二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- それは可笑しな確率の話 / オレブン ( No.324 )
- 日時: 2011/01/10 03:00
- 名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
久々に稲妻3つけてやり始めたら宿題すげえ残ってるのにはまったってどういうことだ
オレブン楽しすぎる可愛すぎる
てことでごめんなさい返信は後で……!
ただのオレブン妄想おいていきますごめんなさい!
*
(それは可笑しな確率の話)
「ふどーちゃんは何してんのかなあっと」
机の上で脚を組みあからさまに行儀の悪い恰好をして携帯をいじっている不動に、隣に座っている沖宮がぐっと顔を近づける。携帯の中を覗き込もうとしていたようだが、不動はしかめっ面だけを残してぱたんと携帯を閉じる。
「何いきなり覗き込んでくんだこの野郎」
「いや、ふどーちゃんよく携帯触ってるから。何してるのか気になって」
ぎろっと今にも殺気を放ちかけない鋭い光を目に宿して、不動が沖宮に悪態をつく。あはは、とごまかすようにわざとらしく声を立てて笑い、沖宮がそういった。ただ彼女の言っていることは本心なようで、けれど特別不動を怪訝に思っているわけでもなくはたまた恐怖しているわけでもなく、ただ単に不動といるとどきまぎしてしまうような様子だった。
「テメーには関係ねーだろ。あっちいけ」
しっし、とでも効果音がつきそうな様子で不動が沖宮に手の甲を向けてふる。む、と沖宮は顔を顰め、けれどすぐに破顔して、言った。
「なになに? 彼女さんへのメールだったりするのー?」
沖宮のその好奇心じみた問いに不動が答えるまで若干の間が空き、
「……うっせ」
とふいっと目をそらして窓の外へと目を向けた不動を見て、沖宮は全て悟った。否、むしろ彼女が信じたくないと目を背けていただけで、実際にはもうかなり前からわかっていた。不動のことが気になり近づきはじめ、後ろから携帯を覗き込んだ——すぐさまばれたが——時に、見ていたのだ。
不動はメールを打っていて、送信相手の名前は名字しか書いていなく性別はわからなかったが——まるで恋人同士が交わすような会話がその本文に記されているのを。
先ほどの不動の反応を見聞きし、そしてその過去のことを思い出し。はあ、と沖宮は不動に背を向けて立ち上がってから、大きくため息をついた。
「……沖宮さん、元気ないですね」
「うおう、いつからそこにいたの毛利くん」
ライオコット島に用意された日本エリアの河川敷に座り、今にも眠ってしまいそうなうつつとした様子で川の流れをぼんやりと眺めていた沖宮は、いつから立っていたのだろうか不意に後方からチームメイトの毛利に声を掛けられて、すくっと立ち上がった。
「さっき通りかかったら、沖宮さんを見かけたんで」
へらっといつも通りの気弱そうな微苦笑を浮かべて、毛利が答えた。相変わらず幸薄そうな笑顔ね、と心内でそんな感想を呟きながら、沖宮は少々大げさに苦笑してみる。
「あっはっはー、ちょっと色々あってねー」
「あ、不動さん絡みですね」
「ちょっと待ってなんなの毛利くん君は」
できるだけ感情——ショックやら情けなさやら不動の彼女らしい人物であろう物への嫉妬など——を隠そうと取り繕った苦笑は見事に失敗に終わったようで、相変わらずな笑顔のまま毛利が呟く。
そんな毛利を睨みつけるかのような勢いで沖宮は毛利を一瞥し、今にもあんたはエスパーですかと鬼のような形相で詰め寄りそうになっている。
「いえ、沖宮さんが落ち込むっていったら不動さん絡みかなあ、と」
「……なんでそうなるの毛利くん頭なんかで打った?」
必死に取り繕っているのがばればれな様子で、無駄な強がりをするように沖宮がにへらっと苦笑を顔に張り付けて毛利に尋ねる。しかしこのままではボロが出ると予想がついたのか——どうやらもう出てしまっていることには気づいていないらしい——にかっと急に明るい笑顔になって、毛利に命令するように言った。
「そういえば毛利くん、私のことは『おきちゃん』って呼んでって言ってるでしょー?」
「……いや、なんか馴れ馴れしくて失礼で呼びにくく……」
「遠慮すんなチームメイトなんだから!」
ばしん、とそこそこに力の入った平手打ちを毛利の背中にくらわせて、沖宮は少し一瞬躊躇うかのように焦点を揺らして——やがて毛利に向き直り、どこか意地の悪い今までとは違った笑顔を浮かべて、言った。
「不動の彼女、教えてあげる。名字、『小鳥遊』っていうんだよ」
毛利はそんな沖宮をいつもと同じ微苦笑をぼんやりと眺めていたが、沖宮が無理をしていることにははっきりと気付いていた。