二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ナビ・ルナ&ムスビ ( No.285 )
- 日時: 2011/10/26 16:41
- 名前: ルルにゃん ◆8/MtyDeTiY (ID: 86FuzJA.)
頭に、ヒヤッとしたものがのった感触がして、目を開いた。
「ひゃぁっ!!」
「すみません。大丈夫なようですね。」
ん?この、素敵な渋い声。まさか!!
寝転んでいた簡易的なベッドの上で飛び上がって、そのひとを見つめた。いや、猫か。
「お分かりになりまして。また会いましたね。」
その猫は言った。ああ、やっぱり、そうだ。覚えているのだ。
「戸口の前で倒れているものですから、心配しましたが。お元気そうで何よりです。」
「ありがとうございます、あの、わたし以外にも、誰かいませんでしたか?前に一緒にいた、3匹の子たちとか。」
「ふむ。あの3匹の方々ではないですが、いましたよ。お友達がたくさんいて、うらやましいばかりです。」
あの3匹じゃない?いや、聞き間違いではないはずだ。たぶん。……いや、ゼッタイに。
ということは、あの時わたしと手をつないだのは、ルナちゃんか、スネリさんか、はたまたもっけさんだということになる。
「今、どこに?」
「カウンター席の、1番端っこに居られますよ。」
わたしはベッドを飛び出た。失礼だと思ったけど、この猫の前では、友達なのだから、「あなたは誰?」と訊くわけにもいかない。
お店のほうに飛び込むと、そわそわした茶色の猫がいた。
「あなたは、もっけさん?スネリさん?それとも、ルナちゃん?」
あちらは動揺している。なので、「いつみだよ。」と名乗ると、ほっとしたようで、「おいらは、もっけだけど。」と答えてくれた。
すると、奥からあの猫が出てきて、話しかけてきた。
「前に、かつおぶしティーをお飲みになってましたよね。サービスしますよ、飲んでいかれますか。倒れていたし、疲れているのでしょう。そちらの方も、どうしますか。マグロフレーバーティーもありますし、お水でもいいですよ。」
明らかに不思議な飲み物の名前を出され、顔が引きつっているもっけくんに代わって、断った。わたしたちは、この世界のものを飲食してしまったら、もうもとの世界に戻れなくなってしまうから。
「ありがとうございました。」
わたしはそういって、もっけくんの手(というか前脚)を引いて、そこを出た。
「やっぱり。」
ここは、前にも来たことがある。
さっきいたお店の扉の横に、セピア色の提灯がかかっている。『博愛堂』。
さっきのあの猫とは、あの店のマスター。
「ということは!!」
わたしは、行きたい所があった。そしてそこには、みんながいるような気がした。
走り出した。『水鏡屋』へ。