二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ネジと歯車とプライド〜「私達に心などいらない」〜 ( No.155 )
- 日時: 2014/04/02 21:03
- 名前: 鏡猫 (ID: z5Z4HjE0)
第3話 見つけた出口
「うーん…」
「どうしたの、リン」
ずっと鏡音を見てるとレンがいきなりアタシを呼ぶ。
別に何もしてないのだけど。
「は?別にどうも…」
「違う違う。 シリアルナンバーBMD2-R のリン」
あぁ、なんだ。そっちか。
分りづらいな。
確かに目の前の鏡音はあちらこちら散策するのをやめて何か考えている。
「え?私?」
「そうだよ。めんどくさいね。BMD2-R
はリンちゃんって呼ぼうか」
アタシがあいつのことをリンって呼ぶことに関しては問題ないが。
さすがにレンがリンと呼ぶのはどっちか分からなくなるからめんどくさい
「うん!なんでもいいよ!」
「わかった。じゃあリンちゃん。急に立ち止まってどうしたの?」
なんかレンがアタシのことを“リンちゃん”と呼んでるようで落ち着かない。
同じ名前っていうのは不便なものだ…。
「あ、うん。あのね、外に出るルートってあれでしょ?」
鏡音は鍵がかかっていないその網の部分が壊れかけた排気口を指差す。
確かにあれだ。あそこの他に外に出るルートはないだろう。
丁度あの排気口は人、1人分がほふく前進で通れるくらいはあるし。
頭に残るこの C factory の地図でもあの排気口を通れば外に出られると情報もある。
レンも私も頷いた。
「なのに何でみんな分かってるはずなのに動こうとしないんだろうって」
レンが言っていたことがあたった…。
本当に理解するための出口を探していたんだ。
アタシはチラリとレンを見る。
すると目があってしまい、すぐに逸らす。
「僕はもう世界を見てきたからね、ある程度なら分かるよ」
アタシに聞こえるくらいの声でそう言う。
世界を見てきたって…どうゆうことだ……
「みんな諦めたような目をしてる…。せっかく個性があるのに……誰も動かないの」
「そんなん決まってる。外に出たっていいことなんてないからさ」
「いいことならいっぱいあるよ!」
何処がだ。アタシ達を捨てた人間達がたくさんいるだけだろ。
そんなところ、いいところじゃない。
気持ち悪いだけなのに。
レンがクスリと笑う。何がおかしいんだ。
「リンちゃんは外に何を期待してるの?」
鏡音は聞いてきてくれたのが嬉しかったのか顔が喜んでいる。
「外にはね!綺麗な青い空や青い海。空を飛ぶ小さな鳥さんがいる。それを見てみたいの!」
少しだけそれは知っている。
情報の1部にあった。それをこいつはみたいと言ってるのか…。
それはアタシだって1度は見てみたいって思ったことあるけど。
「だから一緒に外に出ようよ!きっと楽しいことたーくさんだよ!」
「楽しいこと、ね」
「うん!きっと外はこことは違う多くのものがあるんだろうなぁ。私の知らないこともっといっぱい知りたい!」
「1人でいけばいいのに」
レンだってここから動く気はないみたいだし。
「だって1人だとつまらないもん!あなたも同じリンなら行こうよ!」
タイプはね、同じリンだけど個性は違うんだよ、鏡音。
だけどあなた、一生懸命なのね。
まぁ確かにさっきのレンが言ったみたいに1人じゃ心細い。
付いて行ってあげてもいっか。
「仕方ないな。じゃあほんの少し、考えてあげる」