二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ボーカロイド曲小説(悪ノ…系全完結!よければ感想ください!)
日時: 2010/04/27 22:02
名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)

クリックありがとうございます!クリックして下さった方はボーカロイドを知ってる人だと思います。
ここは、悪ノ娘が好きなボーカロイドの歌を自分なりに解釈して小説にしているところです。この歌はこんな感じじゃない!と思う所があれば、教えて下さい。
ルールがあるんで、それは守って下さい。

〜ルール〜
①人を傷つけることは×
②悪ノ娘のダメダメ解釈でもOKな方はどうぞ!
③まだまだボーカロイドをよく知らないので、曲も少ないと思うけど、頑張ってどんどん増やしていきます!
④アドバイス・感想があれば是非ください!
⑤だいたい曲の1番と2番…という風に話を分けていくので、メチャクチャ長編もあるかもしれません

あんまルールじゃない気がする^^;まぁ、気にせずに!(←馬鹿なんです。超馬鹿です)

名前の「悪ノ娘」は可愛いリンちゃんの歌から貰いました!悪ノ娘好きです!大好きだぞぉあぁぁ!!!(落ち着け)

すっごく馬鹿ですが、挫折はしないように頑張るので応援よろしくお願いします!

〜予定小説 初音ミク編〜
メルト
ワールドイズマイン
ロミオとシンデレラ

〜予定小説 鏡音リン編〜
悪ノ娘(連載終了! 全4話)
リグレットメッセージ(連載終了! 全2話)
右肩の蝶
炉心融解
恐怖ガーデン

〜予定小説 鏡音レン編〜
悪ノ召使(連載終了! 全4話)
ヤンデ恋歌
イケ恋歌

〜予定小説 巡音ルカ編〜
龍ノ啼ク箱庭拠リ
最後の女王
恋愛疾患

〜予定小説 弱音ハク〜
白ノ娘(連載終了! 全3話)

あ゛ぁぁぁぁぁ…。こんなに予定しちゃった…!!
全部書くように頑張ります!

〜書いた小説 初音ミク編〜
-メルト- いつでもキミのこと(1番)>>14
-メルト- 嘘つき(2番)>>15

〜書いた小説 鏡音リン編〜
-悪ノ娘- 悪逆非道の王女様(1番)>>1
-悪ノ娘- すれ違う運命(2番)>>2
-悪ノ娘- 悲しげな彩りで(3番)>>3
-悪ノ娘- 可憐に散った悪の華(4番)>>4
-リグレットメッセージ- 言い伝え(1番)>>9
-リグレットメッセージ- 生まれ変われるならば(2番)>>10

〜書いた小説 鏡音レン編〜
-悪ノ召使- 王女の傍らに立つ(1番)>>5
-悪ノ召使- 初恋(2番)>>6
-悪ノ召使- 僕は王女 君は逃亡者(3番)>>7
-悪ノ召使- 悲しき双子(4番)>>8

〜書いた小説 巡音ルカ編〜
まだありません

〜書いた小説 弱音ハク編〜
-白ノ娘- 生きていてごめんなさい(1番)>>11
-白ノ娘- 新たな生活(2番)>>12
-白ノ娘- 悪ノ娘(3番)>>13

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Re: ボーカロイド曲小説 ( No.2 )
日時: 2010/04/26 21:31
名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)

-悪ノ娘- すれ違う運命

「レン、隣国へ出かけるわ。一緒に来てちょうだい」
「はい」
隣国…。緑の国か。緑の国には綺麗な歌い手さんがいたんだっけ?
馬車に乗って移動する。馬はやっぱりジョセフィーヌ。
「レン、この前頼んだティーセットはまだなの?」
「それが…。中々王女が気に入るようなのがないらしくて」
「そう、なるべく早くしてよね」
「はい、王女」
「…。二人の時くらいリンでいいわよ」
「ホント?やった!」
凄く嬉しそうに無邪気に笑う。
「何なのよ?たったそれだけでそんなに喜ぶなんて…」
「久々にリンって呼ぶなぁと思って!」
「そうね、レンに名前を言ってもらえるなんて久しぶり」
「あ、リン!着いたよ!」
先に降りてからリンの手を取って降ろす。
「…」
リンが馬車から下りてから、城下の雰囲気が変わった。張りつめた空気が流れる。
「あれが隣国の悪の娘ね…」
「イヤだわ…私達に何もしなければいいんだけど…」
わざと聞えるような声の大きさで喋る。
嫌味なババァね…。
「…」
「リン…」
「大丈夫よ、あんなの気にしてないわ」
とは言っていたけど、少し悲しそうな顔をしていた。
「あっ…」
視線を上げた先には青い髪をした背の高い男の人がいた。横顔が見えてから解った。あれは海の向こうの青の国の王子。
「ねぇ、レン…」
「…」
レンはぼーっとした目で青の王子の横にいる緑の女を見ていた。顔をほんのり朱に染めて…。
「…」
一瞬で解った。あの顔は…。あの緑の女に一目惚れしたということが…。
「ちょっとレン!聞いてるの?」
「あっ、ごめん…。で、何かな?」
「気が変わったの。ゆっくりするつもりだったけど、お買い物だけして帰るわ」
「そっか。どうしたの?何かあった?」
「別に。なんだか疲れてきちゃったから眠りたいの」
「じゃあ急ごうか」
「えぇ」
そして買い物を急いで済ませた。

「ねぇ…。青の王子って結婚してたかしら?」
「いいや、してないよ。どうしたの?まさか城下で会ったときに一目惚れとか?」
「ちょっ!!からかわないでよ!!」
一目惚れは…。レンも同じでしょ?
「動揺する所が怪し〜」
疑うような瞳で見てくる。
「もう!そんなのどうでもいいのよ!!」
「縁談、進めておくよ」
「…お願いね」

そして、翌日。青の王子自らが黄の国に出向いた。
「初めまして、私はリンです」
「リン王女ですか。僕はカイトです」
右手で握手を交わす。
「カイト王子…。素敵な名前ですわね」
「ありがとう。えっと、縁談のことだけど…」
「はい…」
少し顔を赤らめて年頃の少女のように。幸い、海の向こうに王女の悪逆ぶりは知れていなかった。
「ごめんね、僕…。好きな人がいて」
顔を朱に染め、照れ笑いを浮かべる。
「…聞いても、いいですか?」
少し顔が強張ったが、遠慮がちな声で聞いてみる。
「この国の隣国の緑の国の歌い手。ミクちゃんだよ」
「…そうですか。あの方の評判は私も聞いております。優しくて可愛い素晴らしい方だと…。どうかお幸せに」
嘘。こんな優しい言葉は嘘。心の中は『嫉妬』という醜い感情が渦巻いている。
「せっかくの縁談を断ったのに、なんて優しい人なんだろう。これからもいい友達でいよう」
王女の心の中には気づかず『いい人だ』と思い込んでいる青の王子。
「はい」
最後にはとびきりの笑顔でお見送りした。
そして、青の王子の足音が聞こえなくなると…。
         ガッシャーァンッ!!!!!!
テーブルの上にあった真新しい黄色いティーセットを手でなぎ払って落とした。
「大臣っ!!!!」
その声は外にいる大臣にはっきり聞えた。
「王女、気を静めて下さい!」
「うるさいわね!!いい、命令よ!?絶対に聞きなさい!!」
「はい、王女。何でしょう?」

「…緑の国を、滅ぼしなさい」

「はい、王女」


幾多の家が焼き払われ、幾多の命が消えて逝く。
「酷い…!誰がこんなこと…!?」
燃えて消えて行く街を逃げて行く緑の髪の少女。
「ミクちゃん…。だよね?」
僕の初恋の人。初めて会ったときに一目で好きになった。
「っ!!」
目の前には黄色の鎧を身にまとった黄の国の兵士。
「王女の命令で…。貴女をこの世から消し去ります」
「ねぇ、お願い!少しだけ待って!!」
「何…?」
「昨日、この国に来たでしょ?」
「うん…」
これ以上会話するとつらい…。涙が出そうなんだ。彼女にとって僕は敵なんだから耐えなきゃ…。
「あのね、昨日…。一目見たときに好きになってた」
「!!」
思いもしない言葉。自分なんて目に入っていないと思っていたのに…。
「名前だけ聞かせて?」
「レン。鏡音レン…」
涙が目の淵まできている。瞬きしたら流れ落ちてしまう。
「レン君か…。ありがとう、短い間だったけど…。本当の恋ができたこと、ホントにありがとう…。レン君に殺されるなら後悔しないよ…」
ホントに大好きになってた。もっと知りたいと思ったのに…。なんでこんなこと…。こんなこと、シナリオになかったなぁ…。
「ミクちゃん…」
涙を流しながら笑うミクちゃんは、炎に照らされていて神秘的に美しかった。
「さ、殺して…」
「…」
ナイフを握り締めた手が震える。もう片方の手で握り締めても震えは止まらなかった。
「もう、男の子のくせに…。情けないなぁ…」
その手を包み込んで自分の胸元に当てる。
「!!」
「ありがとう…」
ナイフがその白い肌を貫き、そこからは真っ赤な鮮血が流れる。
「うわあぁぁぁっ!!!!!!!!」
誰かに見られたら大変なことになるのに、そんなこと気にせずに大声で泣き叫んだ。声がかれるくらいに。

「あら…。おやつの時間だわ」
レンはまだ帰ってこないのね。もう3時よ?昨日から出撃しているのに…。道にでも迷ったのかしら?

Re: ボーカロイド曲小説 ( No.3 )
日時: 2010/04/26 21:51
名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)

-悪ノ娘- 悲しげな彩りで

昨日、罪のない王国が滅ぼされたことを聞いた民の怒りは頂点に達し、反乱を起こすことを決めた。

「烏合の衆と思っていたけれど…。中々侮れないようね」
戦続きで疲れた兵士達。若さと恐ろしいほどの怒りを武器にした民には敵わなかった。
「王女、恐ろしくありませんか?」
「怖いなんてこれっぽっちも思ってない。私にはレンがいてくれるもの」
こんなこと言っても、もう終わりって解ってる。今まで散々ひどい事してきた報いなのかなぁ…。後悔しても、遅いけど。
「彼らを率いるのは?」
「赤き鎧の女剣士です」
「そう、あの娘…。いつか私に食ってかかった娘よね?」
「そうですね…」
「度胸あるじゃない。反乱まで起こすなんて」
烏合の衆と思っていた彼らを率いるのは赤き鎧の女剣士と青い髪をした王子…。青の王子だった。

「…王女、服を脱いで僕に貸して下さい」
「何言ってるの…?」
「ほら、急がなくては彼らが来ます」
「…?」
しばらくしてからレンの考えが解った。
「私に命令?何様のつもりよ?」
「…召使です」
「解ってるならそんな馬鹿なこと止めなさい。ここで一緒に死にましょう?」
「王女はまだお若い。まだ生きて、世の中の色々なことを学んで下さい」
「何よ、同い年じゃない…」
「王女、お願いです。僕の言うことを聴いて…」
「仕方ないわね、聞いてあげる。服を脱げばいいんでしょう?そして、私がレンの服を着てレンのふりをするのね?」
レンは頑固。ここまで言ったらもう聞かないわ。姉ですもの、レンのことはよくわかってる。
「…よく解ってるじゃない」
その言葉を言ったのはレン。私の口癖。
「……。そのカッコ、似合わないわね」
でも私そっくり。誰かに気づかれてしまわない…。
酷いわね、今までは何のいいこともなかったのに…。大人の勝手な都合で私達は二つに裂かれた。
そして、都合のいい『双子』という現実で、レン…。私の大切な弟が死のうとしている。
「さぁ、レン。彼らが包囲しているのは正面側だけよ。裏側から逃げなさい」
「もっと声真似の練習しとかないと、バレるわよ」
私より少し低めの声。私の声を忘れていないでしょうね?
「…ずいぶんと偉そうね」
少し声を高めにしてみた。
「似てるよ、その調子でガンバれ」
今度は私がレンの真似をしてみた。

「「バイバイ」」

歌を歌うときに綺麗に響くこの声が今は逆になって、悲しい別れを告げる。

ちょうどレン(リン)が出て行ったときに、一番大きな扉…。リン(レン)がいる部屋の扉が開いた。

「見つけたぞ、王女!!」
赤き鎧の女剣士の剣が、王女の喉元に刺さる。

「この、無礼者!!」

Re: ボーカロイド曲小説 ( No.4 )
日時: 2010/04/26 22:11
名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)

-悪ノ娘- 可憐に散った悪の華

昔々あるところに悪逆非道の王国の頂点に君臨してた齢十四の王女様。処刑の時間は午後3時…。

教会の鐘がもうすぐ鳴る。『王女』と呼ばれたその人は、1人牢屋で何を思うのか…。と誰もが気にしている。

「…」
なんで私の代わりに死んでくれるの?私は貴方がいなくちゃ寂しくて生きていけない。貴方が死んだあと…。私も死のうかな…。
「なぁ、カイト…」
「なんですか、メイコさん」
「あれ…」
メイコ…。赤き鎧の女剣士が指差す先には、フードを深く被っても隠しきれない美しい金髪の少年がいた。
「王女…?」
「か、その召使」
「いえ、あれは王女だ…」
あの悪逆ぶりの中に見え隠れする優しさ。今にも泣きそうな顔はその優しさの部分だった。

         ボーン、ボーン…
いつもより重く響く鐘の音は、王女の処刑を意味していた。
「何か言い残したことは?」
「「あら、おやつの時間だわ」」
召使のふりをしている王女も、今は王女の代わりに死を背負う召使と声を合わせて、王女の口癖を言った。

           ガシャン

刃が下りて、王女の首が飛ぶ。その首は悲しくも、召使の足元に落ちてきた。
「うっ、うぁっ、ひっく…」
静かな泣き声を耐えようと唇を噛み締めている。
「…王女」
「っ!!」
誰が私のことを王女と!?
「落としてるぞ。大切なものなんだろ?」
それは、あの乱の民を率いていた赤き鎧の女剣士だった。
「…ありが、とう…」
王女が落とした物は召使とツーショットの写真が入っているロケットだった。
「落とさないように気をつけて下さいね」
そして、もう一人あの軍を率いていた青の王子。
「ありがとう、ありがとう。お二方…」

「あきらめないで生きなよ。召使は王女を助けて死んだんだから」
「貴方が生きなくては召使は無駄死にしたことになりますからね」
「ありがとう…。ありがとう…」
レン、あの軍を率いていた二人は私を許してくれた。何でだろう…?

今まで散々酷いことをしてきた私をあの二人は受け入れてくれた。レンがいなくても、寂しくないよ…。

Re: ボーカロイド曲小説 ( No.5 )
日時: 2010/04/27 16:27
名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)

-悪ノ召使- 悪ノ娘の傍らに立つ

「王女、新しい召使です」
「何なの?そんなの聞いてないわ」
「その者がどうしてもと言うので、どうか面会だけでも…」
「いいわ、通しなさい」
いつもなら会ったりなんてしないんだけど、今日はなんだか会ってもいいかなぁ〜?と思って。

「お久しぶりです、王女」
「…!レン!!」
私の大切な弟。まさかこんな所で会うなんて思ってなかった。
「お帰りなさい、お帰りなさい…っ!」
抱き着いて泣く。他の家臣が見ているのも気にせずに泣きじゃくる。
「ただいま…」
その頭を撫でてあげながら呟くように言う。

『女王様の跡継ぎができる』という期待の中生まれるはずの僕ら。でも、僕らは双子という状態で生まれてくる…。それが面倒で、産まれたうちのどちらかを王族に、どちらかを貧しい生まれにすることが決まった。最初に生まれた方が王族で、後に生まれた方が貧しい育ちということになった。

祝福する教会の鐘が鳴り、最初に生まれたのは可愛らしい女の子…。リンだった。リンは王女になり、後に生まれた僕は多額のお金をあげるのを条件にどこかの庶民の家で育てられた。

リンは悪逆非道の王女で有名だった。ボクがきてから、その悪逆ぶりは少し治まったけど、それでも酷いものだった。

たとえ世界のすべてが、君の敵になっても…。ボクが君を守って見せるから、君はそこで笑っていて。

Re: ボーカロイド曲小説 ( No.6 )
日時: 2010/04/27 20:11
名前: 悪ノ娘 ◆Qd6XA/vkyQ (ID: F35/ckfZ)

-悪ノ召使- 初恋

「レン、隣国へ出かけるわ。ついてきて」
「はい、王女」
そして、馬車に揺られること10分、隣国…。緑の国へ着いた。

「わぁ…」
そこには、黄の国では見ることがない光景が広がっていた。王族と庶民が仲良く会話しながら食べ歩きしていたり、庶民の服屋で「どんな服がいいだろうか?」と相談して決めていたり…。王族と庶民の交流がある国だった。
「…」
王女はその光景を見てぼーっとしているんじゃなくて、誰かを見てぼーっとしていた。
「王女?」
王女の視線の先には青い髪をした背の高い男の人。海の向こうの青い国の王子を見ていた。
…一目惚れをした初恋の顔で。その隣にいる緑の娘は、楽しそうに青の王子と会話していた。
「…!」
あの緑の娘の楽しそうにはしゃぐ声、無邪気な笑顔。
僕も一緒で恋をした。一目惚れの初恋…。双子って、こんなところまで似てるのかな?
「レン、レンってば!」
「はっ、はい!申し訳ございません!何でしょうか?」
「気が変わったの。今日は買い物だけして帰りましょう。なんだか疲れてきちゃって」
「大丈夫ですか?今日は早く帰って早めにお休みしましょう」
「えぇ」

「すみませーん…」
服屋の中に入った。拒絶されるかと思う。王女の悪逆ぶりは隣国まで知れていて、馬車から降りた時も一瞬だけ空気が変わった。
「はいはーい!いらっしゃいませ…」
王女の姿を見てから、少し気まずそうにする服屋の店主。
「あの…」
「はい、何でしょう?」
でも、すぐにその態度を改めて接客用の態度にする。
「黄色と黒を基本にしたドレスってありますか?」
「そちらの可愛い王女様が召される物ですか?少し値は張りますが…。可愛いのがありますよ!」
30代後半くらいのおばさんがそのドレスを大切そうに持ってきた。
「キレイ…」
その言葉は王女が発したものだった。
「お気に召されましたか?王女」
「えぇ、とてもキレイね。気に入ったわ」
「そうですか、それはよかった!」
店主のおばさんが優しげな笑顔で喜んだ。
「これ、おばさんが作ったの?」
「はい、一応」
「凄く上手ね。気に入ったわ、私の所に来ない?」
「あ、それは…。主人も娘もいますから…。ドレスのご注文があれば、出来次第そちらの国へ持っていきますから!」
「そう、解ったわ。ねぇ、これはいくら?」
「13万8000円です」
「あら、もっとするかと思ったわ」
高級な布と宝石で作られた黄色いバラが美しかった。
「せっかく隣国からいらっしゃった王女様ですからね!特別です!」
「そうですか、ありがとうございます」
悪の王女と名高い客が来たというのに、嫌がりもせずにそれを受け入れ、しかも値下げまでしてくれる優しい店主だった。
「ありがとうございましたー!」
代金を渡して一礼して帰る。

「ねぇ、レン…。青の王子って結婚してた?」
「いいえ、していませんよ」
「そう、縁談…。進められる?」
「勿論です」

そして、翌日。青の王子がこの国へやってきた。
青の王子は縁談を断り、王女は荒れた。そして、信じられない命令を出した。
「…緑の国を滅ぼしなさい」
「かしこまりました、最愛なる王女様…」
緑の国…。ボクの初恋の人がいる国…。でも、王女の命令なら、僕はそれを受け入れよう。
初恋の人にも変えられない、大切なボクの王女様(姉さん)。

火攻めで家も城も木も草も焼き払い、緑豊かな王国は炎の赤に染まっていった。
「見つけたよ…」
「っ!!」
「覚悟、してね…」
「…初めて会ったときから、好きでした…」
その言葉と同時に、緑の娘の胸にナイフを突き刺した。
「!!!」
「嘘じゃないよ…。ホント…。ホントに一目惚れだった…。名前、なんていうの…?」
「レン!」
服を引き裂いて止血する。もう手遅れということは解っていたけど。
「レン君…。殺してくれて、ありがとね…」
「うわあぁぁぁっ!!!!!!」
誰に見られるのも気にせずに、誰に聞かれるかもしれないのも気にせずに、大声で泣き叫んだ。
そして、この戦で黄の国は勝利を収め、緑の国は滅んだ。

「今日のおやつはブリオッシュだよ」
昨日、あれだけ泣き叫んだことが嘘のように、いつもと何一つ変わらぬ態度で王女と接する。
「ホント!やった、ありがとう!」
緑の娘に負けないくらい無邪気な笑顔。

ボクの望みはもう一つしかない。それは、大切な王女様がいつまでも笑っていられること…。


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