二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: とんがりボウシと魔法のお店 陽光と月光の魔法学校 ( No.68 )
日時: 2011/05/14 07:25
名前: minmin ◆LZFWVlxGhU (ID: BKGAQbzV)
参照: http://ameblo.jp/busuke1031eri/

第十五話 ゴーレムコンクール



今日はなんか皆さん落ち着きが無い様だ。

なんかまた面倒なことが起こるんじゃないか少し心配だけど、
まぁ何とかなるでしょ。

「皆さん、お静かに!」

ダグラス先生が言った。

ダグラス先生は課外授業担当の先生だ。
そのため、普段は出番が無く、暇なので屋根裏で寝ている。

なのに、何故今日に限って起きているのだろうか。

「皆さん、もうすぐゴーレムコンクールがあるので
今日の授業はゴーレム造りです。
みんなで力を合わせて、頑張りましょう!」


「「「おー!!!」」」

なるほど、課外授業だからか…。


ゴーレムは、ユダヤ教の伝承に登場する自分で動く泥人形。
「ゴーレム」とはヘブライ語で「胎児」の意味。

作った主人の命令だけを忠実に実行する召し使いかロボットのような存在。

運用上の厳格な制約が数多くあり、それを守らないと狂暴化する。
ラビが断食や祈祷などの神聖な儀式を行った後、土をこねて人形を作る。
呪文を唱え、「אמת」という文字を書いた羊皮紙を人形の額に貼り付けることで完成する。
ゴーレムを壊す時には「אמת」の「א」の一文字を消し、「מת」にすれば良いとされる。
また、ゴーレムの体にはシェム・ハ・メフォラシュが刻まれる。
シェム・ハ・メフォラシュとは、『出エジプト記』14章の第19節を縦書きで下から上に書き、
その左に第20節を上から下に、その左に第21節を下から上に綴ったものであるとされる。

プロイセン地方の伝承ではエリヤ・ヘルムとヤッフェという二人のラビがゴーレムを正式な礼拝の人数合わせに使おうと議論をした結果、彼らのゴーレムが見るものすべてに火を付け始め、簡単な命令すら理解できていなかった。
製造すると自然に巨大化するとされており、ある伝承では男がゴーレムを作ったが大きくなりすぎた為、額に手が届かなくなり止められなくなった。
そこで男はゴーレムに自分の靴を脱がせるように命じ、ゴーレムがしゃがんだ時に額の文字を消した。
その途端ゴーレムは大量の粘土となって男の上に崩れ落ち、男は圧死した。


一般的なゴーレムは土で作られるが、神話や伝説には石や金属で作られたものも登場する。
ギリシア神話の鍛冶の神ヘパイストスによって作られた青銅の巨人タロスもゴーレムの一種と見ることができる。
また、旧約聖書『創世記』の天地創造において、アダムもヤハウェによって土に鼻からルーアハを吹き込まれた事から、アダムもまたゴーレムであったのではないかと言われている。
これが正しい説だとすれば、アダムこそが世界で最初に生まれたゴーレムという事になる。



結構便利なものである。

普通は土だが、今回はコンクールに出すものなので鉱石で作らなければいけないとか。


柔らかい物で繊細で人間味のある物にするか…
硬い物で頑丈で力強く見せるか…
煌びやかなもので豪華にするか…




にしても、皆張り切っているな…。
…サンシャインに負けないように。


私が言うのもなんだけど、皆、夢持ちなよ。
出場するのはムーンライトとサンシャインだけじゃないんだし…。



…そういえば、私が前通っていた学校も出場するのかな。


そんなことを考えていたとき、私は何者かに頭を殴られた。
振り返ってみると、犯人は海斗だった。

「何をするんだ!」と言いたかったが、さすがに皆が居るので大声は出せなかった。

「お前、ダグラス先生の話聞いていたのか?」

海斗が少し呆れたような顔をして言った。

図星だったため、私は少し焦って「yes」と答えた。

海斗は、「やっぱりな、」と言った。
今度は、完全に呆れた顔だった。


「私達は頭の担当。
一番部品が少ないけれど、重要な役割だから、
皆に攻められない程度に頑張らないとね。」

楓が私に役割を伝えてきた。

本当、楓には感謝しているよ。
頭を殴ってくる暴力的な海斗とは大違いだね。



…そういえば校長先生、今朝は居なかったな…。


ふと、思いついたので聞いてみた。


どうやら、校長先生はゴーレムコンクールの代表者として会場に向かっているらしい。
まぁ、何をしているかは企業秘密だとさ。



——森——


ここには、多くの学校の校長(代表者)達が集まっていた。

その中に、太陽の形をした校長と、月の形をした校長がいた。
勿論、出会った途端に喧嘩を始めたのは、言うまでもない。

しかし、喧嘩をしている最中であっても、話はちゃんと聞いていたようだ。
…月の方の事だが。
太陽の校長は、生徒からも「バカアホポジティブ太陽」と呼ばれているだけあり、話を全く聞いてなかったようだ。

そして、また生徒に変な事を言われるのが嫌だったバカアホポジティブ太陽は、
仕方が無いので自分だけでゴーレムを作ることにしたとさ。


——その日の夜——


サンシャインでは、こっそり塔に忍び込む陰が…。

それは、ピンクのツインテールで
いろんな意味でサンシャイン一の少女、シフォンだった。


彼女が狙っていたもの…
それは、ゴーレムだ。

シフォンはバカアホポジティブ太陽が作ったゴーレムもどきっぽい物を盗んでいった。
しかし、シフォンはバカだったため、コンクールに出す少しマシな物ではなく、適当に作った試作品を盗んで行った…。


当然だがその間、バカアホポジティブ太陽は寝ていた。








ムーンライトでは、もう殆どが仕上がっていた。
最後は、呪文を唱えれば完成だ。


学校の講堂では、町の皆が集まって、完成間近のゴーレムを見上げていた。
完成間近のゴーレムは、まだ動いていないのに迫力があり、力強そうで、煌びやかだった。


今夜、ゴーレムを動かすための呪文を唱え、コンクールに出すのだ。

呪文を唱えるのは、ムーンライト一の魔力を持つ千秋。


「では、千秋くん。呪文を唱えてください。」

校長先生に言われ、千秋は無言でクリスタルステッキを手に持った。

『まじない 不思議 鉱石 大きい 友達』

千秋は呪文を唱え、ゴーレムに向かって杖を振った。



ゴゴゴゴゴゴゴ…



「ふごー——!!」


突然大きな音がしたかと思ったら、
ゴーレムが動き出した。


皆感動して、はしゃいでいた。

トメさんも、あまりの嬉しさに皆に混じって踊りだした。


皆が喜んでいる中、千秋はこっそりゴーレムと使い魔の契約をしていた。
それを見て見ぬフリをするのえる、海斗、楓。

そしてその後、ゴーレムも一緒に、皆でパーティーをしたという…。



———翌昼、サンシャインでは
シフォンは間違えて試作品を持って来たことに気が付いた。

もうゴーレムはコンクールに出してしまったし、バカアホポジティブ太陽もコンクールのため不在。
仕方が無いので、シフォンはその試作品のゴーレムを分裂させ、小さいゴーレムを沢山造って、遊んでいたとさ。