二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 星のカービィ 幻想の魔筆 VSグリル 開幕・・・! ( No.206 )
- 日時: 2011/07/01 15:57
- 名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)
第九楽章 VSグリル(前編) 〜捧げるイケニエ〜
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夢を見た。
それはそれは、夢のような夢を見た。
いつ見たのかは忘れた。
だけど、それがあまりにも、理想の夢だった。
自分が何よりも望んでいることが、その夢の中でかなっていたのだから。
美しい夢だった。
叶いもしない夢だった。
ありえない夢だった。
偽物の造花の夢だった。
だからこそ、その夢が現実になるように願った。
毎日、毎日。
昔も今も、きっと未来でも、願い続けるだろう。
叶いっこない夢ほど、叶えたいという欲望が強い。
だから、願い続ける。
理想に近づけるように。
いつも、いつも—————
そして、ある時気が付いた。
夢なんてものは、まがいものでしかないことを。
叶えられるわけがない。
今の自分には、そんなことは…できない。
願い続けることだけ無駄だと、気が付いた。
気づいてから、自分を見た。
なんて、惨めで愚かで汚い、化け物。
吐き気を催す姿、呪いにむしばまれた心。
良い夢を信じ続けて、現実を見たら
なんて、恐ろしい夢(現実)なのだろう。
これは夢だ。
全てがすべて、恐ろしい夢。
現実が夢だったらよかったのに。
そうすれば、理想の世界で生きていけるのに。
でも、そんなのは夢だけに、夢物語だ。
触れることすらできない。
自分は地獄で生きながらえなければならないのだ。
それを深く受け止めなければならない。
自分は決して、日向の世界には出られない。
永遠に、闇で生きなければならない。
そう、わかりきっていられればよかったのに—————
自分が、理想の夢を願ったりなんかしたら、できていくのは
生物の屍ばかりなのに
それなのに
どうしてだろう
私は今でも、そんな夢物語を信じて願っている。
- Re: 星のカービィ 幻想の魔筆 VSグリル 開幕・・・! ( No.207 )
- 日時: 2011/07/01 16:49
- 名前: 満月の瞳 (ID: A2bmpvWQ)
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大丈夫だよ、ドロシア。
こいつ(カービィ)は僕ちんが倒す。
…僕ちんは今まで殺しはしたことがないけど
—————こいつは!僕ちんが確実にしとめる!
だから…
ドロシアは笑っていて…—————
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「!」
カービィは、目を見開いた。
先ほどと景色が全く違う。
急に変わったのだ。
豪勢な廊下は消えうせ、広い広い、謎の空間に立っていたのだ。
「ここは!?」
「廊下じゃあ戦いにくいよねぇ?殺し合いをするなら広い場所のほうが最適だよね…」
謎の空間は、一言ことで言うなら、箱の世界だった。
そこらじゅうにちらばった、手の平サイズの小さな箱から、一軒家波にでかい箱が、パズルピースのように散らばっている。
地平線なんかなく、永遠の箱の世界だった。
空も床も、同じ色をしている。
まるで、この空間そのものが、一つの箱だ。
唯一変わらないのは、カービィの目の前にグリルがいるということ。
ホウキにまたがって、カービィに邪悪な笑みを見せている。
「ここは僕ちんの魔法の世界。結界っていったほうがわかりやすいかな?」
「…」
「これならお互い戦いやすいよね?僕ちんの魔法は広範囲系だからさ。屋敷だってぶっ壊しかねないもん!」
あの迷宮屋敷を、破壊してしまうほどの魔力。
にわかには信じがたい。
「だからおまえも!もうじき僕ちんの魔法で死んじゃうんだよ!あはははははははははははははははははは!!」
「ボクは、死なない!」
「へぇ!その威勢がどこまで続くんだろうね!その減らず口!僕ちんが潰してあげるよ!」
「…君は」
「へ?なんか言った?命ごいなんて聞かないよ!」
「君は…一体なぜこの屋敷にいるの?」
「…!」
「どうしてこの屋敷にいるの?」
色とりどり大小の箱がひしめき合う中、カービィとグリルは向かい合う。
「…どうして?そんなの君には関係ないね!」
「この屋敷は…何かがおかしいよ」
「おかしい?」
「物や部屋、この屋敷にあるものが少しずつ消えてきてる」
「!…だから…早くおまえを殺さないといけないんだよ…!」
「どうして…?ボクは馬鹿だからよくわからないんだよ。どうして、ドロシアって人がプププランドをあんなことしたの?」
「それは…!」
「あと、どうしてボクが、この『箱庭』に呼ばれたの?」
「…っ!」
「もしかしたら…『箱庭』を守るために?」
「!」
「プププランドはそのために…じゃあ、ボクはなぜ呼ばれたの?本来ならボクも絵画に閉じ込められるべきなのに」
カービィは疑問を持っていた。
なぜ、自分だけは絵画に閉じ込められなくてすんだのか。
ずっとそれが、心に引っかかっていた。
「ボクが思うに、『箱庭』崩壊しかけてるよ…!魔法空間が消えるときって、たいてい少しずつ何かが消失していくものだよ!だからもうじきここも消えちゃうんだよ!…何か…何かボクにできることがあるの?」
カービィはグリルに言った。
敵同士なのにもかかわらず—————
「もしかしてボクがここに呼ばれたのは、プププランドをあんな目にして、ボクがここに来るように呼び出したんじゃない…?」
プププランドを、あのような惨状にしたら、もちろん星の戦士は黙っていない。
もしや、プププランドをああしたのは、カービィをここに呼び出すために行われたとなのか…?
だとしたら…
「ボクを呼び出したのは…何かボクにしかできないことがあるから…!?」
ガンッ!!
激しい衝撃の音が、音ひとつない空間を揺るがした。
グリルが、ホウキを地面に突き立てたのだ。
「やっぱり…おまえだったのか…!」
グリルは、低い、悲しみと怒りが入り混じった声で、うめいた。
カービィに、何もかも悟られてしまったことが、それほど恐ろしいものだったのか。
グリルは、伏せていた顔をあげた。
悪鬼のような表情で、カービいをにらみつけていた。
「おまえは…おまえは…!…ドロシアには絶対…あわせない…!」
そして、思い切り力を籠め、ホウキを引き抜き、カービィに向ける。
紫色の魔法陣を、ホウキにやどらせて—————
「—————ぶっ殺すっ!!」
グリルは殺意を振り乱して、カービィにとびかかった。