二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.29 )
日時: 2010/10/07 18:16
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

1−2.・*

「あー……。」
「よぉ。もう大丈夫なのか?」

風花はうなずき一つで返すと、しばらくぬぼーっと立っていたが、鴆に「座れよ。」と言われて、彼の近くで足を延ばして座った。
そして、ふと頭に浮かんだ疑問を口に出す。

「すごく……静かなんだね。」
「あん?」
「妖怪って、夜に活動すると思ってた。」
「……あー。」

鴆は最初は真意をはかりかねていたらしいが、やっと分かった、という様に風花を横目で見た。
だが風花はそれを受け流して天井を仰ぐ。

言っていいものか。

鴆は千思万考するものの、もう風花に妖怪たちも見られているし、リクオの夜の変化した姿も既に見られているし、この調子だとリクオが三代目、といいう事も分かっていそうだな、と思って沈黙を破った。

「今は出入りしてる。」
「出入り……。百鬼夜行?」
「よく知ってるな。」
「伊達に妖怪やってない。」
「そういえば…何年生きてんだ?」


風花は立ち上がって歩きだす。アイボリーの長い髪が柔らかく風に揺れる。
すると、その制服のスカートがぼっこりと盛り上がり、そこから16本の毛並みの美しいミルクティーの尾がシュルシュルと次々に出てくる。

「な……っ」

鴆は驚愕で目を見開いている。口もポカン、と開いていて随分と間抜けな面だ。
「開いた口がふさがらない」というのは心底呆れた事を言うが、この場合は驚きすぎて、驚き>口を閉じる、になっているのだろう、

「この尾は、100年毎に1本づつ増える。……これで、わかるでしょ? 羽衣狐は転生する度に増えるらしいけど。」

風花は呟くと歩き出す。
歩を一歩進める度に、風花の外見が変わっていく。
髪の色が癖っ毛あるミルクティー色に変わり。学校の制服は、薄い紫の生地に青い紫陽花が描かれた着物に変わり。ミルクティー色のその髪の間からひょっこり姿を現したのはピンと立った二等辺三角形の獣耳。ニヤリ、と不敵に笑った口から覗くのは鋭くとがった犬歯だ。そして、その瞳はつり目がちになり、今は玉虫色に爛々と輝いていて、違う角度から見ると黄金色にも琥珀色にも見える。

————そうだ。私は…
「コウだ。」

今、思い出したよ、かか様——。