二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.25 )
日時: 2010/10/05 17:44
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

1−5.・*

そこは縁側だった。
空には満月。
庭には、満開のしだれ桜があり、花弁を散らせている。
その下には池があり、波紋が立っている。

そんな光景が見える縁側には、身体が弱そうな青年が盃を持って〝妖銘酒〟という酒をちびちびと飲んでいる。
その向かいには白とも銀ともいえぬ髪と黒髪を長く伸ばした青年もいて、同じように酒を口に運んでいる。
二人はこちらに気づいていないようで、たまにハハハ、と笑っている。
風花は無言で襖をそぉっと閉めた。何かの間違いだったのだろう。
そしてもう一度毛倡妓の元に行き、かくかくしかじか話すと、彼女は何かに気付いたようで、「え、あ、リクオ様は今お疲れで眠ってらっしゃるのです!」と言ってにへら、と笑う。

「リクオ〝様〟…? 家政婦…?」

が、近くにいた納豆小僧諸々が毛倡妓の意図を知ってか知らずか言った。(これは確実に後者だろうが。)

「だーーかーーらぁーーー! それがリクオ様なんだって」

笑いながら酒を一口飲んだ。
全妖怪の視線が納豆小僧に降り注ぐ。だが当本人は酔っているため全く気付かず、御猪口でまた酒を呑気にプハーッと飲んでいる。
剣呑な空気が流れ、さすがの納豆小僧も可笑しいとおもったらしく、辺りを見渡す。
風花はそれで、あー、あれが奴良君。と沈黙で判断したようで、電光石火の勢いで襖に近寄り、今度は思いっ切り、人生初といっていい程力を込めて開けた。


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納豆小僧のその後は番外編でお知らせします。