二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 初雪の思い出【REBORN!】 ( No.136 )
日時: 2010/04/15 18:37
名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=16583

ちょっと、今回は一気に二話分更新したいと思います。

12. paura  ※グロ&暴力表現があります。苦手な方は逃げてー!

「エレット、ちょっとこっちにいらっしゃい」
「え……?」
「いいからいらっしゃい」
「! は、はい……」

凄むように言われ、エレットが近付くと、アリサはエレットの首輪の鎖を乱暴につかみ、グイッと引き寄せた。
そして、耳元に口を寄せ、静かな低い声で言った。

「バカね、あなた」
「!」
「こうとは考えられなかったの?記憶を失っているのなら、何か理由づけて連れてくる事なんて簡単でしょう」

アリサの囁き声は続く。

「なのにあなたは、そんなことも考えつかずにすごすご帰ってきて……この、役立たずが!」
「きゃあっ!」

ついにアリサは声を荒げて思い切りエレットの顔をはたいた。

「ぅ……うう……」

エレットは赤くなった頬を押さえて床に倒れこむ。

「本当、役に立たないわね!」

アリサは、怒りの形相で睨みつける。爪を噛み、ちっ、と舌打ちをして、呟いた。

「やっぱり、情報戦用なんて造るんじゃなかったわ……。早いところ廃棄処分にしようかしら」

アリサの言葉に、エレットはびくっと体を震わせる。

「そ、それだけは……アリサ様、廃棄処分だけは……っ!」

顔をあげ、こぶしを握りしめ、エレットは言葉を紡ぐ。

「今度こそは、今度こそは成功させます。何でもしますから……っ」

目に涙をため、エレットは必死に謝罪する。
その様子を冷たく見下ろし、アリサはこんなことを言い出した。

「あなた、確か鳥を飼っていたわよね?」
「? はい……」
「ちょっと見せてもらえない?」

不思議に思いながらもエレットは指笛を吹く。
しばらくしてから、一羽の青い鳥が飛んできた。

「いかがでしょう……。この子、羽をけがしていたのを私が助けたんです」

エレットは嬉しそうに語る。

「そう……可愛いわね。それじゃあエレット」

アリサは二ィと口を歪め、言った。



「その鳥を握り潰して御覧なさい」



エレットは弾かれた様にアリサを見る。そして、自分の手の内の鳥を見る。

「何?できないっていうの?さっきあなた『何でもする』って言ったじゃない」

さあやってみなさいよ、とアリサはさらに笑みを広げる。
一羽の小さな鳥は、エレットの手の中で、チッチッと自分の羽をいじっていた。
エレットは強く唇をかみ、           そして。


                                       ——————————グシャッ。



「あーっはっはっは!こんなに笑ったのって久しぶり!あはははっ!なかなかの余興だったわよエレット!」
「は……はい……有り難う、ございます……っ」

無理やりな笑顔を浮かべながら、エレットは自分の手を見る。
その手は、真っ赤な血と、紅く染まった鳥の羽根で彩られていた。

12. end