二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: アヴァロンコード ( No.526 )
- 日時: 2013/02/19 16:17
- 名前: めた (ID: ErpjaSfQ)
参照11800越えました!ありがとうございます!
コレ二月中に終わるかなぁ・・・
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翌朝、本棚を整理していたシルフィはまだ早朝なのに自分をたずねてきた人物を見て驚いた。
にこやかな顔をしたティアであり、手に若草色のハーブを持っている。
それは紛れもなくシルフィの依頼物、エルフの涙の材料の1つであり、手渡した紙に書かれたものだった。
(ニヤニヤしちゃって・・・人間ってとことん変な生き物ね)
眉をひそめながらあがってくるように言うと、ティアは笑顔のままやってくる。
そしてシルフィにハーブを手渡すと、「それじゃあ!」と家を出て行こうとする。
「待ちなさいよ!」と声をかけると、不安そうな顔でこちらを見てくる。
「用はまだ済んでないわよ」腕を組んで言えば、心底戸惑った顔をする。
「これからエルフの涙を調合するのよ。ほらさっさとついてくる」
半ば強引に家を出ると、シルフィとティアは、ローアンの中心街から西に行ったところにある立派な空き家に向かった。
石畳の先にあるこの家は長い間ずっと空き家で、立派なつくりであるが誰も住み込もうとしない。
誰が住んでいたかも、ティアには分からなかった。
造りは入り口に二本の柱がっていて、そこから左右に伸びるように美しい柵が家を囲むようにずっと続いている。
その黒い柵に幾重にも絡まるツタがはびこり、レンガ造りの家の壁も覆っていた。
だが不思議と不気味さは感じられず、まだここに何か住んでいるような気がした。
玄関のまえには荒れ放題だがさまざまな種類の花が生えていて、白い長方形の花壇には手入れされたような見事な花が咲いている。
「この中に調合機材を置いてるの。あなたが持ってきたハーブを入れたらすぐにできるわ」
シルフィに促されて茶色の重そうな扉を開けると、けっこう荒れていた。
入り口の左右に立つ不思議な立体像。
大きなクローゼットに、倒れたテーブル。割れた花瓶。
撒き散らされた書架と倒れた本棚たち。
床は奇妙な色で変色し、しみの様なものが一面に広がっている。
「何コレ・・・どろぼうでも来たのかな」
ティアが外見とのかけ離れた内装を見て唖然として声を出すと、シルフィはさぁ?と肩をすくめる。
「わたしもここの事は良く知らなくって。でもお父様に見つからずに調合するのに格好の場所だと思って中にはいったら、すでにこの有様だったわ」
そして入り口付近のテーブル—おそらくシルフィが引っ張り出したもの—の上に蒸留器具がおいてあった。
けっこう大柄なテーブルの上にはシルフィの実験道具のほかに、写真立てもあったが変色しきっていて映っている人物の影がうっすらと四つ見えるだけだった。
「後はハーブを入れるだけ」
ティアがあたりを見回るのをまったく気にせずに、シルフィは火をたいた上に吊り下げられた透明な湾曲した瓶の中にハーブを落とした。
その瓶はエルフの技術を利用したものらしく、妙な管が下のほうに伸びており、その管から蒸発した液体が容器に落ちていく。
「ねぇシルフィ。それ飲めるの?」
ようやく家中を見るのをやめて、その気味の悪い液体を見たティアは引きつりながらたずねる。
ハーブを入れた材料の元は泥のような色になっており、とても食べられそうにない。
エルフの涙というのだからとてもきれいなものを予想していたティアにとって衝撃だった。
「そうよ。出来てから数分で考えは変わると思うけど」
蒸留水も灰色でよどみきった色の液体。まだ熱いらしく湯気が立っている。
(できあがりって後どれくらい掛かるんだろう。この後ファナと一緒にハクギンツバキをとりに行こうと思ったのに)
そう思っていたときだった。
「お姉ちゃん達、なにしてるの?」
突如家の奥から幼い声が聞こえてきた。