二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BRAVE10*時守りの忍【原作沿い】 ( No.31 )
日時: 2012/02/21 21:05
名前: 勾菜 (ID: ezAGn.q4)

ザザっとすごい速さで才蔵は森を駆け抜けていた。
太い木の枝で立ち止まる。
「〜〜!なんだ!?今のは……」
グワングワンと不思議な眩暈に襲われる。
(目が回る……!何かの音だったのか!?)
グニャリと才蔵の視界がまがる。
(猿飛といい あの小姓といい なんでこうも手練がいるんだ!?)

——この両の手には足りぬ

そう言って己の両手を見つめていた、幸村の姿を思い出す。

(俺はなにか… 大変なことに巻き込まれようとしているのでは…)

「う。」
突然、才蔵が顔を真っ青にして口元を押さえる。
どうやら三半規管をやられたらしい。
「こりゃいかん 水っ… たしかこの先に…」
慌てて才蔵は地を蹴った。


***

才蔵がたどり着いたのは滝。
そこで、女一人で水浴びをしているのをみつけた。
(——金の髪!? 物の怪か…!? いや…天女!?)
そこまで考えて才蔵は自分にツッコミをいれる。
(いやいやいや 待て待て!人間の気配だっっ
 こんな山奥に女一人…不用心な。 …しかし眼福…)
そう、女の胸はかなり大きかった。いうならば、一種の凶器かというぐらいに。
才蔵だって男なのだから、これぐらいのことは考える。

女は見られている子尾に気付いたのか、自分の両手を水面につける。
「伊賀亜流氷術 氷槍華!」
瞬く間に水面が凍る。
そして、氷の槍が才蔵めがけて放たれた。

「ちょっ、待っ!?」
反射的に摩利包丁でそれらを叩き落とし、自らの身の安全を確保する。

「アナ!」
「もしかして…才蔵!?」
才蔵が女の名を呼べば、女も才蔵に気がついたようだった。
警戒をとき、思い切り才蔵に抱きつく。
「ああ、久しぶり…」
「カヌチーラ!すっかり大人になっちゃって…わかんなかったわよ」
「抱きつくな!」
「何言ってんのよ、幼馴染じゃない」
フフッと女は口元に笑みを浮かべた。
「つか、どっかの王に仕えてると聞いたが…」
「ミイラ取りがミイラに…ってやつよ。寝首を掻こうとしたら失敗しちゃって。
 でも、やとってくれるって言うから、寝返ることにしたの」
「まじかよ…てか、幸村のオッサンか」
ええ、と答えながら女は着替えを進める。

女の名をアナスタシア。
真田幸村に仕える、金髪のくのいちである。

アナスタシアは着替え終わったらしく、才蔵に近づきそっと頬に手を添える。
「あんたもそのうちわかるわよ」
ふと、アナスタシアは不思議そうに才蔵の後ろへと視線をなげる。
「なに?この子…」










そこには、ぴたりと足をとめ、二人を凝視する伊佐那海がいた。