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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【怪物くん】 Stand up !! ( No.7 )
- 日時: 2010/05/10 22:30
- 名前: じら ◆gMiRbT/E9. (ID: 6p/pMq8e)
俺はその場に突っ立ったまま、動けなくなった。
なんという幸運だろう。
人間界に堕ちて数分であいつに会うとは夢にも思っていなかったが、どうやら運命の女神が微笑んでくれたらしい。神には感謝せねばなるまい。
俺はゆっくりと一歩を踏み出した。
あいつは帽子を押さえて他の怪物らに怒鳴り散らしている。
俺の存在には気付いていない。
鼓動が速くなるのを感じた。
姿勢を低くし、獲物を狙う獣の如く忍び寄る。
右腕に鎌を装着すると、悪魔の血が背筋を震わせた。
ああ、この高揚感!
他のものは見えなかった。
俺の視界に映るのは、あいつの後姿のみ。
一気に駆けだす。
振り向かれれば堂々と勝負してやるが、後ろから首を切り裂いたほうが手っ取り早いだろう。
誰かが俺の姿を見たのか、遠くから悲鳴があがった。
人間どもよ。叫ぶのはまだ早い。
これからもっと恐ろしい光景を見せてやろう!
「ざんねんでした——!!」
え?
怪物はくるりと振り返り、口から炎を——って危ない!!
俺が間一髪で飛びのくと、怪物は心底残念そうな声をあげた。
「ああ——!! なんでお前よけるんだよ! いつものパターンってことで燃えろよ!」
「同じ手に引っ掛かるような真似はせんわ! ……というかなぜ俺に気付いた!」
俺が言うと、怪物は仏頂面のまま答えた。
「気付くも何も、ヒロシが教えてくれたんだ」
ヒロシ?
まさかと思って怪物の横を見ると、さっきのクソガキが白黒の球体を持ったまま俺を睨みあげていた。
こいつめ……!
怪物は淡々と続ける。
「ヒロシがどっかにボール蹴ったなーとか思ってたら悪魔にぶち当ててきたとか言うもんだから、なぁ」
「驚いたザマスよ。で、ダッシュしてくる悪魔が見えたんで坊ちゃんが火を吹いて一件落着! になる予定だったのに」
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