二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 初雪の思い出【REBORN!】 ( No.221 )
- 日時: 2010/05/08 17:22
- 名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)
18. vero aspetto
「しょ……正体?な、何のことよ」
エレットが口早に言うがその顔はひきつっていた。
「俺のもただの推測にすぎねえがな。だが、お前のことを聞く限りお前とネーヴェには共通する点がある。
それにお前は、ネーヴェの名前を聞いた途端取り乱したらしいな」
「う……」
淡々と述べるリボーンに、エレットは反論できず唸った。リボーンは続ける。
「そこから考えて、お前とネーヴェは必ず何らかの関係があると見た。だから————」
「ちょっと待って!」
リボーンの言葉をエレットが遮る。
「分かった、ネーヴェと私が関係あるのは認めるわ。
でも一つ聞かせて。何故あいつらやあんたがネーヴェのことを知ってるの?」
はっきりと言い、リボーンの返答を待つ。
リボーンはどうこたえるべきは少し思案した後、こう言った。
「ツナ達が連れて帰って来たんだ」
「え? あいつらが?」
エレットは目を丸くした。
「ああ、何でも道端に倒れていたらしい。どういう理由なのかはネーヴェ自身も覚えてなかったからお手上げだがな」
「あ、ああそう……」
曖昧にエレットは納得したようにうなずいた。
(やっぱりあの”任務”で何かあったのかしら……)
「それで、俺の質問にはまだ答えてもらってないぞ」
考え事をしていると、いきなりリボーンに呼びかけられ、エレットは体をびくりと震わせた。
「さっきおまえは関係があるのを認めたな。同じ首輪をしているのも意味があるのか?」
「そ、それは……」
エレットが口ごもっていると、梨瀬琉が突然声をあげた。
「話を聞く限り、やっぱりあの少女がネーヴェなのか」
「梨瀬琉、あったことがあるのか?」
リボーンが意外そうに訊き返す。梨瀬琉は深くうなずいた。
「この前、並盛商店街で見かけたんだ。髪の色と首輪が良く目立っていてな。
すれ違っただけなんだが……私自身は覚えていたんだ……それに」
「それに、なんだ?」
言葉を切った梨瀬琉をリボンがうながす。梨瀬琉は言葉こう紡いだ。
「エレットと、何か話していた」
「! 見てたの……っ」
梨瀬琉の言葉にエレットは息をのむ。その様子を見てリボーンは極めて冷静に、言った。
「……これ以上ないくらいの証拠だな。どうなんだ、まだ黙秘を続けるのか?」
こぶしを握りしめ、強く歯噛みしエレットはうつむく。
(どうしよう、ここまで知られてちゃもう後がない……。でも、ここで負けて白状したらアリサ様との約束が……)
数日前、アリサと交わした会話を思い出す。自分の首に取り付けられた危険物についての条件も思い出した。
(タイムリミットは五日、ああ、もどるときに三日たったから二日か……。それまでにネーヴェを連れ戻せば解いてもらえる。
! あれ……?)
そこでエレットが重大なことに気付いてしまった。
「あ、はは……。なんだ。バカみたい……」
「?……」
「ど、どうしたんだエレット」
突然笑い出したエレットを、リボーンと梨瀬琉が気味悪そうに見る。
(並盛に戻るときに三日分時間使って、仮にすぐネーヴェを連れ戻せたとしても間に合わないんだわ。どう考えたって……)
今まで気づかなかった自分がバカらしくなってくる。
(だとしたら、最初からアリサ様は私なんて当てにしてなかったのかしらね)
自分でそういう結論を出した。落ち着いているつもりだったが、次第に悔しさが込み上げ、目頭も熱くなってくる。
「おい、お前。平気なのか?」
「えっ!? あ……う、うん」
リボーンに声をかけられ、エレットは我に返る。気分を落ち着かせ、向き直る。
「分かったわ。私の分かる範囲ならすべて話してあげるわよ」
「なんだ、ずいぶん潔いな」
「アンタから言い出したんでしょ。いいのよもう別に…………残り少ないって分かったことだし」
最後はぼそりと小さな声で言う。
「? 何か言ったか?」
「別に。それで?何から訊きたいの?」
仁王立ちし、ふんぞり返ってエレットは言う。
「あぁ、まずは……と言いたいところだが、話を聞きてえ奴がまだいるみたいだな」
リボーンの目線は、屋上の入り口の陰へと注がれていた。
18. end