二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BRAVE10*時守りの忍【原作沿い】 ( No.52 )
日時: 2012/04/06 22:34
名前: 勾菜 (ID: J0PYpSvm)


(……ヒマだ)
あのオッサンの口ぶりから何か起こんじゃねぇかと思ってたが…
「なぁんもねぇ ここ数日」
1人で物思いにふける才蔵の元にチュン、という鳴き声とともに数羽の小鳥が舞い降りてきた。

「お。また来たな。 一回やったら味をしめたか」
そう言いながら、パラパラと餌をまいてやる。
すると、小鳥たちは待ってましたと言わんばかりに餌をつつき始めた。
その様子を見てから才蔵はふと空を見た。


どこまでも澄み渡る青い空。
そこにぽっかりと浮かぶ白い雲。
まわりを取り囲む、青々と茂る木々。
どれもこれもが才蔵が今まで知っている世界とかけ離れている。

いつだって闇の中で息を殺し 生きてきた——
——そういう生き方しか知らない……
それが当然の世界で育てられたから。

「——体なまっちまうなあ…」
「もう20人だって!!」
呟く才蔵の耳に女中の声が届いた。
気になって2人の女中の会話に聞き耳を立てる。

「本当に!? 気味悪いわね!」
「なんでも大蛇うわばみが人を生きたまま飲み込むんですってよ!」
「きゃーっっ」
「昼間も出るからコメの収穫がままならないって
 村から直訴状が幸村様に……」
「幸村様に!?…………大丈夫かしら?」
思わずそう言ってしまった女中にもう一人が手あわて咎める声がした。

(うわばみ?)
才蔵がその名を胸中で呟くのと、ピュイイイッと笛の音が聞こえたのはほぼ同時。
ピュイイイイッ  イイイイィィィッ
(忍び集めの笛!!)


「こりゃなにかあるな!!」
ニッと才蔵が口端をつり上げる。
次の瞬間には、その姿はどこにもなかった。