PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少年陰陽師〜水の巫女に癒しの夢を〜 ( No.10 )
- 日時: 2011/09/02 20:22
- 名前: 勾菜 (ID: OfnHQlxu)
〜安倍晴明編 第一章〜
———貴船奥宮
普段、私がいるのは、貴船本宮のそのまた奥。
そこは禁域とも呼ばれる場所。
私の主である、高淤様の座する場所でもある。
それなのに……
「それなのに…なぜ私はこんなところにいるのでしょうか…」
そう、今いるのは三条の市。
人々の笑い声、ざわめきが絶え間なく聞こえる。
よろよろと人ごみから外れ、川のそばでしゃがみ込む。
「高淤様……相変わらず…でも、なぜよりにもよってお酒買ってこい、なんですか…」
そう、私がここにいる理由。それは高淤様の気まぐれのせいだ。
思い返せば昨日。
『雹音よ』
「はい、何でしょうか?」
『明日、三条の市に行って酒でも何か見繕ってこい』
「……今なんと?」
『酒でも買ってこいと行ったのだ』
「……わかりました」
主の命令は絶対。それはわかってるけど…本当に気になることが一つだけ。
「そして、なぜ…三条の市なのですか…神様なのに、どうしてですか?」
高天原あたりからかっさらってくればと思うのは私だけなのでしょうか?
ちなみに、今の私はちゃんと顔を隠しています。
そして、髪色も黒だ。
そうしないと怪しまれる、ってことです。
と、そのとき。
「おい、せいめーい。せーいーめーいーやーい!」
「うるさい、岦斎。聞こえている。」
「市は、活気があっていいなぁ」
「私はもうかえりたいんだが」
…せいめい……晴明……安倍晴明!?
それを見た瞬間ばっと後ろに身を引いた。
なぜ、どうしてこんなところで!
まぁ、私がここにいるからあったんだろうけど…
ここで見つかると厄介だと、私はそのままその場を立ち去った。
だけど、大切なモノを忘れていた。
それは今日ここに訪れた私の目的。
高淤からのお使い。
そのせいで再び訪れることになってしまうのだ。
PR