二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【質問回答してもうた←】 ( No.248 )
日時: 2011/09/04 11:34
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: H4NN94uP)




「え? 今日……あ、そうなんですか」


( 番外編 )

  優しすぎる貴方へ - 01



「鈴の様子がおかしい?」

目の前の近藤さんは、ただ悲しげに頷いた。
…何を話しに俺の部屋まで来たかと思えば、鈴の様子がおかしいたァ何だ。

近藤さんは深刻そうな表情をして、ぽつりぽつりと喋りだす。

「話しかけようと思えば、今から買い物だとか洗濯だとかで
 避けられている気がするんだ。手伝おうかと言っても全力で拒否されてなァ…」

……。
黙って話を聞いていると、近藤さんはいきなり俺に突っかかってきた。

「どうしようトシ! 俺鈴ちゃんに嫌われたのかもしれん!!」

その目にはうっすら涙まで浮かんでいる。

「つーか嫌われるほど好かれてたかよあんた」
「え? それどういう意味?」

そのままの意味だよ、と俺の肩をがっちり掴む手を退ける。

「生憎だが近藤さん、俺は見ての通り書類がどっさりあるんだ。女一人ぐらい自分でどうにかしてくれ」
「いやいやいや、俺一度嫌われたらまた好かれるのはほぼ不可能なんだよ!
 お妙さんはいつかきっとって信じてるけど!」
「だから嫌われるほど……っ、あ」

部屋の障子に、誰かの人影が映った。
あの背丈、あの服装の影からして…今近藤さんの悩みの種になってる女中だろう。
通り過ぎてしまう前に、障子を開けてそいつを呼んだ。

「おい、鈴」

俺の声に気付いた鈴は、一瞬肩を跳ねさせてこちらを振り向いた。

「な、なんですか?」
「ちょっと来い」


 ***


「——と近藤さんは言ってんだが、てめェ自身はどうなんだ」
「…別に私はそんなつもりないですけど…」

やばいやばいやばい。
何だよいきなり人を部屋に入れたかと思えば。
近藤さんがいるじゃねーかコノヤロー。

「…だとよ。勘違いだったようだぜ、近藤さん」
「そ、そうか…? それならいいのだが…」

そうは言うものの、あまり納得のいってなさそうな顔をして近藤さんは土方さんの部屋を後にした。
私も出ようと立ち上がると、「待て」と制された。

「はい…?」
「お前、何か隠してんだろ」

!?
な、ななななな、

「何をッ…べべべべ別に、隠し事なんて、しししししてませんよ!! 何を根拠にッ」
「その態度を根拠にだ。分かりやすいんだよ」
「うッ…」

すみません沖田さん、本当にすみません。
こうなったら逃げれる道はないんで。










「 ——なんだよ、そんなことか 」

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【質問回答してもうた←】 ( No.249 )
日時: 2011/09/04 21:11
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: H4NN94uP)



「近藤さん、今日は7時に食堂集合ですぜ」



( 番外編 )

  優しすぎる貴方へ - 02





「「「 ハッピーバースデー!! 」」」


その声が耳に響いたのは、食堂の扉を開けた直後だった。
トシ、総悟、山崎……もう既に見慣れた家族のような皆が、クラッカーを鳴らして俺を出迎えたのだ。

一瞬何がなんだか分からず、頭の中が真っ白になったが、
大勢の隊士の中から出てきた鈴ちゃんが手に持っているものを目にした途端に、全てを把握できた。

それはとても大きなケーキ。
目の前の鈴ちゃんは、満面の笑顔。

「お誕生日おめでとうございます、近藤さん」



 ***



「——そうか、鈴ちゃんが俺を避けてたのはこの為…」
「はい。買い物に付いてきてくれるって言ってくれた時は
 嬉しかったんですけど、ケーキの材料とかがバレたらお仕舞いなんで」

ごめんなさい、と苦笑しながら私は皆の分のケーキを切り分ける。
近藤さんは大きめで、私もちょっと大きめで。

隣で何故か近藤さんはわんわんと泣き喚いていた。
そんなに嬉しいのか、しょうがないなァ。

「だからって何で俺にも隠そうとしやがった」

近藤さんの隣に座る土方さんが不満気に言う。

「だって土方さん問答無用で却下しそうだし。そんな手間かかることやんなら仕事しろォーみたいな」
「100歩譲って許可したとしても、バラしそうですしねィ」

そうそう。
土方さんも案外分かりやすい性格だしね、多分。

切ったケーキを皆に配っていってると、不意に近藤さんが呟いた。

「あのー…鈴ちゃん」
「はい?」
「何かケーキから凄いバナナのにおいがするんだけど」
「あぁ、普通の生クリームじゃなくてバナナクリームですからね」
「だからか! 妙に黄色いケーキだなとか思った!」

うふふ、そんなァ照れるな〜。
上に乗っかってるのは苺だけど、間に挟まってんのはバナナのみっていうのもポイントです。

「これ美味いのか…?」

怪しげに自分の分のケーキを凝視する土方さん。
なんだよ、そんなに疑ってんのか? マヨがけは今回許さんからな。


「結構良いですぜ、土方さん」

…そう言ったのは、何と沖田さん。


「おッ…沖田さんんん! まさか、貴方が認めてくれるなんて、」
「ほら、この皿の柄。良いセンスしてまさァ」
「おい皿かよ」

なんだよチクショー!! 皿の柄なんかどうでもいいよ!

「あ、ケーキは微妙でさァ。ちょっとクセがありやす」
「もういいよ感想とか」

クセがあるのは承知の上だよ、だってバナナだもん。
まぁ近藤さんは美味しそうに食べてくれてますけどね。
あれ、おかしいな、若干ゴリラに見えてきた。

目をゴシゴシしていると、はたまた土方さんがどうにかなったようだ。

「てめッ鈴! こんなもン食えっか!」
「何だとコノヤロー!! 愛情込めて(は無いけど)作ったものにケチつけんじゃねー!」
「あー、あの萌え萌えキュンとかいうやつですかィ?」
「蒸し返さんといて恥ずかしいから!! 違うし!」

もうあれは恥ずかしい、あの時の自分アホ!

「そうは言うけどてめェは食ってみたのかよ」
「え、いや食べてませんな」
「食ってねーからンな偉そうな口利けんだよ、いっぺん食ってみろ!」

え、何事。と思ったときには、ケーキを刺したフォークが自分の口の中に入っていた。

「ぐはッ! ちょ、奥までフォーク入れすぎ…つーかマズっ! 気持ち悪ッ」

その場に四つん這いになって思い切りムセる。
ケーキだけでも吐きそうだけどフォークが喉の奥まで進入してきたことにより更に吐きそう。
なにこれ吐く。吐いていい?

「ほら見やがれ」

顔を上げると、完全私を見下した表情の土方コノヤロー。
なんだよその顔ムカつくな!

て、ていうか、じゃあ美味しそうに食べてた近藤さんって……

近藤さんを見ると、それは何とも幸せそうな表情でケーキを頬張っていた。

「あの、近藤さん…美味しいですかそれ」
「うん? あぁ、美味いぞ! 鈴ちゃんを嫁に貰った奴は幸せもんだなァ、いや、嫁には行かせんがな!」

…てめーは私の父じゃねェだろ。
ていうか、え? 大丈夫近藤さん。

「近藤さんは自分の誕生日を祝ってくれたことで幸せ満開なんでさァ。だからケーキの味なんて感じちゃいねェよ」
「なんか複雑なんですけど」



——結局この誕生日パーティーは深夜12時まで続いて。
幸せ気分から目覚めた近藤さんは物凄い吐き気をもよおしていたとさ。







(  Dear→真選組局長・近藤勲


    「 Happy Birthday!! 」


    From→真選組の副長とか一番隊隊長とか女中とかその他隊士  )




  ***




はい、というわけで近藤さん誕生日おめでとう!(笑)
近藤さん誕生日企画でした。