二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.42 )
日時: 2010/10/13 00:21
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

第四幕
1−1.・*

風花は自宅の前に立っていた。
否、自宅だった所の前に立っていた。

「………。」

目の前にはたくさんの消防車が止まっている。
風花の隣の家は全焼、風花の家は半分焼けていた。

——いやいやいや。

「見間違い……」


じゃない。目をいっくらこすっても家が元通りにならない。
風花はふとこの間のニュースを思い出した。

『浮世絵町で原因不明の火事多発』

と、その時、群衆の中から膨れ上がる妖気を感じ、目を凝らした。
が妖気は凝らした刹那、霧散してしまった。
風花は仕方なく、学校に向かって歩き出した。


風花の持論。
1「春の屋上程天国に近い場所はない。」
2「夏の夜、アイスを食べながら星を見上げるのは楽しい」
3「秋の窓際程涼しいものはない。」
4「冬の教室で一番前になるとストーブ当たって3学期はバラ色。」

今当てはまるのは1だ。
アスファルトが黄昏色に染まる中、風花はコンビニで買い込んだおにぎりをもっしゃもっしゃと食べていた。
服はどこから手に入れたのかピンクのパーカーに短パン姿で、惜しげもなくその白く細い足を曝している。
なぜ、彼女が金にも困らず、家が焼けてもこんなに余裕綽々としているのかは、彼女の妖怪としての能力にある。

彼女の能力、それは2つある。

1つはリクオから逃げる際に使った「異空間移動」だ。何もなく、ひたすら真っ白で無機質な陸地だけが続くそこは、風花のいる世界より時の流れが早い。
この世界の1週間が、その世界での2週間なのだ。

もう1つは「記憶操作」。

これはコウが最もよく使う能力だ。と言っても、使用用途は「授業に遅刻した」という事柄を忘れさせるために使ったり、「提出物を出した」と記憶を改ざんしたり、という事にしか使わない。

風花はぼんやりと家探ししないとなあ、と考えると、異空間へと飛んだ。