二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機〜参照3000突破!!〜 ( No.468 )
- 日時: 2011/07/30 20:59
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
- 参照: 夏休みの宿題とか……(泣)
25 墜ちた世界
「ダークエンペラーズに負けた!?」
「はい、それによって、エイリア石を所持していた研崎というものが、弱ったあなた方にエイリア石を渡し、破壊活動を続けた。それだけです」
「それだけです、ってお前!!」
冬花に殴りかかろうとした染岡に一番早く対処し、刀を抜いて彼女の前で覆いかぶさるように、守は出てきた。顔の表情が歪んでいる。
数秒遅れて、修也や秋も冬花の前に武器を構えて立つ。
「姫に少しでも手ェ出してみろ、ブッ殺すぞ!!」
今にでも動きそうな手を、どうにか自分の理性で止めているため、手がガタガタと怒りで震えている。さっきから話を聞いていて、とても気に食わなかった。態度といい、口調といいすべてが憎たらしく感じる。
「守、下がって」
「しかし…」
「大丈夫、下がって。秋たちも」
「言うこと聞きなさい、アンタらが円堂くん達に怪我させたら、私がアンタらをボコるよ?」
夏未はどうやら円堂側の人らしい。
一歩前へ歩みだし、守の腕にそっと手を添えて、やさしく微笑みかけた。
「はい…」
仕方なく、刀を戻し元の場所へ戻った。戻った後も守と染岡はにらみ合っている。
「言い方が悪かったですね。すみません」
国の王女でもあろう人が、凡人しかも異国である人々に向かって深く頭を下げた。
「その後はどうしたんだ?」
鬼道が続きを聞いた。
頭をあげ、一瞬過ぎてから、冬花はもう一度話し始める。
「彼らに逆らう者がいれば徹底的に攻撃し潰す。彼らを止められる人たちはどこにもいません。彼らと会って変わった人たちも何度も挑みました。しかし、力は天と地の差、勝てるはずがありません。エイリア石を所持していることもあって、もしかして今のあなた方よりも凶悪で強いチームだと思います」
「今はどうなっているんだ?」
「その後のことはわかりません。誰かが彼らの暴走を止めたのかもしれないし、同じ状況が続いているのかもしれない…」
「…どうにか、どうにかすることはできないのか?」
この話を聞いて、円堂はいてもたってもいられなくなった。守たちがエイリア石を使っていた時と同じように、あの衝動が心の底から湧き上がってきた。
「次元を移動できれば彼らの世界に行くことはできます。しかし…」
「魔光石がないんじゃねぇ〜」
「夏未の言うとおりです。今は魔光石がありません。それにあったのしても、その魔力はあなた方を元の世界に戻すのだけでも精一杯、はっきり言って不可能です」
「たとえば…いまも破壊活動をつづけていたら…」
「おそらく、もうサッカーは支配されているでしょう。破壊の道具として」
全員が黙り込んだ。守たちにとっては正直言ってどうでもいいことだが、円堂の性格からして、黙っているはずがないと皆は思った。無茶をしてでも行きたいというだろう。彼ら(自分たち)を止めるために。
その様子を見た冬花は小さくクスッと笑った。
「行きたいとお考えなんですよね?」
「俺はできるなら、助けたい。サッカーは破壊の道具じゃない!皆と楽しむためにあるものだ!だから…」
「行きたい?……聞いていなかったのか?不可能だって」
「お前は悔しくないのかよ!?もう一人の自分がこんなんで…」
「残念だが、俺はお前の思考を理解できない。どうしてそこまでして、別の人間を助ける?今回だってそうだ。お前はあったこともない人にどうして力を貸した?貸さなければ、俺たちの世界は壊れてたかもしれねぇ。だが、お前らは関係なく自分たちの夢に向かって進めたんじゃないのか?お前の考えで何人苦しんできた?ここにいるお前の仲間だって世界一になりたいんだろ?だったらどうして余計な戯言に付き合う?」
「誰かを見捨てて、世界一になれるか!!」
「っ!?」
守の質問の嵐に円堂がいきなり叫んだ。
「これで世界一になって皆の前で胸張って言えることか!誰かを見捨てて、手に入れた勝利なんて俺はそんなの認めない!世界一になっても全然うれしくなんかない!夢が叶ってもうれしくない…」
「お前はいいかもな。だったら皆に聞いてみろ。全員がそういう気持ちか?」
守がイナズマジャパンのメンバーの顔を一人一人睨みつける。
「守、下がりなさい」
「夏未は黙ってろ。こいつの勝手な思考のせいで、春奈はどうなった」
「下がれっつってんのが聞こえないのか?ガキ」
少しよろけながらも、なんとか立ち上がり、守を背後から睨んだ。
「な、なっちゃん、落ち着こう…傷も開いちゃうよ?」
「はぁ…いいかげんにしなさい、迷惑よ」
「美麗ちゃん…」
「さっきから黙って話を聞いていて、アンタたちは一体何なの?世界一だとか夢とかほざいているけど、無理な話は無理なのよ。諦めなさい」
最後にもう一度小さくため息をした後、クルリと回ってその場を出て行った。あのままいれば円堂のうるさい話に付き合わらせそうで、めんどくさいのだ。
冬花はその背後をさびしそうに見つめた。
「……なんか別の方法はないのか?」
「…異世界転送機械、別名ループ・レイヤーならいけるかもしれない…」
「秋!余計なこと言うな!」
「方法がないか聞かれたからそれを答えただけ…余計なことじゃない。余計なのはお前と円堂の討論かと……」
「ループ・レイヤー?」
「異世界に人や物を飛ばす機会の事。でも、行先は特定できないから、どっちにしろ可能性は低いわね」
「でも…」
「「?」」
冬花が突然小さく声をあげた。
「可能性は0じゃない、だから…確率は低いけど、できるかもしれない。不可能を可能に変えられるのなら、試してみないと分からないでしょ?」
「試すつもりですか?姫」
「うん、守は円堂くんのことどう思ってるかわからないけど…私は信じてみたい、この人たちの可能性を…」
「俺は反対です。仮にその世界に行ったとして、どうやって戻ってくるのです?円堂と似たような世界なら、ループ・レイヤーは存在しません」
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機〜参照3000突破!!〜 ( No.469 )
- 日時: 2011/07/30 20:59
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
- 参照: 夏休みの宿題とか……(泣)
「で、その話なんだけど…いまさら気づいた。私のポケットに魔光石が一つあるのよね」
夏未が自分のポケットに手を突っ込んだ。手を出すと、赤色に光り輝く石があった。
「それどこで!?」
「戦いが終わったら、降ってきたんです」
「降ってきたって…」
夏未が人差し指で上を指した。天空から降ってきたと言っているのと同じだ。
「一つで何の役に立つんだ?全部集まんないと無理な話だろ?」
「本当にアンタはネガティブ思考よね〜誰に似たのかしら」
「少なくても、お前と姉さんじゃないのは確かだ」
「だよね〜それでさ、本題なんだけど…悠也さんに頼んで、これ一つで行けるんじゃない?」
「だったら元の世界に戻せばいい話だろ?」
「ですよね〜」
夏未が適当に返した。しかし、冬花は少し困ったように俯いて、残念そうに話した。
「夏未…さすがに悠也さんでもそれは無理だよ。魔力は大きいけど、大人数を運ぶにはやっぱり魔光石が全部そろわないと…」
「もう〜姫もそんな顔しないの。さっき、自分で言ってたでしょ?やってみないと分からない。それにもしかしたら、円堂くん達の世界からの『距離』が遠くて、もう一つの世界が近いのかもしれないじゃない」
「距離?」
「えっ?それも聞いていないの?パラレルワールドにも距離はあるのよ?」
はっきり言うと初耳だ。パラレルワールドなどに距離という概念がある自体がとても不思議に感じる。だとすれば、円堂たちの元の世界からは遠くても、もう一つの世界—ダークエンペラーズの手によって墜ちた世界に行けるかもしれない。
「距離…ちょっと待ってて、悠也さんに聞いてくる!!」
パタパタと慌てて出ていき、悠也を探しに行った。
「あんなに一生懸命なのにまだ彼女のことを信じられないの?」
夏未は冬花が出て行った扉をジッと見つめながら、やさしく話しかけるように言った。
全員黙っていたまま、返事はない。
「あの子、見せてはいないけどあんた達をこの世界に連れてきちゃって、責任感や自分嫌悪で体調崩してるのよ?それでも、少しでも心配をかけないように元気に振る舞ってるの」
「……」
「それでも、まだ彼女があんた達を道具としか思ってないと思う?」
二度目の質問は円堂や冬花に敵意を持っていた染岡達をまっすぐな瞳で見つめた。
もう興味がなくなっていた秋は本の世界に没頭していたが、周りの雰囲気が変わったのを気づくと、その元凶である夏未の顔を床にしゃがみ込んでいる状態で見上げた。彼女の傷ついた顔はとても勇ましく感じる。
「もし、まだ本当にそう思っているなら、別にかまわないけど」
少し無理をして立ち上がろうとする夏未を傍から優しく茜とアツヤが支えた。
茜は純粋に友を助ける意識でやっているが、アツヤに関しては強制的にやらされているだけ。夏未はキレると怖いらしいので、少し黒い笑顔を浮かべれば守や修也も見事に奴隷にすることが可能だ。
「……やっぱり治す…」
「いいよ、秋はさっき春奈の治療で結構魔力使ったでしょ?僕がやる」
「アンタも使ってたじゃない」
「まだまだ魔力は溢れるほど残ってるよ〜♪」
「さっき疲れた、とか言ってたのどこのどいつだよ」
アツヤの独り言に対処する必要はない。負け犬はほざいてろ、と心の中で呟いた。
もう一度、背中から刀を鞘から抜きだし、夏未にかざした。
しばらくすると、あの白い蝶が現われ傷口にそっとやさしく乗った。
「本当に治りが早いのね」
怪我が跡形もなくなった後、手を握ったり閉めたりして、腕にあった傷を確認する。痛みもまったくない。
「う〜ん、で。ダーク……えっと〜なんだっけ?」
「……エンペラーズ」
「そうそう、それ!で、その人たちと戦ってどうするの?」
「どうって…」
この質問には円堂は答えられてなかった。確かに彼らを助けられるなら助けたい。外れている道を歩んでしまっているのなら、正しい道へ導いてあげたい。しかし、助けた後どうするのか、それは分からない。
「まぁ、終わってから考えればいいんじゃない?」
「適当だな…」
「修也よりはいいわよぉ」
「お前の中で俺はどういうイメージだよ!!」
「そうだよな!」
夏未の言葉に励まされた(?)円堂は自分の中で勝手に納得した。
「お前も適当すぎるだろ!」
「修也、ツッコミは守に任せておけばいいのよ、ねっ、守?」
「あのな、いつも俺が十数人相手にツッコミ入れて、死にそうになってるの見てるだろ?」
「だからよ♪」
「何でだよ!お前は俺を殺す気か!それになんだ!?その最後の音符は!!」
「すみません!!失礼します!!!」
そこに来たにはメイド服を着た少女だった。
息を切らせハァハァと胸のあたりに手をあて息継ぎをし、汗が流れている。