二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 初雪の思い出【REBORN!】オリ募集終了! ( No.277 )
日時: 2010/05/31 19:29
名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)

20. anda


「フフッ……やっぱり。思った通りエレットは寝返ったわね」

薄暗い部屋の中、青白く光るパソコンを見ながらアリサは可笑しそうに呟いた。

「えっ、何なにっ? アリサ様、なんかあったの?」
「にゃっ! 梓っ、アリサ様には敬語使わなきゃだめらの!」
「いいのよルラ。今ね、面白いことがあったのよ」
『おもしろいコト?』

梓とルラは興味津々と言うふうに身を乗り出す。
アリサは二人に見やすいように少し横に移動した。

「にょ、エレットですね」

ルラがキョトンとしたように言う。

「どうかしたんでしゅか?」
「ほら、一緒に映ってるこの男の子たち。この人たちにエレットは寝返ったのよ」
「寝返ったって……こいつら一般人にしか見えないよー?」
「ですです」

しきりに首をかしげる二人にアリサは極力やんわりと言った。

「この子たち、ボンゴレなのよ」
『!!』

一気に二人の表情がこわばる。すると、

「この人たちが……」
「わっ! フェン! びっくりした〜」

突然フェンの声がし、梓は飛びあがる。
フェンは小さく「……ごめん」と謝り、再び画面に視線を戻した。

「確か……この人たちのところへネーヴェが向かった……」
「その通りよフェン。よく覚えてたわね」

アリサにほめられ、フェンは少し顔を赤くする。

「けど、にゃんでエレットはボンゴレの方についたんでしょーか?」

うにー、とルラが唸る。その時、

「弱いからだ」

凛とした声が響く。
声の主は、任務から帰ってきたエンジェだった。

「芯が弱いからだよ。だからコロコロといろんな方向へ転ぶことになる」
「相変わらずエレットへのあたりが強いのね」
「私はあいつが嫌いだからな」

冷たく言い放ち、「寝る」と一言告げ部屋を出て行こうとする。
不意に、その足が止まった。

「翔か……何が可笑しいんだ?」
「だってよォ、ムキになってるオバサン見てると面白くって……クッ」

翔は腹を抱えてクックッと笑いだす。
エンジェの額にはくっきりと青筋が浮かんでいた。

「ムキになどなってない。むしろあいつがいなくなって清々しているくらいだ」

苛ただしそうににエンジェが言う。それとは対照的に、翔はへらへらしながら、

「だーいじょぶだって。雷の代わりは俺がいるんだからよォ」
「フンっ」

エンジェはそれを一瞥し、小さく息を吐いてつかつかと部屋を出て行ってしまった。
アリサははそれを半呆れ顔で見送る。

「あなたもずいぶん相変わらずよね、翔」
「そうスかー?」

翔の軽い態度にアリサは苦笑する。ふと、画面の中の銀髪の少年に目が止まった。

(あら……?この子は確か……)

思い当たる節があり、リアーノを呼ぶ。

「リアーノ、リアーノ!」
「は、はい。何でしょう、アリサ様」

リアーノは驚きつつもアリサの所へと駆けてきた。

「彼に見覚えある?」
「……。いえ、分かりません……」

何処となく悲しそうに首を振る。

「それに、私たちは過去の記憶を一切取り除かれておりますので……」
「そうだったわね、ごめんなさいね手間取らせて」
「あ、いえ! そんなことは……ごめんなさい」

彼女らから取り出した記憶をアリサは一通り見ていた。
リアーノの記憶の中の少年が、銀髪の彼と似ている気がしたのだ。

(そう言えば……ネーヴェは記憶にプロテクトをかけたまま取り出せてなかったわね)

そんなこと考えながらアリサは立ち上がる。

「ささ、皆。出かける準備をしなさい」
「? どっか行くのっ?」

梓が不思議そうに尋ねる。アリサはニッと笑い、こう告げた。

「並盛町に向かうわよ」

時は、動き出す。

20. end