二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【怪物くん】 Stand up !! ( No.12 )
- 日時: 2010/05/24 18:35
- 名前: じら ◆gMiRbT/E9. (ID: 6p/pMq8e)
ああ、もうどうしようもないのか。
俺は自分の力量不足を嘆きながら瞳を閉じた。
悪魔界で殺された直後に人間界でも殺されるとは、これほどまでにぶざまな結末があるのだろうか。
しかも相手は怪物だと思うと、再び涙が込み上げてくる。
デモキン様がこれを見たらなんと申されるだろう?
そもそも俺はこいつらを殺すはずではなかったのか?
と、静かに思っていた時だった。
「おやおやおや、これはおどろいたねぇ!」
聞き慣れない男の声が近づいてきた。
俺が目を開けると、怪物の視線はその声がしたほうへ向いていた。
「きみたちがこんなことするなんてねぇ」
ゆったりと、そして何かを含んだような声音に、オオカミ男は早口でまくし立てた。
「いや誤解しないでほしいガンスね。これはこの悪、じゃなかった、この男が先にあっしたちに襲いかかってきたんでガンスよ!」
そう言って俺を指差す。
その横からドラキュラが頷きながら続けた。
「彼の言うとおりザマス。ミ—たちは単なる自己防衛でこの男をねじ伏せたわけであって、決して一方的に、そして訳もなくこんなことをしたのではないことをご理解いただきたいでザマスね」
顔を男のほうへむけると、そこには青い帽子と蒼い服を身に纏った、実直そうな男が怪物らを眺めていた。
確かこんな服装の人間のことを、人間界では『警官』と呼んだか。
男は苦笑を浮かべていた。
「あのね、誤解とか言うけど、きみたちのほうこそなんか誤解してない?」
「え?」
怪物たちと男が何かを話しているのが聞こえるが、死から逃れたという安心感に満たされていたせいで、会話の内容は右から左へ抜けていった。
助かったぞ、警官。
あとは俺の上に乗っているフランケンとかいうお供を押しのけるだけだが、生憎力が残っていない。
そう思っていた矢先、すっと体が軽くなった。
「フンガ」
「は?」
もしやと思って首を動かすと、驚いたことに、俺の上に乗っていたはずのお供がどいていたではないか!
どういうことかさっぱり意味が分からない。
立ち上がると、周りの怪物たちやガキは皆さわやかな笑顔を浮かべていた。
どれも先ほどまでにはなかった晴れやかな表情だ。
「もう会えねーな」
「さよならザマス」
「さらばでガンス」
「ばいばい!!」
「お前ら、何を……」
「午後一時四十八分、銃刀法違反と殺人未遂の疑いで逮捕ね」
そう言って男はにっこりと笑って、俺の右腕に装着してある鎌を見下ろし、「それはずさないと手錠つけられないから、さっさとしてくれる?」と言った。