二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: しゅごキャラ×鋼の錬金術師〜あむの旅路〜 ( No.36 )
- 日時: 2010/02/02 16:03
- 名前: ルミカ ◆rbfwpZl7v6 (ID: 9FUTKoq7)
番外編① バレンタイン企画
エド&ウインリィの場合
「まったく……」
二月の寒空の下、ウインリィはため息をついた。リゼンブール(*エド・アルの故郷)の冬は厳しい。夏は涼しいが、冬は切るように寒い。吐く息は白くなり、手先から感覚が失われている。
「せっかく帰ってきたのに、オートメイルを壊すなんて。何考えてんのよ……」
文句を言いながら、ウインリィは自分の手元に視線を落とす。そこには、チェック柄でラッピングされた小さい箱が握られていた。英語で『エドへ』と書かれた、小さなシールが貼られている。
「バレンタインだから作ったけど……どうしよっかな〜」
星空を見上げながら、ウインリィは数か月前の会話を思い出していた。
数か月前エドがオートメイルをぶっ壊し、リゼンブールに戻ってきたときがあった。その時、何の流れか忘れたが、あむのしゅごキャラ達に「バレンタイン」の話を聞いたのだ。
「バレンタイン? そんな日があるんだ」
ウインリィは目を丸くして言った。
「そうですぅ。女の子が、大好きな男の子にチョコレートを渡す日なんですよぉ」
「要は、誰か大切な人にプレゼントを送る日ってことだよ。友達とか家族とか……男の子じゃない人にあげている人だっているし」
スゥとミキが、にこにこしながら答えた。
すると横から、ランが
「ウインリィは、エドにチョコレートをあげるんでしょ?」
と気を使う素振りも見せず、聞いてきた。
ウインリィは、ちょっと顔を赤らめながら顔の前で手を何回も振る。
「え? やだやだ。エドに限定しないでよ。大切な人って言ったら、ばっちゃんやアル……あむに、ラン・ミキ・スゥだって入るわよ」
指を折り、人の数を数えながら、ウインリィは楽しそうに話す。実際、頭の中では、2月14日にみんなにシチューでも作ろうかな……と考えを巡らせていた。
「あたしが言いたいのは、本命チョコ!」
ランが不満そうに声を荒げた。本命の言葉を知らないウインリィは、難しい顔を作る。
「ほ、本命?」
「そう! 友達にあげるのは「友チョコ」だけど、好きな人にあげるのは「本命チョコ」なんだよ」
「へ〜……」
納得しながら、ウインリィの脳裏にはエドが浮かんでいた。慌てて頭を振り、その映像を消す。
「まあ中身は変わらないけどね。あむちゃんなんて、友チョコも本命チョコも外見変わらなかったし」
「あ、そういえばあむちゃんは、今年の本命チョコ誰にあげるんだろうね。やっぱりアルかな? エドとは喧嘩ばっかりだもん」
「そうですねぇ」
「あたしの本命……」
やっぱりエドが脳裏に浮かぶ。しかも最高に笑った顔で。
もう! どうしてこんなにもエドが思い浮かぶのよ……背は低いし、オートメイルは壊すし、どうしてあいつが……
脳内で葛藤中のウイリンリィ。それをしゅごキャラたちは不思議そうに見つめていた。
「ウインリィ?」
心配そうに覗き込むミキの顔が、飛び込んできた。ウインリィははっとした表情を浮かべると、すぐに笑い飛ばそうとする。
「大丈夫よ! あはは」
「素直になりなよ! 素直じゃない子は、素直な良い子にキャラチェ〜ンジ!」
「エド〜! あたし……」
そこから先は思い出すだけで恥ずかしい。
キャラチェンジの力は恐ろしすぎる……あむの苦悩がよくわかる日でもあった。
「おい。ウインリィ」
誰かに肩をたたかれ、ウインリィは驚いて振り向いた。その後ろにはエドがいた。手に何やら小さい袋を大事そうに持っている。
「あ? なに、エド?」
「そ…その…こ、これ。受け取れ!」
エドは大事そうに持っていた袋を、乱暴に突き出した。
一度ウインリィをちらりと見ただけで、後は視線をそらしてしまう。
「あ、ありがと」
軽くお礼を言うと、自分のプレゼントは下に置く。ウインリィは、恐々(こわごわ)と差し出された袋をしっかり受け取った。
「開けていい?」
「お、おう」
エドの顔はすっかり赤らんでいる。酔ってるのか?
その横でウインリィは、袋をあけた。中にはしゃれている、銀色のペンダントが収められていた。星型の部分には「ウインリィ」と小さく刻まれている。
「わあ! かわいい!」
「今日って、大切な人にプレゼントを贈る日なんだろ。……ミキに選んでもらった」
エドのセンスは良く言えば個性的、悪く言えば人とはかけ離れている。ミキにでも頼まないと、おかしいプレゼントを買ってくるであろうことは、長い付き合いで、知りすぎるほど知っている。
「あ、あたしも! これ……」
ウインリィは、ようやく小さい箱をエドに差し出した。エドは、それをひったくるように持って行った。視線は相変わらず。
やっと渡せてよかった……と、安堵するウインリィの横で、箱をしみじみと見ていたエドは一言。
「食えるのか、これ?」
「文句あるんだったら食べなくていいわよ。アルにあげるから」
当のアルは、今頃あむにチョコレートを渡されているはずだ。
「エドにあげるの? じゃあ。あたしはアルにあげるから、二人きりでしっかりやってよ」
あむも協力済み。どんだけ手が込んでいるんだ。
エドはラッピングを器用に剥がすと、ハート形のチョコレートにがぶりと食いついた。するとエドの表情が、金色の瞳に光が宿った。
「……美味いよ」
……一方その頃。
「兄さん、ボクこの身体になって初めてチョコレートをもらったよ!」
ロックベル家の中では、目を輝かしてはしゃぎまくるアルの姿があった。
〜終わり〜
変形エドウィン小説でした。遅くなってすいません!
雪兎さま好みにできていたでしょうか><
しゅごキャラを混ぜてみましたが、違和感ありすぎ。純粋小説も書けたら書きたいと思っていますが、CP小説は苦手です;;