二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 零崎乙織の人間遊戯
- 日時: 2010/04/22 22:07
- 名前: 零崎狂識 ◆mGDRzMC2dk (ID: vLFo5XnB)
皆さま初めまして『零崎狂識/Zerozaki Kyoushiki』と申します
タイトルを見て一目で分かるようにこの小説は零崎一賊を中心に書いていきたいと思います
とはいっても一応戯言シリーズキャラも多数出てきます
話の内容は完璧に本編から外れています
完全オリジナルとして時系列などは考えずに読んで下さい
「あれ?なんでコイツとコイツが一緒にいるの?」
的な疑問は頭の隅に置いておいて下さい
本来なら永久に会うはずがなかったであろう人同士を勝手に出会わせています
直接的なあらすじは書かないことにします
読みづらい本編を読んで少しずつ理解して下さい
ギャグ多めで行きたいというのが狂識の希望なのですが
シリアスへ突っ走り過ぎていたらストップをかけて下さい
皆さまからの感想、アドバイス、要望などは随時受け付けています
それでは
更新ペースは週に一、二話ですが
ゆっくり気ままに語っていきましょう
零崎一賊の『災子』零崎乙織
彼女の非日常にある日常をご覧ください
†目次†
>>1【始マリハ五年前ノ聖ナル夜】
>>2【戯言使イトくらすめいと】
†お客様†
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- Re: 零崎乙織の人間遊戯 ( No.1 )
- 日時: 2010/04/21 22:42
- 名前: 零崎狂識 ◆mGDRzMC2dk (ID: iykFqmai)
【始マリハ五年前ノ聖ナル夜】
特に大きな事件事故もなかった平和なある年
そんな年もそろそろ終わろうとしていた12月25日
つまり大晦日まで一週間を切ったクリスマスの夜
小さな極東の島国を騒がせる事件が起きた
舞台はK県某市の住宅街
時刻は丁度24時をまわろうとしていた頃
その時間帯に時折国家の犬と皮肉られる方々が到着した
何の変哲もないある一軒の二階建ての住宅
通報があったのは隣の家の住人から
『隣の家から叫び声がした』
明らかにふざけているのとは違う断末魔の叫び
しかし、到着した頃には辺りは静寂に包まれていた
まだ犯人は中にいるかもしれない
その危険を予測しつつ、何名かの男が玄関へと近づく
扉には鍵がかかっていた
無理矢理にそれを壊してこじ開ける
一見何の変哲もない家
それは、外見だけであったことを誰もが知ることになる
扉を開ければそこには当たり前玄関があり
そこには一人のまだ幼い少年が倒れていた
否、実際には少年だったモノと言った方が正しいかもしれない
後一歩のところで間に合わなかったらしい
青ざめた表情になりながら男達は家の中へお邪魔する
リビングには合計三体のほんの数時間前までは人として機能していたモノが散らばっていた
しかし部屋のどこも荒らされてはおらず物が壊れている様子もない
まるでこの光景は人で遊んだ後のよう
幼い子供が時折する、憐れな虫や人形を使った残酷な遊び
それが人を用いて行われたようだった
さすがにいくら経験と覚悟を積んだ屈強な男達も平常心ではいられない
そろそろ誰か一人くらいは叫び声をあげそうだった頃
隣にあるキッチンから物音が聞こえた
『犯人かもしれない』
そんな思いが全員の頭をよぎったが、勇気を振り絞ってそちらへと足を向ける
キッチンの床に倒れ込むようにしゃがみこんでいたのは
全身が赤く濡れた一人の少女だった
美しい黒髪はところどころ汚れてかたまっていて
身につけている真っ赤なワンピースは元は純白だったのだろう
陶磁器のような白い肌にも赤色はこびりついていて
少女の表情はこの世の終わりを見たかのようだった
何も持っていない怯えた様子の少女を見て、男達は不謹慎にも安堵する
いきなり現れた見知らぬ男達に怯えの色を濃くする少女
おそらくはこの家の長女
まだいくらか理性の残っていた男が少女に優しく声をかける
『君は、この家のお嬢さん?』
聞かなくても見れば分かること
しかし、我を失っているように見える少女には一番答えさせる必要のある質問
自分自身を思い出させることが必要だった
その問いを聞いた瞬間、少女のうつろだった瞳に光が灯る
淡い桃色の形の良い唇から可憐な美声が漏れた
『こいつらは、僕の家族じゃない』
『僕の家族は、こいつらじゃない』
『僕は、家族を探しに行かないと』
唖然とする男達の横を難なく通り抜け
今さっきまで呆然としていた少女は意気揚々と歩きだす
スキップでもしそうな勢いで
裏口から出ていった
『聖夜の一家惨殺事件』
『五年たった現在でも犯人は捕まらず』
『その日以来あの少女の姿を見た者はいない』
『家族唯一の生き残りである少女は』
『現在も生存しているならば19歳になっているはずである』
- Re: 零崎乙織の人間遊戯 ( No.2 )
- 日時: 2010/04/22 22:05
- 名前: 零崎狂識 ◆mGDRzMC2dk (ID: vLFo5XnB)
【戯言使イトくらすめいと】
いーいー、いーたん、いの字、いー兄、いっくん、そしていーちゃんこと僕の記憶の中の彼女は殆ど空気と同じだと言っていい
我ながらかなり酷いことを言っているような気がしないでもないけれど、事実は事実
まぁ、そもそも僕の通っていた大学がキャラの濃い人間の集まりだったからだと言ってしまえばそれまでで
実際そのせいだったのだろう
彼女の存在の薄さはそれもそれで濃いキャラだと言えるかもしれない
あれだけ濃いキャラの中で生活できる薄いキャラ
誰にも染まることなく己という薄い色を保ち続けた
彼女の存在はある意味称賛にすら値する
と、ここまで好き勝手言わせてもらったのだが僕自身何を言っているのかさっぱり分からない
だってそれは仕方ない
今までの、いーいーに始まり値するで終わった僕の思考はおよそ一秒弱
つまり一秒もかかっていない
一秒だなんて大量の時間を消費してしまっては僕の時間は永久に止まってしまうかもしれないじゃないか
だって、今僕の目の前にいるのは殺人犯
綺麗な緑の芝生に映える赤い絵の具
いや、それは本当は絵の具なんかではないのだけれど
その絵の具に塗れた男の横にしゃがみ込む一人の女性が、今僕を真っ直ぐに見つめている
気づかれてしまった
僕は関わり合いにならずにこの場を立ち去るつもりだったのに
女性の唇が震えながらも動いた
『いっくん…どうしてここに』
いっくん、それは僕の大学での一般的な呼び名
どうやら僕は関わりの少ない人にも同じ感覚で呼ばれているらしい
傍から見れば交友関係の広い奴だ
本当は友達なんて妄想の産物はいないのだけれど
そして今僕が死んだ魚のような目と称される目で見下ろしている女性は
綾薙 乙姫
僕の記憶にほとんどその存在が記憶されていないクラスメイト
確か巫女子ちゃんあたりは友人だったのではないか
あの子、知り合い多かったからなぁ
けれど今となってはその事実を確認する術はない
確認したければ僕は天国への旅に出なければいけない
いやいや、あの最期を考えれば地獄へ探険に行かなくてはいけないのかな
宗教理念はよく分からない
まぁ、それは頭の隅っこにでも放置して
とりあえず僕は時間稼ぎに口を開いた
『こんばんは、乙姫ちゃん…ここへ来た理由?どうしてかな?何となくここへ来たくなったんだ』
一体どこの色男のセリフだ
しかし、そんな僕の言葉にも反応することなく
乙姫ちゃんは僕を真っ直ぐに見つめて言葉を返してきた
『僕を…通報するの?』
僕という一人称は僕やあの青色と被るから止めて欲しいんだけど
それはそれで個性だから仕方ない
薄い人だからこそ数少ない個性は大事だ
それに加えて、『通報』その言葉ほど僕に縁遠い物はない
過去にはそれを怠って偽装工作を行ったほどですから
というわけで極力安心させるように柔らかい口調で
実際にはただ単調な口調で僕も言葉を返した
『いや?だってそんなことしても僕に得はないじゃないか』
損得勘定で生きる人間、最悪の極み
まぁ僕は本物の最悪ではないけれど
その言葉を聞いて安心しかけた乙姫ちゃんの表情が固まる
その視線は僕の背後を見ていた
僕が不思議に思って振り返ると同時に乙姫ちゃんの声が聞こえた
『…お父様、兄様』
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