二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.11 )
日時: 2010/10/02 17:33
名前: 向日葵 ◆SGRiEhC9iM (ID: 5bBsNqZt)

1−2.・*

晴天の昼下がりの屋上。
昼休みまでの全ての授業を寝倒した風花は(リクオに何回も起こされたらしいが記憶にない)この昼休み、ラスト8個のパンを10分で平らげた。
かなりの大食漢らしく、少し不機嫌な顔で、食べ足りない、という表情で友達Bこと、氷室 ミリヤの弁当を覗き込んでいる。

「なに? 要るの? あんたさ、もっと素直になれば可愛げもあるってもんよ?」

と言いながらミリヤの顔はなんだかんだでうっすらと
微笑みを浮かべている。

全くの正論だった。

風花は容姿端麗の美人だ。色素が薄く、アイボリー色の腰までの長髪はサラサラで、少しハネていて、手足は細く、色白でスレンダー。
鼻筋もすっきり通っていて、鳶色の大きな瞳はいつも表情を彩る。

そんな彼女は思ったことを全く言わないが、人が傷心するような事はズバズバグサグサ言っちゃうし、少しでもイラッときたら手近にあるものを片っ端からどーんどん投げる。弱点や隙を少しでも見せれば全力で攻撃してくる。
あれだ。いざ、敵を倒そうって時に真っ先に心臓を狙い、先手必勝がモットー。
可愛い顔してやることすることはとてつもなくエグいから困る。なのでいつも腫れ物扱い。

———本当のことなんか、言えるワケない。

風花は些か苛つきを覚えながらもその思いを心の奥底に押し留め、ミリヤの卵焼きと、反り返ったエビフライをもらい、口に運ぶ。

「ところでさ、風花ちゃん。」

そんな平平凡凡たる空気の中、茜は膨れっ面で重々しく口を開いた。

「今朝の奴良くんに対しての≪変人≫はないと思うよ?」
「あんら風花、そーんなこと言っちゃったの。あたし知らなかったわー。あれ善意で自らやってくれてんのよ?」
「だって…変」

風花は足の爪先を見ながら言った。

「いや、だから茜っちは、言葉を選べっつってんのよ、風花」
「…………コトバ。」
「うん、後で謝っといた方がいいと思うよ? 私は。風花ちゃんが悪気が無いのは知ってるんだけど…」
「……………絶対?」
「当っったり前だろ!」

姉御肌のミリヤがどこからか取り出した30センチ程のハリセンでバシコォンッ、と風花を思いっきり叩いた。

「危うきこと累卵の如し…。」
「ハリセン如きで危険とか言うなっ」

屋上のフェンスの近くで三角座りして頭を押さえた風花は上目遣いでミリヤを見つめた。
と、その時、授業開始を知らせるチャイムが学校中に鳴り響く。

「あ、行こっミリヤちゃん、風花ちゃん」

焦りながらも風花の方を向く茜。
だが、風花は力無く首を横に振った。

「あ、風花は今日もサボりか?」

コクリ、と風花はミリヤに向かって頷くと、小さく手を振って二人を見送った。