二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: コードギアス〜空回りのルルーシュ〜 ( No.7 )
日時: 2011/04/17 12:15
名前: 蘇る秋刀魚 (ID: lyvuYd3F)

「新学期恒例、サクラの似合う男・女対決〜〜〜〜!」

ミレイ・アッシュフォード生徒会長の声に歓声がわく。
つまらなそう、いや、完全につまらない感むきだしの顔をしたルルーシュ。

「ふん、5月に咲く桜なんて見るに足らんものだぞ。日本以外でサクラなんて・・・」

と、ことは1週間前にさかのぼる————


「よし、みんな定刻に集まったわね。話はリヴァルから聞いていると思うから、さっそく本題に入りましょ。」

生徒会室には、会長ミレイと書記のリヴァル、おなじく書記のナナリー、女子副会長のシャーリー・フェネット、会計係のニーナ・アインシュタインとめずらしくスザク、そして今回の催しにはやけに乗り気なルルーシュがいた。

「会長、イベントっていっても何かいい案があるの?」

「うーん。春らしい事しようと思っているんだけどねぇ...スザク君、なにかアイディア出して。」

急に振られてあたふたするスザク。

「えっ、えー。。なんでしょうねーーっ。あっ、」そういえば、春と言えばやっぱり花見ですかね!」

「ハナミって何?」

純ブリタニア人のシャーリーは花見を知らなかった。もちろんリヴァル、ニーナも同じようだ。

「花見ってのはね、春に咲く桜を眺めてその美しさを堪能するものよ。日本特有の文化なの。」

「へぇー。会長ってなんでも知ってるのね!!」

あたりまえでしょ、と自慢げに返すミレイ。スザクも本気で感心している。
そんな会話をよそにルルーシュは持ち前の策略脳をフル稼働させ、彼女づくりに最適なイベントを考えていた。

(全女子生徒に1人ずつ出し物をさせてじっくり選ぶか?いや、不可能だ。。それとも俺が完璧なパフォーマンスを披露し誰かに告白されるのを待つか?いや、そんな恥をさらすような真似はできない。。。)

そんなことを考えた末・・・・

「おい、俺にいい考えがある」

生徒会役員たちの視線は一斉にルルーシュへと移った。

「あら、めずらしいわね。どんなアイディア?」

自信満々に会長を見返す。

「春は桜と言ったな。俺が考えたのは、名付けて『桜の下で大規模合コンパーティー』だ!!」

「「「「な・・・・・・・」」」

全員が言葉を失った。

「ルルーシュ、おまえ・・いくら女好きだからってそんな・・」

「ん?なんだリヴァル。いやか?」

あぁ・・・とかへぇ・・・などとミレイは訳の分らぬ声を発し、シャーリーは笑いをこらえるのに必死こいている中、一人沸騰したやかんのように顔を真っ赤にする者がいた。ルルーシュの妹、ナナリーである。

「おっ、お兄様!!恥ずかしいことを言わないでください!!」

「なんだナナリー。おれの提案のどこが恥ずかしいと?」

「そんなこともわからないのですか。。もうなにもしゃべらないでよ、お兄さ。。」

ナナリーは恥ずかしさのあまり最後まで言葉が出ずに、ついに押し黙ってしまった。

「まったく、みんな俺を変人のように見るのか。こんなにナイスなアイディアを出したのは俺一人だと言うのに。」

それまで沈黙を守っていたニーナが突然口を開いた。

「それ・・・いいと思う。」

「「えーーーーーーーーっっ」」

「おぉ、さすがニーナはよくわかってるな。」

ニーナはルルーシュとは違うが、少し普通の学生とはずれていることがある。瞳からずり落ちそうな丸眼鏡をかけていて、いつももじもじしている。しかし大好きなハチュウ類飼育には人一倍の愛情と時間をそそぎ、カメレオンと触れ合う時だけ人が変わるという、やはりどこかおかしい人格の持ち主だ。

「んー。そうね、合コンかぁ。でも健全第一のアッシュフォード学園でそれはちょぉっとねぇ〜。」

「ルルちゃんは結局かわいい彼女がほしいだけなんだよね。」

「まぁな。あっ、いや、俺は学園と子孫の繁栄に貢献しようと・・・」

ナナリーが絶句して車いすから転倒。

「おいどうしたんだナナリー!大丈夫か?」

ルルーシュとスザクに抱き起こされながら、このしょうもないアニキが自分を悩ませていることに気づく日はやってこないのだろう、と、ナナリーは深くため息をついた。

そんなこんなでルルーシュ推しの合コンは却下され、会議は白黒つけぬまま長引いていた。

「やっぱり、春と言えば、なんだっけ?ホ・・ホナミ?」

「シャーリー、それはは・な・み!」

「あ〜ハナミ。ハナミすればいいんじゃない?」

みんなが黙りこむ。
一番シンプル、いや、地味なイベントだと、そこにいる誰もが思った瞬間だった。

「あーそうね。それじゃぁ、サクラの木の下でファッションショーなんてのはどう?季節感たっぷりの衣装で!」

「「「いいね〜〜」」」

学園全体にもこの話は伝わり、一気に熱が広がった。

その日の午後、ルルーシュは会長ミレイに呼び出された。

「今回のイベント、あなたももちろん参加するわよね?」

「俺はいつもどおり傍観者ですよ。何か準備を手伝えと言うなら、リヴァルに。」

苦笑するミレイ。

「違うのよ、ルルーシュ。いつも陰気くさいあなたにイメージ逆転のチャンスをあげようと思ってね」

そう言って大きな袋から何かを取り出した。

「っな・・・これを着ろと・・?」

ミレイが大きく広げたのは、ピンクピンクした着ぐるみだった。

「どう?名付けてサクラちゃん2号!」

無表情のルルーシュはそそくさと生徒会室を後にしようとする。
そのとき、

「そうはさせませんよ、副会長・・・」

ドア前に立っていたのは、[サクラちゃん1号]を着たニーナだった。

「お前・・何があったんだ・・?会長に言いくるめられたんだな?かわいそうに、今脱がせてやる」

サッとその手を振り払いニーナは自慢げに答えた。

「副会長、これ、いいでしょ?私とミレイ会長が考えたんですよ。私が1号で、副会長が2号。」

やはりニーナはおかしかった。

「そういうことよ、ルルちゃん。コスプレ好きのニーナにかかればもう安心ね。さぁ、これを着てショーに出演よ!もし出なければ、学園中の女の子にあなたがブリタニア軍のチーフオペレーターにフラれたことばらしちゃうわよ?」

それは自称プレイボーイのルルーシュにとって最大の恥だ。

「スザクのやつ・・覚えとけ・・」