二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

短編-001. ( No.8 )
日時: 2011/12/01 17:54
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: o9QGQ.Yt)


「——桜、かあ、」

 ひらひらと舞う桜が、彼女の姿をより幻想的に想わせた。どきり、と胸が不意に高鳴る。彼女は赤い瞳を細め、肩に乗っかった桜をふわりと指で撫でた。今も変わらない彼女は、俺よりも小さく、抱き締めればすっぽりと収まってしまう。互いに恋愛感情は無く、兄妹、というのが正しいかもしれない。

「もうそんな季節か、」

 そう言えば、と思い出したように呟けば、彼女は興味がある、といった様子で振り向いた。

「……次の試合は雷門中らしい、」
「へえ、円堂くんの雷門中か! 楽しみだね? ——総帥、」

 くす、と悪戯めいた笑みを零しながら総帥と呼ぶ亜美に苦笑を浮かべた。総帥、か。まさか俺がそう呼ばれるようになるとは、な。
 亜美は俺の考えていることが分かったみたいに笑った。"総帥"のことを亜美も知っているから、だ。憧れていたのもあったが、心中は複雑だった。あの人と同じ人間になってしまうのではないか、という不安がよぎる。
 ——そんな俺を助けてくれたのが亜美だった。彼女の考えていることは分からない。フィフスセクターに協力する、というような口ぶりを見せるも、動きも何もないのだから。

「……亜美センセイ、」
「センセー! 逸見がにやにやしてまーす!」
「してねえよ!」

 先生、と彼女が呼ばれるようになってから、サッカー部は変わった気がする。
 馴染め無さそうな奴らもすんなりと部員と馴染み、最近は雅野と逸見と龍崎が亜美にべったりになっている。其れを宥めているのが主に佐久間と御門だ。その様子は可笑しくて、思わず笑みが零れた。

「————ふふっ、」

 彼女も可笑しげに笑ったものだから、思わず目を丸くした。

「……こんな日が続けば良いよね、ほんと」



 馴れ合いは必要ない、——なんて.
       (厳しいことは私には言えないの、)






亜美と帝国(+10)でほのぼの.
、鬼道さんと亜美を絡ませたかっただけ