二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アヴァロンコード ( No.62 )
日時: 2012/09/06 18:33
名前: めた (ID: UcmONG3e)


 第三章 氷の精霊

‐白き地底より氷の御使いが還るとき
 古きものの暴挙が立ち上がる
 人々は予言の書を持つものを
 あがめるだろう


無事に森の精霊の封印を溶き、仲間としたティアたち一行はとりあえず神秘的なうろを出ることにした。

ミエリが、久しぶりに外の世界を見たい、と言ったからだ。

二人の精霊がティアの両脇に引っ付いて飛ぶので、仲間が沢山増えた達成感がより味わえた。

自分を入れて三人になったので、暗い洞窟に入っても心細くない。

浮かれていたティアに、突然衝撃が走る。

地面が強くゆれたのだ。

地面だけではない、波動が伝わるように空気も強く振動した。

「うわっ!とと」

その被害を受けたレンポが、バランスを崩す。

北側に浮遊していた彼は、ティアの頭に守られた南側に浮遊していたミエリと違い、もろに被害を受けたらしい。

「なんだ!!」

今のは地震だろうか、そして北から低いうなる音が近づいてくる。

途端に轟音の原因である黒い塊が目の前を通過した。

よく目を凝らせば、一つ一つが虫であるということに気づく。

「虫たちが…暴走している」

ミエリが別の方向を指し示す。

指先を追えば、金色のばったの大群がぴょんぴょんと西の方角へ進んでいくのが見える。

その大きさはまさに巨大。ティアと同じくらいの体長だ。

150センチはあるだろうか。

「クモなんていないよね?」

150センチのクモなどごめんだ、とばかりにティアが言う。

けれど、レンポの一言により、その考えが吹き飛んだ。

「今のムシども、街のほうへ向かったな。ありゃ、相当やばいぞ」

「!?」

ティアは思わず短く声を上げた。

ミエリが気持ちを察したのだろうか、たずねてくる。

「街が心配なの?」

「うん…」

頷けば、野次が飛ぶようにレンポが馬鹿にしたように言う。

「へっおめでたい奴だ。またあんな街に戻るってか?」

奇跡を見せれば魔術といい、助けられたと思えば罠にはめられる、おまけに王女を救ったら、反逆者と間違われて投獄される。

そんなところ、ふつうなら帰らないだろう、たとえ唯一の故郷だとしても。

けれど、ティアは友達が心配だったし、大好きなカレイラが心配だった。

「わかってるけど…みんなのことが凄く心配なの…」

するとミエリがにっこりと、ティアを安心させるように笑った。

「私も街に行ってみたいな!」

2対1で、街に行くことが決まると、好きにしやがれ、とレンポは賛成した。

「じゃあ、街にしゅっぱーつ!」

相変わらず呑気で楽しそうに、ミエリが言った。