二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アヴァロンコード ( No.365 )
日時: 2012/12/11 22:43
名前: めた (ID: UcmONG3e)


 第八章 氷の精霊

—氷が大地を白く覆うとき
 御使いは再び見出される


ティアは雷の精霊を取り戻し、よしがんばるぞと意気込んでいた。

この調子ですべての精霊を・・・。

「ここは一体どこなのでしょう?」

知らぬうちに竜に囚われていたウルはティアに聞く。

出来事だけを話したので、詳しい場所を話してはいない。

ゆっくりと出口へ向かいながらティアはウルに説明する。

「ここはカレイラの天空塔の中だよ」

「…天空塔…フランネル城からそびえる塔ですね?」

さすが記憶力のいいこの精霊は前に案内したことを覚えていた。

「確か建国当時からある塔でしたね。とても高い塔で不思議に思っていたのですよ、何故あれほどの高さで崩れないのかと」

そういえばそうだなぁ、とティアは頷く。そもそもそんなこと微塵も思わなかったのだが・・・。

「てっぺんに水を張ることによりバランスを保っていたのですね。素晴らしい考えです」

きょとんとするティアにウルは細くしてくれた。

「つまり常に平らなところでは平等の水を張ることにより、重心を一定にしたのです。少しゆれても水の重みであまりゆれることはありません。太古の知恵ですね」

ふーん、水ってすごいなぁと相槌を打ちつつティアは、水があるのはペルケレが泳ぐためだと信じていた自分を追い出した。

そもそも、ペルケレは飼われていたのではないだろう。

だがはるか昔にクレルヴォにより生み出された竜である。

きっと人間に神の座を追われ、救いを求めようと四大精霊に模した彼らを作ったのだろう。

だがそれら四つの竜は精霊にもしただけで彼ら自身ではない。

きっとクレルヴォの思惑通り行かず、クレルヴォは倒されてしまった。

役目を失った竜達は勝手に散ったに違いない。

そしてその一匹、ペルケレは天空塔のてっぺんになぜか住み着いたのだろう。

「他の三人はどこだろう・・・?」

知っているかなと聞いてみるも、ウルは首を振った。

「存じませんね。ですが、なにやら世界に異変が起こっていると聞きます・・・それを引き起こしたのは私たちを捕らえる竜。その異変を追えばきっと見つかるはずですよ」

確かにそうだとティアは頷いた。

ひどい雷を追って天空に続く塔を上ればウルがいた。

ティアはデュランに聴いた言葉を思い出す。

それを一つずつ声に出して言っていく。

そのまま歩きながらテラスに向かっていった。

「四つの災害・・・激しい雷雨と季節はずれの雹。大量発生した魔物たち。休火山の突然の噴火」

「間違いありませんね・・・ですが最初に止めるべきなのはネアキのようです」

え?という風にウルを見上げると静かに指を指される。

その先を見れば、テラスの手すりの向こうにある光景が広がっている。

「雹・・・」

ローアンの街から北に寒々しい冷気が漂い、白く霧のかかるような雲から氷の塊が降り注いでいる。

ローアンの街にも降り注ぎ、その大きさは気のせいだろうかだんだん大きくなってきている。

「このままではあなたの頭ほどの雹が降ってしまいます・・・いえ、それ以上の雹がふるでしょう」

「そんな!このままじゃローアンの街がもっとぐちゃぐちゃに・・・」

ウルの言葉に悲鳴に似た声を出すティア。

「ネアキと最初に出会ったのはワーグリス砦でしたね。そこへ行ってみましょうか」