二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブンGO【サッカーという名の希望】 ( No.7 )
日時: 2012/01/14 16:08
名前: 柳 ゆいら (ID: jIh6lVAe)

0話   プロローグ



?「あれっ、美智羽ここにいたのかよ!」

ひとりの少年が、少女にかけ寄る。首までの黒髪をゆらして、コクッと首をかしげた。

?「? 美智羽、どうしたの?」

美智羽と呼ばれた少女は、赤くなった目をゴシッと手の甲でこすった。

美「あのね……パパとママが……うぅっ、ヒック……。」
?「っ!?」
?(美智羽が……!? ……なんてことだ……。)

少年はあぜんとして、なかなか口を開くことができなかった。
沈んでいく夕日。暗くなって行くにつれ、あたりの電灯がパッとついて、美智を明るく照らし出した。
泣いている美智羽を見て、少年は、

?「…………美智羽は必要とされてる……。」
美「え?」

うるんでいる茶色い瞳を、少年に向けると、彼の瞳は、沈んでいく夕日を、じっと見つめていた。その瞳の色は、まるで自分が言うのをジャマされるのを、こばんでいるようにも見えた。

美「れ、れ……。」
?「美智羽が必要とされないなら、僕はなに? 僕はなんなの? 美智羽よりも下の存在の僕は……!」
美「れ、玲……。」

玲は瞳の色を変えないまま、右手ににぎりこぶしをつくった。

玲「美智羽が必要とされないなら、僕はなんなんだ! なんのために生きてるって言うんだ!」
美「れ、玲、玲……。」
玲「僕に生きてる理由なんか——!」
美「玲、もう止めて!!」

美智羽の声で、玲はハッとした。

玲(夢中になっていて、美智羽の声まで耳に入らないほどに怒っていたというのか、僕は……。そんなバカな……。)

これまで美智羽の声は、どれだけ自分が怒っていても耳に入った。それが耳に入らなかったということは——

玲(僕は、自分のことを制御できなくなってきてるのか……?)

玲は自分のひたいに手を当てて考えた。
そんな玲を、美智羽は心配そうに見た。

美「玲、気分悪いの? じゃあ、もう帰ったら?」
玲「えっ……。」
美「玲、あのね、さっきね——……。」

美智羽は少しおそろしげに話していたが、これが、サッカー管理組織『フィフスセクター』に入るきっかけとなった。