二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 初雪の思い出【REBORN!】 ( No.188 )
日時: 2010/04/25 15:58
名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

16. fermezza


「あいつがヒバリ?」

梨瀬琉と一緒に立ちあがりながらエレットは呟く。

「ああそうだ。……しかしまずいな。かなりご立腹のようだ」

梨瀬琉が言ったとおり、雲雀は口をへの字にし、切れ長の目をさらに細め、かなり不機嫌な様子でその場に仁王立ちをしていた。
そして、静かに口を開く。

「今は授業中のはずなんだけど、何でこんなところにいるんだい?」
「別に、何でもいいだろう」
「へぇ……」

梨瀬琉が言い返す。雲雀は興味深い物を見るような顔をした。

「何でもいいってことは、サボりととっていいんだね?」
「フン。好きにしろ」
「そう、じゃあ風紀を乱したとして……君達を咬み殺す」

そういうと雲雀は、何処からか出したトンファーを構えて、エレット達に向かって走り出した。

「何あいつ、いきなり向かって来た!?」

エレットが声をあげると、梨瀬琉が冷静に言う。

「戦うしかないようだな……」
「はぁ!?戦うって……」
「ボケっとするな!!」

梨瀬琉の怒号でエレットは我に返り、その目に雲雀をとらえる。
雲雀は目の前まで距離を詰めて、今にもとンファーを振りおろそうとしていた。

「ちっ!」

とっさに横に飛びのき、攻撃をよける。
そして、雲雀をキッと睨みエレットは叫んだ。

「ちょっと!あんたはサボりだって言ってるけどね、今ここにいるあんたもサボりなんじゃないの!?」
「僕はいいんだよ。それより、文句言ってる暇なんてあるの?」

薄く笑みを浮かべてまた雲雀は駈け出した。

(これは……どうしても戦わなきゃいけないの……っ?)

迫りくる前方の男を見て、エレットは冷や汗を流す。

(言ってる事は滅茶苦茶だけど……さっきの一撃で分かった……。こいつは強いわ)

数秒前の攻撃を思い出す。

(だけど……ここであの力を使うのは……っ)
        
ぎゅっと唇をかんだその時、

「危ない!」
「あっ!?」

梨瀬琉に突き飛ばされ、エレットは尻もちをつく。
それと同時に、ガっという何かが殴られたような鈍い音が屋上に響いた。

「いたた……」

打ったところをさすりながら、エレットは起き上がる。
その目に飛び込んで来たものは————

「梨瀬琉っ!?」
「う……ぐっ」

雲雀のトンファーを腕でうけ止めている梨瀬琉だった。
梨瀬琉の腕からは、真っ赤な血が滴り、床に小さな水たまりを作っていた。

「平気だ……このくらい。しかし雲雀、お前の攻撃は相変わらず効くな……っ」

痛みに顔をゆがめながら梨瀬琉は言う。雲雀はそれを一瞥し、

「自ら飛び込んでくるとはね……。まあいいや。まずは君から咬み殺そう」

そうはっきり告げて、大きくトンファーを振りかぶった。

「ああもうっ!」

それを見たエレットが突然叫んだ。そして人差し指を雲雀につきたてる。


バチィッ!


一閃の雷光が走った。

16. end