二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

必殺技=ギャップ / オレブン 毛利+栞 ( No.347 )
日時: 2011/02/06 02:12
名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
参照: オレブンhshs

@必殺技=ギャップ

「ブロック技?」
 そう問い返しながら、栞はきょとんとした表情を作り可愛らしく首をかしげる。左右に垂れたクリーム色の髪が揺れ、頬に触れる。それをうっとおしく思ったのか、栞は眉をよせて髪をはらった。すぐさま表情を作り替え、チームメート以上親友未満といった様子の毛利へと目を向けた。
「そうです」
 毛利は仮にもGKだ。しかしキャプテンであるもう一人のGKの源田のシュートを防ぐ確率はとてつもなく高く、そして彼の使う必殺技は体力の消費が少ない。源田は元より体力が高いため、一試合のうちに必殺技が使えなくなるなどということがほとんどなかった。松下のスピニングカットや沖宮のザ・タワーなどによる、シュートブロックやシュートのパワーダウンなどもそれに拍車をかけていた。
 そのため、ドッグランという比較的使いやすいドリブル技を覚えている毛利は、GKではなくMFとして試合に出されることが多い。GKが一人でいいということはないだろうが、実際今は一人で事足りてしまっている。毛利もMFとして活躍することにすっかり馴染んでしまっており、しかしそれに伴い新たな困惑が浮上してきたのだった。
 それは毛利がブロック技を覚えていないということ。シュート技までもは必要ないだろうが、MFならばブロック技は覚えておきたい。毛利もそれなりに体力はあるため、ある程度強力なものを覚えれば戦力も上がることだろう。GKとして活躍する日は遠くなる一方かのように思えたが、MFとして活躍するならそれぐらいは、と毛利自ら決心しているのだった。
 そこで問題になったのは、どの技を覚えるかである。秘伝書を使えば、大抵どんな技でも覚えることができる。そこそこ強力で使いやすいものがいいと毛利自身は思ったのだが、中々一人では決めることができなかった。優柔不断な性格であることも災いして、三日後に練習試合を控えているというのにまだ技を選ぶことができず、無論習得ができていなかった。せめて練習試合までには、と苦悩した挙句毛利が選んだのは、チームメートに決めてもらうという他力本願な選択だった。
「えーっと……なんでわたし?」
 そのチームメートに抜擢された栞は、特に怪訝に思っている様子ではなかったが、いくらかの戸惑いを隠しきれていなかった。それもそのはずで、必殺技を選んでもらうぐらいなら仲のいい人物に聞けばいいのだ。至極微妙な関係にある栞に聞く必要など——確かに栞はMFだが——全くない。
 顕著に語尾に疑問符を乗っけて、栞がにこやかな笑顔を浮かべたまま尋ねる。毛利は一瞬躊躇うような間をあけてから、ぎこちない笑みを口元にかたどり言いづらそうに、言葉を連ねた。
「いえ、裁きの鉄槌を使っていたので」
「え?」
「人形みたいな可愛い容姿なのに、凄い技を使うんだなあって」
 それが、栞を抜擢した理由だった。毛利の言った通り栞は可愛らしいはたからみればお人形さんのような容姿をしているにも関わらず、愛用している技は裁きの鉄槌。ギャップというか、その人形のような容姿にいやでも裏を感じさせる技のチョイスである。最初見た時思わず目を丸くしてしまったのを、毛利は今でも鮮明に覚えていた。
 一方栞はそういわれ、きょとんしている。『人形みたいな可愛い容姿』という素直な褒め言葉はナチュラルに受け流しており——聞きなれているだけかもしれないが——、その後の言葉が果たして褒め言葉であるかどうか計りかねているようだった。あの毛利のことだから貶しているわけではないだろうが、純粋に褒め言葉ともとらえづらい。
「……あー、うん、まあ、ね」
 結局はにへらっと微笑を浮かべることに収まり、栞は曖昧にはぐらかした返事をした。だから栞さんに聞けば、いい技を教えてもらえそうで。特にイラついている様子もない栞の様子に安心したのか、毛利はそう続ける。栞は微妙な感情を抱いたまま、まあどうでもいいかと流しておくことにした。
 相手は自分を頼ってくれているわけだから、悪い気はしない。人の必殺技を選ぶなど栞にとっては初めてのことだったが、特に悩んだりはしなかった。それは前々から栞がさばさばした性格だということもあるが、ずっと栞が思っていたことと必殺技の事柄が合点したからだった。
「よっし、じゃあいい技、紹介してあげる」
「有難うございます」
 毛利は選手としての気迫が足りない。果たして女である栞に言えることかはわからなかったが、であった時から栞は毛利に対してそんな評価を抱いていた。GKをするにもMFをするにも、どこかなよなよしていてすぐに押し負けてしまいそうに見える。選手としてふさわしくない、といってしまえばそれまでだが、しかし毛利は選手としての実力は兼ね備えている。
 相手が恐れをなすような、こっぴどい一撃を与える技でも覚えればいいのに。栞は毛利に対し、ずっとそう思っていたのだ。その技はギャップにもなり、相手チームにこちらは全く予測などできないというチームを思わせるにも役立つかもしれない。そこらへんは曖昧だったが、とにかく栞は毛利のやんわりとした雰囲気があまり好きではなかったのだ。あんな雰囲気を打ち壊す必殺技。チームが所得している秘伝書を順々に眺めながらそんなことを思い、栞はまさにそんな必殺技を見つけていたのだった。
 にぃっとどこか不敵な笑みを浮かべながら、栞は毛利に告げた。
「『アステロイドベルト』。どう、覚えてみたら?」
 毛利は何度か目にしたことのあるその必殺技を思い出し——自分が苦笑をかたどっていっているのが、手に取るようにわかった。アステロイドベルト、それは周囲を宇宙のような無重力空間に変え、その空間内に浮いている大小さまざまな大きさの岩を操り、相手に容赦なくぶつけてボールを奪うというブロック技である。
 確かに栞らしいチョイスだ、と毛利は思う。それでいて、本当にその技は自分にふさわしいのか——そんな思いが頭を過る。確かにギャップという点ではいいかもしれないが、普段の温和でまったりしている毛利とはあまりにかけ離れすぎている必殺技だ。
「きっと毛利に似合うと思うよ」
 それでも、いいかもしれない。そういう技を使ってみるのも、新しい自分を発見するかのようで。栞に微笑みかけられ純粋にそういわれ、毛利は苦笑を微笑に変えて、屈託なくうなずいたのだった。

 無論、アステロイドベルトを習得した毛利に周囲が酷く驚愕したのは言うまでもない。

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うちの毛利くんです。アステロイドベルト覚えてます。栞ちゃんとこういうやり取りしてればいいよ。
ていうかオレブン書くとき毛利くん率異常に高くね。いや自分で書いてるんだけどw
あ、支倉ちゃん抜けましたー。決まりました、ニャンちゃんにします。ニャンちゃん可愛すぎて一目ぼれですた。
後烈斗がノーザンインパクト覚えてhshsしてまう。ノーザンインパクト使いが三人に^p^またこれでなんか書きます絶対^p^運命すぎる^p^