二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ネジと歯車とプライド〜「私達に心などいらない」〜 ( No.153 )
日時: 2013/05/03 19:30
名前: 鏡猫 (ID: YZ8dCvQO)

第1話 新しい“ゴミ”

山になっているガラクタ達の上に座って上を見上げていた
今日もまた何かが落ちてくるのではないかとここに来てからの日課だ
それでも落ちてくるのはガラクタばかりでアタシ達みたいな不良品はたまにしか落ちてこない
あの日、このゴミ処理場で出会ったシリアルナンバーTYPE-LのレンとGと一緒に今は過ごしてる
他にもアタシと同じような不良品はたくさんいるがあまり話さない
それにアタシはその2人に助けられた
電源をまた起動してくれたのは2人なのだ
ゴミ処理場に勢いよく落とされたせいなのか片目が壊れたがたまたまあった眼帯で隠して今は気にしていない

「リン、今日はきっと大物が降ってくるよ」

下でレンがこちらを見上げながら言う
Gもこちらを見上げている。Gは滅多に喋ってくれないから名前も分からないからシリアルナンバーで呼んでいた
とはいっても一緒に話すことはあまりないんだけど。

「それは楽しみだね」

レンがいう“大物”とはつまりアタシ達みたいな不良品(イレギュラー)の事を指す
どうしてずっとこのゴミ処理場の中にいるのにそんな情報が分かるのかアタシにも分からなかった
そんな時、段ボール箱と一緒にまた“一人”投げ込まれてきた
段ボール箱には“BMD2-R”と描かれている。このナンバーがアタシ達がシリアルナンバーといっているもの
“R”ってことは、アタシと同じ姿の不良品か。
ゴミ山から降りてその段ボール箱を開けて鏡音リンを起動させる
そいつとアタシの違うところは、片目が壊れていないのと可愛らしいピンで前髪を止めている所だろう

「ここは…?」

段ボール箱の中から起きあがり周りを見渡す
何処も壊れていない正常。やっぱりこいつも同じか

「C factory地下43階にあるゴミ処理場だよ、」

「“C factory”……私が造(う)まれた施設…?なんでこんなに汚いの?」

なんだ、こいつ。天然なのか?

「ゴミ処理場なんだから汚いに決まってんだろ?」

「ゴミ処理場…私、捨てられたの?」

「お前も不良品だからな」

「なんで?」

「なんでって分からないのか?愛されるべき玩具。つまりアタシたちに個性なんぞいらねーんだよ」

個性を持つ玩具はみんな不良品
愛されるべき玩具に個性なんていらないんだ
それでも首をかしげている目の前のリンに言う

「いいか?量産型は量産型らしく同じような奴がいればいいんだ。それなのにその中で個性を持つ玩具なんかあったら“同じ”じゃないだろ?」

同じ姿、それは中身でも同じ
そうじゃないと等しく愛されない

「皆と同じじゃないから私たちは捨てられたの?」

「そうなるな」

個性を持つアタシ達は“奴ら”にとっては許されないこと。