれない。それは自分勝手な理由ではなく、「生きるため」なのだ。でも、勇気がもてない。あむはただ、屹立(きつりつ)することしかできなかった。
 そこへアスカが畳み掛けるように、

「旅は、人を傷つけなくて済むほど、甘いものじゃない。子供が、遠足に行くのとは訳が違うのよ。外に出れば、盗賊や犯罪人に襲われることなんてしょっちゅうある。特に「賢者の石」なんてものを求めるには、今言ったやつらと戦うこともあるはずよ」

 正しすぎる答えを言った。反論もできなかった。

「…………」
「あむ、あなたはなぜ旅をするの? あなたの歳なら普通、親と一緒にいるはずでしょ?」

 そこであむは、苛立ったように(いらだったように)一方的にまくしたてる。

「あたし……数日前まで、外国にいたの。いつも通りにベットに寝ていたはずなのに。それで、目が覚めたら砂漠の中にいて……ああ! もうわけわかんない!」

 あむは嘆くと、頭をくしゃくしゃと掻いた。
 ランとミキがびっくりして、立て続けに落ち着いて! と声を張り上げる。
 そんな中で、アスカは腕を組んだ。

「なるほど。部分的に、記憶が飛んでしまったわけね」
「……まあ。そういうことになるのかな」

 あむの代わりに、ランが言葉を濁す。

「記憶を取り戻すために……いいえ、元々いた外国に帰りたいのね」
「そうかも……あたしは記憶を取り戻すために、「賢者の石」を探す」

〜つづく〜
ああ、また塾なので落ちです;;
コメント返しも短文になります;;

海冥さま
えっと、それは読んでからのお楽しみです^^
またか、と思われるかもしれません。でも、ネタバレは一切したくないので;; これから読むうちに解明されて行きますよ♪

アル様
ワクワクしていただけましたか? うれしいです^^
読者の人がハラハラするような話を目指して書いてみたつもりでしたが、とても不安でした。特に展開! シリアスのオンパレード;; 鋼にこだわっていたら、あんなことに……個人的にはギャグのほうが巣好きです^^

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.85 )
日時: 2010/02/23 17:30
名前: 神無 (ID: Rk/dP/2H)

万屋って、あれじゃん。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.86 )
日時: 2010/02/23 19:40
名前: 海冥 (ID: .WzLgvZO)

あむは改めてこれからする旅の厳しさを知りましたか。

あむは錬金術を覚えさせるそうですが、腕前はどのくらいになるんでしょう。
今はまったくの素人で鋼の本編に関わると考えた場合あまり上手くしてしまうとエド以上の天才になってしまいますね。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.87 )
日時: 2010/02/24 16:08
名前: アル (ID: mOILM.Mp)

ageます!
ルミカさんの作品はリアリティがありますね!
さすがです!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.88 )
日時: 2010/02/27 11:57
名前: ラピスラズリ ◆P2rg3ouW6M (ID: 3TVgjhWp)

こんにちはぁ・・・お久しぶりです^^;
最後にPCをやったのが2月7日か9日だったから、かなりお久しぶりですね;
きっと、私の事なんて覚えていないと思いますが、コメントさせて下さい;

ようやく、今週の水曜と木曜で期末テストが終わりました;
国語は文法がやばく、数学は証明。;社会は第一次〜第二次世界大戦、理科は天気、英語は比較級とか最上級の問題でした;;
残りの四教科も、うわあああああ、ですね;
一応、昨日に数学だけが帰ってきましたが、中2の最後のテストとして頑張ったので、私としてはいい方なのかなぁって感じです;
るみかさんは、期末は3月でしたっけ? 私は、期末が終わって安心したのもつかの間、3月9日に入試を再現した実力テストがあって、1年から2年の問題がすべて出題します(死.ぬw

るみかさんは、私のようにならないために頑張ってください^^

ところで、もうすぐ私たちは中3ですよね!
はやく小説を完結(気が早い)をさせないと、中3になったらぜんぜん更新できないですよね^^;
まさか、高校1年までほったらかしにするわけにもいかず(その間にスレが消えるw
しかもしかも、知ってますか? ポケモンに新作がでるのを。
今年の秋か冬だから、その頃には中3の私たちは涙目ですよね・・・。

〜小説の感想〜
すごいですね! 描写が上手すぎですし、胸がわくわくします!
将来の夢は作家ですか? 絶対になれると思いますよ^^
ちなみに、人間は大人になるにつれて、発想力がなくなていくそうです。
今の私たちはアイディアがぽんぽん出てくるけど、大人の作家は結構悩んでいますしね;;
年をとるって、いやだわぁぁぁ(おばさんくさい
それに、しゅごキャラ用語とかまとめてあって、すっごくわかりやすいです^^
ほんと、参考になることばかりですb
これからも、るみかさんの一番のファン(勝手に)ですよ〜〜〜!
一番じゃなくても、ファンの中の一人です^^

では、長文失礼しました!
(PCできない間に話したいことが溜まってて、長い文になってしまいました;)

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.89 )
日時: 2010/03/04 20:59
名前: 花桜 (ID: y9vyUWjB)

お久しぶりです!!花桜です!!
小説、盛り上がってますね!!
人気者ですし、小説上手ですし〜。。。
憧れちゃいますね〜^^*

受験大変ですね……。
うちの姉も結構燃えてます。。。
頑張ってくださいね!!更新楽しみにしてますので^^*

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.90 )
日時: 2010/03/04 21:02
名前: キナコ☆ (ID: y9vyUWjB)

おっ久しぶりで〜〜す!
いやはや本当にお久しぶりです……。
小説最高に面白いですね!

頑張ってくださいね〜!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.91 )
日時: 2010/03/15 21:33
名前: 海冥 (ID: .WzLgvZO)

更新が再開されるのを待っています

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.92 )
日時: 2010/03/17 05:43
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: D2qNNsAz)
参照: 最近、アナログで絵を書くことが多いw

お久の久男〜!((
そして早朝からおはようww

小説、ドキドキの心境で読ませてもらったぞー!
こう考えると、万屋って大変そうだよね;
あむ、優しい子だよね。純粋すぎるほど、いい子だし
…てか、ルミカに小説の感想言うの始めてじゃない?!((ぇ

梨花&エド「「最低ね(だな)」」
羽入「あぅ、この鈍感野郎!なのです!」
あむ「羽入ちゃん、鈍感は関係ないと思う…;」

卒業シーズンがあって、もうウチ等も中3なんだなーって、勝手ながら実感しているよ
そして受験が近づき、戦慄が……!!ギャー!!!

梨花「とにかく、ひと思いにあたって砕ければいいんじゃない?」
あむ「砕けちゃ駄目だよッ!?砕けちゃッ!」
エド「取り合えず、何事も挑戦だな」
羽入「はぅあぅ?!エドが珍しく、いいことを言っているのです!」
エド「喧嘩売ってんのかー!!!」

梨花「とにかく!ルミカは落ち着いて取り組めば、大丈夫よ。こんな馬鹿とは違うんだから」
皆さん、これいじめ……?

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.93 )
日時: 2010/04/01 14:54
名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: 9RoM5lpe)


初めまして!
実は密かにいつも見てました^^
鋼の〜は知らないんですけど、解説が超分かりやすいです!
プロの小説家レベルですよ…
私も小説書いてるんですが、これを読んだら自分の下手さがよく分かる;;

これからも頑張ってください(^^♪

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.94 )
日時: 2010/04/11 11:41
名前: SAKURA (ID: H1c8Uwl2)

以外なコラボですね。               でもとってもおもしろいです。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.95 )
日時: 2010/04/21 17:10
名前: るりぃ (ID: Oi8lQRRm)

はじめまして!るりぃと申します!
鋼レン×しゅごキャラですか!
好きな物の混合みてると嬉しいです!
これからも頑張って下さい!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.96 )
日時: 2010/04/25 18:10
名前: 那智 (ID: zn3Ozk3/)

初めまして♪那智っていいます!
ここの小説、ずっと読んでましたけど、
最近ずっと更新がありませんね・・・
どうしたんですか??
はやく、続きが読みたいです!!!
これからも応援しますので、
頑張って下さいね♪♪

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.97 )
日時: 2010/05/02 21:11
名前: HINA (ID: MbtYH2rf)

とってもおもしろいですね!!!

これからもがんばってください!!!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.98 )
日時: 2010/05/21 23:52
名前: カイン (ID: XVANaOes)

こんにちはー!
小説面白いですね!続きを楽しみにして待ってます!
あと、ミナの登場も楽しみにしてますねww

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.99 )
日時: 2010/06/15 22:00
名前: 海冥 (ID: GYxyzZq9)

鋼錬の原作は完結しましたが、こちらの続きは書かれないのでしょうか。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.100 )
日時: 2010/08/03 18:17
名前: ルミカ ◆GU/3ByX.m. (ID: NHSXMCvT)

お知らせ
この小説を書くのはやはり難しいようです;;
申し訳ありませんが打ち切りとさせていただきます。なお私は「イナズマイレブン」と言うシリーズで、小説を改に書き始めていますので、時間がある方は探してみてください。(ヒント・タイトルは○○の戦い)なお、もし見つけたとしても「ルミカ」だとは言わないでくれると嬉しいです。本当に自分勝手で申し訳ありません;;

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.101 )
日時: 2010/07/07 18:00
名前: 海冥 (ID: 2skvVE/B)

書くのを辞めるそうで、とても面白い内容だっただけにすごく残念です。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.102 )
日時: 2010/07/01 13:57
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: 4kTDCa8M)
参照: 受験?何それ?おいしいの?

ルミカァァァァァァア!(黙★
お久しぶり!元気でやってるかい?
ウチは受験のことなんて考えず、毎日遊んでるよw←

大丈夫大丈夫!小説は気楽にやろうよ!
ウチなんて、スランプで数個の小説をまったく更新してないんだから!((おまw

小説のタイトル教えてくれたら、即見に行くよ^^
じゃあまたねーノシ

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.103 )
日時: 2010/07/01 17:04
名前: ぶんたん (ID: cA.2PgLu)

おもしろい小説ですね!

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.104 )
日時: 2010/07/03 06:28
名前: ななしば (ID: 0.f4Pw3t)

 おおう!初めましてとおもったら、スランプすか。でも、だいじょーぶ。私なんか、書くの面倒になりかけて、心の中では、小説放置寸前かな なんて思ってますから(こらっ!)
 私、しゅごキャラを、あんまし知らなかったけど、とても読みやすいです。
      頑張ってください byななしば

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.105 )
日時: 2010/07/04 11:13
名前: ももち (ID: ZPOqFm56)

あげます

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.106 )
日時: 2011/03/11 16:58
名前: 黒猫 (ID: Mjm32rxv)

初めてコメントさせていただきます。
ハガレン私も大好きです。
ってか、むちゃくちゃおもしろいじゃないですか!
頑張ってください!応援してマス。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.107 )
日時: 2012/04/25 17:37
名前: るみか (ID: 9kyB.qC3)

二年ぶりですwもう当時の人はいないか←自分勝手ですが、また書こうかな、と思ってます。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.108 )
日時: 2012/11/14 22:54
名前: るみか (ID: 9kyB.qC3)

何年ぶりだ?
フォレストに復活します・・・宣伝だけ。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.109 )
日時: 2012/12/15 21:40
名前: 優騎 (ID: cetVlQWk)

小説読みました。
すごく面白いです。
実はこの小説、10月ごろから見つけてたんですけど更新が止まってたので続きがきになってたんです。
けどまた更新すると書いてあったのでコメしました。
頑張ってください!

*ちなみに『フォレスト』ってここのことですか?違ってたら場所教えてください。絶対見に行きます!返事はいつでも待ってます。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.110 )
日時: 2013/03/04 23:17
名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9kyB.qC3)

>>優騎さま!
スレッドに気づかなくてごめんなさい><
ここのスレで一度、オリキャラとストーリーをリセットしてやり直しますのでよろしければ見てくださいね^^
フォレストはサブに近いので;;

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.111 )
日時: 2013/03/09 19:03
名前: ルミカ ◆14iGaWqIZs (ID: ZtEKXS3z)  

プロローグ

何も知らない蛙は無邪気に笑う
その後ろに襲い掛かろうと獣がいることも知らずに

何も知らない蛙は無邪気に笑う
その前に捕らえようと待つ獣がいることも知らずに

何も知らない蛙はやがて知るでしょう
自分がどれほど狭い井戸の中にいたかを

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.112 )
日時: 2013/03/09 20:07
名前: Dr.クロ ◆m1RYkHhkGM (ID: /PtQL6mp)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=24195

ルミカさんへ
あの〜、こちらのスレ(URL)の更新は?

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 ( No.113 )
日時: 2014/07/05 14:11
名前: ルミカ ◆UHMji.H51Q (ID: oompVg8u)

もう誰も読んでいないだろうが……一年後にまたこんにちは。リアルが大分落ち着いてきたので、近々再開しようと思います。

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師 ( No.114 )
日時: 2014/08/08 17:45
名前: ルミカ (ID: uT5MQLCg)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=27980

二次創作映像版にスレを立てました。タイトルはしゅごキャラ×鋼の錬金術。
しばらくコピーになりますが、それが終わり次第続きに入ります。多忙なため月に一〜二回程度の更新になりますが……

Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あ ( No.115 )
日時: 2014/08/18 14:15
名前: 唯香 (ID: 6AKtS3PT)

唯世を出してください。