二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 初雪の思い出【REBORN!】アンケ募集中 ( No.325 )
日時: 2010/08/10 13:47
名前: クレイア ◆PT5MXLpFOU (ID: CkThpPJM)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?446172

22. pace


そして、約束の日曜日。
京子とハル、エレットは待ち合わせ場所の並盛神社の境内の下に立っていた。

「うーん、ちょっと雲行きが怪しいね……」
「そうですねー……。せっかくのお出かけなのに……」

少し淀んでいる空を見て、京子とハルは溜息をついた。
落ち込む二人を見て、エレットはフォローする。

「まあ大丈夫よ。降るのは夕方からだって言ってたし。どっちにしろ雪が降るだろうから大丈夫でしょ」

そう言ってふと横を見ると、男子達が走ってきた。

「ごめん! ちょっと遅くなった!」

白い息を吐きながらツナが謝罪する。
ツナの後には、獄寺、山本、ネーヴェと続く。

「母さんがネーヴェの服の着付けするって言って聞かなくて……」
「あはは、ツナ君のお母さんらしいね」

京子がそう笑うと、ツナもつられて笑みを返した。
それを横目に見ながら、エレットはネーヴェの前へと歩く。

「久しぶりね」
「……うん」

今まで、エレットはネーヴェにどう顔を合わせるか悩んでいた。
自分があの日商店街でネーヴェに会い、遠まわしにお前は「兵器」なのだと伝えた。
それをネーヴェはどう取っているのか知る由もない。
今の自分は同じ兵器だとしてもその内処分されるただのガラクタ。
役目など全うしないまま、堕ちてゆく自分はとても情けない。
たとえ兵器でも、記憶を無くしていても今を歩んでいるネーヴェに、あのような扱いをしたことに罪悪感を覚えたからだ。

「私はあなたのことを悪く思っていない」
「……っえ?」

まるでエレットの心を見透かしたようなネーヴェの言葉。

「あなたがあの事を囁かなければ、私も、“私”というものを見失っていたかもしれない」
「で、でも……あんなことで……!」
「あれだけでも良い。いつまでも私の記憶がない事で、皆に迷惑かけるわけにはいかないから」

無表情なネーヴェの瞳には、確かな強い洸が見えた。

「あなたは、私のことを知っている様。だから、少しずつでいい。私のことを……教えてほしい」
「…………」

エレットは少し考える。そして、口を開いた。

「わかったわ」
「……有り難う」

その時、丁度二人を呼ぶ声がする。

「ネーヴェちゃん、エレットさーん!」
「そろそろ行こう!」

ツナと京子が少し離れた所で手を振っている。

「皆お待ちかねね」
「……うん」
「いきましょっ」

エレットはネーヴェの手を取ってツナ達の所へ駆けて行った。

22. end