二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【戦国無双】義トリオの豆撒き
日時: 2010/02/26 22:35
名前: みやび (ID: l/xDenkt)

今晩はー初めまして。
題名通り2月も終わりかけていますが…「豆撒き」がメインの話です。
「義トリオ」とは兼続・三成・幸村の三人。
戦国無双3が発売されるずっと前に妹が漫画で描いていたものを興味本位に小説にし、USBに放置していたものです(笑)

※注意※

①兼続が自重しない
②幸村が黒かったりする
③左近がかわいそう
④ツッコミどころ満載

以上四点、どんとこい!という方はどうぞー(笑)


□□□□□


近江(おうみ)、佐和山城。
その城主である三成は、客人が来たとの知らせを受け自ら城門まで足を運んでいた。
それも左近を始め、共に義を貫かんとする彼が全幅の信頼を寄せる友人、兼続と幸村であるが為。
からっきし感情を顕にしない彼も、その二人なだけに自然と頬も緩んでしまう。
手厚く歓迎したところで一、二言挨拶を交し合い、三成の書斎へと向かう。
通り掛った侍女に「茶請けを」と言付ける事暫し、仄かに香る煎茶と菓子が用意された。
「忝い」と律儀に湯呑を手にする幸村の横で兼続は既に茶を啜り、「美味い」と呟いている。
向かいに座る三成は少しも意に介したふうはなく、むしろ人前では決して見せる事のない微笑みを浮かべていた。
尽きそうになかった話も数刻経ってようやく一区切り、すると徐に兼続が口を開いた。

「三成、幸村。今日が何の日だか知っているか?」

唐突なその問いに訝しむも、いち早く気付いたらしい三成が「ああ」と幾分和らいだ声音で頷く。
数テンポ遅れて、どことなく嬉々とした面で幸村が答えた。

「節分ですね!」

「そうだ」

そこで一旦言葉を区切り湯呑を口に運ぼうとするがきらしてしまったらしい、中が空だと気付く。
仕方なしにと盆上に湯呑を戻す際、ふと幸村のそれを一瞥し、何を思ったかさり気なく手に取ると一口啜ったではないか。
案の定、その一行に目を瞠った幸村は「すまんな」という兼続の詫びと同時に戻される湯呑を唖然として見つめる。
素知らぬ顔で傍観していた三成は、口元を愛用の扇で隠し肩を震わせていた。

「遠慮する必要はない」

一間おいて、「入れ」という三成の言葉に襖が開き侍女が現れる。
はっと我に返った幸村が何事かと瞠目する兼続の視線を辿り、行き着いた侍女の姿を目にした途端「あ」と彼らしからぬ声を漏らす。
侍女は屈託なく笑い「淹れなおしますね」と盆上に湯呑を回収し、無駄のない所作で厨(くりや)に戻っていった。

「そうだな」

先の三成に対する返答であろう、間もなく用意された煎茶を早々に啜る兼続の姿に三成と幸村は顔を見合わせて笑った。

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【戦国無双】義トリオの豆撒き ( No.1 )
日時: 2010/02/28 14:33
名前: みやび (ID: l/xDenkt)

「大分逸れてしまったな、話を戻そうか」

一息ついたところで、兼続が本題に入るべく話を切り出す。

「節分、これを持ち出したのは言うまでもない!」

ところがどっこい、そうして彼の口からとび出た話は豆撒きの起源・慣わしといった本題とはまるで程遠いもの。
無駄に熱く語る姿は、さながら選挙前の演説者のよう。
ついには立ち上がって縁側に出る始末。
これはどう見ても焦らしているとしか言いようがない。
兼続はそっと振り返り、二人の反応を窺ってみた。
神妙に耳を傾けている幸村だが、その瞳には「焦らすなよ」という裏腹な色を宿しており、「不愉快だ」とありあり表情で語る三成は先を急かすように扇を開け閉じしていた。

「(…ふ、少しおいたが過ぎたか)」

失笑していると、三成に一睨され幸村に満面の笑み(どことなく怖い)を向けられ慌てて取り繕うように咳払い、「すまん」と苦笑混じりに詫びて声を張り上げる。

「今日は節分だ!不義、即ちその類に値する鬼を討つ!…と、いうのは上辺づくりにすぎん。聞けば三成、お前はここ数日執務続きで書斎に籠もりきりだったらしいな。どうだ?ここで一つ、うんと羽を伸ばしてみては」

「幼子のように豆撒きをしろと?…本音としては、ゆっくりさせて欲しいのだが」

「なかなか楽しいものだぞ?」

城主という事もあり、度重なる仕事に連日書斎に籠もりきりだという三成を案じて訪れたところ、二人を迎え入れた侍女からそれが今しがた片付いたところだという話を耳にし、丁度良いと何故か提案されたのが先の“豆撒き”である。
今日がその節分でなかったら一体何をする気でいたんだ、というツッコミはさておき。
三成がそういった風習をあまり好まないと知った上での提案だというから、質が悪い。
彼の表情から察するに、やはり乗り気ではなさそうだ。
それから半ば睨み合うかたちが続く。
一蹴するかと思われた三成だが、意味深に笑う兼続を目にしてかやがて彼にしては珍しく「良かろう」と諾(うべな)った─と言うより、折れた。
縁側に出ると傍らの柱に寄りかかり、未だ座する幸村に目配せする。
それを察して、幸村も倣って縁側に出た。
彼は賛成らしい。

「して、鬼とは一体?」

「それなんだが」

人差し指を立たせ、意味もなく左右に揺らしながら周辺に視線を巡らせる兼続。
訝しげに黙視する三成だが、次の言葉で合点がいく。

「三成の家臣に修羅(鬼)と名乗る武将がいる、と聞いたのだが」

「ああ、左近か」

どうやら左近と思しき人物を探していたらしい。
三成は、軍師でもある彼が戦場にて修羅と名乗っていたかの台詞を頭中で反芻しつつ言葉を紡いだ。

「“この左近、戦場にては修羅となる”…だったか」(※戦国無双2)

「適役ですね!」

「うむ。では、左近殿に鬼役を!三成、頼まれてくれるか」

「…ああ」

「楽しみですな」

口々に先の事を話合った後(打ち合わせ?)、時間帯から鍛錬の最中だと踏んだ三成は早速その場に出向いて行った。
丁度休憩に入ったらしく、左近は傍らの石壁に大刀を立てかけているところだった。
名を呼ばれ振り返った彼は、主の姿を認めると軽く一礼、目前まで歩み寄ってきた三成に再度名を呼ばれ「はい」と律儀に返して彼の言葉を待つ。

「鬼になってくれるか」

「は。…鬼、ですか?」

戦絡みの話だと思っていたらしい、的外れな言葉に面喰らう。
“鬼”という一語に何やら思案顔で顎に手を添えると、真直ぐに己を見据える主を一瞥。

「(逡巡した素振りも見せず、こうもサラリと言ってのけるとはね。さすがは俺の見込んだお方だ)」

一向に返答しない左近に痺れを切らしたのか、「どうした」と若干眉根を寄せた三成が問う。

「何でもありませんよ。いやしかし…ははあ、殿はSMプレイがお好「違う」

「冗談ですよ」

おどけた口調で軽く肩を竦めてみせる。
全てはちょっとした悪戯心からで、三成もそれを承知の上なのか咎めるような事はしない。
だが、主の表情はどこか凍りつくように冷たかった。

「既に悟っているだろうが、俺がして欲しいのは豆撒きでの“鬼”だ」

「ええ。分かりました、引き受けましょう」

「三成!」

話が一段落したところで、タイミングよく兼続と幸村が駆け寄って来た。

義トリオの豆撒き ( No.2 )
日時: 2010/02/26 22:38
名前: みやび (ID: l/xDenkt)

手間が省けたと三成はその場で左近を紹介し、彼をどことなく探るような目つきの幸村から間もなく発せられるであろう爆弾発言に苦笑を漏らす。
兼続も同様、隣に立つ幸村から左近へ目を移すなり同情らしき溜息をつく。
その発言が何なのか、察しはついていないようだが。
おかしい─こういった場に聡い左近の視線が二人の間を右往左往するが、それも感嘆した声によって憚られ反射的にその主へと顔を向ける。

「こちらが鬼役の左近殿ですか!成程、打たれ強そうな…」

くるぞ。

三成と兼続、双方揃ってターゲットに視線を投げかける。
ただならぬ二人のそれに左近は息を呑み、向かいに立つ幸村にぎこちなく顔を向け直したその矢先。

「M顔ですね」

「!」

その表情の何と無邪気な事か。
orzなまでの大衝撃を受け、今すぐ走り去りたい衝動に駆られる左近だったが、痛い程感じる二人の視線から表面上何ともないふうを装ってみせる。
ただ長年の付き合いである三成には通用しなかったらしい、彼の瞳がそう物語っていた(無念!by左近)。
未だ無邪気に笑う幸村を前に何やら小声で呟くと、左頬の傷にそっと手を滑らせる。
白壁に立てかけた大刀が鍛錬の最中である事を思い起こさせるが、主から頼まれた以上こちらを優先しなければならない。
請け負う程の大役ではないのに、異様に揃った動きで一列に並ぶ三人の姿を目にして無駄に意気込んでしまう。
更に幸村の表情が一変した事で目を瞠った。

「それでは!」

「(幸村殿、随分と真剣な顔つきをしておられる。何かあるのか?)」

胸中で呟きつつ、続く兼続の言葉に耳を傾ける。

「義の為に!」

「(…大声で語らないでくれませんかね)」

口に出せば確実に彼の反感を買うであろう言葉を同じく胸中で呟きつつ、左から三成・兼続・幸村と並ぶ三人に表情を引きつらせる。

「「「豆撒きを開始する!」」」

高々と、無駄に気合の入った三人の声が城中に響き渡った(主に兼続)。
様子を窺っていると、先手とばかりに幸村が厨(くりや)へ駆け出す。
その背を何とはなしに見送って正面に戻すと、いつの間にやらそこには主である三成の姿しか見当らない。
忙しなく周辺を探り始めた左近を前に、何処吹く風といった様子で優雅に扇を開く三成。

「後ろだ」

ふと目が合った拍子に三成が顎をしゃくってみせた瞬間、凄まじい殺気を感じて振り向いた左近の肩口を“何か”が物凄い速さで飛来し、白壁にドッという鈍い音を響かせて突き刺さった。
はっと息を呑み、その“何か”を凝視する事暫し。

「札…!?」

達筆な文字で“封”と、質素な2枚の札が重力に逆らって平行に伸びたまま突き刺さっている。
ズモモモモと聞こえてきそうな程のオーラを放ちながら、背後に現れた三者の中で唯一札を駆使出来よう確信犯なる奴の名を紡いだ。

「おいおい、兼続さんよ。こりゃ一体何の真似だい?」

「…すまんな、札が言う事をきかなんだ」

「何それ!」

やや間をおいて、苦し紛れな返答が返ってきた。
視線を逸らし、心の声ともとれる所謂本意をぶつぶつと口に漏らす様に「聞こえてるから!」と左近がすかさずツッコミを入れる。
それを尻目に幾らか距離のある白壁に向かって徐に手を伸ばす兼続。
すると突き刺さっていた札が付き従うように彼の手元へ吸い付いてきた。
─と、ここで何故か我が術を披露して見せようと意気揚々に数枚の札を取り出すものだから、ぎょっとして直ぐに仕舞うよう言い付ける(迷惑極まりない)。
あれこれ言い合うも、渋々懐に仕舞われる札を黙認してほっと安堵の溜息──も束の間。
カチリ、と何か機械的な音が足元から聞こえ訝しげに視線を落とす。
戦場で幾度となく目にしてきた主の特殊技ともいえるこじんまりとした装置。
彼は閉じた扇をそれに向けたまま微動だにしない。
身の危険を感じた左近は慌てて主に声をかけた。

「ちょっ、殿!何やってるんですか!」

義トリオの豆撒き ( No.3 )
日時: 2010/02/26 22:38
名前: みやび (ID: l/xDenkt)

「愚問だな。罠に決まっておろう」

「それは分かってます!」

「罠をしかけるとは…ふ、三成め。やりおるな」

「ちょっと黙っててくれる!?」

流石は我が友だと微笑む兼続に一喝。
それを余所にいざ発動させんと扇を開く三成を目にして一層慌てる。

「豆撒きですよ!罠を仕掛ける必要が何処にあるんですか!」

「我が城中とはいえ、何時も警戒を怠るな」

「人の話聞いてる!?」

「三成殿—!兼続殿—!」

これでも剣呑とした雰囲気が漂う中、籠を両手で抱えた幸村が厨から戻って来た。

「豆を頂いてきました!」

「おお、ご苦労であった!…それにしても、三人でやる量にしては些か多過ぎやしないか?」

兼続の問いで、皆の視線が一斉に籠へ注がれる。
両手で抱えなければならない程の大きさに、縁ギリギリまで盛られた豆の数は底知れない。
本日三度目となる満面の笑み(これは無邪気)を浮かべた幸村が、一粒の豆を摘みあげながら言った。

「ええ、何でも…日頃の鬱憤を思う存分晴らしてきて下さい、との事で。気付けばこの量に」

相当ヤる気らしい、縁側に籠を置くと両手一杯に豆を取る。
もはや豆撒きとは言い難い展開に、左近は一人無意味に嘆くも時既に遅し。
名を呼ばれ振り向くと、数歩先で仕舞われた筈の札を片手に不敵に笑む兼続の姿が目に入った。

「豆撒き再開だ」

「札はいらんでしょーが!」

左近は半ば怒鳴るかたちで二度目となるツッコミを入れた。

「左近、修羅と化してみせるのだ」

「そりゃ戦場での話ですよ!」

平然と豆を投げつけてくる三成。
鬼役だというのに、長年培ってきたものの一つ“反射神経”とやらが無意識に働いてしまった所為で他方から投げられる豆も含め次々と器用にかわしていく。
あ、と思い至る頃既に遅し。
数ターンに及ぶ前述の激化した状況後の事で、三人の表情は苦々しいものと化していた。
聞かずとも分かる、言葉にすれば三成曰く「不愉快だ」。
鍛錬場一帯とまではいかないが、左近の周りには無残に散らばった豆、豆、豆。
一粒でも、と躍起に投げつけていた所為でその数も残り少ない。
業を煮やした兼続が、ビシリと擬態語が付きそうな程の勢いで左近を指差した。

「ええい、素早い鬼め!やはりこの札を使わずにはおれん!」

更に懐から二枚の札を取り出す。
それまで苦笑混じりに詫びていた左近、今度こそ身の危険を感じておおよその距離を取ると視界の隅で己の大刀位置を確認する。
兼続が札を放つと同時にそこへ一散、柄を手にして勢いよく大刀を振り上げる。
上手く逸らせたようで、放たれた札は全て白壁に突き刺さった。
その状況に、幸村は不意に感じたやるせなさと微妙な疎外感からヤる気が喪失、籠中の豆を弄び始めた。
それ以前に、止めようという気はないのだろうか。
一方、物静かに傍観する実に楽しげな三成。
ちなみに「想定通りだ」とほくそ笑む彼が立つその場所は縁側で、しれっと回避ずみだったりする。
豆撒きからかけ離れ、攻防戦(?)と化した二人から一旦視線を外して仕掛けた罠の処理に取り掛かる。
それを終えると、哀愁漂う幸村の背に歩み寄りそっと肩に手を乗せて一、二言声をかける。
不器用ながらも、彼なりの励ましだった─とでもしておこう。

「ふん、さすがは修羅と名乗るだけある。一筋縄ではいかんな」

「やれやれ。札を使うところからして、一筋縄とは言い難いんだがね」

最早この兼続にツッコんでも意味がない、左近はただただ溜息を零す。
「問答無用!」と図星をさされたらしい兼続が、何枚目になるか分からない札を放つ。
その対応には慣れたもので、左近は大刀を振り上げようと片足を踏み出すが不覚にも一粒の豆に足を取られ体勢を崩してしまう。
それを兼続が見逃す筈がなく、好機とばかりに右手を突き出して札の速度を上げさせる。
受身をとる左近、だがこれも考慮の内──それでも予測を反してかわされていく様に兼続はもはやこれまでか、とついに諦めかけた──その時。
“油断”という名の隙を見せてしまった左近の額にべしりと放たれた最後の札が張り付いた。
その当人と三成、つられて傍観していた幸村は「あ」と揃って声を上げる。
暫しの沈黙。
呆然と佇んでいた兼続だが、はっと我に返って三成と幸村に駆け寄った。

「一時的だが、これで左近殿は動けまい」

「では、残った豆で鬱憤を!」(何気酷い)

「うむ!」

「こら!何やってるのあなた達!」

突如割り込んできた制止の声。
豆を手に取ったまま硬直してしまった兼続と幸村の横で、ただ一人露骨に顔を顰めた三成が声の主に振り向く。
「豆撒きですが」と先の問いに対する返答らしい、素っ気無く言ってのけると向かいに立つ相手は「まあ!」と声を上げ、身動き出来ずにいる左近を訝しげに見遣った。
彼の額に張り付いている札がその原因だと察してそっと剥がしてあげると、捲くし立てるように問い質し始めた─── 三成に。

「…俺ではないというに。その札は、」

「全く、悪い子だね!」

聞き耳持たず。
その場に正座するよう言い付けられた三人、億劫に腰を降ろす三成の後ろで兼続と幸村は従順に。
それから一刻近く小言をくらったそうな。



─後日談─

「殿、聞いてもよろしいですか?」

「何だ」

「何故、豆撒きを?」

「兼続の提案だ。俺がああいった風習を好まん事を知った上で」

「それなんですよ。殿の事なんで一蹴するものとばかり…」

「…、何でもあり、と言いおったのでな」

「そりゃないですよ(野郎ォ!)」

「だが成程、あいつの言う通り良い気晴らしになったやもしれん」

「殿ォォォオ!」

左近の苦悩は続く。


□□□□□


終盤辺り登場したのは、ねね様です(笑)
いっそサイト開いちゃえば?と友達に勧められたのですが、それだと管理や何やで色々と面倒なので…orz

義トリオの豆撒き ( No.4 )
日時: 2010/02/26 22:40
名前: みやび (ID: l/xDenkt)

忘れてました!
この話では左近と義トリオは初対面という事になっておりますorz


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