二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.40 )
日時: 2010/10/11 23:23
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

1−6.・*


数学の時間。
風花は、頭の毛が乏しいが優しく面白い話をしてくれる数学の教師 山城 睦 の話をそっちのけで、ただ机に突っ伏してひたすら、半端ない痛さの頭痛に耐えていた。
頭に流れ来る「コウ」だった断片的な記憶。

清明とのおしゃべり。
羽衣狐に教えてもらった力の使い方。
鬼童丸の剣の稽古。
しょうけらから延々と聞かされた聖母の素晴らしさ。
生き肝を思い、うっとりとしている羽衣狐との会話。
城下町でのぬらりひょんとの出会い。
珱姫が連れてこられた時。
宮子姫、貞姫の最期。
町で、幼い奴良鯉伴が珱姫と買い物をしているところ。
かか様とよく似た人を見つけ、駆け寄ったが違っていたこと。
奴良組総大将が変わったこと。
首無の噂。
一人孤独に、人に化けて暮らしてきた日々。
鯉伴に子供ができたらしいこと。
羽衣狐が新しく転生して自分に会いに来たこと。
鯉伴の死。
リクオ様がガゴゼを討った、と町をウロついていた怪力の巨漢が言っていたこと。


そこで記憶は入れ替わりその先は「風花」のものだった。

なぜ、そこで記憶がぷっつりと切れているのかは分からないし、自分が橘 風花と分かり、住む所が新しくなっていたのかも分からない。

何があったのかは取り敢えず分からず仕舞いだったが、風花は治ってきた頭痛にホッとしながら頭を上げるとそこには「風花」の友達の茜とミリヤがいた。

「梅ちゃん、お妙ちゃ——」

思わず、「コウ」の中の唯一の友と呼べる人物たちの名前を言ってしまい、恥ずかしくて風花は俯いた。

——私は、「コウ」なのか「風花」なのか。


「あ、やっと気付いた!! 1時間目の休み時間から話しかけてるのにちっとも起きなくて怖かったよー」


茜はうわーん、と風花に抱きつく。

「そーそー。どしたの? あんたがシカトなんて珍しい…。今日は空から槍が降ってくるんじゃないかと思ったよ?」

ミリヤは風花の前の空いている席に、ドカッと重い腰を下ろして笑った。

「今……何時間目?」
「ん? ご飯だよ?」
「早く食べねーとあたし飢え死んじゃうから用意しよーぜッ」

2人は風花の様子がおかしいのに気付きつつ、暗い雰囲気にならないよう明るく振る舞った。
風花は、ただただ頷いて、弁当を持って、屋上に向かう2人の後に続いた。