二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.21 )
日時: 2010/10/05 00:33
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

1−2.・*

「ちょっ……橘さんッ…!?」

急に自分の元に倒れて来た風花を受け止めたリクオは少し揺さぶってみるが、目を覚ます気配は全くと言っていいほどなく、静かに寝息をたてている。

——今のは…妖気…!?

リクオは崩れ落ちた風花から巨大な妖気が放たれたのを感じ取ったのだった。温かく、でも恐ろしく暗い、万物を包み込むような妖気。

普通の人間がそれに当たれば即死どころか肉体の消滅していたところだが、リクオは平然としている。

「若ァ!!!」

そんな時、倉田という大柄の男子生徒が屋上の重い鉄の扉を勢いよく開けた。勢いがよさすぎて、ドォォンッという轟音が辺りに轟く。

「わっ…! 青田坊!? 氷麗も…!!」


リクオは扉の近くから風花を抱いて飛びずさった。
倉田、という男子生徒は実は怪力の持ち主の妖怪・青田坊が化けたものである。同じく氷麗も、氷を操る雪女が人間に化けている。
二人は、元の妖怪の姿に戻った。

「さっき、ここらへんで巨大な……妖気が!!」

氷麗は階段を駆け上がって来たのか、息があがっていたが、何かに気付いたのか、リクオに抱かれて眠る少女を見て叫ぶ。

「あ゛−−−−−ッ!!!!!! そ、それは…

 今朝の無礼女!」

「ぶ、無礼女って…」
「兎も角! もしや、若…。さっきの妖気の正体は…」


 「そう。」


リクオは複雑な心境で、微弱にもいまだ妖気を出し続ける少女の美麗な顔を見つめた。



「きっと、橘さんは…」


「〝妖怪〟だ。」

とてつもなく重い沈黙が三人の内に居座った。