二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 初雪の思い出【REBORN!】 ( No.252 )
- 日時: 2010/05/16 15:09
- 名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)
19. verita
「そこにいるんだろ?出てこい」
見えない人物にリボーンが呼びかける。
よく分からないエレットと梨瀬琉は首をかしげた。
「や、やっぱり気付かれてた……」
「さすがはリボーンさんですね」
「こりゃ一本取られたなッ」
思い思いの発言をしながら姿を現したのは、ツナに獄寺、山本であった。
「なっ、あんたたち!?いつからいたのよ!?」
「えーっと……梨瀬琉が入ったちょっとあとくらい…だったかな?」
大声をあげて驚くエレットにツナは控えめに答えた。
「ここで騒いでてもらちがあかねーぞ。とりあえずこいつらも入れて話をする」
「そ、そうね……大体ネーヴェのことを言い出したのはこいつ等なんだし」
エレットが睨むように見ると、ツナは怯えたように少し後ずさり、獄寺はそれをかばうようにしてエレットを睨み返し、
山本は相変わらず能天気に笑っていた。
(本当……変な奴ら)
「後で私からも質問するからね」
そう前置きしてエレットは説明を始めた。
「まず結論から言うとね、私とネーヴェはちょっとばかしいじられた……改造されたとでもいおうかしら。そういう、元・人間なのよ」
「改造……!?」
獄寺が驚きを隠せないように言った。
「そうよ。私とネーヴェの他にもあと五人いるんだけど、皆そう。だから普通あり得ないような能力も備わってるのよ。私はこれ」
エレットが細い指を一振りすると、雷がその指にまとわりつくように発生した。
そこでリボーンが口を挟む。
「じゃあ、お前らを改造した張本人とその動機は何なんだ?」
「っ!」
そのとたん、エレットの動きが止まった。何かに迷っているように目を泳がせる。
しばらくその状態だったが、やがて決心したように言葉を紡いだ。
「言うわ。言うけど……その、その人の名前は……”あの方”ってさせてもらっていいかしら」
「? ああ」
リボーンがうなずくのを見て、エレットはまた説明を始める。
そして、すべてを話した。
エレットの話をまとめると、
・エレットやネーヴェ、他にいる五人は、改造させられたため人間ではないこと
・エレットの能力は雷、ネーヴェは雪、他にも嵐、雨、雲、晴、霧とそれぞれあるらしい
・自分たちはイタリアに施設を置くただの組織であり、マフィアではないこと(上の属性は”あの方”がそうしたとか)
・自分たちは孤児で、”あの方”に拾われ、忠誠を誓ったこと
・孤児だったころの記憶はなく、”あの方”がチップに入れて所有しているらしい(そのような技術は昔人から教わったとか)
・している首輪の役割はイタリアの施設と連絡を取るための物(鎖は受信機、首枷が本体)
・鎖が壊れれば本体の首枷も連動し破壊される
「……とまあこんな感じよ。私が知ってるのはここまで」
「そうか」
疲れた様にエレットはフウと息をつく。
「お前、説明してる途中に、マフィアの事も知ってる口ぶりだったな」
「まあ、そうね。直接的なかかわりはないけど、知ってることは知ってるのよ。あんたみたいなアルコバレーノのこともね」
「なら、俺らの事も隠す必要はねえな」
そういってリボーンは座っている彼らを見まわした。エレットは首をかしげる。
「も、もしかして俺たちもいうの!?」
「当たり前だろ。何事もフェアにってな」
「お前のいつもの行動見てるとフェアのフの字も見てとれないんだけど!?」
ツナが慌てふためくがリボーンは無視して話を進める。
「ほら、エレットは正直に話したんだぞ。お前らも言え」
四人は困惑にしたように顔を見合わせていたが、仕方ないという風に梨瀬琉が切り出した。
「では、私も単刀直入にいおう。私たちはマフィアだ」
「梨っ、梨瀬琉!まだ俺心の準備が……!」
焦るツナを梨瀬琉は指差し、
「そしてこいつはあの大規模マフィアボンゴレファミリーの十代目候補だ」
「言っちゃったー!」
「じゅ、十代目!気を確かに!」
ツナは大声で叫び頭を抱える。エレットは訊き返した。
「ボンゴレって……あの?」
「ああそうだ」
「へ、へぇ……マフィアなんじゃないかとは踏んでたけど、ここまでのレベルで来るとはね……」
驚きを通り越し、半分呆れながらエレットは呟く。そこに山本がけらけらと笑いながら言った。
「まあでも、どっちも隠し事がなくなって、スッキリして、それでいいじゃねえか!」
「や、山本……」
持ち直したツナが苦笑しながら言う。そんなツナにエレットは話しかける。
「えっとつまり、あんたがボスなわけ?」
「俺はそんなつもりないんだけど……ま、まあ、そうだよ」
「この二人が守護者なの?」
「う、うん」
エレットは山本と獄寺を見る。二人がそれぞれ答える。
「ちゃんとした自己紹介は初めてかもしれねえな。俺は獄寺隼人。嵐の守護者で十代目の右腕だ」
「山本武。雨の守護者だぜ!」
改めてエレットは三人を見まわす。自分と同い年くらいの彼らだが、とても温かいものに見えた。
「って!もうこんな時間だ!次の時間もサボりになっちゃうよ〜!」
そこでツナが声をあげる。その声で全員立ち上がった。
「用は済んだ。んじゃ俺は帰るな」
そういってリボーンは一人行ってしまった。歩いていくリボーンをエレットは目で追う。
「ほら!エレットさんも急ごう!」
呼びかけられた方を振り向くとツナ達は先の方まで行き、エレットを待っていた。
そこへエレットは駆け寄る。そして、ぼそりと呟いた。
「エレット」
『?』
「よ、呼ぶときはエレットでいいって言ったでしょ。”さん”なんて付けないで良いから」
顔を赤くし唇をとんがらせながら呟く。四人はしばらく黙っていたが、薄い笑みを浮かべ、ツナが言う。
「じゃあいこう、エレット!」
「ええ」
五人は教室へと走って行った。
19. end