二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: KAMISAMA! 【銀魂】 ( No.7 )
日時: 2011/10/25 21:05
名前: ちづる ◆iYEpEVPG4g (ID: WPJCncTm)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode



 ひとり





しぬのはこわい。当たり前だ。ふとした日常で、改めて不安になる。自分がもし死んだら何処に行くんだろうかって考えてしまったときに、どうしようもなく深くて暗い海の底で誰にも知られず一人朽ち果てて行くかのような感覚を垣間見る。でも結局はそんなものただのニンゲンの摂理で本物に比べりゃあ随分マシだった。



「ねえ銀時、人って、何のために生きてるの?」
 
「そりゃあ・・・あれだろ。自分のやりたいことをするだとか。」
 
「ふうん、じゃあ目的がなければ生きる資格は無い?」 

「違う、俺が言いたいのはそんなんじゃなくてだな。生きる意味なんざなくたって生きてたっていいの。別に人にどんだけ迷惑かけても死ななきゃならない理由にはならなくね?みたいな。」
 
「それ昨日先生が言ってた」
 
「やっぱり?」
 
「でも、これは結果に至るまでの思想でとか何とか言って、最後まで答えは教えてくれなかったね。先生は数字とかだったら教えてくれるのに、いっつもお話の時は正解がないもの。」
 
 


「ねえ銀時、人って、何のために生きてるの?」
     
「オイ頭狂ったか東雲。」
 
「この状況なら狂うのも別におかしかないんじゃない。」
 
「俺とお前と、あっちでハラ出して寝てる奴らだってまともだろ。」
 
「死にたくない。ねえ、死にたくないよ銀時。」

「でもね、殺してるんだよ。そうしたら殺されても仕方ないんじゃないかって思えてくるの。変だよね、大切なものを守るために戦ってるのになんで投げ出してもいいだなんて言ってるの?少しずつ、自分が自分じゃなくなってくんだよ、解るんだよ。死にたくなる。でも死にたくないの、ほんと矛盾してる。」
 
「・・・・・・そうだな。」
           
         
 
 何のために生きてるの、どうしてそんなに強くいられるの。
何を信じていられるの、己の心?仲間?
何を希望に明日を視ているの、戦果?妄想?
 
 ああもう何もかもわからない。全ては嘘だと神様が笑ってくれればいいのに、こうして目を綴じたら高校の教室で、飛ばした紙飛行機が桜の花とひらひら踊る景色に戻れたら。何を考えることもなく幸せに、それこそこの事なんて夢だったとバカにして友達と話すの。ぱちり、と火が爆ぜる。火の粉が舞い上がって、仄かに熱湯に指を着けたような感覚が通り抜けた。何の反応も無いその灰色の手。黒に浮かぶ真っ赤な火の鳥。煌いて弾けて。いのちを燃やすその炎に、一時の激しさ以外に残るものも感じるものも、無いのだから。それが自分には愚かなことのように思えて。
 
「しらない、もう、いやだ。」
 
 そうとだけ呟いて。頬をつたう生温い液体を、土で汚れた衣服の裾で拭いた。今まで溜めてきた、つらいこととか、かなしいことの全てが溢れ出すようだった。

 何のために生きてるの。
答えはまだ見つからない、答えなどありはしないのだから、仮に答えと呼ばれるべきがあったとしても、当の昔にきっと失ってしまったことなのだろう、と。空しい愚問の横に出来た空白が嘲笑を投げかけた。