二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BRAVE10*時守りの忍【原作沿い】 ( No.38 )
日時: 2012/02/28 22:41
名前: 勾菜 (ID: 8FNZsxHa)

千は思う。
何なのだろう、このちょうどいいタイミングは。
伊佐那海をつれ、城を出たのはついさっき。
それからしばらく歩いて、この滝壺についたのだ。
そこまでは何の問題もなかったはずだった。
だがこの状況はかなりの問題大ありなのだ。

一番は伊佐那海。
彼女はかなり才蔵のことを気にいっている。
才蔵目的でここに来た彼女の目に映ったのは結構なナイスバディーの女に言い寄られる男の図、である。
しかも、女は大胆にも胸元の開いた服を着ている。
だんだんと伊佐那海の目が据わっていくことに、後ろにいた千はいち早く気がつく。

「えっ……あ…伊佐那海…」

ぎょっとした才蔵のその様子が余計に伊佐那海の機嫌を悪くする。
彼女のまとう気配すらどす黒くなっていくようで、千の背にツッと冷や汗が伝った。

突然、伊佐那海がつかつかつかと才蔵に近づいていく。
さながら、チーンと時限爆弾、否、伊佐那海の中の何かがはぜた音がした気がした。
「あ〜…いや…こいつはその…」
しどろもどろとしながら言い訳を探す。
瞬間、大きく伊佐那海が大きく手を振りかぶる。

「この浮気者!!!」
「ってぇ!」
パアンと乾いた音が辺りに響いた。

***

「クククッ 男ぶりが上がったのう」
「……うるせえよ」
からかうように笑う幸村の前には頬に真っ赤な手形をつけた才蔵が座っていた。
「女は上手に扱わねばのう。ワシが教えてやろうか?」
「いらねー つーか…なんでアナがアンタのところに?」
明後日の方向を向きながら才蔵が幸村に問い掛ける。
「アイツはな、ワシの寝首をかきに来た刺客だったのだよ」
ボリゴリッと煙管で頭を掻きながら、幸村は説明した。
「まあ 言わずもがなだがワシが返り討ちにしたというわけだ。
 コッチは自信があるのでな」
ワキワキと手を動かし、ニヤリと笑みを浮かべた。
「若…」
「幸村様…」
六郎と千の声が見事にかぶる。
二人は思わず顔を見合わせ、なんとも言えない顔をした。

「——オッサン」

「アンタいったい何をしようとしてんだ?
 伊佐那海を匿っておくのも、こんな俺を置いておくのも
 それに猿やアナ、千ほどの手練—…
 そこに六郎とかいう小姓もだ。なにかあるんだろ?」
才蔵がそれを言った瞬間ぴくっと六郎が才蔵の方を向く。
千はスッと視線を下に向けた。

——私、は…

「——なんだと思う?」
「俺が聞いてんだろ!?」
いらっとしたのか、声を荒げる才蔵を幸村はスッと両手でそれを制する。



「ワシにはな
       この両の手の指の数だけの
                    同志が要るのだ」



               —ACT.2 終—