二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 運命の車輪 参照500突破!! ( No.172 )
- 日時: 2011/04/27 18:17
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
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第13章 暗黒の誓い(中編)
奇跡は、おきない。
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「馬鹿者…!」
メタナイトが、マントを翻して驚愕する。
「だらああああああああああああああああああああああ!!!」
大地を揺るがすほどの方向と共に、傷だらけのカービィが、ダークドロッチェに向かって一直線に突っ走っているのだから。
すでに臨界点は突破。
戦闘など、できない体で。
「ギャハハ!オレト戦ウキカ?ソンナ傷ダラケノボロボロナ状態デ?」
今から戦闘になるというのに、暗黒の使者は、からかうようにクスクスと笑う。
「そんなもの…やってみないとわからないっ!!」
やってみないと…!
自分自身の心に言うように、内なる心にそう強く言いつける。
体中の傷が痛い。
右足なんて、ジンジンに腫れ上がっているだろう。
その痛みをこらえ、ギリリと歯をかみしめる。
カービィは走ってきた勢いを、そのままジャンプに利用する。
バッ!と、高く飛び上がる。
ムーンサルトのような回転に、右の拳を加えて。
ファイターカービィの技の中で、最も得意とする、バルカンジャブをくりだそうとする。
「バルカンジャ…!!?」
エネルギーの込められた、必殺の拳がダークドロッチェに炸裂しようとしている。
しかし、カービィは技の発動中にハッとした。
ダークドロッチェは、全く回避体制も防御姿勢もとっていない。
無防備というのはまさにこのことだろう。
よけようとも守ろうともしていない。
不敵な笑みを浮かべたまま、その場に静止している。
まるでカービィの攻撃を待っているかのように。
「早クコイヨ?オレヲ倒スンダロ?」
「…っ!!」
拳が体に降り注ぐというのに、なぜそんなふうに笑っていられる。
カービィは迷いながらもバルカンジャブを放つ。
ドカカカカカカカカカカカカカ!!!
激しく重い音が、まばゆい速度でカービィから繰り出される!
- Re: 星のカービィ 運命の車輪 参照500突破!! ( No.173 )
- 日時: 2011/04/29 09:48
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
- 参照: .http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
バルカンジャブは、目にもとまらぬスピードで連続パンチする攻撃。
正面から、しかも防御態勢をとっていなければ致命傷は免れない。
すでにカービィから放たれている拳の1発1発が視認できない。
その1発1発によって、大気が強く摩擦され、突風が吹き起こされる。
「え…っ!?」
スピンの命をなんとしてもつなぎとめようとしているアドレーヌは、突風を体に受けながら思わずそんな声をもらしてしまう。
「は!?」
デデデ大王は、今は焼き焦げてしまった元上質な毛皮のコートの袖で風を防ぎながら、素っ頓狂な声を出してしまう。
「馬鹿な…!?」
メタナイトは、紫色のマントが激しく風に暴れていることすら気にせず、彼に似つかわない発言をする。
突風は、バルカンジャブが全て終わってからようやく収まった。
「え…!?」
カービィは、目の前の出来事を信じられないというふうな、驚愕な表情を浮かべる。
「甘ッチョロイゼ。手負イダトイッテモオマエ本当ニ星ノ戦士カ?」
目が追い付かないほどの無数のパンチを、全て動かないで、素手で防いでいた。
「嘘…!バルカンジャブが…!」
「コノ技ハ体操カ?雑魚スギテ、話ニナンネエ」
ダークドロッチェは、ハァと呆れる。
今もカービィの右腕を、手で受け止めている。
摩擦の力で、煙が薄く筋を作っている。
「マッ、殺ス時間ガ短クナルノハ名残オシイガ、サッサトコノ星ヲ乗ッ取リタイシナ」
そして、そのまま手首を軽く回す。
「なっ!?」
視界が一気に回る。
「早クオッ死ンデクレヨ。」
床に荷物を置くような気軽さで、
カービィを地面にたたきつけた。
ドカッッ!!
それだけの行為で、
地面が地割れのように、陥没した。
「カー君!!」「カービィ!!」「カービィ!!」
アドレーヌ、デデデ、メタナイトは一斉に叫ぶ。
「ンー。コノ体ハナカナカノ最高レベルジャネエカ」
すっきりした表情を浮かべ、ダークドロッチェは、たった今使った手首を、調整するように、コキコキと鳴らす。
そのうち、ボキッ!と骨が折れる音がした。
「…デモ、ヤッパリ早メニ終ワラセナイトナ。スデニコノ〝体〟ハ限界
ダシナ」
痛みすら感じていないのか、折れた手首をそのままいじり続ける。
「カービィ!おい!!」
デデデは、散乱した土の塊を蹴散らし、半分埋まった状態のカービィを掘り起こす。
「おい!大丈夫か!?おい!カービィ!!」
カービィは苦しそうに重たい瞳を開く。
「く…!…あいつ…なかなか…強い…ね…!」
「バカもん!なんで勝手に独断行動なんて!!」
「ごめん…体が…勝手に動いちゃって…」
カービィは土と傷まみれの体を起こす。
「ううっ!!」
体中に激痛が走る。
「動くんじゃないぞい!!」
デデデがカービィを支える。
「くう…!で…でも…!まだ…!戦える…!」
「もうお前は無理だぞい!戦うのをやめるぞい!」
「でも!…そうしたら…!ポップスター…プププランドが!」
「わしとメタナイトで何としてでもくい止めるぞい!!」
「…ダメなんだ…」
「?」
「それじゃあ…ダメなんだ…!」
「ダメってなにがぞい…!…おい!!」
カービィは、デデデが支えてから離れ、ガクガクと震える体を無理やり
動かす。
目指すは空中で笑っている、ドロッチェの体を乗っ取ったあいつに。
「カービィ!私も加勢…!」
「ダメだ!!」
メタナイトの言葉を終わらせず、口をはさむ。
「何を言ってるんだ!今のお前じゃ死ににいくようなものだぞ!!」
「ダメなんだ!!!」
メタナイトの警告も聞かず、カービィは今にも倒れてしまいそうな体で歩き続ける。
「あいつとは!!ボクが戦う!!!」
口から血を流しながら、ドクドクと体を伝う血と汗、どこからどう見ても、重傷者だ。
そんな重傷者が、かないっこなさそうな敵と一人で戦うと言い放った。
あまりにも、滑稽だ。
「どうしたんだ!カービィ!馬鹿なこと言うな!!」
「バカなことじゃないよ!メタナイト!!」
カービィはボロボロな体だけれども、その心はまだ十全に輝いていた。
「ボクが、あいつを倒して、ドロッチェを解放する!!」
「だったら3人で戦った方がいいぞい!!」
「…ごめん。ここは、ボクが戦う。ボクに任せて」
「ふざけるな!!滑稽にもほどがある!!」
メタナイトはいつものポーカーフェイスを完全に崩し、激昂していた。
「…ボクは」
カービィは、言った。
「ボクは、あいつに教えてやらなくちゃいけないんだ」
仲間。
絆で結ばれた、大切な仲間。
「仲間っていう存在がどれほど大切なことかを!!!」
ゴオッ!と、強い意思のある言葉だけで、カービィの周りに渦巻くような風ができる。
「ドロッチェがどれだけ…!」
仲間を最優先に考えていた、盗賊団団長。
いつだって、仲間を大切に思っていたはずなのに。
コナゴナに壊されてしまった。
「どれだけ仲間を愛していたのかを!!!!」
カービィが叫ぶたびに、地面がえぐれる。
風がおこる。
炎のような、感情。
「だから!ボクがあいつにそれを叩き込んでくるんだ!だからこそ…これはボクの戦いだっっ!!!!」
言い切った。
「ギャハハハハハハハ!!イイゼ!イイゼイイゼ!返リ討チニシテヤンヨ!!」
一瞬の間をあけて、ダークドロッチェは盛大に爆笑する。
「…っくそ!」
好戦的なデデデは、今回は身を引いた。
「馬鹿もの…!!」
メタナイトも、起こっているのか悔しがっているのかわからないが、身をひいた。
「ありがとう…!」
「死ぬなよ!!死んだら許さないぞい!!」
「…私は…救護班を呼んでくる!これじゃあもう重傷なんて怪我のうちには入らぬな!」
メタナイトは、少々折れた翼で城に向かって飛んでいく。
「アレレ〜イイノカ?コレデタイマンダゾ?」
「タイマンを望んでたからこそいいんだよ!」
「本当ニバカダナ。戯言ニモホドガアルゾ」
「…じゃあ…やろうか!」
カービィはファイターの構えを取る。
「ギャハハ…!オマエハ〝コノ体ヲ傷ツケラレルノカ
ナ?〟」
「え?」
アドレーヌは遠く離れた場所から、強く願っていた。
『お願いカー君!皆を…!このプププランドやポップスターを…守って…!』
- Re: 星のカービィ 運命の車輪 参照500突破!! ( No.174 )
- 日時: 2011/04/28 19:21
- 名前: 満月の瞳 ◆zkm/uTCmMs (ID: A2bmpvWQ)
- 参照: .http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡
…やめろ…。
やめろ…!
やめろ!!
やめてくれ!!
やめろぉっ!!!
☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡.。.:*・☆彡
「傷つける…!?」
カービィはよくわからないという感じで、思わず聞き返してしまう。
ダークドロッチェはあざ笑いながら、自身に向けて指を向ける。
「ダッテ。コレハオマエノ仲間?微妙ダケド仲間ノ体ダロ?」
そして、そのままさっき折った手首をブランと、さらす。
「…!」
接続部分を失った手首は、操り人形のような不規則な方向を向いてる。
痛々しくて、カービィは目線をそらす。
「コレハオレノジャナイ。コノ体ノ奴ノモノダ!」
「…まさか…!!」
カービィは戦慄する。
「ソウ!オマエガ攻撃スレバスルホド!コノ体ハ傷ツイテイク!」
「そんな…!それじゃあまるで…!人形じゃないか…!」
「ダカラコソ!攻撃シテモシ体ガ死ンダラ!コイツ(ドロッチェ)ハ死ヌ
!」
「(じゃあ…!もしあの時バルカンジャブが思いっきりヒットしていたら
…!)」
ドロッチェは、あの世いきとなっていただろう。
「ギャハハハハ!ダカラワザワザ止メテアゲタンダゼ!?」
もしそんなことになっていたら…考えただけでもゾッとする。
「チナミニ!オレハ痛覚ヲ感ジナイ!体ハ利用シテイテモ!心ガ違ウ!ダカラオマエハオレハ倒セナイ!仲間ハ大事ナンダロ〜?ソンナコト言
ッタ奴ガ仲間ヲ傷ツケルワケネエヨナ〜?」
カービィの心理をついている。
痛覚も感じない。
攻撃しても、やられない。
だけど、体であるドロッチェは、攻撃されるたびに当たり前のようにボロボロになっていく。
むちゃくちゃだ!
「お前は…人をなんだと思っているんだ!!」
「物。以上ダ」
あまりにも残忍な発言。
たった一言の言葉で、空気が凍り付く。
すでに、乗っ取られる前に戦っていたドロッチェの体。
戦いの限界をこえているはず。
その証拠に、ダークドロッチェに巻かれている包帯が、赤く染まっていく。
傷が開いている。
でも、乗っ取っている本人、ダークゼロは痛みを感じない。
このままでは、ドロッチェは…。
使っている体がボロボロだが、そんなことすら気にせず、フルで使われている。
体が、もたない。
「ソウイウコトデ。オマエニハ、オレヲ倒スコトナンテ不可能ナンダヨ
。ダカラ、死ネ」
ダークドロッチェは、リニアモーターカーのように、カービィに向かって飛来してきた。
「!った!」
カービィは、バック転のようにして何とかかわす。
しかし、すぐに攻撃がくる。
「がっ!!」
杖によって思いっきり殴り飛ばされる。
ボールのように転がされるカービィ。
「ギャハハハハハハハハハ!!コノ〝トリプルスター〟ッテイウノハ大層ナ物ジャナイカ!パワーガミナギッテクル!!」
トリプルスター?
カービィは殴られた衝撃でクラクラする頭で、疑問を持つ。
…あの杖の名前?
「ドウシタドウシタ!!オマエハ星ノ戦士ダロ!?ボールジャアナイヨナ!?」
「く…!!(攻撃できないんじゃどうしたら…!?)」
「ギャハハハハハ!!ソンナ怪我ジャ逃ゲ回ルナンテ無理無理!!」
ダークドロッチェは、退避しているカービィの背後に、回り込み、トリプルスターと呼ばれた杖で殴打する。
「うあ!っ!くうっ!いっ!!っ…!!」
ドカドカドカドカドカドカドカ!!!
何回も何回も、カービィの小さな体躯を殴り続ける。
その間にもカービィの体はどんどん弱っていく。
死んで、いく。
「ギャハハハハハハハハハハハハハハハ!!無謀ダッツウンダヨ!!」
ギャハハハハ…!と、高らかに笑う声が、響き渡る。
差がありすぎる。
戦いにすらならない。
「嫌…!」
アドレーヌが恐怖に見開いた瞳から涙を流す。
ドカドカドカドカドカドカドカドカドカ!!
「嫌…!!」
ドカドカドカドカドカドカオドカドカドカ!!!
「嫌あああああああああああああああああああ!!!」
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!カアアアビイイイ!
悪いが手を出させてもらうぞおおおおおいいいい!!!」
見ているだけが限界だったのか、デデデが雄たけびをあげて、ダークドロッチェに向かて突進する。
「…ま…って…」
ガッ!!
「!」
振り下ろされるところだったトリプルスターを、カービィはギリギリ防ぐ。
ダークドロッチェは、空中に退避する。
「ゲホ!…ゲホゲホッ…!デデ…デ…ダメだよ…てを…だしちゃ…」
カービィは、フラフラと立ち上がる。
体中は痣だらけ。
ピンク色の肌は、完全に赤い肌になっている。
あきらかに、戦闘はもう無理だ。
それよりも、立つことすら不可能な体だろう。
だけど、カービィは立っている。
痙攣しているからだに鞭打って、立っている。
「だが…!このままではお前が…死んでしまうぞい!!!」
デデデのハンマーを握る手が震えていた。
わがままで自己中な大王すら、恐怖している。
カービィは、半分くらいしか開いていない瞳で、しっかりとデデデを見据え、切れた唇で笑みを作る。
「だいじょう…ぶ…!…まだ…戦える…!」
ポタリポタリと、血が広がっていく。
星の戦士は、戦っている。