二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ナビ・ルナ&ムスビ ( No.321 )
日時: 2011/12/10 12:52
名前: ルルにゃん ◆8/MtyDeTiY (ID: 86FuzJA.)

 揺れる黄色の提灯。どっしりとたたずむ純日本家屋。そこがマワルさんのいる、『ひまわり屋』だった。
 日本家屋に似合う、引き戸を開ける。ふと思い出したことがあり、莉々を見た。彼女は、珍しくしんみりとしていた。
 ……というのは真っ赤なウソで、いつもとなんら変わらないニコニコ顔があった。
「莉々、辛くないの?」
「辛い?いや、まさか。むしろ、今はいつみたちと来れて嬉しいかな。」
 それを聞いて安心する。前に莉々が来たときは一人だったし、ここでもらったた薬を飲んだせいで身体が小さくなってしまったのだから。
「こんにちは、マワルさん!」
 前を見れば、ちいさな黒茶のまだら毛のサビ猫、マワルさんがいた。一歩足を踏み入れると、白檀の香りがわたしたちをつつんだ。
「ほぅ。なぜまた、こっちの世界に来たんだね。また任務かい?」
 マワルさんは質問しつつも、格別驚いている風でもなかった。
「実は、あなたが妖怪にあったことがあるという話を聞いて来たですよ。」
 ムスビはざっとその伝説を話した。しかし、マワルさんは表情を変えず、こういったのだ。
「ふむ。それで、わたしが妖怪と会っていると何だっていうのか。お客の話をむやみに持ち出すわけにもいかないのでね。」
 わたしたちは愕然としたが、マワルさんは涼しい顔でお茶をすすっている。
「それから、そこにいる3人も、ニキラアイナの住人ではないだろう。そして、人間界の住人でも。」
 ルナちゃんの肩がビクッと震える。
「その方々が、その妖怪の娘だとでも言うのだろう?そういいたいなら、その証拠でも挙げてみてくれんかね。」
「わたしは……。」
 ルナちゃんが口を開く。
「わたしは妖怪です。母も妖怪でした。何かの手がかりがあるかと思ってここに来たんです。もし、わたしが今から言う母の特徴にその妖怪が当てはまらないなら帰りますから。」
 みんな、ルナちゃんを見た。そんなこと、いきなり言っていいの?と。でも、思い出した。この気持ちは、前にここに来たときムスビにも感じたけれど、それは結局いいことだったのだ。
「わたしの母は、狐の妖怪でした。真っ白い毛皮の、300年生きた狐。わたしは11年前に生まれ、わたしが生まれたとき母は亡くなりました。違いますか?」
 マワルさんは飴色の目の瞳孔を細くした。そして……。