二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.32 )
日時: 2010/10/07 22:45
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

あ、そういえば今日は鞍馬山の大天狗の誕生日……だったハズー。

1−3.・*

なんだか晴れ晴れとした気分だった。
と同時に早く此処から出て行かないと、リクオにこの姿を曝すことになるだろう。確実に。
鴆が手首を掴んで来たので、それを振り払い、風花は疾風の如く走り出した。

荷物を尾の内の一本で絡め取り、屋敷の囲いを4m近くの跳躍で軽く飛び越え、飛び越えて地面に片手を着いて着地し、キョロキョロと辺りを見渡す。

「奴良君……!!」

風花から見て左手にある屋敷の入口に彼女は目を止め、見開いた。

——運が悪い。
   悪すぎる。こういう時に限って運が悪い。

風花は舌打ちをする。
それは丁度、百鬼夜行が出入りから帰ってくるところで、<畏>の羽織を着たリクオと目が合ってしまう。

「おいっ……」

リクオが駆けて来るのを見て、風花は裾を翻し走り出した。
その時、ゾクッと悪寒が背中を駆け抜けた。

——畏の発動…!

畏とは、憧れ、尊敬。
リクオは大きな畏を纏っていた。それがひたひたと近寄ってくる。
風花は懐から、先の方にフワフワの綿が付けられている扇子を取り出して片手で開き、何もない空間に一閃させる。
すると、景色が歪み、リクオの驚いている姿がそこにはあった。

「リクオ様の畏が、断ち切られた!」

百鬼夜行の一員、首無と氷麗が驚いたように見事にハモりながら実況中継する。

(本人たちは至って大真面目だが、ここは風花視点なので)

風花はそれを一睨みした後、フッとそこから消え去った。
彼女の畏の発動だった。