二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【二ノ国】 マルの『秘密の冒険』 ( No.119 )
日時: 2012/01/05 21:28
名前: 彌浪 ◆BWqKsmtrLo (ID: u6knrXHP)

第十六話 「アデュース家の真実」

その家には、ライという少女が居た。
少女はずっと力を求め続けた。
何物にも負けず、妹を守れるように。

ある日の事。
「そういえば……親父の薬に元気の沸いてくる物があったな。あれは試作品だったかな。まぁ構わねぇ!」
そういって薬に手を出した。
「ふん、気分が良い。」
それは身体の中心からどんどん全身へ広がり……
「まるで……力に満ち溢れている様!ハーッハッハ……」
その笑い声を三歳の少女は聞いていた。「なんのおとかな、おねえちゃんのこえ?なんか、こわい……」あの狂った少女……ライ・アデュースの妹、ソーラ・アデュースだ。
……。
「……!」
突然少女は痙攣を起こした。
「あっ……うぅ……なんだ……ごれ、ぐべぇぁっ!……がはっ」
バタンッ。
束の間の幸せ。
その後の重い不幸。
「……!ライおねえちゃん?」
返事は無い。
「ねえ……」
ソーラはライの元へ駆けつける。
「……おねえちゃん!しっかりしてよお!ねえおねえちゃぁん!へんじしてよ!わたしのこえ、きこえてる?ねえ!ねえ——!」
倒れているライの口から紅い液体がたらぁ……と流れ、
その口から発せられた言葉……
「ソ……ラ……俺……とおな……まちを……かしては……いけな……い……ぞ——がぼっ!」
またライの口から大量の紅い液体……いや、
今度は塊になって出て来た。
「なんていったの?わかんないよ……ひっ!」
そしてライの身体はどんどん冷たくなる。
幼いソーラにも、これが“死”を意味する事がはっきりと分かった。
「おねえちゃん!?いかないで!わたしをおいていかないでぇえええ……——!!」


これがきっかけでソーラの母と父は離婚した。
父が薬剤師だったので、ソーラをライと同じ目に遭わせないように、ソーラに薬とは離れた生活をしてもらう為に。
また、もう一つある。
母が父をあまり好きじゃなくて、離婚を考えていた最中だったからだ。

しかし、ソーラは父の事を嫌う母……父の話になるとすぐ怒り出す母が嫌で7歳の時家出。
そして、流石薬剤師の子と言うのだろうか。
自分で薬が作れる。しかも、新しいレシピも考えられる。
薬と離れた生活をしても、その天性の才能は無くならなかった。