二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アヴァロンコード ( No.1 )
日時: 2012/08/17 02:04
名前: めた (ID: UcmONG3e)

ゆっくりと、炎につつまれて滅んでゆく世界…。

いつも見ている、夢。

「あぁ、またこの夢」

ティアはゆっくりと目を開けた。

業火に焼かれる世界から、のどかな草原と、青空に移り変わる景色。

しばらくそのまま寝転んで、最近よくみる夢について考えていた。

「いったいなんなんだろ…。変な夢…」

すると、ある言葉が心に響いた。

手を差し出し、受け取るがよい、と。

なんともなしに、手を差し出した彼女は瞬きした後に、その手の中に赤い紙があるのに気づいた。

いままで持ってたっけ?

そんな感じの驚きしか感じない。

その紙に書かれた、目をつぶる角の生えた少年の姿など、余り気に留めない。

そしてふと、思いついたことがあって起き上がる。

少女の背後に、そびえる古い石碑。

それを振り返るティアは、夢の中で同じものを見た気がしてならなかった。

立ち上がり、石碑に近づく。

黒い石碑はティアの身長の二倍はあった。

横幅も広くて、石碑のはるか遠くの景色にあるフランネル城よりも存在感があった。

「なんて書いてあるんだろ?」

いままで気にもしなかった石碑。

前面に上から下までびっしりと、彼女の知らない言葉でないか書かれている。

もっと勉学を極められる身分であったなら、読めたかもしれない。

ティアは石碑の文字のくぼみを手でなぞりながら、読めないことが少し悔しかった。



その彼女のいる丘から何キロか先の草原に、5人の兵士が歩いていた。

この軍団の先頭に立つのは左目から頬にかけ長い傷のある男。

左腕に丸い縦を装備したヴァイゼン帝国のヒース将軍だ。

ティアの住むカレイラ王国と敵対関係にあるヴァイゼン帝国の将軍一味。

もちろん彼らは敵地に偵察に来ていた。

敵地をよく見ようといきまく先頭三名をよそに、その背後から黒い鎧をまとう二人の兵士は同時に立ち止まった。

先頭を行くヒース将軍と、銀の鎧の兵士は二人が立ち止まったことに気づかない。

黒い鎧の二人は、頷き会うと互いに反対方向へと歩んでいった。

一人は東に、もう一人はティアのいる西の、陽だまりの丘へ。