二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.49 )
- 日時: 2010/10/23 23:58
- 名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)
1−5.・*
リクオは近くのスーパーに来ていた。
というのも、台所で若菜が『あらー。買い忘れが——』と言うのを彼が聞きつけ。
「僕が行って来るよ!」
と自らおつかいを買って出たのだった。
いつもなら「人間的な生活を目指し」だが、今日は違い、「行方不明音信不通少女風花、を探す」という理由だ。
リクオはスーパーの前に自転車を停めると、自動ドアをくぐり、中に入ってカゴを引っ掴んで歩き出す。
そして頼まれた牛乳とホウレンソウとじゃがいもを買い物かごに入れてレジに並ぶ。
そのスーパーには、少女はいなかった。
その当本人は拾ったスーパーのチラシと睨めっこしていた。
そのチラシに大きく書かれていたのは「安売り」。
その言葉を居る様に見つめている。
彼女は節約上手だが、バイトはてんでダメだった。
このスーパーのレジで働いていたのだが、おつかいに来た子供に「早くして」と急かされてそれがムカついて泣かせたり、魚貝類を冷凍食品の場所に突っ込んだりetc.
「よし。」
風花が大きく頷き、歩幅大きく闊歩した刹那、彼女より頭一つ背が高い人物にぶつかる。
「…?」
風花は、オラ何じゃ、自分(テメー)誰にぶつかったのか解ってんのか、つか行く手阻むクソヤローよぉ、といった痛烈なさっきをにじませながら鋭く見上げると、そこには彼女にとって最も逢いたくなく、忘れたかった、奴良リクオがいた。
そして、確かめた時には、時既に遅し。
彼女の細く白い腕をリクオの手が離すものか、としっかと掴んでいた。
「そこ行ってたんだよ!! どれだけ心配したと思って——」
「のけ。私はカップ麺安売りを見つけて買いに来ただけ。」
風花は若干本気(マジ)で殺ってやろうか、とリクオの瞳を見たが逆に悉(ことごと)く射竦められる。
「帰ろう。」
「……私に帰る所なんて無——」
リクオはそれを聞かずに彼女の手を引っ張って有無を言わさず自転車の後ろに乗っけて漕ぎだした。
風花の大きな瞳がより一層大きく見開かれ、口は小さく開かれ、アイボリーの髪は夕方の生温い風になびいている。
「女の言葉は最後まで聞くモンじゃ。」
風花は懐かしそうにいつもとは違う口調でそう呟くと、悔しそうな顔でリクオの大きな背中を見つめた。