二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [ポケモン] ギンガの星は今日も輝く ( No.2 )
日時: 2011/04/30 17:50
名前: ポテト ◆ymbs7pfL2w (ID: 31yiqGJ0)

第一章 1話


 正午。春うららな今日この頃。
 極寒の地と言われるシンオウ地方にも、遅咲きの桜がようやくほころび始めていた。
 この時期は妙にうきうきしたり、落ち込んだり。桜の開花と共に人々の心は忙しなく駆り立てられる。

 トバリシティにて。
 コンクリートジャングルとも呼ばれる街の中を、頬を紅潮させ、緊張した面持ちの人々がぞろぞろと歩いている。
 まだ顔にあどけなさを残した若者達。そうした百人近くの者達が同じ方向を目指していく。
 歩みを進める先には、街の北部のとある施設が高台にそびえていた。
 海を背にし、街を見下ろすかのように建つそれの名を——トバリギンガビルと呼ぶ。

 四階建て地下付き。屋上には円形のドームがどんと構えられ、ドームの中央に“G”の文字が輝いている。
 広い敷地内には、見上げるほど巨大なアンテナが二つも鎮座していた。
 ここまでなら問題はない、普通の建物である。だがこのビルには意味不明なオプションが付いていた。

 左右の壁から、何か威嚇するように巨大なトゲが突き出している。古いパンクファッションみたいな。
 さらに……巨大な円形のカミソリとでも言うべきか。非常に表現しがたいが、そうしたものがビルに埋め込まれるように設置され、左側の壁から右側の壁へゆっくりと旋回している。ひたすらぐるぐるしているだけである。

 故にものすごく目立つ。
 目立つ割にはこのビル、立地目的が不明という謎めいた部分がある。立地目的どころか活動目的も不明。
 近隣の住民達からは不気味な印象しか持たれていない。悪目立ちともいう。
 そんなところへ何故これほど大勢の人が……?
 住民達の疑問をよそに、若者たちは続々と建物へと入っていくのであった——。