二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫-永遠ノ唄- ( No.7 )
- 日時: 2010/10/01 19:04
- 名前: 向日葵 ◆5tAuYEuj7w (ID: 5bBsNqZt)
第一幕.・*
1−1
私が日直だった。
なのになんでこいつがいる——?
そんな思いを胸に、少女は教室に入り、ドサッ—と乱暴に鞄を机に投げ捨てた。
——しかも、なんだ? このクラスに入って一カ月、誰とも関わっていないのになんでコイツは私のフルネームを言える…?
『橘 風花さん……だよね?』(タチバナ フウカ)
教室を覗き込んだなり、及川 氷麗とかいう生徒と黒板を掃除していた奴良リクオは少女——橘 風花に爽やかな早朝Smileをお見舞いして下すった。
面食らった風花は会釈だけをしてそそくさと自分の机に走り寄り、机を木端微塵にするが勢いで鞄を投げた。
面食らうのも無理はない。
なんせ、このクラスになって風花に話しかけたことのある人物と言えばリクオを含め三人で、最近友達になった(本人的には近寄ってくる変な子、と認識している)その内の二人の名前は知らない。
高校一年新学期、転校してきた頃は好奇の視線に曝されていたが、皆、風花が一睨みしてやめさせた。
そしてほとぼりが冷めて二人を除き誰も風花に話しかけなくなったころ、この出来事が勃発した。
——変な奴。
自分から日直なんかやって…。
重い沈黙が流れたそんな時、素晴らしいタイミングで友達A(風花なりの呼び方)が教室に入ってくる。
「あ、風花ちゃん、おはよー。今日は早いね?」
その少女はパーマのかかったふわふわしている髪を揺らして教室に入って来た。
今日よ、来てくれてありがとう と言わんが如く爽やかなオーラがその周りを取り巻いている。
「……日直。……あの変な人、誰?」
風花には『遠慮』という字は、頭の中の辞書には記されていないようで、窓際の一番後ろの席からリクオを指差す。
「ちょ…こらこらー」
「ちょっと!! 若になんてこともががっ」
「氷麗っ…!」
——呼び捨て?
友達Aこと、三澤 茜が風花に突っ込みを入れるのと、氷麗が憤慨するのと、その彼女の口をリクオが塞いだのは同時だった。
風花はじーっと茜の口から次の言葉が出るのを待ち、現在激怒進行中の氷麗を慣れた様子で華麗にスルー。
と、その時氷麗がドォォンッとリクオを押しのけ狂ったように叫んだ
「若は立派な御方なのです! リクオ様は奴良組のもごごっ」
「ストップ!」
が、起き上ったリクオに阻止された。
「あれはウチの有名人だよ! 〝文字通り良い奴〟って呼ばれてるの。知らないの? 風花ちゃん」
「………知らなかった。」
風花は心底感心しましたというふうに、顎に手を当てふむふむと大きく頷いてお馴染探偵ポーズ。
「———良い人なんだ…。変人にしか見えないけど…」
「ちょっとぉーーーっ!!」
氷麗は百獣の王が如く吼えた。
これが、風花と奴良リクオとの出会いである。