二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.47 )
日時: 2010/10/22 18:22
名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)

1−4.・*


それから一週間。
風花の姿を見た者はいなかった。


「そしたんだろね、風花。」

茜はスライムの様に机にベダーッと張り付きながら呟いた。

「さーね。あの子にも事情ってモンがあるんじゃねえの?」
「ううーー。心配だなぁーっ……家に殴りこみに行く?」
「てーか、家知らねー。」

2人はニュースなど全く見ていないようで、のほほん、と言葉のキャッチボールを続けていた。


「っぶしっ」

風花はくしゃみをした。
そこは、黒い空と無機質な白い陸地が延々と続くところでそこにポツンと一軒、藁の屋根で土壁造りの家があった。
中には勿論のこと風花がいて、つい先刻まで眠っていたのか、寝ぼけ眼で家の中を一回見まわし大きく伸びをしている。
家の中には電気機器はガスコンロ以外一切なく、あるのは昔ながらの土鍋と畳と布団、ちゃぶ台で、蝋燭がゆらゆら揺れている。
そんな時、お腹が大きな音をたてて、ぐぅ〜〜っとなった。

「あ。」

風花は押入れを見て思わず声を上げた。
そこには買い置きのレトルトカレーやらがあるのだが、寝る前に食べたのが最期だったらしく、押入れに残っているのはいちごみるく味のキャンディーとミント味のガムのみ。しかも両者ともに残り3、4個しかない。

——あっちの世界に飛ぶしかないかな。

そして彼女はでろでろ〜っと出しっぱなしだった尾を全部仕舞い込み、仮の玄関に置いてあるスニーカーに足を突っ込んで、玄関近くに置いてある(否、捨てている)財布を引っ掴んで家を出た。

そして目を閉じて自分の目の前に腕を伸ばし、掌を何もない空間に向ける。
と、そこに真っ黒で人が通れそうな程大きな穴が現れ、風花をそっと優しく包み込んだ。