二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 初雪の思い出【REBORN!】オリ募集終了! ( No.294 )
日時: 2010/06/30 16:55
名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?378594

21. svago

「今週の……日曜日?」

エレットは目をぱちくりさせて、眼前にいる少女に訊き返す。

「うん、そう。皆で遊ぶから、エレットさんも誘おうと思って! 並盛町の案内もするよ♪」

そう言って眼前の少女————すなわち京子は、にこっと笑った。
エレットは「ふぅん」と相槌を打った後続ける。

「私は別にいいけど……メンバーは誰がいるの?」

その反応をみて京子は、さらに笑みを深めて答えた。

「えーとね、まず私とエレットさん。あとツナ君と獄寺君、山本君、ハルちゃん……そうそうネーヴェちゃんも誘おうと思ってるの!」
「え!? ネーヴェも!?」

エレットは京子の口から出た意外な言葉に驚く。

「うん! ツナ君から聞いたよー、ネーヴェちゃんとお友達なんだってね!」
「(あんた何京子に吹きこんでんのよ〜!)」

そう考えながら恨みがましい目でツナを見やると、怒られた子供みたいに肩をびくっと震わせた。
エレットはそれを見て、諦めたように溜息をつく。

「もう……ネーヴェは行くっていうんなら私は構わないわ」
「ホント? じゃあ誘っておくね♪」

はじける笑顔でそう告げると京子は自分の席へ戻って行った。
エレットはそれを静かに見送り、姿が見えなくなるのを確認してからツナの方へと歩み寄った。

「これはどういうことかしら綱吉?」

上から見下ろすようにエレットはツナに問う。
エレットの怒ったような態度にツナは怯えながらも答える。

「いや……この所エレットにいろいろ迷惑かけちゃったからさ、その……お詫びっていうか、気分転換というかさ……」
「……」
「とにかく、げ、元気になって貰おうと思って!」
「…………は?」

エレットは怪訝な顔になる。数秒した後、一気に顔を真っ赤にした。

「も……もう! 何であんたはすぐこう言うコト言いだすのよ!!」

そして、ありったけの声でツナに向かって吠える。

「エレット! 大きい! 声大きいって!」
「う……わ、悪かったわ。……ふー……」

ツナに言われて、エレットは気分を落ち着かせる。

「分かった。京子にああ言ったし、私は日曜日行くわよ。あとそれと……」
「?」
「迷惑をかけたのは……その、むしろ私の方よ。だから、お詫びとかなんて言わない事! 分かった!?」
「え、あ!」

そうぶっきらぼうに伝えて、ツナの返事も聞かずにさっさと帰って行った。

(日曜日がタイムリミットの日……。これ以上私に変なキモチ作らせないでよ、バカ!!)

エレットがこんなことを考えていたことは、誰も知らない。



〜ツナの家〜

「ただいまー」

夕陽がもうほとんど海へと沈んだ頃、ツナは自分の部屋の扉を開けた。

「おかえり」

一言だけ、か細い声で答えたのは沢田家に居候しているネーヴェだ。

「あのさ、ネーヴェ」
「……何?」
「次の日曜日って、ヒマ?」

日曜日の事について、ツナはネーヴェに話題を持ちかける。

「……何かあるの?」
「えっと……皆で遊びに出ようって話があってさ。それで、ネーヴェも誘おうって、来る?」

ツナが問いかけてみれば、ネーヴェは小さく、こくんとうなずいた。

「それでさ、その……エレットも来るんだって」
「……?」

誰のことか分からない、というふうにネーヴェは首をかしげる。

「この間、ネーヴェが商店街で会った人だよ」
「…………。何で知ってるの」
「あ! え、いや……エレットから聞いたんだ。エレットは、ネーヴェと関わりがあるんだって……」
「……そう」
「だっ、だから、一日でも一緒にいたら、ネーヴェも何か思い出せるんじゃないかなと思って!」

ツナは極力明るく言えるように努めた。相槌を打ったネーヴェの表情が何故か翳りがあるように見えたからだった。

「もし、何か思い出せれたら、皆に相談していいんだ。きっとみんな力になってくれるよ」

ネーヴェの手を取り、ニコッと笑う。
ネーヴェは少しだけツナを見つめると、

「…………うん」

こくんと、小さくうなずいた。

21. end